エルメスの歴史を支えた立役者、オータクロアとは
●ポストバーキンと名高いオータクロアを徹底解説
そもそもオータクロアとは、現在のエルメスを象徴する代表アイテムでもあるバーキンの原型になったバッグです。エルメスを愛用している方々からは、「ポストバーキン」とも呼ばれて人気を集めています。全体的に少し縦に長く、ボリューム感のある印象が特徴のオータクロア。数多くあるエルメスアイテムの中でも、特に大きめなサイズ感となっています。
ほぼ正方形でバランスがとれたフォルムをもつオータクロアは、流行にあまり左右されず飽きがこないデザインとしても人気です。サイズ展開もバーキンが4種類なのに対して、オータクロアは8種類と豊富で、普段使いからや旅行用のボストンバッグとしても使えるサイズもあります。全体的に大きいサイズ感なのでメンズにも人気があるのも特徴ですね。また、クラシカルなデザインのオータクロアは、アンティークアイテムとしても需要を高めていて昨年頃から爆発的に高騰してきています。
●130年も前に誕生したオータクロアの歴史
オータクロアの始まりは、昨今のエルメスの始まりでもあります。1837年に高級馬具店としてフランスパリから始まったエルメス。当初は王室御用達にもなった質の高さと、技術力が高い職人が特徴的なブランドでした。そんなエルメスからオータクロアが誕生したのは1892年。130年経った今も愛され続ける、エルメスの歴史を支えてきたバッグです。元々は馬を乗る時に使う馬具である鞍を入れるための物が、時代が経つにつれ、旅行用バッグとして使われるようになりました。
バッグとして人気を集めたオータクロアをきっかけに、エルメスはファッション業界へと進出することになるのです。バーキンの元となったオータクロアは、バーキンと比べて全体的に縦長の作りになっているのが特徴です。エルメスのバッグの中ではバーキンは大きめのバッグとして知られていますが、そのバーキンよりも一周り大きくなっています。そのため、普段使いだけでなく、旅行などお出掛けの際も利用することができる便利なアイテムです。
また、バーキンとは違い少し縦方向に長さを持つデザインは、持つ人に飽きを感じさせないものとなっています。全体的なバランスもしっかりとられているため、どんな場面に持って行っても恥ずかしくなく、環境に溶け込みます。このオータクロアが無かったら現在のエルメス人気も無かった、と言われる程エルメスファンの中では言わずと知れた名品で、オータクロアもバーキン同様に入手困難なバッグとなっています。
オータクロアの美しいカラー&最高級素材
オータクロアを購入する時、まず気にすべき点はカラーと素材です。傷つきやすさを避けるのか、それとも素材のハリや柔らかさを重視するのか等、好みがわかれると思います。お使いになる方それぞれのニーズに応えられる豊富な展開が、エルメスのバッグの魅力ではないでしょうか。その中でもお勧めのカラーや素材についてご紹介いたします。
オータクロアの人気カラーについては、やはりバーキン同様、ブラック、グレー系、茶系などオーソドックスな色が人気です。オータクロア(気高いベルト)と言う名にふさわしいエレガントな青のブルーニュイなどもかなり昔から密かな人気があり、近年でも価値あるカラーと言われています。そのほか、エルメスならではの深く美しい赤も世代を超えて愛され続けている一色です。普段お使いになるシーンやお洋服に合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
次に素材についてはバッグ全体の印象や使用感が大きく変わるので最も好みがわかれる箇所だと思います。一般的には、やはり使い込むほどに味が出るうえに傷が付きにくいトリヨンクレマンス、柔軟性・防水性に優れ、適度な柔らかさ、マットな質感が使いやすいと人気のフィヨルドなどを選ぶ方が多いようです。上品なツヤ感をお求めの方にはボックスカーフをお勧めします。シックな雰囲気をもつオータクロアは、フォーマルシーンでも多く活躍が期待されています。
そのためオータクロアを上品な印象で演出してくれる牛革との組み合わせは人気が高く、その中でもボックスカーフはオータクロアと相性抜群です。エレガントな光沢感をもつボックスカーフは、使用頻度に応じてさらに光沢感をもつ性質があります。アンティークな存在感があるオータクロアに最適な素材ですね。
型崩れを気にするなら、アルデンヌも要チェックです。アルデンヌとはフランス北部から、ベルギーの南部にあるアルデンヌ地方の雌仔牛を使用したレザー素材となります。現在では、廃盤となっている素材で、傷や濡れに強く硬めの質感が特徴的で、特に大きいサイズのオータクロアなどで人気があります。縦長サイズのオータクロアの型崩れを防いでくれるので、気になる方は是非チェックしてみてください。今回紹介した素材以外にも、定番のトゴやオーストリッチなど、素材バリエーションは様々です。ネット上ではなかなか伝えきれない魅力がたくさんありますので、一度は実際に手に取って確かめてみることをお勧めします。
オータクロア最大の魅力 8つのサイズ展開
エルメスのバッグの最大的な特徴は、そのサイズ展開の豊富さです。それぞれのニーズに合ったサイズが用意されています。比較対象となるバーキンはサイズ展開が5cm毎(25、30、35、40)なのに対してオータクロアはさらに細かく8つもサイズ展開されているため、より多種多様なニーズに応えることができます。そんなオータクロアの各サイズ毎の概要をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
●普段使いにぴったりな最小サイズ、オータクロア28
・サイズ:W28×H25×D14(cm)
オータクロアの中で最も小さいサイズである、28cm。バーキン30とほとんど変わらないサイズ感ですが、オータクロアの中では最小サイズのアイテムとなります。ちなみにオータクロア28は比較的最近ラインナップされたばかりのサイズとなっています。時代に合わせて開発されたコンパクトなサイズが若い女性を中心に近年人気を集めています。シックで重厚感のあるオータクロアですが、サイズ28cmなら日常使いのバッグとして気軽に持ち歩くことができると好評です。
最小サイズではありますが、手に取ってみると意外と存在感があり、収納力も高いため荷物が多い方やビジネスシーンでも活躍が期待されています。メンズがもつイメージがあったオータクロアですが、サイズ28cmなら荷物を収納してもあまり重たい印象にはならないため、デイリーバッグにも最適です。エルメスのブティックでもあまり見かける事はない珍しいサイズですが、オータクロアを気に入ったなら是非欲しい一品となっています。
●絶妙なサイズ感で若い女性に好評なオータクロア32
・サイズ:W32×H27×D16(cm)
サイズ28cmよりも少しサイズアップした32cm。オータクロアの中で最も人気のあるサイズです。オータクロア32は、小さすぎず、大きすぎない絶妙なサイズになっています。コンパクトバッグに注目が集まっていることもあり、若い女性を中心に高い人気を誇っています。また、そのサイズ感から、比較的小柄な体型の方でも違和感なく持ち歩きができるアイテムです。バーキンとは違う落ち着いたデザインも人気のひとつです。
普段のファッションに落ち着いた印象をプラスするオータクロア32。収納力も高いためお出かけバッグにも最適ですが、こちらのサイズならフォーマルなシーンでも合わせやすくなります。圧倒的な使いやすさから一番人気となっていますので、バーキンバッグを初めて購入される方にもぴったりです。
●希少性ならトップクラス!オータクロア36
・サイズ:W36×H32×D19(cm)
バーキン同様すべてのサイズが希少なオータクロアですが、中でも36cmは特に流通量が少ないサイズです。ちょうどバーキン35と同じくらいのサイズ感ですが、縦長なデザインなので使い方によってはオータクロア36に軍配が上がる場面も多いのではないでしょうか。やや大ぶりですが、意外とすっきりしたフォルムでスマートな印象で、使いやすいサイズ感だと思います。こちらもデイリーバッグ、ビジネスバッグと幅広くお使いいただけるサイズとなっています。
●どんなニーズにも応えられるサイズ、オータクロア40
・サイズ:W40×H35×D23(cm)
バランスのとれたフォルムをもつオータクロア40。オータクロアで展開されているサイズの中では、丁度真ん中あたりのサイズとなります。オータクロアの魅力を余すことなく味わえるアイテムで、収納力も優れています。40cm以上からの特徴として、クロアを通す金具の下あたりに横1本のステッチが施されています。ビジネスバッグやデイリーバッグはもちろんですが、ちょっとした旅行バッグとしても人気を集めているサイズです。重さもかなり出て来ますので、女性が普段使いできる限界がこれくらいかもしれません。
●男女問わず人気があるサイズ、オータクロア45
・サイズ:W45×H37×D25(cm)
サイズが大幅アップしたオータクロア45。男性ファンが多いサイズ感となっています。オータクロア40と比べて高さと横幅のサイズ差が広がって縦長の印象が強くなってきます。大きめなサイズですが、オータクロアのデザイン性によりそれほど大きすぎる印象は受けない作りとなっています。そのサイズ感から収納力が高いオータクロアですが、45cmまでいくとA4サイズのファイルや資料はもちろん、ノートパソコンも収納してもまだまだ空きが生まれます。
そのためオータクロア45は特にビジネスシーンでよく利用されているアイテムです。近年、女性でもオーバーサイズのバッグが流行する等、オフィスカジュアルやビジネススタイルの際ハイヒールを合わせたりして格好いいコーデとして取り入れる方も多いです。オータクロア45は意外と様々なスタイルに合わせやすいアイテムなため、一生モノのバッグとしても最適です。
●メンズに人気の大型サイズ、オータクロア50
・サイズ:W50×H41×D26(cm)
誰にも負けない存在感をもつ50cmサイズのオータクロアです。ここまでのサイズになるとかなり迫力が増してきます。インパクトも存在感も収納力も申し分ないアイテムですね。ある程度の大きさになると、もともと重さがあるオータクロアはさらに重量を感じてきます。素材にもよりますが、一つ前のサイズと比べて約1キロも重くなることもあります。そこに荷物を収納するとなると、もはや女性が気軽に持ち歩くのは難しくなります。
そのためオータクロア50はメンズバッグとして需要があるモデルです。ここから上のサイズは普段使いというよりは旅行バッグとしての使用がメインになってきますね。
●旅行バッグとして重宝するサイズ、オータクロア55
・サイズ:W55×H45×D28(cm)
メンズバッグや旅行バッグとして需要を高めているオータクロア55。エルメスバッグの中でも特に大きなサイズのアイテムになります。重厚感あるオータクロアは、サイズ55になるとさらに存在感が増して来ます。馬具を運搬するための物から、旅行バッグとして愛用され始めたというオータクロアの歴史を感じさせる一品となっています。そのサイズ感から普段使いには正直向いていませんが、1~2泊程度の旅行や出張用のバッグに最適なアイテムです。
●超希少!レアな存在感を堪能できるオータクロア60
・サイズ:W60×H48×D30(cm)
数あるオータクロアのサイズの中で、最も大きなサイズを誇るサイズ60cm。バッグというよりも、もはやアート作品と言ってもよいくらい大迫力の一品です。最大サイズであるオータクロア60は、100年以上前に登場した鞍入れのオータクロアを最も感じることができるアイテムです。また、大量の素材を使用するため生産数がかなり低く、超希少なサイズとなっています。そのためオータクロア60はレアアイテムとしても注目されており、バッグとしてよりもインテリアとしての需要が高そうなほどコレクターアイテムとしても非常に人気があります。
まとめ
ここまでオータクロアについて様々なポイントをご紹介しましたが、いかがでしたか?バーキンの原型でもあり、エルメスの初期からあるオータクロアはまさにエルメスを代表する名品といえます。バーキンやケリーに注目が集まっている中、オータクロアを愛用しているとなれば周囲からの注目度も上がりそうですね。エレガントなデザインに丈夫な構造、そして機能性の高さを併せ持つオータクロアは、幅広いシーンで活躍できるバッグです。レアなモデルも数多くあり、元々生産数が限られていることもあって、本当に欲しいバッグと出会えたときの感動は他のバッグでは味わえない魅力ではないでしょうか。ここまで読んでいただき、ありがとうございます。オータクロアならではの魅力が伝わっていれば幸いです。