今なぜ金取引がおすすめなのか
昨今、未曽有の金価格急騰に際し、世界中で金への注目が集まっています。投資家から金は「有事の金」とも呼ばれ、不況や社会不安の影響を受けにくい投資資産として知られます。現在、世界的にインフレーションが深刻化していますが、インフレーションとは物価の上昇であり即ち貨幣価値の下落でもあります。また新型コロナウィルスの蔓延やテロの脅威、ロシア・ウクライナの紛争など、社会不安が広がることは株価下落の要因となります。こういった世界の現状から、“有事の金”へ駆け込む人々が増えているため金価格が急騰しているのです。
金の価格はどのように決定されるのか
金取引を行う上で最も根本的なことですが、金の市場価格はどのように決められているのでしょうか。実は金の市場価格は、ロンドンで決定されます。ロンドンは歴史的に金取引が銀行システムに発展した街であり、金取引の中核を担ってきました。その伝統は現在も引き継がれており、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)によって毎日10時と15時に金価格は決定されています。
金の取引方法:金貨や金地金を買う
もっともシンプルな金の取引方法です。純金あるいはそれに準ずる純度の高い金を購入して、金市場価格の変動を利用して売買を行い利益を得ます。資産としての金製品には一般的に金貨と金地金(インゴット)があり、いずれも様々な販売店で購入することができますが、初めての場合は田中貴金属や日本マテリアル、三菱マテリアルなどの大手貴金属取扱店が手堅く安心でしょう。
金地金(インゴット)
資産としての金地金は金の延べ棒つまりインゴットで取引されます。大小さまざまなインゴットがあり、一般的に大きいもので1㎏、小さいもので5gまで用意しているところが多いです。
金貨
金貨もインゴット同様、純金あるいはそれに準ずる高品位の金で鋳造されたものです。金貨にはざっくり「地金型金貨」「通貨型金貨」「収集型金貨(記念金貨)」に大別することができます。とくに投資や資産管理目的で利用されるのが地金型金貨です。なお地金型金貨がインゴットと異なる点は金貨にはデザインや加工、輸送費などの諸経費が「プレミアム」として上乗せされているため、インゴットよりも割高な傾向がありますが、一方で記念金貨などは国家元首の即位やオリンピックなどの記念式典開催を記念して作られるため、後に付加価値がつくことも期待できます。日本で購入できる主な地金型金貨は以下です。それぞれ1oz、1/2oz、1/4oz、1/10ozのサイズから選べます。
・カンガルー金貨:品位99.99% オーストラリア製
・メイプルリーフ金貨:品位99.99% カナダ製
・ウィーン金貨ハーモニー:品位99.99% オーストリア製
金CFD取引
「現物取引はシンプルでいいけれど、金の現物をもつのはセキュリティ上不安…」という人にうってつけなのが金CFD取引です。CFDとは Contract For Differenceつまり「差金決済取引」のことを言います。金CFDでは現物の金の売買は行われず、購入時に現物の代わりに証拠金を支払います。売却時はその時に発生する利益額や損失額が、証拠金に追加・減額されるという仕組みです。
金先物取引
先物取引とは将来の特定期間に価格や数量を決めて、取引をおこなうことです。購入予約時に取引予定日の市場価格を予想し、購入予約時と取引予定日の市場価格の差額から利益を得る目的で行われます。高額の取引を行えば、大きなリターンを短期間に得ることができる可能性がある一方で、損失のリスクも大きいため、投資玄人向けと言えるかもしれません。
純金積立
純金積み立ては、証券会社や貴金属商が提供する資産運用サービスで、毎月一定の金額を支払うことで、コツコツ金を購入する方法です。数千円という小額から始められるため、初期投資金額を抑えることができます。積み立てた金は金としてだけでなくジュエリーなどで等価交換ができるサービスを提供している業者もあります。一方で購入手数料や保管料など、手数料が発生する場合もあるので注意しましょう。
金投資信託
投資信託とは、証券会社等が多数の投資家から資金を募り、その資金で運用する方法です。投資信託はプロのファンドマネージャーが資産運用を行うため、投資初心者でも始めやすいというメリットがあり、少額から行えるサービスもあります。運用の結果、利益が出れば投資額に応じて各投資家に利益が分配されます。しかし売却・保管手数料のほか、信託報酬などの運用手数料がかかるため、他の投資方法に比べてコストが高くなる傾向にあります。
金ETF
ETFとはExchange Traded Fundsの頭文字で「上場投資信託」を意味します。つまり、投資信託の中でも商品取引所に上場しているもののみを扱い取引するサービスです。金融商品の指数と連動しているため、市場の上昇や下降で実績が把握しやすいため運用もしやすいという性格があります。別の見方をすると、金ETFは投資家に馴染みのある株式市場と同じ運用方法で、金へ投資をできるようにしたものとも言えます。ただし、上場“投資信託”と言われますが、他者に投資運用を託すことはできず、自分で運用する必要があります。
まとめ
金を活用した取引は多様化していて、小額から始められるものや、短期でハイリターンを望めるものもあります。しかし、安定資産である金とは言え、資産運用は利益をもたらすこともあれば、その分損失をもたらすリスクがつきものですので、いずれにしても慎重な運用が求められるでしょう。