3分でわかるエルメスの歴史

エルメスは1837年ティエリー・エルメスによってパリで創業されます。当時は腕利きの馬具製造職人として名を馳せており王侯貴族も顧客に名を連ね、パリ万国博覧会でも受賞するほどに高い評価でした。息子のシャルル・エミール・エルメスになると現在のフォブール・サントノレ通りに店を移転します。現在のエルメスパリ本店も変わらずここにあります。

20世紀が近づくにつれ人々の生活様式は変化し、エルメスはその変化を敏感に感じ取り、製品を展開していきます。馬車は次第に鉄道や自動車へと代わり、そのような中でバーキンの原型「オータクロア」や世界初のジッパー開閉式バッグ「ボリード」などが生み出されました。20世紀にはいるとより人々の生活が多様化し装飾品の需要も増加します。そうした中でネクタイやシルクスカーフ「カレ」などの装飾品も展開しました。

戦後ロベール・デュマによって現在に輝く名作の数々が生み出されます。「ケリー」と呼ばれることになる「サック ア クロワ」や、錨のチェーンに着想を得た「シェーヌダンクル」などは彼が生みの親です。彼の息子ジャン＝ルイ・デュマも歴史的な革新の数々を成し遂げた人物で、彼とジェーンバーキンが飛行機で居合わせなければあの「バーキン」は存在しなかったかもしれません。また世界の旗艦店をオープンさせたのも彼で、銀座のメゾンエルメスは提灯というコンセプトのもと日本とエルメスの文化的クロスロードとしてファッションだけでなくアートや映画の名作などを発信し続けています。

現在、彼の甥であるアクセル・デュマがブランドの舵取りを行い、デジタルコンテンツの強化や職業訓練校を開設し後進の育成に取り組むなど、より多角的にエルメスの世界を発展させています。

HermèsのHが初めて象徴的に使用されたのは60年代後半にウィメンズ プレタポルテ コレクションが立ち上げられた際に、デザイナーであったカトリーヌ・ドゥ・カロリによってデザインされたH型のバックルです。ここからはHのあしらわれたアイテムたちを紹介します。

コンスタンス

バッグ「コンスタンス」は1967年にカトリーヌ・シャイエによってデザインされました。コンスタンスという名前はバッグと時期を同じくして誕生した彼女の娘の名に因んでいます。

コンスタンスバッグ

コンスタンスバッグは、スクエアフォルムで角のまるいコロッとしたデザインが、シンプルでかわいいカバンです。見た目はシンプルな分H型のバックルがより印象的に引き立ちます。このバックルは開閉システムとデザイン性を兼ね備えた機能となっているのです。Hを構成する、縦に配された二本のバーはフラップになっている横棒をかっちりはめ込まれるようになっており、開閉しやすいフォルムです。シンプルなデザインはヘルメスの持ち味でもあるレザーの表情を際限なく表現してくれます。ガラス加工により上品な光沢を備えたボックスカーフは肌理も細かくシンプルなデザインと相性抜群です。バッグ全般で人気のあるマットな質感のエプソンがベーシックで使いやすいですが、クロコダイルなどのエキゾチックレザーは高級感と存在感においてはピカイチです。

コンスタンスベルト

人気の高いコンスタンスはベルトとしても展開されています。H型バックルはシンプルながら特徴的なデザインなので、ビジネスウェアとして使用しても嫌味がなくさりげないコーディネートのアクセントになります。また、ベルトは比較的手に入れやすい定番アイテムなので直営店で購入すれば安心ですし、中古市場でも比較的簡単に手に入れることができます。

ベアン

ベアンはエルメスで人気の財布のコレクションです。直角的な長方形のシルエットでH型のベルトループにベルトを通すデザインになっています。スリムな「ベアン クラシック」と、ベアンよりも厚みがあり＝収納力もある、「ベアン スフレ」、三つ折りの「ベアン 2PLIS（デュプリ）」、正方形で最もコンパクトな「ベアン コンパクト」など様々な種類があるので、ミニマル派と詰め込む派でチョイスができるのもポイントです。カラーバリエーションも豊かなので、小物で思い切った色をチョイスするというのもエルメスの革小物を使うメリットでしょう。ジョーヌドール（ゴールドイエロー）は深いトーンの黄色で金運的にもいいかも？しれません。それにエルメスらしい色合いです。

リング エヴァー ヘラクレス

エルメスは馬具から着想を得て様々なデザインを世に送り出してきました。エルメスがアクセサリーを初めて製作したのは、1927年です。この時フランスはレ・ザネ・フォル＝狂乱の時代と呼ばれる、第一次世界大戦と第二次世界大戦の2つの大きな戦争の間の期間にあって、ライフスタイルがどんどん豊かになり、アールデコやシュールレアリスムなどの芸術文化が花開いた時期でもありました。

常に時代の需要を汲み取ってきたエルメスは装飾品の多様化に順応し、馬の銜（はみ）にインスピレーションを得たブレスレット「フィレ・ドゥ・セル」を製作します。これはT字にモチーフ化した銜をレザーでつないだシンプルなデザインで、馬具というエルメスのエスプリを見事なデザインに落とし込んでいます。つまりエルメスはアクセサリー製作においても100年近くのノウハウを有するブランドなのです。

そんな経験と職人の技術をシンプルなデザインに凝縮したのがリング エヴァー ヘラクレスです。エヴァーシリーズはエルメスのエンゲージリングや結婚指輪のコレクションで、ヘラクレスはリングにHをあしらったシンプルなリングです。このリングにおいては、強さと繊細さの象徴として英雄Hercules （ヘラクレス）の頭文字とエルメスの頭文字のダブルミーニングとしてHが配されています。

クリッククラック

クリッククラックはHをあしらったエナメルブレスレットです。ベースの金属はゴールドとシルバーの二色で展開されており、琺瑯部分は様々なカラーで展開されています。Hの部分は留め具として機能しており、Hを引きげることで着脱できるような構造になっています。クリッククラックには幅広（約20㎜）な「クリッククラックH」と、クリッククラックHの半分ほどの細いタイプ「クリックH」があります。

最後に

エルメスを象徴的に表現したHロゴはブランドの様々なアイテムに展開されています。それらはデザインとしてだけでなく機能性も備えていて、エルメスと一目でわかるというだけではない美学がしっかりと体現されています。H云々を抜きにしても素敵なものばかりですが、イニシャルがHの人がこれらのアイテムを持つと、より特別感が出て気持ちが高揚しますね！