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オリンピック公式タイムキーパーも務めるオメガの歴史

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19世紀半ばに創業した歴史ある時計メーカー「オメガ」。創業者ルイ・ブランの時計の精度への並々ならぬこだわりは息子たちが受け継ぎ、革新的な時計づくりで世界をリードしてきました。そんな名声から、1932年にはロサンゼルスオリンピックの公式タイムキーパーに抜擢され、以来90年以上もオリンピックの公式タイムキーパーを務め続けています。

オメガの始まり

オメガの歴史は1848年、23歳の若きルイ・ブランが、ヌーシャテル州のラ ショー ド フォンに時計工房を創設したことに始まります。当初より精度の高い時計をつくることに飽くなき情熱を注いでいたルイ・ブランの時計は、その高い精度によって評判になります。1879年に創業者のルイが亡くなると2人の息子、ルイ=ポールとセザールが会社を引き継ぎ、社名を“ルイ・ブランとその息子たち”を意味する「ルイ・ブラン&フィス」に改名します。彼らは労働力や工業生産、ロジスティクスの上でより理想的であったベルン州のビエンヌに拠点を移します。オメガの本社はこの時以来、変わらずビエンヌを本拠地としています。

歴史を変えるキャリバーを世に送り出す

1885年、彼らは精度が高く低コストで量産可能なキャリバー「ラブラドール」を発売します。このキャリバーはすぐに成功を収め、技術革新と計時性能の卓越性という点で成功を収めました。その後の10年間で、彼らの工場はスイスのマニュファクチュールで最大規模となり、600人の従業員を雇用し、年間100,000個の時計を生産することができました。

1894年、同社は19ライン(時計製造において使用される単位)のキャリバーを発表しました。部品交換やメンテナンスがしやすいシンプルな構造で、高い精度を誇り、リューズと心棒によって巻き上げと時間設定を行なえる点が画期的でした。究極的な高い完成度を誇るこのムーヴメントをブラン兄弟は「オメガ=ギリシア文字の最後の文字」と呼びました。このムーヴメントの大成功を受けて、同社は社名を「オメガ ウォッチ カンパニー」に変更しました。

苦難と革新

20世紀初頭はオメガにとって進歩と同時に苦難の多き時でした。1900年にはパリ万博でグランプリを受賞し、国内外の数多のスポーツ大会のオフィシャルタイムキーパーを務めます。このように依然としてその技術力は世界が認めていましたが、1908年~1909年の経済危機や第一次世界大戦、スペイン風邪の大流行、そして前例のないほどの大きな労働者ストライキの影響を受けました。ストライキではオメガの労働者が工場へのアクセスを封鎖し、経営陣は軍隊を呼んで道を空けなければならないほどでした。週労働時間は48時間に短縮され、有給休暇が労働者に付与されることとなりました。1929年に始まる世界恐慌によっても打撃を受けますが、1930年にTissot社と協力してスウォッチグループの前身といえるSSIH(Swiss Society for the Watch Industry)を設立することで、オメガは苦境を乗り切ります。

1930年代はオメガがめざましい革新の数々を行った時代となります。1931年には、双方向巻き上げを可能にする自動巻きムーブメントの最初のプロトタイプが発表され、1932年には「マリーン」と呼ばれる防水性能を備えた最初のダイバーズ ウォッチが発表されました。これは特許を取得したダブルケースを採用し、コルクシールによって時計内部への水やホコリの侵入を防ぐ構造を持っていました。これに加えて、ウェットスーツの上に着用するための調節可能な留め具を備えていました。同年ロサンゼルスで開催されたオリンピックではオフィシャルタイムキーパーを務めます。

1936年には厳格なクロノメーター試験で知られるイギリスキュー天文台の精度試験において100点満点中97.8点という高得点を獲得します。この高精度は世界最高得点としていまだにその王座を守り続けています。さらに1937年、オメガ史上初めて時計中央に秒針を設置した「メディカス」が誕生します。これは“ナースウォッチ”の愛称で呼ばれ、戦場や病院で医療関係者や衛生兵が負傷者の心拍数を計測するのに大いに役立ちました。また第二次世界大戦中、オメガは英国および連合国軍への時計の最大の供給者でした。

人類の偉業とともに

第二次大戦後、オメガ ウォッチは、とりわけ航空分野の活躍で知られます。「オメガ スピードマスター」はアメリカの宇宙飛行士バズ オルドリンの腕に着用され、1969年7月20日に月面着陸を果たします。その後もアメリカだけでなく、ソ連の宇宙飛行士の宇宙でのミッションにも寄り添い続けます。またオメガは海においても歴史的瞬間を刻んでおり、1981年ジャック・マイヨールはシーマスターを着用して素潜り世界記録を樹立します。

高い精度と圧倒的な低価格を兼ね備えたクォーツ時計の脅威に対抗すべく、1983年、SSIHとASUAG(SSIHと双璧をなしていたドイツ系スイス時計グループ)が合併してSMH(Swiss Microelectronics and Watch Making Society)が形成されます。現在はSwatch Groupに改名されています。

その後も南極や深海、銀幕まで様々な領域のプロフェッショナルを支え続ける時計づくりを繰り広げているオメガ。2021年の東京オリンピックでもオフィシャルタイムキーパーを全うし、2022年の北京冬季オリンピックではオリンピックオフィシャルタイムキーパーを務めて90年目の節目の年となりました。

まとめ

19世紀に創業した歴史ある時計メーカーであるオメガ。創業当初より、精度の高い時計づくりからその評判はスイス内外で轟いていました。1932年にはオリンピックの公式タイムキーパーとなると現在に至るまで計時精度をどんどん高めつつ、その責務を全うしています。

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