金鉱脈の見つけ方

現在においては、川端で砂金をふるいにかけるような採金方法は、ごく一部の個人の金発掘家をのぞいて行われません。現代の鉱山会社はより大規模で、より集中的で効率化されたプロセスを使用しています。昨今の金鉱脈開発には、多くの専門知識と最新の設備を備えたテクノロジーが不可欠です。

まず、金含有量の高い金鉱脈を見つけるために、金鉱山を開発する鉱山会社は地質学者や地質調査を行う会社と協力します。地質学者は、最新鋭の設備を用いて地表の岩石の物理的および化学的特性を調べて、金が存在しうるエリアを探索します。例えば、地質図の作成や火山の分布によって金を含む熱水の流れを調べたり、大地の電気的な分極効果（IP効果）を観測する探査法である「IP法」によって海底の熱水鉱床を調査します。日本に存在する特徴的な鉱床としては、日本やフィリピン、インドネシアなどの国々の下に位置する環太平洋プレートの周辺では比較的新しい地質年代の「浅熱水性鉱床」が見られます。

金鉱脈が眠ると想定されるエリアが特定されると、開発エリアの分析を行います。地球物理学、地球化学などの観点から、ボーリングによる土壌サンプリングやリモートセンサーによってより詳細なデータを収集していきます。岩石を掘削・採取し地表下に十分な金があるかどうかを調査します。この掘削試験によって金以外の銀などの有用な鉱物の存在や含有されている金の品質も判断できます。また、金鉱脈開発エリアの中でも、場所によって鉱脈の性質が異なるため、細かい区画の調査を行い、詳細なデータ化を行います。

金採掘の前に

金の採掘を開始する前に、採掘会社は周辺整備を行う必要があります。金鉱床はしばしば人里離れた地で開発されます。そういった場合、原料の精錬所や搬出ルートや採掘物資の保管施設、事務所などの従業員のための施設などの周辺設備から整備する必要が生じます。そういったインフラストラクチャの建設に最低1年、海外の辺境地などの場合は5年以上かかることもあります。また、地中深くを掘り下げる金鉱脈の開発は、放射性廃棄物を地中深くに埋める廃棄物処理の機能を兼ねることもあります。

いよいよ採掘の準備が整い金鉱石の採掘がはじまり、金鉱石が採掘できるようになると、採掘された金鉱石は、純金へ変換する必要があります。このプロセスでは、金を含む鉱石を粉砕し、鉱物の性質に応じて特定の処理を行う必要があります。低品位の鉱石の処理は比較的簡単ですが、高品位の鉱石はより高度な処理が必要です。

金の精錬

精製段階では、鉱石は精錬所に運ばれ、不純物が除去されます。 未加工の金は塩化ガスによる精製方法があります。塩化ガスによって不純物が塩化物に変換することでそれらを除去し、純度 99.5% の金が得られ、さらに電流を利用した電解精製を行うことにより最終的には純度 99.99% の金になります。

鉱山は枯渇後も手間がかかる

金鉱山の金埋蔵量は採掘を続けると遅かれ早かれ、枯渇します。 古くは、採掘され尽くされた鉱山は放棄されました。 しかし現在では土地を元の状態に戻すための埋め立てプロジェクトが行われます。 これは環境保護やサスティナビリティの観点から非常に重要視されているプロセスです。

まとめ

金鉱脈の見つけ方から金鉱山の開発のプロセスを端的に紹介しました。地球から金鉱石を採取して金の延べ棒に変換するプロセスは多くの人の手と知識、技術と時間が費やされており、多くの財政的投資が必要であることがわかります。さらに金鉱山の開発は、金鉱脈の探索から閉山後まで、開発エリアの環境と地域住民への影響に配慮する必要があります。 現在では金鉱山の閉山後の埋め立てや原初の環境復旧までが金鉱山の開発と考えられています。金鉱山の開発は本当に莫大な手間と労力がかかるのです。