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金を無限に手に入れようとした試み、錬金術を解説!

金を無限に手に入れようとした試み、錬金術を解説!

2022年現在、金の価格が未曾有の高騰を見せており、1g辺りの価格が8,000円を下回る日はありません。そんな金をなんとか作り出そうとして錬金術が生み出されました。漫画やゲームなどの分野ではお馴染みの存在ですが、実際に出来たら夢のようですよね、そこで今回は、そんな錬金術について掘り下げてお話していきます。

錬金術とは

錬金術とは、当時から高価なものであった金を安価な鉄や鉛などの卑金属から作れないかという想いから発展したものです。その後、不老不死を目的とする霊薬や人間を完璧な存在にするための模索など多岐にわたる目的により、多くの人が錬金術をおこなっていました。

錬金術の歴史

古代ギリシャ・古代エジプト

錬金術の起源は古代ギリシャや古代エジプトまで遡るといわれています。この時代のパピルス(原始的な紙)には、金や銀に別の金属を入れて増幅する方法や、染色法が書かれています。もっともこれに関してはいわゆる金合金を本気で金が増えていると勘違いしているだけの可能性が高いです。

中世アラビア語圏

中世アラビア語圏における「錬金術」の定義はさまざまであるが、劣位の金属を変成(transmutation)させて高位の金属を得ることがテーマの技術であり、鉱物自体が地球の奥底で低位の金属から金や銀などの高位の金属へと変化すると考え、そのプロセスを早める研究を主におこなっていました。

ルネッサンス期

16世紀ルネサンス期に錬金術は最盛期を迎えた結果、錬金術師が増え、印刷術により先人の書物が広まりました。神聖ローマ帝国皇帝であったルドロフ2世は国籍、身分を問わず錬金術師を優遇し、世界各地から錬金術師がプラハの宮殿に滞在していました。一方で錬金術師を名乗り、偽りの金や偽造錬金術書を売ろうとする者が現れ、錬金術師全体に対して疑いの目を向けられるようになりました。

17世紀以降

この辺りに認知された天地創造の時に神が作った金属は姿を変えないという主張が錬金術理論を崩壊させました。それでも錬金術師たちは多く存在しており、その中には万有引力で有名なアイザック・ニュートンもいました。この時期以降、錬金術の実践的な側面は化学となり、錬金術師は化学者として変化していきました。

錬金術の目的

賢者の石

SF作品や漫画でもお馴染みの賢者の石は、それを生み出すことが錬金術の最終目標といわれていました。この賢者の石を粉末状にして、水銀や鉛、錫などを溶かした金属と混ぜ合わせることで大量の貴金属を生み出すとされています。本当に実在した場合、羨ましいなんてものではありませんね。

エリクサー

ゲームなどの回復アイテムとして聞いたことがある方も多いエリクサーも錬金術によって造り出そうとしたもののひとつです。服用することで如何なる病も治すことができる・永遠の命を得ることができる霊薬などとして扱われており、錬金術師ジャービルはエリクサーを瀕死の病人に飲ませ容態を回復させたと伝えられています。

錬金術によってもたらされたもの

磁器の製造

錬金術師は貴金属を精錬しようと、ありとあらゆる方法を、混ぜたり溶かしたり、焼いたり乾かしたり…を試したことでしょう。その当時、ヨーロッパにとって東洋の磁器は大変高価であこがれの品だったといいます。試行錯誤によって得た知識から白磁製造につながり、このときに建てられた磁器工場が今有名な「マイセン」の発祥となる工場なのです。

火薬

錬金術の材料は様々ですが、中でも硝石や硫黄、木炭、鉛などの金属などが用いられていたようです。これらは黒色火薬の原材料でもあり、錬金術や薬を作ろうとする際の副産物として発見されたといわれています。また、錬金術の発展により、化学の発展にも間接的に貢献しているのです。

蒸留技術

錬金術の基礎は複数の物質を混合し、そこから生成物を取り出すことです。この作業を行うために必須な事が蒸留でした。そのため、錬金術の発展とともに蒸留技術が大きく発展しました。これがアルコールの精製につながり、医学の分野にも大きな貢献を果たしたといってもよいでしょう。

強酸

強酸とは硫酸、硝酸、塩酸、そして濃塩酸と濃硝酸を混合した王水のこと指します。これらの強酸も錬金術師の多くの実験から生み出されたものであり、これには上述した蒸留技術や錬金術に用いられた材料の存在が大きく関わっています。硫酸塩鉱物の乾留によって硫酸を、硫酸塩鉱物と硝石の混合・上流から硝酸を、硫酸と食塩から塩酸を、さらに塩酸と硝酸から王水を得たのです。本来、水やアルコールのような溶媒には溶けない金属ですが、王水の使用により金やプラチナを含む多くの金属を溶解できます。この特性を活かし、錬金術を成功させようとした人がたくさんいたと考えられます。

錬金術は可能か

賢者の石やエリクサーのような都合の良い物は現在の技術でももちろん実現していません。しかし、卑金属から金を生み出すという事のみであれば成功しているのをご存じでしょうか?

具体的には、水銀に中性子線を放射し、原子崩壊を起こすことによってできるらしいですが、核融合を用いた方法になるので、金をつくるという目的のために行うには採算がまったくとれず、できた金も放射性を帯びているなどの問題点も多く実用化とはいかないようです。

まとめ

錬金術はファンタジーの中のものと思われがちですが、過去にはそれに対して本気で取り組み、当初の目的とは異なりはしますが、自然科学や医術の発展など社会に対してもたらした影響は大きいです。また、現代の科学技術をもってすれば卑金属を金に変えることができるようになっています。今後、科学技術の発展とともに、賢者の石ができることもあるかもしれませんね。

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