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エルメス「オーストリッチ」とは?
オーストリッチは一言でいえば、「ダチョウ」の革です。ダチョウを英語表記で「ostrich(オーストリッチ)」と呼ぶため、この名前で浸透しています。
クロコダイルと並ぶ最高級素材で、羽毛を取った跡である「クイルマーク」という水玉模様みたいな斑点が特徴です。
軽量でありながら耐久性が高く、色ツヤも良いので、エルメスではバッグなどの素材として扱われることが多いです。
エルメス「オーストリッチ」の特徴
オーストリッチは他のレザー製の革にはない、個性的な特徴があります。革職人ですら惹きつけられるポイントはどんなところでしょうか。以下の3点が挙げられます。
希少性の高い素材
オーストリッチは革が取れる数が少ない、クロコダイルと並ぶ希少性の高い素材です。
理由は革のもとになるダチョウの数が少なく、天然で採れるレザー素材では取ること難しいからです。さらに、クイルマークと呼ばれる斑点模様が、均等に並んでいるのが少ないのも追い打ちをかけています。
エルメスでは、クイルマークが均等に並んだ部分のみしか扱いません。いかに希少な素材であるかが伺えます。
「クイルマーク」斑紋
前述でもお伝えしましたが、他のレザーにはないクイルマークがオーストリッチの個性を光らせています。
この独特な模様は、ダチョウ1頭に対しておよそ4割の確率しか取れないと言われています。
水玉やドット絵のような模様が取れるのはファッショングッズを制作するにはうってつけの素材と言えますが、なかなか難しいです。だからこそ、「エキゾチックレザー」としての希少価値も高いのです。
経年変化を味わえる丈夫でしなやかな素材
オーストリッチは軽量でありながら丈夫な素材で、耐久性は牛革の5~10倍とも言われています。
また、他の革と比べて立体的な構造となっており、それによって柔らかい質感を実現しています。そのため、バッグや財布などの素材に採用されることが多いのです。
こう見ると万能な素材に見えますが、水には弱いです。濡れたらすぐに拭き取りましょう。
オーストリッチの本物と偽物の見分け方
希少性の高い素材だからこそ、残念ながらオーストリッチの偽物が蔓延しています。牛革など他の素材をプレス加工して、それをオーストリッチと紹介しているのです。一見、プレス加工であれば判断付きそうと思いますが、それを目で見極めるのは難しいです。では、どのように判断すればよいのでしょうか。
見分け方の中で一番確実なのは、相場です。オーストリッチは希少性の高い素材です。つまり、極端に低い金額であれば偽物の可能性が高いということが言えます。
また、素材表記もよく確認しましょう。「オーストリッチ型押し」といったものがあれば、それは正規のものではありません。
以上、相場の確認と素材表記の2点を参考に、よく判断しましょう。
エルメス「オーストリッチ」と相性のいいカラー6選
オーストリッチには、様々なカラーで加工されています。素材の良いところを引き出す色はどんなものでしょうか。今回は6色をピックアップしてご紹介します。
パーシュマン
パーシュマンは、書物を書くときに使われる「羊皮紙(ようひし)」を指します。黄色がかったクリーム色で、白とベージュの中間ぐらいの色合いです。オーストリッチのツヤ感が、パーシュマンの色合いと相性が良いです。
穏やかなイメージがあり、持つ者の落ち着いた雰囲気や美しさを損なわないでしょう。
エルメスでは、バッグの商品に多く使われる定番色であり、高い人気があります。購入に迷ったときは、こちらの色のオーストリッチ素材の商品を選ぶと良いでしょう。
ムース
品のあるシックなグレーです。淑女のような、おしとやかな色合いになっています。
ムースとオーストリッチの組み合わせは、クイルマークが持ち主の存在感を強くしています。ラグジュアリー感が増し、気品あるイメージに仕立ててくれます。
こちらもバッグや財布の商品でよく使われる色です。
チェスナッツ
英語で「栗」を表すカラーです。色合いも栗を想起させるような、赤みがかった茶色となっています。
オーストリッチは使い込むほど艶が増す素材ですので、素材の美しさを楽しむことができます。
その色合いから、ゴールドといった高級感のある金具との相性も抜群で、オーストリッチの華やかさが増すでしょう。
フューシャピンク
フューシャピンクは、少し紫がかったピンク色です。とても鮮やかな色で、存在感が強いのが特徴です。エレガントな輝きを放ちますので、クイルマークの斑点模様があるオーストリッチには相性が良いです。
コーディネートの差し色としておしゃれに整えたり、メインカラーに据えれば、セレブのようなゴージャス感を引き出すことができます。
ブーゲンビリア
南国に咲く熱帯性の植物ブーゲンビリアから刺激を受けた、鮮やかな赤色です。さながら「情熱の花」を表現しているかのようなその色合いは、南国気分を味わうことができます。
フューシャピンクのようにとても派手なので、高揚感や自己肯定感が高まります。暗い雰囲気から一気に解放されるでしょう。
オフホワイト
エルメスには、純正のホワイト以外にオフホワイト系の色もあります。
オフホワイト系の色は様々ありますが、オーストリッチは以下のような2色と相性が良いです。
①ナタ
スペイン語でクリームを意味する色です。柔らかな色合いが魅力的で、バニラアイスのような彩度が特徴です。オーストリッチにあるクイルマークがいいアクセントとなり、カジュアル感のあるコーディネートにすると良いでしょう。
②べトン
フランス語でコンクリートを意味する、白がかったライトグレーです。落ち着いた雰囲気のある色彩で、明るさと上品さを兼ね備えています。
エルメス「オーストリッチ」と相性のいいアイテム7選
エルメスの商品の中で、オーストリッチを使用した商品をご紹介します。どの商品もファッションアイテムとして華やかな演出をしてくれます。お出かけの際に使用してみてはいかがでしょうか。
バーキン
エルメスの中でも40年以上愛されている、人気のバッグです。
エルメスの社長であったジャン・ルイ・デュマが、イングランド生まれの女優ジェーン・バーキンがボロボロのバッグを所持していたところを目撃し、彼女のライフスタイルに合わせた実用的なバッグを制作したのが由来です。
収納力が高く、耐久性に優れたバッグであり、軽量でしなやかな質感のあるオーストリッチとの相性はとても良いです。サイズやカラーも豊富にあるので、女性だけでなく、男性にも多くの支持を集めています。
ケリー
ケリーもバーキンと並ぶ、人気のバッグです。
1935年に誕生した歴史ある商品で、当初は「ザック・ア・クロア」と呼ばれていました。転機が訪れたのは1957年頃、モナコ王妃であったグレース・ケリーがマスコミに長女の妊娠を悟られないよう、ザック・ア・クロアで隠しました。
その出来事がきっかけで「ケリー・バッグ」と呼ばれ、やがて「ケリー」として販売されるようになったのです。
ショルダーストラップ付きのバッグで、女性らしい気品さがあります。オーストリッチとの相性もよく、手触りのよいバッグです。
ボリード
1923年にエルメスが製作した、世界初のファスナー付きのバッグです。
バーキン同様に収納力が高く、ショルダーストラップ付きなので、肩に掛けて楽に持ち運ぶことができます。
丸みのある女性らしいフォルムが特徴的で、オーストリッチにあるクイルマークの斑点模様が可愛さをより引き立たせてくれます。使い込むことでツヤがでるため、美しさも増すでしょう。
こちらも世代を超えて愛され続ける人気商品です。
コンスタンス
ショルダータイプのコンパクトなバッグです。
エルメスのイニシャルである「H」のマークの金具が特徴的で、スポーティなコーディネートにぴったりなバッグです。シンプルでありながら「H」マークの金具があることにより、高級感が増しています。
オーストリッチのデザインと質感が、女性の魅力を最大限に引き出すことができるでしょう。
プリュム
1967年に登場した、軽量のバッグです。
名前の由来はフランス語で羽を意味する「Plume(プリュム)」で、羽のような軽さを備えているからこの名前になったと言われています。旅行者を想定したボストンバッグをイメージして作られていたため、持ち手の部分が長く作られており、日常使いに適しています。
シンプルな形状をしているため、オーストリッチ素材と掛け合わせるとよりカジュアルな印象になるでしょう。
ピコタンロック
正方形の本体に2本の持ち手部分を備えた、トートバッグです。
正方形でありますが、角が丸まったデザインになっており、女性らしさのあるデザインになっています。「ピコタン」という言葉は、牛や馬の餌を計測する容器の単位として使用されていました。そして、バッグの閉じる部分にロックする機能があるので、「ピコタンロック」なのです。
素材をふんだんに活かしたナチュラルなデザインとなっているので、経年によるオーストリッチの素材の良さを楽しむことができるでしょう。
ベアン
エルメスのロゴである「H」を型取った金具が特徴的な長財布です。
カードポケットやお札入れ、領収書など、収納性の高い財布で、様々なシリーズが発表されています。
オーストリッチの素材は使い込むほどツヤ感が出るため、リッチな感じを引き出します。カラーも様々とありますが、中でもパーシュマンのようなベージュ系統や黒が人気です。
エルメス「オーストリッチ」アイテムのお手入れ方法
希少性のある素材だからこそ、丁寧なお手入れが必要です。買取を検討する場合は、尚更、品質を保つことが重要です。以下の4点を参考に、オーストリッチの素材の商品をお手入れしておきましょう。
定期的なお手入れ
定期的に乾いた布で丁寧に拭きましょう。ワックスなどを着けて拭くとオーストリッチのツヤ感が失われてしまいますので、絶対にやめましょう。
また、取れないゴミやホコリにこだわって強くこすらないようにしましょう。革が痛む危険性があります。
縫い目の間などにあるゴミは、やわらかい筆などで軽くブラッシングしましょう。
ツヤ感がないときは革クリームを使用
レザークリーナー用の商品として革クリームがあります。このクリームにはツヤ感を出す効果があり、革職人の方も愛用しています。
クリームを布にとって、少しずつ塗ってください。シミの原因になる可能性があるので、商品に直接塗ったり、過度に塗るのはやめましょう。
使用頻度はツヤ感が減少したと感じたときで大丈夫なので、毎日使う必要はありません。
革クリームは、専門店やデパート、ネット通販でも購入できます。
定期的に防水スプレーを使用
先述の『エルメス「オーストリッチ」の特徴』でも述べましたが、オーストリッチは、水に弱い性質があります。そのため、ゲリラ豪雨などの急な雨に備えた対策が必要です。
防水スプレーを使用し、水から守ってあげましょう。ただし、革に対応した防水スプレーを用意することが大切です。少なくとも、雨予報の前日にはかけておきましょう。
風通しのよい場所でスプレーをかけてください。
プロに任せる
商品を自分でお手入れすることに不安や抵抗感がある場合は、専門店のリペアサービスを利用しましょう。
エルメスの正規店では、リペア専門の職人たちによるアフターケアが充実しています。商品を長期に使用するための体制が整っていますので、相談してみましょう。
日本には、大阪に「エルメス アフターセールスカウンター」と呼ばれる、エルメスのリペア専門の店舗があります。
まとめ
エルメスにはオーストリッチの個性的な模様を活かした商品がありました。バッグなど、長期に渡って扱う商品に利用され、ファッションに調和するデザインと色調を兼ね備えています。レザー素材の中でも最高級のため購入することが難しいですが、それだけで独特の個性を放つことができます。ぜひ自分好みの商品を購入し、オーストリッチの質感を楽しんでみてはいかがでしょうか。