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金は酸化しない
「金が酸化しない」と言われる所以は、金の耐食性という性質によるものです。耐食性というのは、言い換えると金属がさびにくい、腐食しづらいということです。金は酸にもアルカリにも強い耐性があります。また、金と同じく耐食性の高い金属としてプラチナが挙げられます。
なぜ酸化するのか
そもそもなぜ金属が酸化するのかというと、イオン化という化学反応が関係しています。この世に存在するあらゆるものは、「原子」や原子の集合体である「分子」によって構成されています。簡単にいうと、この原子や分子はふつう、陽の電気と陰の電気のバランスがとれて陰・陽が中立した状態にあります。しかし何らかの影響で陰の電気が離れてしまうことがあり、そうすると陽の電気が優勢な状態になります。この原子や分子の陽イオン化がいわゆる酸化のプロセスであり、錆びる原因で、金は分子構造が極めて安定しているために、この変化が起こりにくいのです。
ではなぜ金製のジュエリーが酸化するのか
ではなぜ酸化に強いはずの金を素材にしたゴールドジュエリーは、酸化することがあるのでしょうか。それはゴールドジュエリーに使用される金が、純金ではなく「金合金」であり、金合金に使われる「割り金」が酸化するためです。純金は大変柔らかい金属のためジュエリーには不向きです。そのため他の金属を混ぜることで、ジュエリーにできる強度を持った金の合金を使用するのです。
金の純度(品位)は24分率で表されます。K24は金100%すなわち純金、K18なら金75%、K14なら金58.3%となり、カラット数(K)が小さいほど割り金の割合が高まり、その分変色のリスクも高まります。カラット数や、ゴールドの色にもよりますが、割り金は銀やパラジウム、プラチナや銅、クロムやニッケルなど様々な金属が使われます。イエローゴールドは銀や銅、ホワイトゴールドなら銀やパラジウム、プラチナ、ピンクゴールドなら銅や銀などが割り金として使われることが多いです。
身近なもので酸化したゴールドジュエリーを蘇らせる
キッチンや日常の掃除用具を使って、色褪せてしまった金製品に輝きを取り戻すことができるかもしれません!ただし、メッキやホワイトゴールドに施されるロジウムコーティングは、剥がれる場合があるので、これらの方法はオススメしません。
ベーキングパウダー
ベーキングパウダーが活躍するのは、パンを焼くときだけではありません。ベーキングパウダーをふりかけて、優しくこすり、流水で流して優しく拭き上げれば、輝きが復活します。
重曹
ベーキングパウダーに似ている方法です。重曹でゴールドジュエリーをきれいにするには、湿らせた布を用意します。少量の重曹をこの布に取って、ゴールドジュエリーを優しくこすります。水ですすげば、かつての輝きが戻ります。
食パン
一見変わっているように思うかもしれませんが、パンはゴールドジュエリーを効率的かつ繊細にクリーニングできる優れモノです。しかも準備としては、パンを丸めて小さなボールを作るだけです。次に、この丸めたパンを使用して、消しゴムのようにジュエリーをこすります。ジュエリーに宝石がセットされている場合は、宝石のくすみも落とすことができます。
歯磨き粉
歯磨き粉は、さまざまな掃除のシーンで活躍することで知られていますが、ゴールドジュエリーにも有効です。まず歯磨き粉で、磨きたいジュエリーをコーティングすることから始めます。次に歯ブラシでジュエリーを優しくこすります。そしてすすぐ前に、ジュエリーを覆っている歯磨き粉を乾かします。乾いたら、丁寧にすすいで乾燥させます。
玉ねぎ
おばあちゃんの知恵袋とでもいうような方法ですが、より具体的には玉ねぎの汁を使用します。玉ねぎをすりおろして絞り、汁を得ます。そしてゴールドジュエリーをこの汁に浸しながら優しくこすります。次に、クリーニングクロスとして販売されている「セーム革」を使用して、ジュエリーを磨きます。セーム革がなければ、ウエスや着古したネルシャツなどの切れ端を使ってもいいでしょう。
マルセイユ石鹸
実はマルセイユ石鹼は、金製品の洗浄に最適です。液体のマルセイユ石鹼が特に有効で、ぬるま湯に液体石鹸を入れて石鹸水を作ります。固形の場合はぬるま湯で石鹸を溶かして石鹼水を作ります。そしてジュエリーをこの石鹸水に約1分間ほど浸します。その後、歯ブラシでやさしくこすり、ぬるま湯で洗い流します。洗浄が完了したら吸収紙で水気をとり、セーム革のクリーニングクロスで拭います。
牛乳
あまり知られていませんが、牛乳も金の輝きを取り戻すのに優れた働きをしてくれます。まず、温めた牛乳をボウルに注ぎ、洗浄したいゴールドジュエリーをその中に浸すだけです。約10分間浸した後、ジュエリーを流水ですすいでください。最後に、柔らかく清潔な布でジュエリーを拭き上げます。
避けたほうがいいもの
一見似たような印象を抱きがちですが、シルバーアクセサリー用のクリーニング材は、ゴールドジュエリーに使用するのはやめたほうがいいでしょう。金と銀では異なった特性をもっているため、銀用の研磨材を使用すると、金を変色させたり、損傷させてしまう恐れがあります。同様に、香水や整髪料、漂白剤やクレンザーなどもゴールドジュエリーに悪影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。
まとめ
金を素材にしたゴールドジュエリーは、純金製であることは殆どなく、何かしらの金属と掛け合わせた金合金であるために、その金属が酸化したり化学変化を起こすことで変質・変色を起こすことがあります。しかし、身近にある日用品で意外と簡単に、ゴールドジュエリーのかつての輝きを取り戻すことができるかもしれません。