目次
金に刻印がある理由
金に刻印があるのは、純度や品質を証明するためです。含有率を示す数字やブランドの刻印が施され、信頼性の判断材料となります。また、メッキ加工された製品には誤認を防ぐ刻印が押されることもあります。
金の純度を表すため
金の刻印がある理由の一つに、純度を示す役割があります。「K24」「K18」「18K」などの表記は、金の含有率を表しています。
純度によって価値が変わるため、刻印があることで購入者や販売者は正確に判断できます。純金を意味する「K24」は99.9%以上が金で構成され、耐久性を考慮した「K18」は約75%の金を含みます。
このように、刻印は金の品質を保証し、信頼性を高める役割を担っています。
純度 | 含有率(%) | 特徴 |
---|---|---|
K24
(24金) |
99.9 |
腐食やサビ、変色による劣化がない / やわらかく傷つきやすい / 資産価値のあるインゴットなどに使われる |
K22
(22金) |
91.7 | 純金に近い輝きを持つ / 傷つきやすい / ジュエリーやアクセサリーとして人気 |
K21.6
(21.6金) |
90.0 | アメリカやメキシコなどで金貨に用いられた / 記念メダルやネックレストップなどに使われる |
K20
(20金) |
83.5 | 色合いが純金に近い / 男性向けの宝飾品によく使われていた / 印台リングやチェーンなどに使われる |
K18
(18金) |
75.0 | ある程度は純度があり剛強 / カラーゴールドに加工される / ジュエリーや時計、カメラなどに使われる/ 最もポピュラー |
K14
(14金) |
58.5 | 強度が高い反面、輝きは少ない / ジュエリーやアクセサリーなど広く使われる / 万年筆のペン先や管楽器などにも使われる |
金の色味を表すため
金の刻印には、純度だけでなく色味を示す役割もあります。たとえば「K18WG」の場合、「K18」は純度を、「WG」はホワイトゴールドを意味します。
他の金属を混ぜることで、金の色合いが変わり、「YG」はイエローゴールド、「PG」はピンクゴールドを指します。ホワイトゴールドはニッケルやパラジウムを加えることで生まれます。
このように、刻印によって素材の特徴が一目で分かるようになっています。
刻印 | 名称 | 合金成分 |
---|---|---|
WG | ホワイトゴールド | ニッケル・パラジウム・銀 |
YG | イエローゴールド | 銀・銅 |
PG | ピンクゴールド | 銅・銀 |
GG / GRG | グリーンゴールド | 銀・カドミウム(現在は制限あり) |
RG / RDG | レッドゴールド | 銅 |
メッキ加工を表すため
金の刻印には、メッキ加工が施されていることを示す役割もあります。「GE」「GEP」「GF」「GP」などの刻印は、製品が金メッキであることを意味します。
たとえば「K18GF」であれば、18金のメッキが施された素材であることを示します。純金とメッキ加工品では価値や耐久性が異なるため、刻印によって判別が可能です。
購入時や買取時の誤解を防ぐためにも、こうした刻印の意味を理解することが大切です。
ブランド名を表すため
ジュエリーの刻印には、ブランド名が記されていることもあります。これは、そのアイテムがどのブランドによって製造・販売されたものかを明確にするためです。
多くの高級ブランドでは、金製品に独自の刻印を施しており、正規品の証明にもなります。取引時や鑑定の際に確認することで、ブランドの真贋を判断する手がかりとなります。
ブランド名 | 刻印 |
---|---|
ティファニー | 「TIFFANY&Co.」 |
ヴァンクリーフ&アーペル | スペルの頭文字「VCA」 |
ジュエリーマキ | 四つ葉(クローバー)に似たマーク |
ミキモト | アコヤ貝と「M」のマーク |
品質保証のため
金製品には、その品質を保証するために「ホールマーク(Hallmark)」が刻印されていることがあります。ホールマークは、製品が一定の基準を満たし、信頼できる品質であると証明します。
日本では、造幣局が製造した製品に対して「日の丸」や数字を刻印する制度があります。ただし、日本ではホールマークの刻印は任意であるため、刻まれていない金製品も存在します。
個人的に刻印する方もいるため
購入者や贈り手が、個人的な刻印を施すことがあります。結婚指輪や婚約指輪など、特別な意味を持つアイテムには、二人の名前や記念日などが刻まれることが一般的です。
また、ネックレスやブレスレットなどのアクセサリーにも、愛の言葉やメッセージを刻印することがあります。「LOVE」や「Eternity」、さらにはフランス語で「Je t’aime」といったフレーズも見られます。
刻印なしの金があるのはなぜ?
実は、刻印のない金製品も多く存在します。その理由には、製造過程での省略や、古い金製品で刻印が施されていない場合が考えられます。また、カスタマイズや手作りの際には刻印を避けることもあるようです。
刻印が義務ではないため
金に刻印を施すことは、法律で義務付けられているわけではありません。こうした理由から、刻印がなくても不正に製造された金であるとは限りません。
実際、金の刻印は必須ではなく、製造者や販売者が任意で行うことが多いです。特に日本国内では、刻印がない金製品も広く流通しています。
これは、金の取引や販売において、刻印の有無が必ずしも基準とならないことを意味しています。
刻印がない時代もあったため
金の歴史は非常に長く、刻印が存在しなかった時代もあります。そのため古い金製品には、刻印が施されていないものが少なくありません。
刻印の概念自体が後から登場したため、古代や中世の金製品にはその痕跡がないことがよくあります。また、アンティークジュエリーなどでは、時が経つにつれて刻印が薄れたり、消えてしまったりすることもあります。
したがって、刻印がないからといって必ずしも偽物であるわけではないのです。
刻印なしの金は売れない?
金製品に刻印がなかったとしても、基本的には売却は可能です。刻印の有無が金の真偽や価値を必ずしも決定づけるわけではなく、専門的な鑑定によって純度や金額が判断されます。
したがって、刻印がないからといって、必ずしも価値が低いとは限りません。
刻印がない場合の注意点
しかし、刻印がないことで買取金額が低くなることや、買取を断られる可能性があります。専門的な知識を持たない業者では、そのようなリスクが高くなることがあります。
もしも買取を希望するなら、専門の鑑定士が在籍している業者を選ぶことをおすすめします。また、刻印があっても偽物であれば売却できないため、その点にも十分な注意が必要です。
刻印なしの金が本物か見分ける6つの方法
刻印がない金製品が本物かどうかを見分ける方法は、いくつかの手段で確認できます。もしも刻印が欠けていたとしても、金の真偽を確かめるための方法が存在します。
① 色味を確認する
金はその純度により色合いが異なります。純度が高いほどオレンジに近い色を呈し、低くなるほど明るい黄色になります。刻印がない金製品でも、色味を確認することで本物かどうかを見分けられます。
偽物は、色が不自然に明るすぎたり、テカリが強すぎる場合もあります。ただし、精巧に作られた偽物は色だけでは判別できないこともあるため、他の方法と組み合わせて判断しましょう。
② 磁石を使って確認する
金製品が本物かどうかを確認するために、磁石を使う方法があります。金自体は磁石に反応しないため、金製品を磁石に近づけてみると、もし磁石につかなければ、本物の金である可能性が高いといえます。
逆に、磁石に反応するなら、その金製品には鉄やニッケルなどの金属が含まれており、金メッキや合金である可能性があります。
ただし、K18やK14といった金合金には、磁石に反応する金属が含まれていることがあります。磁石の反応だけで完全に判断することはできないため、この方法は参考程度に活用しましょう。
③ 水を使って比重を確認する
金は比重が大きいため、水に浸けると他の金属とは異なる浮力を示します。この浮力の違いを計算することで、金の純度を調べることができます。
また、比重の大きさから、金メッキや合金に比べて重さに違いがあり、同じサイズでも軽く感じられるでしょう。
大きめのアイテムであれば、手に取って重さを確認することで違いを感じやすくなります。手の感覚だけでは不安なら、重量計を使うと正確に判断できます。
④ 試金石を使って確認する
試金石で金製品の表面を軽く擦ると、表面の金が摩擦で剥がれ、中に異なる金属が見えることがあります。これにより、金メッキ製品であることが判別できます。
しかし、この方法は金製品に傷がつく可能性があり、また、使いこなすためにはある程度の経験が求められます。よって、手軽に試す方法としてはあまり推奨できません。
⑤ 剥離の有無を確認する
金メッキ製品は、使用するうちに摩擦の影響で表面が剥がれることがあります。長期間使用すると、剥がれた部分から内側の金属が見えることがあります。
もしも手元にある金製品に剥がれや変色が見られるたなら、金メッキである可能性が高くなります。ただし、本物でも、割り金が錆びて変色することがあるため、剥離の有無だけで確定するのは難しいでしょう。
⑥ 温度の変化で確認する
金は、熱を伝えやすい特性を持っています。実際に金製品を手に取って温度の変化を感じることで、本物かどうかを確認することができます。
本物であれば、素早く手のひらに温かさを伝えますが、他の金属では温まるまでに時間がかかります。しかし、この方法だけでは本物かどうかを判断できないでしょう。
⑦ 買取業者に査定してもらう
金の真偽を確認する最も確実な方法は、信頼できる買取業者に査定してもらうことです。
専門の業者であれば、専用の機器や豊富な経験を活かし、精密な検査を行います。そのため、自分で判断がつかないなら、プロに任せたほうがいいでしょう。
業者選びの際は、豊富な買取実績があり、専門知識の高い鑑定士が在籍しているかを基準に決めることが大切です。
刻印ありでも注意すべき項目
刻印がある金製品が、必ずしも高値で買取されるわけではありません。刻印に対する誤解や偽物の可能性もあるため、査定前に確認しておくべきポイントを理解しておきましょう。
刻印の状態
金や宝石の査定を受ける際には、まず「刻印が正確に読み取れるかどうか」を必ず確認してください。汚れや傷で文字が読めない場合、買取業者によっては査定を断られることがあります。
さらに、「K18」などの刻印の後に「GP」や「GT」が続く場合、金メッキが施されていることを示します。また、「14K」や「18K」のような「アトK」と呼ばれる刻印には注意が必要です。
アトKは、純度が低かったり、金を全く含まない可能性があり、このような製品は査定額が大きく変わることもあります。
そのため、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。業者の評判やプロ査定士の在籍、過去の買取実績などをしっかり確認しましょう。
刻印の位置
一般的に、インゴットや金貨であれば、目立つ位置に刻印がありますが、ジュエリーやアクセサリーではデザインに配慮して目立たない部分に施されています。
たとえば、指輪やリングは内側、ブレスレットは留め具やプレートに刻まれています。バングルやネックレスは内側や側面に、イヤリングやピアスはクリップ部分やキャッチに見られることがあります。
査定時には、これらの位置をしっかりと確認し、刻印を見逃さないようにしましょう。
アイテム名 | 刻印がある場所 |
---|---|
指輪 / リング | 内側 |
ブレスレット | 留め具・プレート |
バングル | 内側・側面 |
ネックレス | 留め具・プレート |
ペンダントトップ | 裏側・側面・ネックレスを通すカン |
イヤリング | クリップの内側・ネジ |
ピアス | 本体の裏側・キャッチ |
ブローチ | 裏側・側面・針の部分 |
時計 | 裏蓋・裏蓋の内側 |
まとめ
金製品には刻印がないこともありますが、本物の金であれば買取が可能です。金の真偽を確認するためには、見分け方のポイントを押さえておきましょう。
刻印の有無に関わらず、金製品を売るなら信頼できる買取業者を選び、適切な査定を受けることをおすすめします。