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パラジウムとは
パラジウム(Palladium)は白金族元素に属する原子番号46の元素で、元素記号はPdで表記されます。発見されたのは1803年でイギリスの化学・物理学者であるウイリアム・ウォラストン (W. H. Wollaston) によって発見された比較的新しい金属です。産出国はロシアと南アフリカが大半を占めており、世界全体での産出量も年間約200トン程度(※金は年間の産出量が約3000トン)のため、パラジウムは希少価値の高いレアメタルのひとつといえます。
パラジウムの特徴
融点が低い
パラジウムの融点は約1,555℃であり、これは鉄の融点とほぼ同じです。そのため、加工を行うことが容易な貴金属として様々な分野に用いられています。
水素を多量に吸蔵することが可能
パラジウムは自身の体積の約935倍もの水素を吸収することが出来る金属で、水素吸蔵合金として利用されています。この性質を用いることで、水素自動車や燃料電池など化石燃料に代わる次世代のエネルギーを活用するために利用されています。
金属アレルギーを起こしやすい
パラジウムは白金族中で耐酸性が最も弱く、イオン化傾向が強いため、金属アレルギーを起こしやすい金属といえます。
パラジウムが使用されているもの
歯科治療に使用されている銀歯
最も身近にパラジウムが用いられているものといえば歯科治療に用いられている銀歯といえます。銀歯という名前から銀で出来ているように感じますが、実際の銀歯は金銀パラジウム合金という合金によってつくられています。金銀パラジウム合金は「金:12%、パラジウム:20%、銀:約50%、銅:約10%」から組成される合金です。この合金の優れている点は強度が高く割れにくい性質をもっているため、健康な歯と同じように噛む事が出来る点です。
一方、金属アレルギーの観点からいうとあまり良いとはいえず、一定水準の安全性をクリアしているものの、金属が溶け出す、歯茎が黒ずむ、金属アレルギーなどのデメリットが挙げられます。特に金属アレルギーの症状として、金属と接触する部分が炎症を起こして変色したり、ひどい場合は頭痛や肩こり、脱毛やめまいの要因となるケースもあります。そのため最近では、セラミック製などのメタルフリーの素材も使われるようになってきました。
化学反応の触媒
パラジウムは自動車の排気ガス中の有害物質を取り除くための触媒として使われています。自動車から排出される有害物質には、窒素酸化物、炭化水素、一酸化炭素などがありますが、プラチナ又はパラジウムを触媒に使うことで、炭化水素を水に、一酸化炭素を二酸化炭素に変換できます。また、燃料電池極としても最適な素材であるため、これからの需要の高まりが予測されています。
ジュエリー用途
パラジウムはジュエリー用途でも活用されています。しかし、パラジウム製のアクセサリーというのはあまり聞いたことはないですよね、じつはパラジウムは主に貴金属の割金として利用されています。金やプラチナなどは金属としての硬度自体が低く、人間の爪で引っ搔くだけで傷がついてしまう事もあります。
そこで硬度の高い金属(割金)を混ぜて合金にすることで硬度などを上げています。パラジウムはプラチナの割金として用いられている事が多く、硬度や色味の調整に役立っています。また、パラジウム自体に傷がつきにくい特徴がある事から、数は少ないのですが、純パラジウム製の結婚指輪なども密かに人気が高まっています。
パラジウムの価値
パラジウムは以前まで希少な金属でしたが、あまり価格の高い金属ではありませんでした。しかし、近年価格が急騰しており、2023年現在は1gあたり7,000円前後、2022年には一時期13,000円を超え、プラチナや場合によっては金よりも高額で取引される金属となっています。その要因は2015年に決まった車の排ガス規制による自動車産業での需要増と産出国のひとつであるロシアの動向によるものです。
2023年現在、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻への経済制裁として世界各国がロシアとの貿易を制限しています。そのため、ロシア原産となるエネルギーや貴金属類の供給が減り、価格が上がっています。今後のウクライナ情勢についても解決の目途がたっていないことを考えるとパラジウムの価格高騰はまだ続くのではと予測されています。
まとめ
パラジウムは、プラチナとよく似た特徴を持つ貴金属で同じものと勘違いされたりもしますが、特有の性質をもち、現在は高額で取引されている貴金属になります。「買取大吉」では金・貴金属の買取を強化しており、パラジウムを含めた金・プラチナなどの貴金属製品も状態を問わず買取しております。査定やご相談は無料で行っておりますので、是非お近くの「買取大吉」までご来店ください。