目次
ダイヤモンドの偽物とは
ダイヤモンドの偽物は、外見がよく似ていても、結晶構造や主成分が明らかに異なる別の物質です。まずは、宝石業界でもダイヤモンドの代替石として広く知られている代表的な2つの鉱物について詳しく紹介します。
キュービックジルコニア(CZ)
キュービックジルコニア(CZ)とは、天然ダイヤモンドに近い輝きを持つ人工宝石です。
モース硬度は8~8.5で、ダイヤモンド(モース硬度10)には及ばないものの、宝石素材の中では比較的高い硬度に分類されます。
主成分は二酸化ジルコニウムで、これに酸化カルシウムや酸化マグネシウム、酸化イットリウムなどを添加し、安定化・結晶化させて製造されます。
モアサナイト
モアサナイトとは、強い輝きを持つ鉱物で、主成分は炭化ケイ素(SiC)です。
天然のものも存在しますが、産出量が極めて少ないため、市場に流通しているほとんどは人工的に合成されたものです。1893年、アメリカ・アリゾナ州に落下した隕石の中から発見され、「宇宙からの贈り物」とも称されています。
発見者はフランスの化学者、アンリ・モアッサンで、この鉱物は彼の名にちなんで名付けられました。
人工ダイヤモンドも偽物?
市場には人工ダイヤモンドと呼ばれるものも流通していますが、これも偽物にあたるのでしょうか。次に、人工ダイヤモンドとは具体的にどのような物質を指すのか、詳しく解説していきます。
人工ダイヤモンドとは
人工ダイヤモンドとは、工場などで人工的に生成されたダイヤモンドのことで、ラボグロウンダイヤモンドや合成ダイヤモンドとも呼ばれます。
結晶の形成過程は天然ダイヤモンドとは異なりますが、主成分は同じ炭素であるため、物理的・化学的性質はほぼ同一です。
比較的短期間で製造でき、安定した供給が可能であることから、天然ダイヤモンドより比較的安価で流通することが一般的です。近年では、工業用途に加え、ファッションジュエリーの分野でも広く採用されており、注目を集めています。
偽物と本物のダイヤモンドの見分け方
簡単な確認方法でも、本物と偽物を見分けられることがあります。ここからは、自宅でも比較的行いやすいダイヤモンドの真贋の見分け方について詳しく見ていきましょう。
息を吹きかけて曇り方を確認する
本物のダイヤモンドは、息を吹きかけても表面が一瞬曇る程度で、すぐに透明な状態へ戻ります。これは、ダイヤモンドが非常に高い熱伝導率を持ち、付着した水分の熱を瞬時に拡散させる性質があるためです。
一方、外見が似ている宝石であっても、ダイヤモンドほど効率よく熱を逃がすことはできません。そのため、曇りが消えるまでに時間がかかる個体は、ダイヤモンドではない可能性が考えられます。
ただし、モアサナイトなど一部の代替石も熱伝導率が高いため、この方法だけで正確に判別することはできません。
冷蔵庫に入れて温度の変化を確認する
本物のダイヤモンドは、冷蔵庫で数分間冷やした後に取り出しても、比較的早く常温に戻ります。
これは、ダイヤモンドが宝石の中でも最も熱伝導率が高いためです。その結果、同じ方法をほかの宝石で行うと、常温に戻るまでにやや時間がかかる傾向があります。
しかし、この方法はあくまで目安であり、石の大きさや周囲の環境によっては差が分かりにくいこともあります。
文字が透けて見えるかを確認する
本物のダイヤモンドは屈折率が非常に高いため、石の下にある文字を透かして確認することはほとんどできません。
そのため、石を文字の上に置いた際にはっきりと読める場合は、ダイヤモンドではない可能性が高いと考えられます。とはいえ、カットの形状や石の厚みなどによって見え方は異なるため、あくまで簡易的な確認方法のひとつとして参考にしてください。
水滴を落として水の弾き方を確認する
石の表面に水を垂らす方法も、ダイヤモンドを見分けるための簡易的な確認方法のひとつです。
本物のダイヤモンドは比較的強い疎水性を示すため、水を垂らすと表面張力によって丸い水滴になりやすく、そのまま転がり落ちる傾向があります。
ところが、キュービックジルコニアなどはダイヤモンドほどの疎水性を示さないため、水滴がやや広がりやすいとされています。
ガラスで擦って確認する
ガラスで擦った際に石に傷が付く場合は、ダイヤモンドではない可能性が高いと考えられます。
ダイヤモンドはモース硬度10を誇り、天然鉱物の中でも非常に硬いため、一般的なガラスで擦っても傷が付くことはほとんどありません。
ただし、ダイヤモンドには特定の方向に割れやすい「劈開性(へきかいせい)」があるため、現在では、ガラスで擦って確認する方法はあまり推奨されていません。
ルーペや拡大鏡でカット面を観察する
ダイヤモンドをルーペで拡大して観察すると、エッジが鋭く、カット面の境目がくっきりと確認できます。
これは、ダイヤモンドがきわめて硬く、摩耗しにくい性質を持つためです。その結果、エッジが丸くなりにくく、シャープで明瞭なカット面が保たれやすいのです。
一方、こうした特性を持たない代替石は、使用や経年によってエッジがやや丸みを帯び、カット面の境目もぼんやりと見える傾向があります。
比重(重さ)を測定する
ダイヤモンドは1カラット=0.2グラムと定義されています。同じ大きさ(体積)の石であれば、比重の違いによって重さに差が生じます。
そのため、カラット数と実際の重量に大きな差がある場合は、ダイヤモンドではない可能性が考えられるのです。例えば、キュービックジルコニアはダイヤモンドより比重が高く、同じ大きさで比較すると約1.6倍前後重くなる傾向があります。
カラット数が明確な石を確認する際は、精密なスケールで重量を測定し、表示と大きな差がないかを確認するのもひとつの方法です。
ブラックライトで確認する
ブラックライト(紫外線)を当てることも、ダイヤモンドを見分ける方法のひとつとされています。
ダイヤモンドの中には、含まれる微量の不純物の影響により、紫外線を当てると青く発光するものがあります。これは「蛍光性」と呼ばれる性質によるものです。
とはいえ、天然石であるため個体差があり、すべてのダイヤモンドが蛍光性を示すわけではありません。このことから、「青く光らない=偽物」と断定することはできない点に注意が必要です。
ダイヤモンドテスターで確認する
ダイヤモンドの判別には、熱伝導率を測定する「ダイヤモンドテスター」と呼ばれる機器が用いられます。
主に宝石・ジュエリー査定を専門とする業者が使用する機器ですが、簡易タイプであれば市販品として購入することも可能です。ただし、プロ仕様の高性能モデルでなければ判定精度には限界があるため、結果を過信することはできません。
そのため、あくまで参考程度の確認方法と考え、最終的な真贋判定は専門機関へ依頼するのが望ましいでしょう。
自分でダイヤモンドが偽物か見分けられない場合
先ほど紹介した判別方法を試しても見分けがつかない場合は、鑑定書の有無を確認し、専門機関や査定士へ鑑定を依頼することで真贋を確認できます。ここでは、これら3つの方法について掘り下げていきます。
鑑定書があるかを確認する
一般的に、天然ダイヤモンドでは0.15カラット以上の石に鑑定書(グレーディングレポート)が付属するケースが多いとされています。
そのため、0.15カラット以上とされるダイヤモンドを購入したにもかかわらず鑑定書が付いていない場合は、品質表示について慎重に確認することが大切です。
一方、0.15カラット未満の小粒の石に鑑定書が付かないことが多いのは、流通上の慣行やコスト面の理由によるものです。また、ダイヤモンドの品質評価は一般的に4C(カラット・カラー・クラリティ・カット)の4項目に基づいて行われています。
専門機関を利用する
お手元のダイヤモンドに鑑定書が付属していない場合は、信頼できる専門機関へ鑑定を依頼することをおすすめします。代表的なものとして、宝石業界でも広く知られている2つの専門機関について詳しく解説します。
CGL(中央宝石研究所)
CGL(中央宝石研究所)は、日本を代表する宝石鑑定機関のひとつであり、宝石鑑別団体協議会(AGL)に加盟しています。
国際的な基準に基づいた鑑定体制を整えており、国内外で高い信頼を得ている機関です。天然か人工かを確認したい場合は、「ダイヤモンド鑑別」を依頼することで、鑑別結果をレポートとして受け取ることができます。
GIA(米国宝石学会)
GIA(米国宝石学会)は、世界的に高い信頼を得ているアメリカの宝石学研究機関です。ダイヤモンドの品質評価基準である「4C」を制定したことで広く知られています。
「ダイヤモンド グレーディング レポート」を依頼すると、4Cの詳細な評価に加え、天然ダイヤモンドかどうかの判定結果も記載されたレポートを受け取ることができます。
買取専門店に査定を出す
買取専門店では、鑑定士がダイヤモンドの価値を査定してくれます。
鑑定書がなくても査定に応じてもらえることが多いため、現在の価値を知りたい方は、買取専門店の利用を検討してみるのもおすすめです。
ただし、ダイヤモンドや宝石の査定には高度な専門知識と豊富な経験が求められます。十分な知識や実績がない場合、市場価格とかけ離れた査定額が提示される可能性もあるため、注意しましょう。
ダイヤモンドの本物を購入するコツ
自分で真贋を判断できない場合でも、信頼できる店舗を選べば、偽物を購入してしまうリスクは大きく抑えられるでしょう。そこで、本物のダイヤモンドを購入する際に押さえておきたい2つのポイントについて詳しく紹介します。
信頼できる店舗で購入する
ダイヤモンドを購入する際は、事前に信頼と実績のある店舗を選ぶことがポイントです。
専門知識と豊富な経験を持つスタッフが在籍していれば、一般の方には分かりにくい細かなポイントまで丁寧にアドバイスしてもらえるでしょう。
また、このような店舗では購入後のアフターサービスが充実していることも多く、長く安心して使用するうえで大きなメリットとなります。
鑑定書を発行してもらう
ダイヤモンドを購入する際は、鑑定書の有無を必ず確認しましょう。
付属していない場合は、発行が可能かどうかを事前に相談することをおすすめします。鑑定書には、ダイヤモンドの品質を評価する4Cなどの情報が詳細に記載されています。
これらの情報は、第三者の視点から見ても、ダイヤモンドの品質や価値を客観的に判断するための重要な材料です。
ダイヤモンドの偽物に関するよくあるQ&A
ダイヤモンドの偽物に関しては、「人工ダイヤモンドは偽物にあたるのか」「自分で見分けられないときはどうすればよいのか」といった疑問がよく挙げられます。最後に、これら2つの質問について、回答をまとめました。
人工ダイヤモンドは偽物ですか?
宝石業界では、人工ダイヤモンドは「本物」に分類されることが一般的です。
確かに、人工ダイヤモンドは短期間で製造される点において天然ダイヤモンドとは異なります。しかし、主成分は同じ炭素であり、原子の結合構造もほぼ同一であることから、物理的・化学的には本物のダイヤモンドといえます。
一方で、いわゆる偽物のダイヤモンドは、外見がよく似ていても、主成分や結晶構造が明らかに異なる別の物質です。
自分で見分けられないときはどうすればいい?
ダイヤモンドの真贋が判断できないときは、まず鑑定書の有無を確認しましょう。
鑑定書がない場合は、CGL(中央宝石研究所)やGIA(米国宝石学会)といった専門の鑑定機関、あるいは宝石の取り扱いに強い買取専門店を利用するのがおすすめです。
なお、買取専門店では無料で査定を行っていることが多いものの、適正な評価を受けるためには、事前に店舗の実績や鑑定士の経験を確認することが大切です。
まとめ
ダイヤモンドの偽物は、主成分や結晶構造が明らかに異なるため、簡易的な確認方法でも判別できることがあります。ただし、自分で判断するのが難しいと感じた場合は、無理をせず専門の鑑定機関や宝石に強い買取専門店を利用するのが安心です。


