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金の相場価格は世界共通。為替相場によって価格差が生まれる
金の購入を検討した際に、「国別に金の相場が違う」という話を聞いたことはありませんか?もしこれが事実であれば、「できるだけ金の相場が安い国で購入する方がお得」ということになります。とはいえ実際には、金の価格は世界的な市場の中で決定されています。ロンドンやニューヨークにおける金取引が指標となり、世界的金の取引価格の目安が決定されますから、各国で金の価格にそれほど大きな違いはありません。世界的金取引は、米ドルを使って行われています。
もしも本日の金相場が、「1トロイオンスあたり1,300ドル」というものだったとしたら、どの国でも、おおむね「1,300ドル」という数字が目安となりますが、実際には「米ドル」で取引が行われるとは限りません。日本の場合は、当然「日本円」を使って金の売買が行われています。現在の1ドルが日本円に換算するといくらなのか、つまりドル円為替相場の状況によって、金の価格は大きく変わってきます。
もちろん国別に、「主にどんな通貨を使って金を取引しているのか」という点には違いがあります。ドルに対してどのような動きを見せているのかによって、金の相場にも影響が出てきます。為替の状況によっては、「世界的な金の相場は下がっているのに、その国の金の相場は上昇している」という相対的なこともあり得るのです。
金を買うならどこの国がおすすめ?国別の相場や購入時の注意点
政治や経済の不安定な時に、お金に代わる資産として金を保有したい。そんな時、金の相場が国によって違うのであれば、できるだけお得な国で購入したいと考えるのは自然なことです。金を買う時にどの国で購入するとお得なのか、国別の相場や購入時の注意点をわかりやすく解説していきます。
世界的な指標で金の取引価格が決定
金の取引価格は世界どこでも大きな違いはありません。金を取引している市場は、ニューヨークやロンドン、香港、チューリッヒの4大市場が主な取引市場です。その他にも、金を取引できる市場は全世界にあります。
金の取引価格は、購入する人が多いと価格は高騰し、反対に売りたい人が多いと価格は下落していきます。さらに、金の取引価格には世界各国の中央銀行による金融緩和も関係しているのです。各国の中央銀行が発表する経済指標は、金の価格変動に大きく関係しているため注視しましょう。
為替相場によって価格差が生まれる
金の売買は、アメリカのドルで行われる事が多いため、外国為替相場が動くと価格差が生まれます。米ドル建てで取引される金の価格は、1トロイオンス(31.1034768g)あたりの値段で決められており、2021年には1トロイオンスあたり約1800ドルで取引されました。米ドルを基準としている金は、米ドル以外の通貨で購入する場合には、為替相場の影響を受ける商品です。例えば、円安ドル高になると金の価格は上がり、円高ドル安になると金の価格は下落します。金は相場の影響を受けやすい商品であるため、ここで価格差が生まれるのです。金を購入する際は、現在の政治や経済の状況、世界経済の状況を知ることも大切といわれています。
消費税を利用すればもうけられる?
金は他の投資商品と比較して価格が変動しにくいため、金融資産としての保有もおすすめです。海外には金を購入する場合に、非課税となる国があります。2021年現在、金の購入に対して課税しているのは、日本やインド、韓国などの数か国だけです。国別の金取引の詳細情報をチェックしてみますと、日本には「消費税」という特徴があることがわかります。金を売買した際にも消費税は適用され、2018年、「金購入時には小売価格の1.08%をプラスして支払う」ことになっています。消費税は買取時にも影響を与え、「買取店側が、売却金額に1.08%を上乗せして支払う」という仕組みになっています。
ここに目を付ければ、「国別に見て、消費税が課税されない国で金を購入し、日本で売却すれば消費税分をもうけることができるのでは?」と考えがちです。しかしここには落とし穴もあり、海外から20万円以上の物を持ち込もうとしたときには、別途税金を納める必要があります。もしこの手順を飛ばそうとすると「金の密輸」ということになってしまいますので、十分に注意しましょう。海外旅行に行った際に、20万円分を全て金に費やしたとしても、「消費税分」としてもうけられるのはわずか数千円程度です。残念ながら、「頑張って稼ごう!」と思えるような金額ではありません。あくまでも、「旅行のついでにプチお小遣い稼ぎ」といった雰囲気になるでしょう。
金の購入が非課税の3カ国
海外で購入した金は、日本に持ち込むと関税が課税される対象となります。もし海外への移住を考えているなら、非課税で金を持ち込める、3ヶ国がおすすめです。シンガポールでは、金の購入に税金がかかりません。日本とは異なり、贈与税や相続税がかからないため、富裕層に人気の国として知られているのです。シンガポールで日本と同額の金を購入した場合、消費税10%分がお得になります。円安や日本経済に対する不安からシンガポールへ移住して、金に投資する人も少なくないのです。
シンガポールには付加価値税(VAT)、物品税(GST)、商業税などさまざまな間接税が存在しますが、シンガポールでも金の購入には税金はかかりません。また、ドバイで金を購入する場合は、金の純度が99%以上であれば非課税で購入可能です。ドバイには、金製品を取引するゴールドスークと呼ばれる金の現物市場があります。ここでは純度91.7%の22金が主な取引商品ですが、非課税で資産価値が高い24金も取引が可能です。
2017年までは全ての金を非課税で購入できましたが、2018年の付加価値税(VAT)の決定により、純度99%以下の金は課税対象となりました。このVATの導入はドバイの周辺国であるサウジアラビアでも導入され、ドバイと同率の税率が課されています。金がさらに安くなると言われる年明けには、世界中から金を求める人々が集まることで有名です。ドバイは数年前まで消費税がなく、店舗を利用する際の手数料や加工賃などのマージンが少ない点から、金が安い国のひとつでした。
しかし、2018年から付加価値税(VAT)が導入され、純度が99%未満の投資用の金には5%の税金が課税されるようになりました。それでも99%以上の金は非課税ですし、海外からの渡航者には5%の付加価値税のうち85%は戻る(店舗への手数料をのぞく)システムがありますから、日本国内で課税された金を買うよりはやはりお得です。付加価値税の払い戻しの際には、対象店舗での購入を証明する免税タグとレシートが必要となります。
3カ国目は、台湾です。台湾では、銀行や宝石店などで金を購入できます。台湾は日本から近く、金を非課税で購入できる国としてもおすすめです。台湾で金を購入する場合、購入用紙に「氏名」「住所」「パスポート番号」「電話番号」を記入します。台湾で金を購入する場合、支払いは現金のみなので注意しましょう。現在の金価格に対して購入したいg数を指定することで簡単に金を購入できます。台湾で金を購入すると、日本より10%程度お得になるのでおすすめです。
台湾では、宝石店、デパート、免税店の他、銀行の一部でも金を購入可能です。銀行では預金を下ろすのと大差ないほどスムーズに窓口で金地金を購入できます。金を使った宝飾品を購入する場合は、加工費が比較的割安な宝石店を利用すると良いでしょう。
金を海外で購入する際は店側の価格や手数料を確認
海外で金を購入する際、銀行などの公的機関で購入する場合は特に注意することはありません。しかし、民間の店舗で購入する場合は店頭の価格や手数料を確認する必要があります。海外での価格表示は日本円ではないため、適正な価格なのかの判断が難しい場合もあります。実際の金価格に対して適正な価格で表示されていれば問題ありませんが、円換算して適正価格よりも高い表示となっている場合は注意が必要です。また、購入時の手数料は必ず確認しましょう。
海外で購入した金を日本に持ち込む方法
海外で安く金を購入できるのなら、たくさん買って国内で売れば消費税分儲けが出ると安易に考える人もいるかもしれません。しかし、海外で購入した金を日本に持ち込む際には注意が必要となります。なぜなら、持ち込む金の重量によって申告義務や課税義務が発生するからです。購入した金(純度90%以上)の重量が1㎏を超える場合には、申告が必要であり、「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」という申告書を必ず提出しなければなりません。購入した金が他のお土産品と合わせて総額20万円以下であれば、申告により非課税となります。一方、20万円を超えると課税対象になり、消費税分を支払わなくてはなりません。
そうすると、結局国内で買うのと変わりない金額を払うことになるため、消費税分の利益を出そうと思うなら金の購入額は20万円以下に抑えなければなりません。そのため、海外で金を買って利益を出せるとしても、お小遣い程度にとどまると考えたほうが無難です。申告しなければ税を払わなくて良いのでは、などと考えてはいけません。申告しないと密輸とみなされ、罰則を受けることになるからです。
実際のところ、近年では申告せずに海外から金を持ち込もうとして捕まるケースが増えています。決まりを知らなかったというケースもありますが、悪質な場合だとあらゆる手段を講じて金を持ち込もうとするため、国も対策を講じているのです。たとえば、関税局は「『ストップ金密輸』緊急対策」を打ち出しており、門型金属探知機やX線検査装置の新規配備・拡充による取り締まりの強化を開始しています。また、金を購入した国を出国する際のルールも把握しておきましょう。ちなみに台湾から金を持ち出す場合、2万米ドル相当以上の持ち出しに限り申告が必要です。
金価格の動きは国によって異なる
金価格は対米ドルの為替相場により変動します。その国の通貨が米ドルに対して急激に高くなったり安くなったりする場合は、国によって金の価格が大きく変わることもあるのです。しかし、為替相場以外の要因によって金価格が変化することもあります。それはインドと中国の金需要の変化です。
インドと中国の及ぼす影響とは
世界中で取引されている金ですが、生産量の約60%を購入しているのはインドと中国です。つまり金の値動きもこの2か国如何ということになります。金の価格を予想するとき、インドと中国の動向を知っておくことは大切です。中国は最大の産出国であると同時に最大の消費国であり、需要に対して供給が間に合わず外国からさらに大量の金を輸入しています。中国という国がいかに金への嗜好性が強いかを物語っていますね。インドも古くから金文化が深く根付いています。口座の代わりに金を身につけて、資産を保管している人もいるほどです。インドでは金の生産力をほとんど持たないために輸入が主となり、世界的な需要が大きくなって価格に影響を及ぼすことがあります。
金取引をおすすめする理由
金は世界中でその価値が通用します。会社や国の補償がなくても価値を認められる、数少ない資産です。株や債券は価値がゼロになる危険と隣り合わせですが、ジュエリーにも工業製品にも欠かせない金は、価値がゼロになることはまずないでしょう。金にはそのような特徴があり、戦争や世界的な不況などで世界情勢が不安定になると人気が出ます。「有事の金」といわれるのはそのためです。日本では世界における金相場より、為替相場の影響の方が強いという性格があります。日本国内で金を買いたい時には、まず円安のときには売却を検討し、円高では購入を検討することがおすすめです。
金の相場は世界の重要な市場で決定されますが、国別の為替市場の影響を受けるため、異なる相場の様相を見せることもあります。金を所有するメリットを最大限にするためにも、ぜひ国別の相場状況にも目を向けてみてください。金相場の奥深さとともに、金投資の醍醐味を知ることもできるはずです。
海外で金を購入するときの注意点
海外で金を購入する場合には、国内とちがってさまざまな注意点があります。言葉の問題などもありますから、トラブルを避けるために事前にできることを知っておくことが大切です。まず、事前に金価格を調べておくことが挙げられます。スマホで調べてスクショを撮っておくなどすれば、コミュニケーションの助けにもなるでしょう。店側から提示された価格に納得がいかなければ、価格交渉も可能です。アクセサリーの場合は、場合によっては加工費が金地金の価格よりも多くかかる場合もあります。値切るとしたら店側の手数料分です。また、値切るためには、現地通貨で購入する方が良いでしょう。米ドルや日本円、カードなどで購入しようとすると、店側のマージンが高くなる可能性があります。
次に宝石店や専門店の選び方についてですが、客引きをする店は避けたほうが無難です。高値で買わされる、偽物をつかまされるといった被害に遭う可能性があります。またドバイでは、購入した店が付加価値税払い戻し対象店舗かどうかもあらかじめチェックしておきましょう。購入時に支払った税金の85%が戻ってくるのですから、ぜひ利用したいところです。海外で金を購入する際にさらに気をつけたいのは、偽物を購入しないことです。金が本物かどうかの見極めポイントは以下を参考にしてください。
・刻印があるか、正しいかどうか
・重さ
・手で触った感触
・磁石でつくかどうか
海外の刻印は日本と異なる場合があります。海外の刻印の種類について、あらかじめ調べておきましょう。また刻印があったとしても実際とは異なる場合もありますから注意が必要です。金はある程度の重さがありますから、手に持った感じも見極めポイントになります。ただし、タングステンなど重さのある金属をメッキしている場合はわかりづらいので要注意です。金は「熱伝導率」が高い金属。触った瞬間は冷たくてもすぐに温かく感じられるようであれば、本物である可能性が高いです。
また、金を買うときに持っていると便利なのが磁石です。金メッキや内部に別の金属の混ぜ物が多い場合は、磁石を近づけると反応します。ただしニッケルは磁石に反応しないので注意してください。安い買い物ではありませんから、少しでも怪しいと思ったら購入をやめるのもひとつの選択肢です。
まとめ
海外お得に金を購入するには、シンガポールやドバイ、台湾がおすすめである理由を解説しました。金の価格は全世界でほとんど差がないため、今回ご紹介した国では消費税分をお得に購入できることがわかります。海外へ旅行への旅行や移住の際には、資産価値が変動しにくい金の購入を検討してみてはいかがでしょうか。
金は世界で通用する強い資産です。先行きが不透明な今の時代こそ、金を持ちたいと考えるのは当然なこと。だからこそ、金を購入するのに有利な国や各国の金相場について情報を増やしておくことが重要です。