鮮やかなオレンジ色が特徴のスペルサルティンガーネット
スペサルタイトガーネット、またはスペサルティンガーネット(SpessartiteGarnetorSpessartineGarnet)はガーネットグループの中で透明なオレンジから赤褐色の石を指す宝石です。私達の身近なフルーツの1つ、ミカン科「マンダリンオレンジ」の果皮のオレンジ色が、そのまま鉱物にのりうつったようなカラーです。中国の高級役人が着ていた制服の色(橙色)が「マンダリン」の語源由来ですが、その清朝の首都は当時”満州”の瀋陽というところにありました。スペサルティンガーネットの和名は「満礬柘榴石」(まんばんざくろいし)といいますが、この”満”つながりは何かの縁があるように思えてなりません。
◆宝石言葉、意味
スペルサルティンガーネットは、オレンジ色のマンダリンガーネットや、赤だいだい色のタンジュリンガーネットが商品名として知られる人気があるガーネットの1つです。その宝石言葉は、「真実」「愛」「色気」「忠実」「エネルギー」。そして意味は、「秘めた情熱」となります。秘めた情熱、まさにオレンジ色のスペルサルティンガーネットの特徴をよく表した言葉意味だと言えます。またガーネットは、1月の誕生石としても人気があります。
◆産出国、産地
産出国・産地は、本当に世界各国、アフリカならナイジェリア・タンザニア、東南アジアならミャンマーや中国、北米大陸ならメキシコなど各地で産出されています。ちなみに日本もその1つで長野県からスペルサルティンガーネットが産出されています。ただ主要産地はやはりアフリカ。1990年代初頭にナミビアのククネ川近郊で発見されて以来、1998年にはナイジェリア、2007年にはタンザニアで鉱床が相次いで発見されました。現在、主要宝石産地国のほぼ全域から産出するこの宝石は、今やグローバルなメジャーストーンと言えます。
◆特徴
スペルサルティンガーネットは、ケイ酸塩鉱物で、アルミニウムを内部に含む、パイラルスパイトのグループに属する宝石です。色の特徴は、明るいオレンジ色からコニャック系の黄みがかかった茶色まで見られ、「淡オレンジ色」「オレンジ色」「赤褐色」「茶色」「黄褐色」といった色合いが存在します。また原石の段階で、宝石になる可能性がある石と判断される主要ガーネットの中でも、もっと少ない宝石でもあります。しかし、まれに採石される原石は発色が非常に良く、屈折率もサファイアより高いためカットすることで、とても美しい輝きを見せてくれます。
中でも明るいオレンジ色からコニャック系の黄色・茶色みがかかったオレンジ色で、果物のオレンジのような色をイメージさせるものはマンダリンガーネット、さらに赤みが強い色合いはタンジェリンガーネットという商品名で人気があります。ちなみにマンダリンガーネットは、マンガンが含有することによりオレンジ色に発色する、スペルサルティンガーネットの中でも「まるで果実のようなオレンジ色をしたもの」だけに与えられる商品名となります。
◆宝石名の由来
スペルサルティンガーネットの宝石名の由来は、1800年代にドイツのバイエルン州にある小都市シュッペサルトで発見されたため、その地名にちなんで1832年に命名されました。ちなみに和名も存在し「満礬柘榴石(まんばんざくろいし)」と呼ばれています。
◆お手入れ方法
普段のお手入れは、使用後に毎回、柔らかい布などで表面を拭いてから保管するようにしましょう。定期的にお手入れすることで、その輝きが長持ちすることに繋がります。ただ布で拭いただけでは落ちない人の皮脂汚れもあります。以前より輝きが鈍くなったなと感じたら、水・ぬるま湯の中にキッチン用の中性洗剤を入れて、その水を使いながら柔らかいブラシで洗いましょう。柔らかいブラシで軽く洗う程度なら、宝石を傷つけることはありませんのでご安心ください。
その後、しっかりすすぎ洗いをしたら乾いたタオルで水分をふき取り、しっかり乾かしてから保管するようにしてください。
◆宝石としての価値
スペルサルティンガーネットは、その美しいオレンジ色と屈折率の高い輝きが評価されています。そのためガーネットの中でもデマントトイドガーネット、ツァボライトガーネットに続く3番目に価値の高いガーネットと言われています。価値を判断する際、宝石は「色(カラー)」「透明度(クラリティ)」「重さ(カラット)」「研磨(カット)」の状態・程度で判断されます。スペルサティンガーネットは中でも、やはり「色(カラー)」が一番、重要な要素となります。そのカラー基準ですが、1番高いカラーは、マンダリンガーネット。鮮やかなオレンジ色の宝石です。スペルサルティンガーネットの中でも特別の宝石であり、黄色や茶系の色合いが全く混ざらない濃いオレンジ色は最高の評価となります。クラリティ基準は、内包物(インクリュージョン)がない宝石が高い価値をもつことになります。
ただ天然石には、内包物が入っているケースが多く、宝石の美しさを邪魔しない程度のインクリュージョンは価値基準にそれほど大きな影響を与えないケースもあります。重さの基準については、1ct以上の宝石が数多く産出されています。そのため小粒のものは比較的リーズナブルな価格で手に入れることができる宝石でもあります。研磨基準は、スペルサティンガーネットは屈折率が高いため研磨の仕方次第では、カラーダイヤモンドのように輝かせることができます。そのため良い研磨をされたスペルサルティンガーネットは、素晴らしい輝きを目に見ることができるので評価も高くなります。
地球上での最古の鉱物、オレンジ・ジルコン
ジルコンは、まばゆいほどの輝きを持つ美しい宝石ですしれっきとした価値があります。それにも関わらず不当にも安価な合成ダイヤモンドの代用品として扱われるキュービックジルコニアと間違えられることが多い宝石です。まったくの別物ですので、しっかり区別しておいてください。
◆宝石言葉、意味
ジルコンの宝石言葉、意味は「夢見る思い」「名誉」「私だけを見つめて」となります。また意味は、「見つめられることへの夢見る思い」「名誉な気持ち」となります。
◆産出国、産地
オーストラリア西部にて、約44億年前にできたジルコンが発見されました。現状では、地球上で最も古い鉱物、と認識されています。主な産出国は、アフリカ大陸なら主にタンザニア・南アフリカ共和国、東南アジアなら主にミャンマー・カンボジア・タイ、またヨーロッパでもフランス・ノルウェーと多くの国で産出されています。
◆特徴
ジルコンは、溶岩が冷え固まることで形成される火成岩の中から結晶として産出され、地球上に数多く分布するケイ酸塩鉱物。またジルコンは無色透明(カラーレス)のほか、青や緑、赤褐色など本当に多数のカラーバリエーションをもつ宝石です。その色はヒヤシンスの花にたとえられ、和名も「風信子鉱(ひやしんすこう)」として存在します。またオレンジ・ジルコンは、落ち着いたオレンジ色と輝きが魅力の石です。またオレンジ色からさらに金色にちかいイエロージルコンも存在しています。
◆宝石名の由来
ジルコンの名前の由来は、アラビア語で「赤」を意味する「ザルクン」、また古代ペルシャ語で金を意味する「zar」と色の「gun」の組み合わせと言われています。「赤」という言葉の由来がありますが無数の色が存在し、その1つとしてオレンジ・ジルコンが存在します。
◆宝石としての価値
ダイヤモンドにも引けをとらない七色の煌(きらめ)きを有するジルコン。ただダイヤモンドと比較するとリーズナブルで入手しやすく、また様々な色合いが存在するため愛好家が多い宝石と言われています。中でもカンボジアから産出されるブルー系のジルコンの品質が高く人気があります。ジルコンには、様々な色合いが存在します。オレンジ・ジルコンもその1つですが、他にもホワイト・ジルコンなどそのカラーをとって様々な名称が存在します。赤系のジルコンには、ジャシンス、ブルー系ならスターライト、黄色系はジャーゴンといった名称があります。
この様々な色合いは、ジルコンが熱によって色が変化する特性によるものです。そのため人工的な加熱処理によりカラーコントロールした宝石も数多く存在しています。もし天然色(ナチュラルカラー)がお好みなら一度、販売店等で確認することをオススメします。
ピンクとオレンジの中間の色味をもつパパラチアサファイア
パパラチアサファイアは、ピンクとオレンジの色合いが微妙に混ざり合った特別な宝石のみに与えられる特別な名称。ピンクが強すぎても、オレンジが強すぎてもパパラチアと呼ばれません。ただオレンジ系のものは数が少なく希少価値が高いため貴重です。内包物(インクリュージョン)が少ないことや透明度が高いことも重要視されます。そのため「KINGOFSAPPHIRE(サファイアの王)」とも称されることもあり、産出量が少ない宝石と言われています。
◆宝石名の由来
サファイアは、太古から数多くの宝石愛好家を魅了してきました。その中でも、ミステリアスな雰囲気を醸し出すパパラチサファイアは非常に人気が高い宝石。世界三大希少石の1つとして名があげられています。そのパパラチアサファイアの宝石名の由来は、ハスの花に似ていることからその名がつけられたそうです。ちなみに蓮とは、学名「ネルンボ・ヌシフェラ」という種類の水生植物のこと。仏教では「極楽浄土に咲く花」として有名で、古くから愛されてきた花です。
◆産出国、産地
パパラチアサファイアの産出国は、スリランカ・マダガスカル・タンザニアなど。またどの産地であっても、大きなサイズのパパラチアサファイアは希少性が高く高価な宝石となります。ただ近年、マダガスカル宝石ラッシュ時に、最高級品質のマダガスカル産パパラチアサファイアが大量に出回り、その希少性が薄らぎつつあるとも言われています。
◆パパラチアの語源
誤解も多く所説もありますが、20世紀初頭にドイツ人宝石学者の書いた文献からとったものと言われています。
高い透明度をもつ宝石、ダンビュライト
ダンビュライトは別名ダンブリ石とも呼ばれ、1830年に米国コネチカット州ダンブリーで発見されたことからこの名が付きました。高品質なものだと透明度が高く、かつてはダイヤモンドの類似石(イミテーション)として扱われたこともあります。
◆産出国、産地
主にマダガスカル・メキシコ・ミャンマー・アメリカ・スイス、そして日本。宝石に適した良質なものが取れることで有名なのは、メキシコ・スイス・日本などです。日本では、大分県の尾平鉱山や宮崎県の土呂久鉱山が主な産地として有名でしたが、現在はいずれも閉山。また過去、日本で産出されたダンビュライトは美しい結晶のものが多く、世界的にも注目されていたそうです。
◆価値基準
透明度の高いものほど高品質とされ、ジュエリーに使われることも多いです。またゴールデンダンビュライトと呼ばれるものはより希少性も高く、価値高く扱われる傾向にあるようです。まれに他の鉱物を結晶インクルージョンとして内包した個性的なものもあり、これらはコレクターに高い人気があるそうです。
また、ダンビュライトは、サイズや品質によって数千円~数万円程度のものが多い印象。希少石でもありジュエリーとして見かけることは殆どありませんが、レアストーンの取り扱いが多いお店でルースを販売しているケースもあるそうです。
まとめ
スペルサルティンガーネットといった宝石は人気があり、鮮やかなオレンジ色や高い透明度がある個体だと高額で取引されている傾向があります。またジュエリーとして使用されるケースも多くリングやネックレスで、その鮮やかなオレンジ色を見る機会も多いと思います。