ダニエルロートの凄さ
天才時計師と称されたダニエル・ロートは、約14年間の歳月を掛けて再興したブレゲに別れを告げ、自らの名前を冠したオリジナル・ブランドを1989年に立ち上げました。
同年ブレゲではトゥールビヨンを発表しましたが、ダニエル・ロート(DANIEL ROTH)のプライベートブランドとして最初に発表した時計も、ケースバックにカレンダーとパワーリザーブを持つ両面式トゥールビヨンでした。
このモデルのケースの形状こそが、現在もダニエルロート(DANIEL ROTH)のトレードマークである円の両サイドをカットしたような独自のデザイン”ダブルオーバルケース”でした。この独自形状”ダブルオーバルケース”も評判となり、ダニエル・ロートが独立独歩の道を歩み出すきっかけとなりました。
18世紀の天才時計師、アブラアン‐ルイ・ブレゲの再来とまで言わしめたダニエル・ロート氏は、60年代に本格的に時計づくりに携わってから様々な名門ブランドで実績を重ね、とりわけ複雑時計の分野でめきめきと頭角を現していきました。そして70年代初頭は、いったん休眠状態にあった、ブレゲ社を復興するプロジェクトに着手していたジュエラー、ショーメの要請により、アブラアン・ルイ・ブレゲの複雑時計を復刻することに尽力。結果、ダニエル・ロートは天才ブレゲの名前を冠したブランド再建の立役者となりました。
そして、ブレゲのトゥールビヨンが完成したのを最後に、自身のブランド、ダニエル・ロート(DANIEL ROTH)を立ち上げたのが1988年のこと。高度な技術を用いた機構と、クラシカルかつ独創的な意匠を特徴としたダニエル・ロートの時計哲学は、2000年にブランドがブルガリグループに加わってからも、脈々と継承されています。
2009年、同社の新作陣における最大のニューストピックは、なんといっても10年ぶりにケースにSS素材を採用したスポーツウォッチ「アンデュレ」がデビューしたことだろう。まったく新しいコレクションながら、ケースには同社ではおなじみの「ダブルオーバル」の特殊なシェイプが面影を残し、ダニエル・ロートらしさが巧みに演出されているモデルだ。他の新作としては、「アシス」のシリーズから、5作目、6作目が登場。それぞれムーンフェイズ、永久カレンダーを搭載し、端麗な意匠とコンプリケーションの見事な融合が楽しめます。
レアなアイテムダニエルロート
その後、ダニエル・ロートは長らく独立時計師として活動してきましたが、彼が時計師としてよりも、経営者として振る舞わざるをえなくなり、時計作りをやめてしまいました。2000年末には、ダニエル ロート(DANIEL ROTH)ブランドはブルガリのグループ傘下に収まります。
ブルガリグループの傘下になった新生ダニエル・ロートは、べゼルにダイアモンドをセッティングした豪華なマスターズコレクション「パーペチュアル・カレンダー」を放つなど、現在は大資本をバックにしながら、ますます独自性を高めた作品を意欲的に発表しつづけています。
ダニエル・ロートのコレクションの中でも、薄型でドレッシーな様相をたたえる「アシス」シリーズから、2009年はダニエル・ロートお得意のコンプリケーションモデルがふたつ発表された。そのうち、永久カレンダー機能を搭載したモデルが「アシスV・パーペチュアルカレンダー」、そして、こちらのムーンフェイズ(月齢表示)とポインターデイト(日付表示)を備えたモデルが、6作目となる「アシスVI・ムーンフェイズ」である。
ダイヤル上で主張する、リアリティ溢れるムーンフェイズは、ケースと同じソリッドゴールド製。その月齢表示機構は、125年に1度、わずか57秒しか誤差が出ないという驚異的な精度を誇る。9時位置のスモールセコンドには特殊な針が装着されており、艶やかなラッカー仕上げが施された文字盤や、古典的なローマンインデックスと相まって、デザインにネオ・クラシカルな要素と、オリジナリティを与えています。
ケースバックから見える、ケース形状に合わせたオーバル型のフレデリック・ピゲ社製のムーブメントも、見事な仕上げである。
ダニエルロートの機構
機械式時計は、現代に見る電池式の時計や電波時計とは違い、地球の重力によって精度の誤差が生まれます。例えば、1日の精度が9時位置が下の場合+10秒だとすると、3時側を下向きにすると-5秒になったりと、方向によって精度にばらつきがでます。これはどの一般的な機械式時計も基本的には同じです。
しかし、こちらのトゥールビヨンは、脱進機(時計の心臓部)全体が1分間に1回転することにより垂直方向の姿勢差を分散させ、平均化する仕組みです。ということは、姿勢差自体が存在しない、安定した精度を保つことが出来る、画期的な機構なんです。
それを、IC回路もコンピューターもない時代に開発し、実用化したことが素晴らしいのです。その複雑さ故に、今でも組み上げられる職人さんは、ごく限られた人のみ!!組み上げる作業にも気が遠くなるほどの時間と労力を要します。手巻き機構を採用しているため、裏からもトゥールビヨンの素晴らしさ、各機構に連動し、共鳴しあうギアの素晴らしさに感動することでしょう。
文字盤と裏面はブラックのクロゾワネ(エナメル製法の一種)という手法を取り入れ、独特な輝きが、ぐっと高級感を引き立てています。もうひとつ、複雑機械式時計には忘れていけない機構!ミニッツリピーターです。
ミニッツリピーター、ウェストミンター、カリヨンの3つのハンマーとゴングの音色が『時』『4半時(15分単位)』『分』の3系統によって時を告げる。社交場で、時計を見る行為は失礼にあたる文化は今も昔も一緒。時計を見ずして、時間が知りたい!!そんな声を元にして作られたのがミニッツリピーターなんです。そして打鐘の規則性はサイレントレギュレーターが司り、ミニッツリピーターの香箱から送られたエネルギーを制御されます。一定のリズムで開放されたたエネルギーが切れ目なく心地よく流れるメロディーに繋がるのです。
まとめ
ブルガリはコラボが多くたくさんの職人と関わってきました。独創的なデザインと多くの種類があります。それぞれのモデルを見ると分かるように、ダニエル・ロートが持つ時計の世界は非常に奥が深くなっています。カリヨン トゥールビヨンの誕生により、更に新たな世界観が生まれたとも言えます。まだまだ新しいデザインが生まれることを期待させるダニエル・ロートは、今後もブルガリの代表コレクションとして進化を続けていくでしょう。