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高級ライターといえば…

高級ライターといえば…

高級ライターといえば、「デュポン」と答える人が多いのではないでしょうか。デュポンで葉巻をくゆらせるのは愛煙家の高雅な嗜みであり、精緻なギヨシェ彫りが施された外観や、フタを開閉するときの、キーンという重厚感のある反響音はエス・テー・デュポンのライターを象徴するディティールです。
そんな「美は細部に宿る」を体現したような老舗メゾン、エス・テー・デュポンについて紹介します。

エス・テー・デュポンの始まり

エス・テー・デュポンというブランドは、シモン=ティソ・デュポンによって1872年に創始されました。彼はもともとナポレオン3世の写真家として知られていました。

この時代、18世紀後半はフランスにおいて産業革命が完成された時代で、鉄道などの新たな交通手段が発達しました。そうしたなか、長距離旅行や長距離出張が日常となり、先見の明を備えたシモン=ティソ・デュポンは旅行者やビジネスマンに向けてトランクを販売することを考えます。そうして、彼は弱冠25歳にして皮革製品を扱うアトリエをパリに開きます。

革新的で洗練された彼のトランクは上流階級の間で評判となり、ナポレオン三世の皇后ウージェニーが愛用したり、パリのルーヴル百貨店をはじめとする流行りの店でも取り扱われます。

世代交代とサヴォワの新アトリエ

シモン=ティソの二人の息子、ルシアンとアンドレは1919年、父の家業を受け継ぎます。そしてアトリエを、パリから家族の故郷であるサヴォワ地方のファヴェルジュへ移します。

アルプス山脈の麓に位置し、アヌシー湖などを有する風光明媚な土地として知られるこの地域は、デュポンのクリエーションにおけるインスピレーションの源泉となり、1925年の移設以来、エス・テー・デュポン社のアトリエは現在も変わらずこの地にあり続けています。

新たなアトリエでもその技術力は絶え間なくブラッシュアップされていきます。例えばダイヤモンドパウダーを使う鞣し方法を開発し、同社の皮革製品に更なる耐久性としなやかさをもたらします。この独自技術は現在も健在で、「ソフトダイヤモンド」シリーズに受け継がれています。

また、エス・テー・デュポンは1935年には金属に漆塗りを施す技法を生み出し、フランスにおいて中国漆を使った加工技術を先駆的に確立したメゾンでもあります。

そのような革新性は王族や映画スター、ファッションアイコン、ビジネスマンなどに認められ、エス・テー・デュポンは「王のトランク商」と評されました。

重要顧客にはウィンザー公やハリウッドスターのハンフリー・ボガートが名を連ね、エリザベス女王のエディンバラ公との婚姻に際して特別なトランクを製作し、1953年に製作されたハンドバッグ「リヴィエラ」はオードリー・ヘップバーンへオマージュをささげた逸品でした。

1973年にはケネディ元アメリカ大統領の夫人で、ファッションセンスにも定評のあったジャクリーン・ケネディ・オナシスの要望に応えて、エス・テー・デュポン初の高級筆記具「Classique S.T. Dupont」が登場しました。

デュポンライターの誕生

第二次世界大戦中、皮革製品の売上が伸び悩むと、デュポン兄弟は高級ガソリンライターを製作します。最初のライターはパティアラのマハラジャへのオーダーメイドでした。

ちなみにこのパティアラのマハラジャは高級ジュエラー、ブシュロンに空前絶後の大量オーダーをしたことでも知られる、当時のスーパーセレブでした。ガソリンライターの発売からほどなくして、エス・テー・デュポンは「D57」と名付けられることになるガスライターを発表します。

このライターは当時としては革新的な機能を備えていました。それはレバーによって火の強さを調節できるというものでした。

LINE1 ライン 1

デュポンライターの元祖モデルです。メゾンのルーツであり、廃盤モデルのため、コレクターの間で人気があります。また漆塗りのものや、ギヨシェと呼ばれる細かい線状の装飾模様を施されたものなどはエス・テー・デュポンの伝統的な意匠を体現しています。

ライン 1は廃盤モデルですが、現行モデルの「イニシャル」にそのスピリットは受け継がれています。

LINE2 ライン 2

エス・テー・デュポンを代表するモデルです。デュポンのライターは70個にもおよぶパーツを600ほどの工程を積み重ねて作り上げられる、言わば工芸品であり、芸術品です。

開閉時のクリング音にこだわった「ライン2 クリング」、一回り小さく女性でも扱いやすい「ライン2 コンパクト」、さらにスリムでスマートな出で立ちの「ライン2 スリム」などの派生モデルもあり、自分に最適なものを見つけることができます。

LE GRAND DUPONT ル・グラン デュポン

デュポンの技術力と革新性を詰め込んだモデルです。最大の特徴は、2種類の火を着火させられる点です。やわらかい火と火力の強い火を使い分けることで、葉巻をより最適な方法で着火することができる、シガーラヴァーのための逸品です。

DÉFI EXTRÊME デフィ エクストリーム

“風速40km/hの暴風の中でも消えない”炎を着火することができるモデルです。エレガントなイメージが強いデュポンライターにおいて、頑強さを感じさせる異色のデザインも相まって、逞しさが漂います。アウトドアや悪天候に見舞われやすい地域での使用にうってつけです。

まとめ

高級ライターの代表格、エス・テー・デュポンについて紹介しました。もともと高級トランクメーカーとして名をはせ、時代を代表する洒落者たちに愛されてきた、卓越した美意識はライターや筆記具などに派生し、とくにライターはダンディイズムを象徴するアイテムとして伊達男たちに愛されてきました。

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