純度を上げる現在の技術(鉱山)
かつて日本最大の金山として隆盛を極めた新潟県の佐渡金山や、北海道の鴻之舞金山など、長い歴史のなかで日本には多くの金山が存在しました。しかし2021年4月現在、金の採掘が行なわれているのは鹿児島県伊佐市の菱刈鉱山のみです。
菱刈鉱山は1985年に採掘が開始された若い鉱山にもかかわらず、1601年から1989年まで採掘が続けられた佐渡金山を上回る金の産出量を誇ります。
山金の採取は、まず金脈中に含まれた金鉱石を掘り出すところから始まります。この鉱石に含まれる石英や炭酸塩のなかに、肉眼では見えないようなごく少量の金が混じっているため、そこから金だけを取り出すのが山金の特徴です。
山金の採掘が始まった初期は「露頭堀り」で行なわれていましたが、その後の技術革新にともない、徐々に「ひ押し堀り」、「坑道堀り」へと発展していきました。
純度を上げる現在の技術(川金)
山金と並び、古くから採取が行なわれているのが川金です。川が氾濫や増水を繰り返すと、山肌が削られ、金鉱脈が露出します。さらに川の流れや風雨によって金鉱脈から金が剥がれ落ち、川底にたまったものが川金と呼ばれています。
川金とはいわゆる砂金のことで、東京の多摩川や金沢の犀川をはじめ、川ではおもにこの砂金を採取してきました。
川金の採取には、静水のなかで板を揺らして砂利を洗い流し、残った砂金を採取する「ゆり板」や、川底に沈めて固定し、集めた川砂をかねザルを通すことで砂金を採取する「ねこ(ねこだ)」など、専用の道具を使用して行なうのが一般的です。
精錬方法(灰吹き法)
貴金属と鉛の合金(貴鉛という)から鉛を酸化除去して貴金属を取り出す製錬法。溶融鉛は貴金属をよく溶解吸収し、また貴金属よりも酸化しやすいのでこの方法が行われます。
日本では16世紀初め、この方法が輸入され銀の製錬に用いられました。現在でも非鉄金属製錬で金銀を回収する工程に実用されています。銅や鉛の鉱石中に微量含まれる金銀は、電解精製の際電解液に溶解せずスライムとなって残留します。
これを処理する工程で、まず銅、セレン等を分離したのち、溶殿炉で溶融して貴鉛とし、分銀炉で空気流通下で長時間溶融すると、鉛は酸化鉛となって分離されます。そして、金銀合金が得られます。これを電解精製してそれぞれ分離回収します。
同様な原理が鉱石や合金中の金銀の分析法に応用されており、キューペル(cupel)とよばれる骨灰製の皿上で貴鉛を溶融酸化して金銀合金粒を得ます。
これを直接秤量(ひょうりょう)する方法が、信頼性の高い金銀分析法として「JIS(ジス)/ 日本工業規格」にも採用されています。
現在の金を取り出す技術
現在では粗銅から金などを回収する方法には、電解精錬と呼ばれる技術が用いられています。
目的金属を含む塩水溶液を電解液とし、陽極に粗金属を用いて電解し、陰極に高純度金属を得る湿式電気冶金の一種です。この工業化の歴史は古く、代表的な銅のほか、金、銀、ニッケル、白金、鉛、アンチモン、スズなどがこの方法で製造されます。
近年はこのような貴金属および重金属ばかりでなく、卑金属の精錬にも応用されるようになりました。この方法では、目的金属より貴な金属成分や不溶性物質は溶けないで陽極上に残ります。
または、沈殿物(スライム)となるのに対して、目的金属より卑な金属成分は溶解しますが、陰極には事実上析出しないで溶液中にイオンとして残るようになっています。
このようにして目的金属のみが陰極に析出して精製されると同時に、スライム中の貴金属は分離、回収されます。なお広義には、アルミニウムの電解精錬のような融解塩電解もこれに含まれます。
さらに、金の純度とは、ジュエリーなどの金製品に含まれる純金の割合のことです。一般には「18金」や「K18」、「18K」などと表記されます。「K」は純度の単位です。読み方は「カラット」。「K」の代わりに「KT」や「KP」と表記される場合もあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。金の純度を高める技術について、昔と現在の違いを徹底比較しました。歴史的な手法と現代の最先端技術の進化を通じて、技術革新の重要性とその影響が浮き彫りになりました。これを機に、金加工の技術とその歴史に対する関心が高まることを願っています。