目次
金と株価の関係性
金と株価は逆相関の関係
一般的に、金相場と株価は逆相関の関係といわれています。つまり、株価の需要が上昇し価格が上がれば金の需要が減少し価格は下がる、反対に、金の価格が上昇すれば株価が下がるということです。これは金と株がもつ性質が深く関わっており、それによってこのような逆相関となっています。
なぜ逆相関の関係になるか
安定を求める金
金は「有事の金」や「安全資産」と呼ばれる事からわかるように、戦争や経済危機など地政学リスクが高まる際に需要と価格が上昇する傾向にあります。また、金は世界共通で価値が決められており、世界中のどこでもほぼ同等の価値で取引されている資産になります。そのため、万が一自国で財政破綻が起きたりしても、金の世界的な価値は変わらないため、資産を目減りさせずに危機を乗り越える事が出来るでしょう。
しかし、投資対象という面でみた場合はメリットはあまり高くないといえます。金は所有しているだけでは金利や株式配当のような利益を生み出しません。つまり、利益を得ようとした場合、売却時の価格上昇分の差額でしか利益を得ることができないのです。そのため、経済が好調の時には金を投資として買うメリットはあまりないといえます。
投資価値を求める株
投資価値を求めて投資家達が買い求めている株はその企業の業績によって配当金や株主への優待を受けられることが魅力です。特に経済が好調の際には株での利益も増えるため、需要が増え、株価もどんどん上昇していくのです。しかし、地政学リスクや企業の不祥事などによっていきなり価値が0になってしまう事もあり、ハイリスクハイリターンな投資方法といえます。
つまり、金は「金という金属そのものが持つ価値は簡単に下落しないため、万が一のときにも安全な資産」という側面を、株には「配当金や株主優待、株の価値の上昇などの価値の増大」という側面を求めているといえます。
近年は逆相関ともいえなくなっている
多少のズレはあるものの、これまでは逆相関していた株価と金の価格。しかし、近年ではその前提が崩れる場合があります。2017年にそれは起こり、株価が上昇し、逆相関から下がるはずの金相場が上昇したのです。
これは、好調な株式市場へ投資しようとする動きと、当時の大統領だった、ドナルド・トランプ政権を中心とする世界各国の、不測の事態に備えた動きが関連しているといわれています。株式が好調かつ、地政学的リスクが無視できない状況ということで、投資価値の高い株と安全資産である金の双方の需要が上がり、相場が上昇しました。
世界的には逆相関関係であっても国内では金と株価は逆相関とは言い切れない
ここまでは、世界の流れを中心に解説しました。もちろん日本の株式市場と金相場の関係においても、こうした動きになりやすい事は少なくありません。しかし、国内においてはそれ以外にも考慮するべきポイントがあります。それが「ドルと円の為替レート」です。金の取引はドル建てで行われているために、国内の日経平均株価よりも、為替相場の方が影響を与えるケースも少なくありません。
実際に、現在(2023年7月)において、日本の金相場と株価が双方ともに相場が上昇し、株価はバブル後最高額を更新し、金価格は史上最高値を更新しています。これは、高度成長期時のような日本企業の業績が好調の要因というよりも、異次元の金融緩和政策による急激な円安が原因と思われます。金相場の高騰は円安に加え、ウクライナ情勢などを筆頭にした地政学リスクの上昇が要因として挙げられます。
このように、日本国内における株価は、「株価と金相場が逆相関する」とまではいえない場合も多く、国内単位では逆相関する考えはあまり意味がないという考え方をしている人も多いです。
今後の動向
これまでの流れを振り返ったところで、気になるのが今後の流れについてです。このまま「株価」「金」、共に価格が上昇していくのか、それとも何らかのきっかけで以前のように逆相関するようになるのか、予測するのは難しいと言えます。
特に近年以降は、ビットコインを筆頭にした「仮想通貨」も投資対象として注目されています。新たな投資対象が増える分、これまでとは違った関係や動きを見せるケースも増えてくるでしょう。投資で失敗しないためには、様々なメリットやリスクを考慮した上で、自分の投資について多面的に考えていく必要があります。金の売買はもちろん、そのほかの投資について検討する際にも、ぜひ頭に入れておいてください。
まとめ
今回は金相場と株価の関係性についてご紹介しました。現在、金は未曾有の高騰をしており、1gあたり10,000円を超える勢いです。この流れがいつまで続くかは予想が難しく、今後の動向に注意が必要です。ひとつ言える事は、今現在の金相場は類を見ないほど高額しており、売り時という事です。
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