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2025年も金が高騰し最高値を更新
日本国内の金の価格は、現在、高騰しています。
金の買取価格は2020年代に入ると徐々に高くなり、2023年の秋ごろには9,000円台、2024年には13,000円台と急上昇しました。2025年3月28日時点での相場は、過去最高の16,229円を記録しており、15,000円程度を推移しています。
また、小売価格についても相当な値上がりを見せています。2024年3月ごろには10,000円を突破し、2025年3月28日時点で最高値の16,398円を記録し、1年の間で急激に上昇しました。
今後も、価格高騰が続くと予測されており、金の需要はますます高まると見られています。
金が高騰している6つの理由
何が原因で金価格が高騰しているのでしょうか。経済や世界情勢など、考えられる要素がさまざまですが、以下の6つの理由が大きいようです。
円安傾向のため
2025年3月時点での日本の為替市場は、1ドル150円台を推移しています。依然として「円安ドル高」の状態が続きますが、為替によって金の価格も大きく変わるのはご存じでしょうか。
そもそも、金の価格というのは「ドル」で決められており、為替レートをもとに日本円に換算されています。つまり、円安になれば、金の価格が上がるという構造になっているのです。
円安が続いている要因は色々とありますが、中でも一番大きいといわれる部分は、日本とアメリカの政策金利の違いです。
日本は、金利が少しだけ上がりましたが、1%未満の超低金利政策を維持しています。対してアメリカは、コロナショックの対応で2022年から少しずつ利上げを行っています。その結果、投資家たちはドルを買うようになり、為替は円安へと傾いてしまったのです。
そのようなことが作用し、日本ではあらゆる「モノ」が値上げしてしまい、例外なく金の価格も上昇するかたちとなりました。
供給量より需要のほうが高いため
金は主に宝飾品や工業製品、投資などに利用されており、世界での需要が伸びています。
しかし、金の供給量は足踏み状態が続いており、需要量に満たない状態が続いています。鉱山の開発はほとんど行われていないため、採掘の困難さも金価格が上昇する要因といえそうです。
ちなみに、金は有限な資源であり、無限に採れるわけではありません。地中から採掘できる金は残り約5万tといわれており、将来的には枯渇するとの見方も出ています。
各国の中央銀行が金を購入しているため
日本をはじめ世界各国にある中央銀行は、有事の際に備えるために、金を保有しています。他国に対する外貨建て債務の返済が困難なときや外国為替介入の原資に活用しており、外貨に対する準備として所持しているのです。また、新興国では、米ドルなど「特定通貨の依存」という信用リスクを減らすために、金が買い進められています。
このように経済が不安定に陥ったときの対策のために、金は保険としての役割を果たしています。世界で価値が統一された「共通資産」であるため、ときには国内通貨以上に大きな助けとなっているのです。
世界的な低金利傾向のため
金利が高い場合、株式や債券などを保有している収益が得られます。しかし、金は金利のつかない現物資産のため、金価格は下がる傾向となります。
しかしコロナショック以降、日本を含む多くの国が、低金利の政策です。金利は下がるとモノの価値が上がるため、金の価格も上昇します。それにより、金の需要増加につながっているのです。
インフレ傾向のため
日本経済は2022年以降、円安と物価が上昇しており、インフレ(インフレーション)の傾向が続いています。その懸念は世界中でも強まっており、世界共通の安全資産でもある金の需要が高まっています。金の価格が上昇しているこのタイミングで金に投資を行えば、自己資産を守ることにつながるからです。
しかし近年は、デフレ(デフレーション)のように物価が下がるタイミングでも上昇することがあります。景気が後退すれば株価が下落へ転じますが、金は世界中で取引されるため、一国の経済によるリスクを最小限に抑えられます。そのため、不況下でも金が買われ、価格が上昇する可能性があるのです。
揺るがない価値があるからこそ、金は魅力的な資産として注目されています。
地政学リスクや経済不安があるため
地政学リスクとは、特定の地域や国において政治的もしくは軍事的な緊張感が強まったときの「世界経済に悪影響を及ぼすリスク」のことを指します。具体的には、国同士の対立による経済制裁や戦争勃発、特定の地域での紛争やテロ、一国の政権が交代する、などです。
このようなリスクの高まりは、世界経済への不安材料となり、リスクヘッジとして金の需要が高まります。
また、2008年のリーマンショックなどのような金融危機による経済不安も、金の価値が高まる要因となっています。このようなリスクを回避するため、有事の際の安全資産として、金が重宝されるのです。
市場が金を選び続ける理由とは?
現物資産である金が、なぜこんなにも市場を活性化させているのでしょうか。その理由の一番大きい部分はやはり、金が世界共通の「無国籍通貨」として売買できるからと考えられます。
歴史的に見ても、世界的な金融危機が訪れた際は、弱体化した通貨よりも安定性と信頼性のある金を求めています。金は世界中で取引ができ、経済が傾いてもリスクを回避できる資産です。そのため、有事のために積極的な投資が行われることにつながったのです。
このように、経済の危機的な状況においても普遍的価値がある金は、別名「有事の金」とも呼ばれています。2025年3月現在も戦争・紛争、政治的な動きで揺らいでいる世界経済ですが、だからこそ金への投資が行われており、相場も過去最高を更新しています。今後も有事の備えとして、金の需要は高まり続けるでしょう。
【2020年以降】金の高騰を引き起こした出来事
金の高騰は何がきっかけで起こっているのでしょうか。ここでは、2020年代以降で金価格が上昇した出来事について解説します。
コロナショック
コロナショックが起こった2020年2月ごろは、株価暴落による経済不安により投資家たちが金を現金化した結果、金価格は一時的に下落しました。しかし、4月以降はアメリカをはじめ各国で金融緩和の政策が推し進められ、金価格は上昇へと転じます。通貨の価値が下がったことでモノの価値が上がったためです。
2020年6月から8月にかけては価格が急上昇を見せており、1トロイオンスあたり2,000ドル超をつけるなど、当時としては歴史的な高値となりました。
オミクロン株の出現
2021年はコロナウイルスに対抗するためのワクチン接種が進められ、その猛威から落ち着きを取り戻すと思われました。しかし、12月ごろに新たな変種株「オミクロン」が出現します。これにより、再び感染が拡大し、世界経済への不安が再燃しました。結果、金が買われるようなり、金価格も一時的に上昇したのです。
その後、WHOから「オミクロン株が軽症」であることが発表されると、投資家たちはリスクを取るようになり、金価格の上昇が止まりました。
ウクライナ危機
2022年2月末以降、ロシアよるウクライナ侵攻がはじまります。「ウクライナ危機」とも呼ばれたこの出来事は、世界経済に大きな不安を与えることになります。各国がロシアに向けて経済制裁、ウクライナへの軍事支援など、世界は未だ混乱の中にいます。
このような地政学的リスクが、国や投資家たちが金を保有する要因となり、現在も価格が高騰しているのです。
金の高騰はいつまで続く?
今後の金価格ですが、長期的な視点で見ると緩やかに価格が上昇すると見られています。その理由は、金が今後採掘される埋蔵量に限界がくることと、金の需要増加が考えられているからです。
金は投資だけでなく、宝飾品や工業用品、半導体の製造など、さまざまな場面で使用されています。また、通貨の代替えでも使用されており、特に新興国では経済発展のために金の保有を増やしている状況です。しかし、金の採掘量(供給量)以上に金が求められているため、今後も上昇すると予測されているのです。
また、現在のような不安定な情勢も、金価格の高騰に拍車をかけています。株価下落や通貨の信用度が低下し、世界で一定の価値のある金を保有する動きとなるからです。
そのため、ウクライナ危機などが解決に向かうことになれば、ある程度の需要が減り、金価格が下がる可能性はあります。日本も円高に転じることになれば、円建ての金価格が下落する可能性があるでしょう。
金は、国際社会によって大きく左右されます。日ごろから世界の動きに目を向けておきましょう。
金が下落するタイミング
金の高騰が続いていますが、逆に金が下落するタイミングはどのようなときでしょうか。主に以下の4つが挙げられます。
工業用の金需要が減少する時
金は半導体製品やICチップなど、電子部品の製造において欠かせないものとなっています。工業用としての需要も高く、私たちが使用しているスマートフォンの部品にも微量の金が含まれています。普段の生活の中にも、金はあるのです。
よって、工業用として金を使用する頻度が減少すると、金の価格が下がる可能性があります。
米ドルの価値が上昇する時
金価格を長期的な視点で予測する場合、米ドル(アメリカドル)の動きにも注視する必要があります。
米ドルは「基軸通貨」として金市場の中心に立っており、金の価格はドルで決められています。つまり、アメリカ国内の景気がよければドルの価値が高まり、ドル建ての金価格は下落するのです。
日本の市場から考えると「円安ドル高」であれば金価格が上昇しますが、これは基軸通貨としての米ドルの価値の変動とはまた別の話です。注意しておきましょう。
経済が安定している時
金は不況に強い資産ですが、株のように利子や配当はつかないという特徴があります。
仮に、経済が安定し成長が期待できる場合を考えてみましょう。投資家たちは、将来的に高い利益を獲得することを目的としています。経済が上向いていると、企業の利益が得やすくなるため、リスクを取っても、将来的な成長が期待できる株式やサービスに目を向けるようになります。
そのため、株価などが高い水準であるときは、利子のつかない金の需要は低下することになり、価格が下がりやすくなるのです。
地政学リスクが低下している時
戦争やテロ、国同士の対立などにより地政学リスクが高まった場合、金の価格が上昇します。信頼度の低い通貨よりも普遍的価値がある金を購入する方が、リスクを回避できるからです。逆に、このリスクが低下すれば、金の価格は下がる可能性があります。
2025年3月現在、ウクライナとロシアの戦争は続いており、依然として地政学リスクは高いままです。しかし、問題解決の糸口が見つかり、終結に向かえば、金の需要が低下する可能性はあるでしょう。
まとめ
金の価格は2025年3月時点において、過去最高を記録するほど高騰しています。地政学リスクの低下や経済安定化への見通しが立たない限り、金の需要はますます高まるでしょう。そのため、今のような状況が売り時であると考えられます。
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