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キンバリープロセスとは

1522_キンバリープロセス

キンバリープロセスを一言で言うと「ダイヤモンド原石を輸出する際、これは紛争ダイヤモンドではありません、という証明をつけて輸出する取り組み」のことです。キンバリープロセスが採用されたことで、紛争ダイヤモンドの流通量は減っているため、評価に値すると考えられます。しかし一方で多くの課題も抱えています。欧米では、それらが認知されつつありますが、日本では残念ながらほとんど知られていません。その課題とはいったいどのようなことなのか、歴史とともにお伝えします。

紛争ダイヤモンドの深刻化を防ぐ為に

ダイヤモンド産業界はブラッドダイヤモンドといわれる紛争ダイヤモンドに関する事態を重く受け止めていました。そこで、ダイヤモンド産業界は2000年に世界ダイヤモンド会議を開催し、「紛争ダイヤモンド」の流通を排除するための方策を検討しました。そして2002年に、国連や各国政府とも連携した、「キンバリー・プロセス」と呼ばれる制度をスタートさせることになったのです。

2000年当時に「紛争ダイヤモンド」は、世界のダイヤモンド流通量の4%ほど存在していたとされます。各国政府や、ダイヤモンド産業界が連携した「キンバリー・プロセス」などの努力によって、今では「紛争ダイヤモンド」の流通量は1%にも満たないレベルにまで減少させることができました。 また、日本が輸入しているダイヤモンドは、「キンバリー・プロセス」を厳守する国からのものであるため、「紛争ダイヤモンド」の流通は、ほとんどゼロに近いといわれています。

キンバリープロセスの問題点

キンバリープロセスが適応されるのは反政府運動に貢献する原石の売買ということになっています。原石のみ関与するということは、ダイヤモンドのカットや研磨加工の工程で違法・紛争に関わることが起きていたとしても、紛争ダイヤモンドとは定義されません。また、この証明がかけられるのは原石単体ではなく原石の集合体にかけられます。つまり、密輸業者によって紛争ダイヤモンドではないと証明された原石の集合体に紛争ダイヤモンドを潜り込ませ、出荷させることができてしまいます。そのため、キンバリープロセス証明制度を受けていたとしても、完全に紛争ダイヤモンドではないと見抜くことは難しいといえます。

紛争の資金源の対象になったのは反政府軍のみです。たとえ、政府が紛争のためダイヤモンドを資金源の確保として流通させていても違反になりません。2006年、ジンバブエのマランゲ地方にて大量のダイヤモンドがダイヤモンド探査会社によって発見されました。しかし、2008年にムガベ政権によって、この地方の占有・支配するために200人以上の人々への非人道行為が行われました。

キンバリープロセス認証制度では、この事実があったにもかかわらず、反政府の行動ではないと定義し、この地域で採れたダイヤモンドの販売を許可し続けました。キンバリープロセスでは、紛争ダイヤモンドを、「紛争や人間の苦しみに関与しているダイヤモンド」ではなく、「反政府運動に貢献しているダイヤモンド」と認識しているのです。

キンバリープロセス証明制度は加盟国によって自主的に動いている制度であるため、たとえ制度が破られても罰則はされません。このように制度自体の取り締まりが甘いことも問題点の一つです。

これらの問題点から、キンバリープロセスを用いても発生してしまう問題が多々あります。ダイヤモンドの流通過程だけではなく、人権問題や労働者の搾取、環境問題については見て見ぬふりをしてしまう制度でもあります。

最後に

キンバリープロセス認証制度は、紛争ダイヤモンドを抑制する一定の成果を挙げつつも、多くの課題を抱えています。このような課題が欧米では問題視され、キンバリープロセスに変わる新たな認証制度を作るべきであるという議論もでています。

しかし、ダイヤモンドは多くの国・企業・団体が様々な思惑を持ち動いている業界なので、大多数の人々が合意する解決策に至るのはまだ先のことになりそうです。キンバリープロセスに対する興味や関心を一人一人が持つ事で少しでも解決策に近づくのではないでしょうか。

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