ブルーダイヤモンドの価値
ブルーダイヤモンドが希少であると上述しました。その理由はブルーダイヤモンドの生成方法に関係しています。ブルーダイヤモンドが生成されるには、ダイヤモンドが生成される段階でホウ素を取り込むことにより青く結晶化すると成分解析の結果が出ています。ですが、ダイヤモンドが結晶化する地中奥深くでは、ホウ素はほぼ存在しません。
その状況で、青色に変色するのはまさに“奇跡”といえるでしょう。そのため、大きなブルーダイヤモンドは、数億円の値がつけられていますが0.5カラットであれば、数百万円で手に入れることができます。ですが、市場に出るとすぐに高額で取引されてしまうため、ジュエリーショップで見かけることはほとんどありません。このことからも、人気と値段の高さの理由は希少価値があることだと分かります。
ブルーダイヤモンドは色の質やレベルで種類が変わる
ブルーダイヤモンドは色の質やレベルによって以下の3つに分類されます。
・鮮やかな空の色をした「オーシャンブルーダイヤモンド」
・爽やかな空の色「スカイブルーダイヤモンド」
・薄く透き通った氷の色「アイスブルーダイヤモンド」
それぞれにオーシャンブルーは“包容力”、スカイブルーは“自由”、アイスブルーは“永遠”と意味が存在しています。また、ブルーダイヤモンド自体には「絆を深める」「永遠の幸せ」など意味を持っているため、ヨーロッパにおける結婚式の伝統的なおまじない・演出である「サムシングブルー」として周知されてきました。そのため、近年の日本においてはサムシングブルーを結婚式や披露宴に取り入れているカップルも多くいらっしゃいます。
呪いのダイヤ、ホープダイヤモンド
ホープダイヤモンドとは、45.52カラットのブルーダイヤモンドです。世界で最も有名なダイヤモンドのひとつとされ、所有した人に不幸が訪れるという伝説をもつ、呪いのダイヤモンドとしても知られています。インドの寺院からフランスへと渡り、フランス国王から数々の欧米の富豪たちに所有された末、最後の所有者ハリーウィンストンによって、現在所蔵されている米国スミソニアン博物館へと寄贈されました。
◆ホープダイヤモンドの歴史
このダイヤモンドが発見されたのは9世紀頃。ダイヤモンドの産地として知られていたインドのコーラルという町を流れる川で、マデアという農夫が見つけました。マデアは、このダイヤモンドが後に大変な価値になるとは知りませんでしたが、珍しい石だったので自宅に持ち帰ったのです。当時このダイヤモンドは、112.5カラットもの大きさがあったと言われています。しばらくして、この地に侵攻してきたペルシャ軍に、このダイヤモンドは奪われてしまいます。ペルシャ軍は、持ち帰ったダイヤモンドを国王に献上しました。
次に「ホープダイヤモンド」が歴史上に登場するのは、17世紀半ばのことにフランス人の宝石商人ジャン・バティスト・タヴェルニエが、この「ホープダイヤモンド」をインドのムガル帝国で購入するのです。ジャン・バティスト・タヴェルニエは、初めてインドを訪れた西洋人とされる人物で、その報告書「六回の旅行記」は、宝石史上で貴重な資料となっています。ジャン・バティスト・タヴェルニエは、ムガル帝国で多くの王族や貴族と親交を深めたそうです。「ホープダイヤモンド」をめぐる伝説の中では、インドの寺院にあった女神の像の目にはめられていたのが「ホープダイヤモンド」で、ジャン・バティスト・タヴェルニエは、これを盗み出した、とされています。
その際、盗難に気付いた僧侶がこのダイヤモンドに呪いをかけたというのです。伝説では、ジャン・バティスト・タヴェルニエも、その後、狼に食い殺された、とされているのですが、実際にはジャン・バティスト・タヴェルニエは84歳にして老衰で亡くなったようです。さて、「ホープダイヤモンド」をフランスに持ち帰ったジャン・バティスト・タヴェルニエは、これをルイ14世に売却します。ルイ14世はこれをカットし、67と1/8カラットの宝石にしました。こうしてフランス王室に所有されていた「ホープダイヤモンド」ですが、1792年に窃盗団によって盗まれてしまいます。それから20年後、「ホープダイヤモンド」はイギリスの宝石商が手に入れていましたが、この宝石商は「ホープダイヤモンド」を入手後すぐに落馬で死亡したそうです。このように手に入れた人に次々と不幸が起ったため呪いのダイヤモンドというイメージがついています。
◆呪いのダイヤは嘘?
しかしこれらは完全にフィクションであると考えられています。史実では1万8000ポンドでホープ家の物になったブルーダイヤモンドは1902年頃に2万9000ポンドでロンドンの宝石商アドルフ・ウィルに売却され、続いてアメリカのダイヤモンド商サイモン・フランケルに売却されます。フランケルはダイヤをニューヨークに持ち込み、14万1032ドル相当と評価されています。売買を通り超えてその価値はうなぎ上り!所有者は皆富豪になっている部分もあるのです。フランケルからブルーホープを買い取ったフランスの宝石商カルティエはホープダイヤを装飾し直してブルーホープ最後の持ち主となるマクリーン夫人に売却しますマクリーン夫妻はアメリカの社交界の名士でした。マクリーン夫人はホープダイヤモンドを社交の場で常に身に着けていました。
まとめ
いろいろな諸説がありますが、ダイヤにはストーリーがあり、良いものもあれば悪いものもあります。お互いが幸せに感じるダイヤモンドであれば、結婚指輪としてご使用するのもありだと思います。魅惑の色を持つブルーダイヤモンドに少しでも興味を持っていただけたら幸いです。