宝石鑑定士ってどんな仕事?
宝石鑑定士とは、その名の通り宝石を鑑定する人の事です。宝石の価値や、宝石の真贋を見極めるのが主な仕事になります。
宝石の鑑定機関や販売店、輸入代理店などが主な就職先といえます。
と言っても誰でもなれる訳ではありません。
宝石鑑定士になるには専門の知識と技術が必要になりますので、資格が必要です。
しかし、宝石鑑定士の資格は国家資格ではなく民間資格しかありません。
しかも宝石鑑定士の資格を取得できる認定機関は国内にも多数あり、素人目にはどの資格を取得すれば良いのか分かりません。
そこで、宝石業界でも有名な認定資格をご紹介します。
まずはGGと呼ばれる資格です。
GG(Graduate Gemologist)とは、GIA(Gemological Institute of Americe/米国宝石学会)が認定する資格です。
日本での認定窓口はGIA japanが請け負っており、全日制と通信制のカリキュラムが存在します。
全日制のカリキュラムは6ヶ月あり、全てのカリキュラムが修了した後に最終試験に合格する事でディプロマと呼ばれる卒業証書が取得出来ます。
通信制は座学コース
・ホームスタディ コース
・GGホームスタディ・ハイブリッド プログラム
こちらのの2つのコースに分離します。
ホームスタディコースでは
・ダイアモンド・エッセンシャル・コース
・ダイアモンド・グレーディングコース(D&DG)
・鑑別コース
・カラードストーン・コース
・カラード・ストーン・エッセンシャル・コース
こちらのカリキュラムを修了し、東京や大阪で開催される実技カリキュラムの「オープンコース」を2週間行い全てのコースを修了する事でディプロマを取得出来ます。
GGホームスタディ・ハイブリッド プログラムは、通学と通信を組み合わせて座学5コース、実技3コースを修了するコースです。
こちらも全コースを修了する事でディプロマを取得出来ます。
次はFGAです。
FGAとは、「Fellow of Gemmological Association of Great Britain」の略で英国宝石学協会で認定している資格です。
英国宝石学協会の歴史は古く、宝石流通に関する事の他に宝石学についての教育にも力を入れています。
日本国内では全国宝石学協会が英国宝石学協会の承認の元、昭和43年からFGAの資格認定を行っており、昭和53年からは日本語による通信講座と資格試験にも対応しています。
現在の運営窓口は日本宝飾クラフト学院が行っています。
FGAの資格試験を受験出来るようになるには、2つのコースを修了する必要があります。
それが「ファウンデーションコース」と「ディプローマコース」です。
ファウンデーションコースでは宝石鑑定士になるには必須となる宝石学の基本的な知識を習得する為のコースです。
実際に宝石に触れてみるなどして、宝石の知識や特徴、真贋の見極め等を習得します。
ディプローマコースはファウンデーションコースで習得した知識を更に高い水準にする為の上級者コースです。
ファウンデーションコースは座学や知識の向上が主だったのに対し、ディプローマコースでは実際に様々な種類の宝石を利用した実技を重視したカリキュラムになっています。
ファウンデーションコースとディプローマコースを修了すると、FGAへの申請資格を得る事が出来ます。
資格試験は毎年6月に実施され、筆記と実技合わせて3日の日程で行われます。
筆記試験は宝石の特性と起源、加工、比重、色、人工処理などの知識を論文形式で答える形式になっています。
実技試験では、ルーペ、顕微鏡、屈折計、偏光器、分光器、二色鏡、紫外線ライトなどを利用した試験形式になりますので各器具の使い方や構造をよく理解しておく必要があります。
他にも真珠に特化したパールインストラクターという資格もあります。
パールインストラクターとは、真珠科学研究所が認定している資格です。
2日間10時間の講習で真珠の成因・構造とメンテナンスを学び、また実習で欠陥検査、鑑別検査、品質分析検査をサンプルパールにて学びます。修了者には「パールインストラクター」の称号が授与されます。
講習は3月、6月、9月、12月の年4回実施され、定員は毎回5名、講習費は教材費込みで40,000円ほどです。
真珠科学研究所では上記パールインストラクターのほか、「真珠メンテナンスマスター」や「真珠テリスマスター」などの認定も行っています。「真珠メンテナンスマスター」は、原則として小売店の経営者、従業員向けのセミナーで、真珠の修復保存技術習得できます。「真珠テリスマスター」は、真珠の「テリ」発現メカニズムを知り、実際に「テリ」の評価を行なえる人材を育成するためのセミナーです。
ISG(International School of Gemology)は、オンラインで宝石学講座を受講できるシステムです。上記したGGやFGAの授業内容を統合したような教材を使っていますので、GIAやFGA受講者が、勉強の補助として自宅で受講するというケースもあるようです。
授業内容は、人工宝石の見分け方、真珠、宝石の時計への組み込み、ダイヤモンド、色つき宝石の見分け方や格付けなどかなり包括的で、試験は第三者機関が請け負っています。
授業料は業界一といわれるほど安価(1,200ドル程度)で、なおかつインターネットを通じて自宅で受講できますので、自分のペースで勉強をしたいという人には向いているようです。
仕事の現場で威力を発揮するような資格にはなりませんが、「趣味の延長として宝石について学びたい」という人には向いています。なお、残念ながら日本語には対応していません。
宝石鑑定士の就職先は??
宝石鑑定士になるには、宝石を取り扱う場所で仕事をする必要があります。
この世に宝石が存在する限り、その宝石の価値を証明する宝石鑑定士の需要は無くなる事はありません。
宝石鑑定士の就職先は主に宝石販売店や宝石買取店、輸入代理店、宝石加工会社、宝石鑑定機関、百貨店のジュエリー売り場などがあります。
どの就職先も宝石に関して全体的にカバーする職種ですので、宝石鑑定士の資格だけではなく宝石販売員や値付士、バイヤー、ジュエリーデザイナーなどの資格も併せて取得しておくと宝石鑑定士になるには有利に働きますのでオススメです。
宝石鑑定士の年収は??
宝石鑑定士の年収相場は300~400万円程度です。
宝石という豪華なものを扱う仕事の割には、少ないと感じるかもしれません。
月収ベースだと20万円台も一般的なので、雇われて働く場合には、それほど稼げる仕事ではありません。
ただし、企業によっては資格手当がつくこともあるため、コツコツ努力すれば数十万円の年収アップも夢ではありません。
宝石バイヤーなど目利き力や経験が問われる仕事に携わる場合は、インセンティブがついたり、経験を積むことで信頼を得るようになるため、年齢とともに年収も上がりやすい傾向
宝石バイヤーの場合は英語力と交渉力も問われるため、鑑定技術以外にも鍛えていく必要があるでしょう。
鑑定士の将来性
宝石鑑定士は、現在のところ求人も多数でており、働く場所に困ることはあまりない職業です。
ただし、宝石鑑定士としての将来性は厳しいものがあります。
近年は合成宝石などの技術が進み鑑定が難しくなっていることもあり、職人による鑑定ではなく機械鑑定の導入も叫ばれてきています。
合成宝石でも本物と同じように美しいのなら、安価な方を選ぶという人も増えてくるでしょう。
また、宝石を扱う仕事柄、景気には必ず左右されやすいため、安定的に稼ぎ続けることは難しい業界に属しています。
転職して宝石鑑定士を目指す場合は、宝石知識や鑑定スキルだけでなく、接客スキルや交渉術、語学力などトータルで磨いていき、どんな時代が到来しても対応できるようにしておく必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、宝石鑑定士の仕事内容と就職先と年収について解説しました。
宝石鑑定士になるには、国家資格ではありませんが資格が必要になります。
その認定資格にも今回紹介した以外にも多くの種類がありますので、自分の将来設計に合った資格の取得を目指しましょう。
しかし、資格を取得したから直ぐに宝石鑑定士として活躍出来るとは限りません。
なぜなら、宝石鑑定の仕事は経験がモノをいうからです。
一人前の宝石鑑定士になるには、多くの宝石に触れてその目と感覚を養っていく必要があります。
一つ一つの宝石に対し真摯に向き合っていく姿勢が重要になるのです。