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OMEGA(オメガ)のイメージを形作ってきた技術革新と名作たち

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オメガはロレックスやカルティエに並ぶ、世界的な高級時計ブランドです。創業当初から高い精度の時計を生み出し続け、その高い品質はNASAにも認められ、人類史上初の月面着陸においても、宇宙飛行士の腕で歴史的な瞬間を刻みました。今回はそんなオメガのイメージを形成してきた偉業や名作を、ブランドの歴史をたどりながら見ていきましょう。

ルイ・ブラン

オメガは最初からオメガという名前ではありませんでした。オメガのすべては1848年、23歳の時計職人であったルイ・ブランが、ラ・ショー=ド=フォンに小さな時計工房を開くことを決意したときに始まりました。その目的は明確で、優れた精度の時計を製造することです。彼の評判はスイスで高まり、国境を越えてヨーロッパ中に広がりました。

ルイ・ブランと息子たち

そしてルイ・ブランが亡くなると、彼の2人の息子、ルイ・ポールとセザールが彼の遺志を引き継ぎました。1880年、会社はLouis Brandt & Fils(ルイ・ブラン エ フィス:ルイ・ブランと息子たち)に改名され、ビール(ビエンヌ)のより広い敷地に移転しました。その5年後、同社は最初の完全量産キャリバーを発表しました。これは、当時としてはまさに技術革命でした。「ラブラドール」と名付けられたこのムーブメントは、優れたクロノメーター性能を発揮し、ルイ・ブラン エ フィスの名を一層高めました。2年後の1894年、さらなる革新を成し遂げます。

オメガと呼ばれた、19リーニュ キャリバー

これは、ブラン兄弟とフランソワ・シュヴィラによって設計され量産されたキャリバー「19リーニュ」で、高い精度もさることながら、すべての部品が交換可能で、修理も容易であることが特徴でした。また、リューズによって巻き上げと時間の設定を行なえることも画期的でした。このムーブメントは「最後・究極」の意味を持つギリシャ文字「Ω:オメガ」の名が与えられ、ひいては1903年、会社自体が「オメガウォッチカンパニー」と改名されました。この時、オメガはスイスで最大のメーカーになりました。20世紀の初めは、オメガにとって繁栄の時期でした。1900年、このブランドはパリの万国博覧会で大賞を受賞しました。

ニューヨークの株式市場が暴落し恐慌が世界を襲った頃も、オメガはたゆまず精度を追求した時計製造に邁進し、ジュネーブ天文台において6回のテストで精度の記録を更新しました。オメガの時計が誇る高い精度は、主要な国際スポーツ大会で高く評価されています。実際、1932年にロサンゼルスで開催されたオリンピックで、オメガは公式タイムキーパーになりました。1932年のオリンピック以来、オメガはオリンピックの公式タイムキーパーを30回以上務めてきました。オメガは直近の2021年の東京オリンピックや、2022年北京冬季オリンピックでも公式タイムキーパーを務めました。

数々の革新的モデル

1932年は、オメガが防水腕時計「マリーン」をリリースした年でもあります。これは、コルクによって密封する機構をもつダブルケースを採用した世界でも珍しい時計です。また、ダイビングスーツの上に着用するための調節可能なクラスプ付きのブレスレットも当時としては大変ユニークでした。
1936年、ロレックスのクロノメーター試験を行ったことでも知られる英国のキュー天文台は、国際クロノメーター競技会で100点中97.8点という記録的なスコアをオメガに与えました。それ以来、この記録を破ったキャリバーはありません。

第二次世界大戦中、オメガはイギリス軍と同盟国に時計を供給しました。ミリタリーウォッチとしての需要は、耐磁、耐衝撃性、防水性の面で腕時計に大きな進歩をもたらしました。

1947年、オメガは重力の影響による誤差を防ぐ機能であるトゥールビヨンを搭載したムーブメントの腕時計を発表しました。

1948年、創立100周年を記念して、オメガは新しいモデル「シーマスター」を発表しました。これは戦時中に連合軍に提供されたミリタリーウォッチのスペックを受け継いだモデルです。高所でも海中でも、この時計はあらゆる環境下で正常に機能します。1956年、この時計は、アムステルダムからカナダに向けて9時間のフライトで出発する飛行機に取り付けられ、到着時には変わらず正常に動作していました。

シーマスターの発売から4年後、コンステレーションが発表されます。ホワイトの文字盤にゴールドのケースとパーツを備えたエレガントで精密な時計です。時計の裏側には、オメガがジュネーブの天文台で打ち立てた8つ記録を象徴する8つの星と天文台が刻印されています。その後、当時世界最小の自動巻きムーブメントを搭載した、女性用自動巻き時計「レディマティック」を発表します。

“ムーンウォッチ”を含むプロフェッショナルウォッチ

また、オメガは1957年にプロフェッショナルウォッチシリーズを発表します。この伝説的な3つのモデルは、1965年にNASAによって認定された「スピードマスター」、200メートル防水の「シーマスター300」、そして電磁場に耐性のある「レイルマスター」です。1969年7月21日、スピードマスターとともに人類が初めて月面に降り立ちました。この日から、スピードマスターは“ムーンウォッチ”と呼ばれ、オメガを象徴する腕時計となりました。

多方面での活躍

1974年、10年の開発期間を経て、オメガは小さな腕時計に収められた新しい「メガクォーツムーブメント」を発表しました。このような小さなムーブメントは、日差わずか0.002秒という驚異の精度を誇りました。1978年、八角形のケースとブラックの文字盤が特徴的なシーマスタープロフェッショナル200モデルが、フランス海軍の海軍水路海洋学局に正式に選ばれました。それ以来、このモデルはSHOM(Service Hydrographique et Océanographique de la Marine)と呼ばれます。

しかし安価で高精度なクォーツの登場により、高級時計市場は大きく圧迫され、オメガも苦境に追いやられます。そうしてオメガはスウォッチグループの前身である、SMHに加入することを余儀なくされました。一方、スポーツやミリタリーシーンに加え、オメガは映画においても活躍します。1995年には、シーマスター300クォーツが『ゴールデンアイ』で採用されます。

絶え間ないイノベーションの中で、オメガは、摩擦が低減された革新的で信頼性の高い「コーアクシャル脱進機」が開発されました。2008年にはまったく新しいシリコン脱進機「Si14」が追加され、より優れた安定性を提供し、誤差軽減に貢献しました。

2000年、オメガはチューリッヒに最初のブティックをオープンしました。現在、このブランドは世界中に300の店舗を持ち、スウォッチグループの総利益の半分以上を生み出しています。結果的には、ブランドはロレックスとカルティエに次ぐ第3位です。2019年、ビールに博物館がオープンしました。特別な作品やアーカイブを通して、オメガや時計の歴史を体感することができます。2022年、シーマスターの耐水性は記録的な深度に達し、6,000mという驚異の防水性を備えた「ウルトラディープ」が登場しました。

まとめ

若き天才時計職人ルイ・ブランが創業した老舗高級時計ブランド、オメガ。彼のエスプリは息子たちによって受け継がれ、「19リーニュ」キャリバーに象徴される、高い精度の持つ時計の民主化という偉業を成し遂げました。その革新性は現代においても健在で、オリンピックの公式タイムキーパーをはじめとするさまざまなシーンにおいて、飽くなき精度の追求を続けています。

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