日々溜まる汗や汚れは錆や傷みの原因に!
腕時計は、常に肌に密着している為、どうしても汗や皮脂、汚れが付きやすくなります。そのまま放置してしまうと、匂いや錆、傷みの原因にもなってしまうため注意が必要です。よく使われているステンレスバンドでも全く錆びないという事はありません。また、注意したいのが夏場です。1年の中で最も汗をかきやすい時期なだけに、腕時計に付着している汗や錆が表面に出てくる事で、皮膚のかぶれ、衣服の袖を汚したりする可能性も有ります。
さらに、汚れが細部にたまることで、時計自体の動きが悪くなったり、バンドが切れやすくなったりするため、大切な時計を長持ちさせたいと思うのであれば、毎日のお手入れは必須と言えます。
保管場所も重要なポイント!身近な磁気に注意
腕時計を長持ちさせるために、もう一つ重要なポイントとなるのが「保管場所」です。正しい保管場所を選ぶことでトラブル防止に繋がります。
普段腕時計を使っている際に、こんなことはありませんか?
・突然遅れたり、気付いたら止まっていた
・針がぐるぐると回りだす
・バッグの中に入れていたら、急に進みだした
普段は問題なく動いているのに、突然動きがおかしくなってしまった場合、それは磁気の影響を受けている可能性が考えられます。
腕時計の種類は多種多様のため、お手入れ方法は厳密には異なります。しかし、共通していえるのは磁気から遠ざける事です。なぜ磁気に近づけていけないのかというと、例えば、機械式時計ではムーブメントの部品が金属でできているため、磁気を近づけると部品そのものが磁気を帯びてしまいます。また、クォーツ時計(電池式)ではモーター部品に磁石が使われています。そのため、強い磁気を受ける事で、回転が速くなったり、遅れたり、止まったりします。その結果、時刻のズレが生じてしまうというわけです。具体的に身近に磁気を発生する製品は、主に下記のようなものがあります。
・スマートフォン
・磁気ネックレス
・ノートパソコン
・ACアダプター
・テレビのスピーカー
特に、生活必需品ともいえるスマートフォン、ノートパソコンなどは、腕時計によっては余り良い環境とは言えません。だからこそ保管する際は磁気から遠ざける事が大切です。5㎝離すだけでも時計への影響は小さくなるのでぜひ意識してみましょう。
素材別・パーツ別のお手入れの方法
【金属素材 ステンレスやチタンなどのブレスのお手入れ方法】
金属素材野バンドの汚れを放置してしまうと、皮脂や汗により雑菌が繁殖し、匂いの原因になってしまいます。また、皮膚の弱い人であれば、かぶれの原因になることも想定されます。そのため、常に清潔に保つことを心掛けましょう。
・日々のお手入れ方法
まず、準備しておくと良いのは、マイクロファイバーやセーム革などの乾いたクロスです。セーム革の特徴として、表面のきめ細やかさと静電気が起きない事が挙げられます。なるべく傷をつけないよう表裏を丁寧に拭きましょう。ただし、細かなコマはどうしても皮脂などの汚れが溜まりやすい物です。隙間の汚れは、柔らかめの歯ブラシなどで取り除いてください。
・ひと手間かけたお手入れ方法
バックルの裏側クラスプ(中留)の汚れが強い場合は、少し濡らした綿棒を使うと効果的です。もっと簡単にお手入れがしたい場合は、乾いたタオルの上に置き、メタルブレスレット用のクリーナーを数回吹きかけて下さい。数分待った後乾いた布で拭き取れば、細かな砂やホコリも取り除くことができます。
・もう一歩進んだお手入れ方法
金属素材のブレス自体は、水洗いが可能です。時計本体からブレスを取り外し、中性洗剤を水で薄め、水洗いしてください。隙間は柔らかい歯ブラシでこすると良いでしょう。汚れが落ちたらしっかりとすすぎ、乾いた布でふき取るようにしましょう。身近な物でもしっかりとお手入れが出来るのは魅力的ですね。
便利なお手入れグッズの紹介
大切な時計のお手入れをするなら、お手入れグッズにもこだわりを持ってみませんか?ここでは、一般の方にも使いやすいお手頃価格のグッズをいくつかご紹介しましょう。
【拭くためのグッズ】
・マイクロファイバークロス
お手入れの基本となるのは、やはり日々の研き上げです。マイクロファイバーはポリエステルやナイロンなどを原料にしている合成繊維です。髪の毛の100分の1ほどの太さで極細繊維のため、傷を付けることなく腕時計に付着した皮脂やホコリをしっかり拭き取ってくれます。お掃除用クロスでも使用されており、100円ショップなどで購入が可能です。
・セーム革
シリコン加工を施した、天然鹿革のクロスです。お手入れ品として時計販売店でも購入が可能な為、ついでにお買い求めいただくと便利なアイテムです。腕時計はもちろん、貴金属の拭き上げなどにも使えます。サイズも必要に応じて使い分けると良いですね。
【汚れ・臭いを落とすグッズ】
・HELI メタルブレスレットクリーナー
時計工具・ジュエリーケア用品のヨーロッパ最大手BECO社が展開しているクリーナーです。メタル製のブレスレットの隙間に付いた皮脂汚れを徹底的に落とす洗浄力があります。お手持ちのネックレスなどにも使用可能です。
・HELI 革バンド消臭スプレー
革バンドは、汗や皮脂を吸う事で臭いが発生しやすくなります。革バンドの汚れを取り除いた後、数回スプレーで自然乾燥するだけで、嫌な臭いを抑えてくれる優れものです。
【小さな傷を目立たなくするグッズ】
・BECO ポリウォッチ
プラスチック製風防の小さな傷が気になる方におすすめの、傷除去研磨剤です。柔らかい布などに少量をつけ、軽く磨いてください。ただし、ガラスには使用できませんのでご注意ください。
3年~5年に1度のメンテナンスも忘れずに!
日常のメンテナンスを丁寧に行う事で、時計の外観をきれいに保つことはできますが、時計内部については定期的にプロのメンテナンスが必要です。中でもオーバーホール(分解清掃)は、長期のご利用を考えている方には是非行って頂きたいメンテナンスの1つです。何故ならば、腕時計は1日24時間1年365日止まることなく常に動いているため、部品の劣化や潤滑油の乾燥などが生じやすいためです。オーバーホールとは、時計を分解して洗浄し、潤滑油を塗布して全て組み立て直し、動作を確認することを言い、さらに最後の仕上げ磨きなど表面的なケアをする事も含まれています。
また、機械式だけでなく、クォーツ時計(電池式)にもオーバーホールは必要です。クォーツ時計は止まったまま放置しておくと、電池から漏液する可能性があり、漏液してしまうと時計に甚大なダメージを与えてしまうため、完全に停止してしまう前になるべく早く電池交換することをおすすめします。一般的な目安は3~5年に一度ですが、使用状況によってはもっと早い時期にオーバーホールが必要となるケースもあります。以下のような症状がある場合は、オーバーホールのサインなので見落とさないように気を付けましょう。
・激しい遅れや進みがある
・ガラス(風防)の内側の曇り
・時計を振ると異音がする
・針を回すときに重く感じる
・ねじ込み式リューズがねじ込めない
気になる事があった場合は近くの買取店に尋ねるのも良いでしょう。また昨今では、メーカー以外でも時計修理専門店などでオーバーホールが出来ます。それぞれのお店の実績を比べながら、見合った優良店を選びましょう。
まとめ
今回は、腕時計を長く使い続ける為のお手入れ方法とおすすめの便利なグッズを紹介させて頂きました。トラブルを事前に回避するためには、定期的な3~5年のオーバーホールと、毎日のメンテナンスの基本として、使い終えた時点でお手入れをすることが重要です。特にベゼルやリューズ等の回転する部分、裏蓋の隙間やブレスレットのコマのつなぎ目など、より汚れが溜まりやすい部分に注目すると良いでしょう。
必要に応じて汚れを取り除くケアを行うことで品質を維持させることができます。あなたの大切な腕時計、ぜひ今からでもお手入れをはじめてみてはいかがでしょうか。