金の採掘量が多かったのは南アフリカ共和国
これまで人類が採掘してきた金の総量は約18万トンだそうです。これは、オリンピック公式競技用プールの約3.8杯分の量に値します。そしてその多くが「南アフリカ共和国」で採掘されてきました。約10年前まで、金の採掘量が世界一だった国なのです!しかし近年は、中国やオーストラリアといった新たな産出国に大きく差をつけられています。いったい何が起こったというのでしょうか。
南アフリカ共和国の金産出量低下の原因
金は有限資源なので地球上の絶対量に限りがあります。南アフリカ共和国の採掘量低下の原因は、これまで掘りすぎたことによる絶対量の減少化が挙げられます。これまで採掘してきた場所よりも更に深い地底まで掘らないと金が出てこないのです。しかし地底深くまで進むと温度が高く、それに伴い冷却装置、安全装置などのコストがかさみます。加えて時代的な背景もあり、南アフリカはアパルトヘイト政策を撤廃しました。白人優遇政策下では黒人が過酷な金の採掘においても主な労働力でしたが、黒人にも同様の労働環境が求められ、金採掘において設備費、人件費といったコストがより発生する環境となりました。金の採掘に必要な冷却装置の需要が肥大化し、2008年には電力危機が発生するほどでした。こうした背景が、南アフリカでは金の採掘量が年々減少している要因となっています。
金は取りつくしたらどうなってしまうの?
金はその不変性から、掘り出された分だけ地上在庫量が増えていきます。実は現在、年間需要のうち約1/3量が市場からのリサイクルによってまかなわれているのです。貴金属ジュエリーや置物はもちろん、パソコンやデジタルカメラなどの電気製品や携帯電話の回路基板に施されている金メッキには金やプラチナ、銀が含まれています。そういった貴金属製品を回収し、処理することで純度の高い金を取り出すリサイクルが一般的です。1tの金鉱石から採取できる金量はわずか5gほどなのに対し、携帯電話1tからは約150gもの金が回収できるといいます。貴金属の買取業者は集められた貴金属製品を溶かして還元することで、再び純度の高い金を精製しています。
そのため、たとえ地中に埋蔵している金が枯渇したとしても、石油などと違って金自体が地球上からなくなることはないのです。しかしこういったデータもあります。金の埋蔵量は、これまで採掘してきた地質や採掘量などの情報を元に、あとどのくらい埋まっているかもしれないという理論値を算出しました。その理論値を元に計算すると、金の総量は約25万トンで、これまで採掘された量は約20万トンと言われています。残された5万トンをわかりやすく例えると、乗客1000人を乗せることができる大型のクルーズ船並の量です。まだまだ量が残っている気もしますが、船一隻分しか地球上に埋蔵されていない資源と考えることもできます。
今の産出ペースでは20年でなくなってしまうかもしれません。今後の技術の発展により、これまでは行けなかった場所や海から金を採取できれば埋蔵量は増えます。特に海から金を採取できれば、埋蔵量は爆発的に増えるでしょう。海水にも金が含まれていますが、海水1トンにつき、金は1mg程度しか含まれていません。大量に採取するには多くの費用がかかるため、採算が合わないことから抽出作業が進んでいないのです。海から金などの貴金属のみを採取するのは、極めて難しい作業です。長く研究が続けられていますが、なかなか実用段階には至っていません。しかし、今後研究が進められていけば、効率のいい金の採取作業が可能になるでしょう。
まとめ
南アフリカの金採掘量の減少の理由から紐解くと、現在の金採掘主要国である中国、オーストラリア、アメリカといった国も年々減少していくのは間違いありません。一方工業産業といった分野での金の需要は年々上がっており、新たな技術革新が生まれるのも想像しにくいです。限りある資源をリサイクルすることが未来の世代にバトンを渡すことにもつながるのです。お家にある使わなくなった貴金属製品などを買い取り業者にお持ち込みしてみませんか?