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一分銀とは? 価値や種類・偽物の見分け方・高価買取になる特徴を解説

一分銀とは? 価値や種類・偽物の見分け方・高価買取になる特徴を解説
上田 勝太(うえだ しょうた)
記事の監修者
AACD協会基準判定士(ブランド品、時計の真贋及び輸入検品など)
上田 勝太(うえだ しょうた)

2024年4月にAACD協会基準判定士の資格を取得し、ブランド品や時計の真贋判定、輸入検品に精通。
豊富な経験と確かな鑑定眼で信頼性の高い情報を発信しています。

一分銀は、江戸時代に流通した銀貨のひとつで、現在でもコレクターに人気があります。今回は、一分銀の基本情報や偽物の見分け方、高価買取につながる特徴など、売却を検討している方にも役立つ情報をまとめてお届けします。

一分銀とは

一分銀は、江戸時代に広く流通した銀貨のひとつです。江戸時代には、金貨・銀貨・銭貨が並立する三貨制度が採用されており、一分銀は一分という額面を持つ銀貨として流通していました。

表面には「一分銀」の文字や極印が刻まれ、鋳造時期や極印の違いによって複数の種類が存在します。

現在では、保存状態や希少性によって価値が変わる古銭として取引されており、江戸時代の経済を支えた貨幣のひとつとして、歴史的価値も高く評価されています。

一分銀の価値

一分銀の価値は、江戸時代に実際に使われていた当時の価値と、現在の古銭市場での価値とで大きく異なります。そこで、それぞれの価値の違いや評価のポイントについて、順を追って見ていきましょう。

昔の価値

一分銀は、江戸時代では「1両の4分の1」にあたる価値を持つ貨幣として流通していました。現在の価値に換算すると、約1万2,500円〜2万5,000円程度に相当すると考えられています。

そのため一分銀1枚は、日常生活の支払いに広く使われており、そば数杯や一定量の米など、庶民の日常的な支払いに使われました。

現代の金額に正確に換算することは難しいため、当時の物価感覚を知る目安として参考にしてください。

現在の価値

一分銀の現在の価値は、主に古銭市場でのコレクター需要によって決まります。発行された時代や種類、刻印の違いに加え、摩耗や傷が少なく保存状態がよいほど高く評価されます。

一般的なものは数千円程度で取引されますが、希少性の高いものや状態のよいものは数万円以上になることもあります。

また、鑑定書の有無や市場での人気の動向も、価格を左右する重要なポイントです。

一分銀の種類

一分銀には時代ごとにいくつかの種類があり、それぞれ鋳造された背景や刻印、細部の意匠に違いがあります。ここでは、一分銀の主な種類とその特徴をわかりやすく解説します。

天保一分銀

天保一分銀は、天保8年から江戸幕府によって発行された、最初の一分銀です。表面には「一分銀」の文字や極印が刻まれ、ほぼ銀で作られている点が特徴です。

当時の貨幣制度を支える重要な銀貨として広く流通し、鋳造期間が長かったことから、刻印や仕様の違いによる複数の種類が存在します。

現存数は比較的多いとされており、保存状態によって価値が大きく変わります。

製造時期 1837年~1854年前後
買取価格 約1,000円〜1万円程度
重量 / 銀の含有量 約8.66g / 約98.9%

庄内一分銀

幕末期の庄内藩に関係するとされる一分銀の一種で、「庄内一分銀」と呼ばれています。

表裏には庄内藩に関連する意匠や刻印がみられる個体があり、通常の幕府発行の一分銀とは異なる特徴を持っています。

幕末期のごく短期間のみ鋳造されたため、現存数や流通量、銀の含有量などは個体によって差があります。市場での評価も一定ではなく、比較的手軽なものから高額なものまで幅広く存在します。

製造時期 1868年頃という説あり
買取価格 約数千円〜数万円程度
重量 / 銀の含有量 約8.6g / 約98.9%

安政一分銀

安政6年に江戸幕府によって鋳造が始まった一分銀です。鎖国が終わり、開国へと時代が移り変わるなか、外国貿易の拡大によって海外の銀貨(洋銀)との交換が盛んになりました。

しかし、当時は海外との金銀交換比率に大きな差があったため、日本の金貨が海外へ大量に流出する問題が起きました。こうした状況への対策として発行されたのが安政一分銀とされています。

製造時期 1859年~1868年
買取価格 数千円前後
重量 / 銀の含有量 約8.6g / 約89%前後

明治一分銀

幕末から明治初期にかけて流通した銀貨で、江戸時代の一分銀を引き継ぐ過渡期の貨幣です。見た目は従来の一分銀とよく似ていますが、書体や刻印の細部に違いがみられます。

この時期は新政府への移行期にあたり、金銀貨の整理と貨幣制度の統一が進められていました。そのため、従来の流れを引き継ぎつつも、制度転換の影響を受けた特徴を持っています。

製造時期 1868年頃~1870年代初期
買取価格 約2,000円〜数万円程度
重量 / 銀の含有量 約8.6g / 種類や時期により異なる

玉座一分銀

玉座一分銀は、安政一分銀のうち、裏面の「座」の字周辺の刻印の形が、玉を上にのせたように見える貨幣の俗称です。

幕末期に鋳造され、通常の安政一分銀と同様に流通したと考えられますが、貨幣ごとに状態の差があり、市場での評価も一定ではありません。状態や刻印の明瞭さなどによって評価は異なります。

製造時期 1859年~1868年頃
買取価格 約5,000円〜数万円以上
重量 / 銀の含有量 約8.6g前後 / 種類や時期により異なる

別座一分銀

幕府の貨幣鋳造は、主に銀座などの公認鋳造所で行われていました。しかし、貨幣の供給不足に対応するため、本座以外で作られたとされる一分銀もあり、刻印や仕上がりに特徴がみられる貨幣を「別座一分銀」と呼ぶことがあります。

別座一分銀は個体によって刻印や仕上がりにばらつきがみられる場合があり、市場でも状態や特徴によって評価が異なります。

製造時期 幕末期(およそ安政~慶応期)
買取価格 約5,000円〜数万円程度
重量 / 銀の含有量 約8.6g / 状態によって異なる

【種類別】一分銀の見分け方

一分銀は鋳造された時期や刻印の違いによって、いくつかの種類に分かれ、それぞれに特徴があります。見分ける際のポイントをいくつか紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

側面の仕上がりを確認する

側面の仕上がりは、一分銀の種類を見分けるうえで参考になるポイントです。

一分銀は鋳造時期や工法の違いにより、側面にヤスリ状の仕上げがみられるものと、比較的なめらかな仕上がりのものがあります。例えば天保一分銀は、側面が比較的なめらかに見えるものもあります。

ただし、側面だけで種類を判断せず、刻印や書体、重量なども含めて、総合的に確認することが重要です。

逆桜の位置を確認する

一分銀には、縁に刻まれた桜の極印が上下逆に打たれているものがあり、これを「逆桜(さかざくら)」と呼びます。

ただし、逆桜の有無だけで種類を特定することはできないため、見分ける際には、側面の仕上がりや書体、極印などと合わせて判断します。

ただし、その見極めは非常に複雑なため、桜はあくまで補助的な手がかりのひとつとして覚えておきましょう。

裏面の文字を確認する

裏面に刻まれている文字も、一分銀の種類を見分ける際の参考要素のひとつです。

一分銀の裏面には「銀座常是」の刻印があり、そのうちの「是」の字には字の一部に筆画が交差してみえるものがあります。これを俗に「交叉是」と呼ばれています。

ただし、これも正式な分類基準ではなく、時代や種類を判別する決定的な特徴ではありません。実際の判別では、側面の仕上げや桜紋の見え方なども含めて判断されることを覚えておきましょう。

一分銀の偽物の見分け方

一分銀には精巧な偽物も存在するため、正しい知識を身につけておくと安心です。ここでは、複数の観点から偽物を見極めるためのポイントをわかりやすく紹介します。

デザインを確認する

一分銀の偽物を見分ける際には、デザイン全体の整合性を確認することが重要です。

本物は図柄や文字の配置に一定の基準があり、均整が取れている傾向がみられますが、偽物は線の太さや間隔が不自然だったり、全体のバランスが崩れがちです。

そのため、部分的な特徴だけで判断するのではなく、特に刻印のエッジや陰影の出方を注意深く確認し、全体の調和や印象を観察することが重要です。

側面を確認する

一分銀の偽物を判断するうえで、側面の仕上がりも判断材料のひとつになります。

天保型・安政型・明治型といった分類ごとに側面の状態に一定の傾向がみられ、たとえば天保一分銀は側面がなめらかなのに対し、安政一分銀や明治一分銀は、ヤスリ状の仕上げあとがみられる傾向があります。

しかし、これらはあくまで判断する際の目安であるため、重量や刻印の状態、書体、地金の質感など複数の要素をあわせて総合的に判断します。

重さを測る

重さを測定することも、有効な手段のひとつです。正確なはかりで重さを計測すると、一分銀は規定重量がおおむね8.6g前後とされています。

しかし、偽物は素材の違いや製造精度の違いにより、軽かったり重かったりする場合があります。そのため、重さを計測することは重要な判断材料となります。

決して見た目だけで判断せず、ほかの判断要素と組み合わせて最終的に判断することが必要です。

高価買取できる一分銀の特徴

一分銀の中には、高価買取が期待できるものも存在します。では、どのような一分銀が評価されやすいのでしょうか。市場や収集家が評価するポイントをまとめて紹介します。

ハネ分

文字に通常とは異なる跳ねや伸びがある一分銀を「ハネ分」といいます。これは彫刻や打刻の工程でばらつきが生じたもので、書体にわずかな違いが現れることがあります。

明治一分銀にもハネ分の書体がみられる場合があり、こうした特徴や他の条件によって市場で注目されることがあります。

書体の違いだけで価値が大きく変わるとは限らないため、刻印全体の特徴や保存状態など、複数の要素から判断することが大切です。

ハネ銀

「ハネ銀」とは、刻印された文字の一部に強い跳ねや独特の払いがみられる一分銀のことを指します。これは製造時の彫りや打刻の工程で書体にばらつきが生じるため、こうした文字の形状に違いが現れます。

査定では文字の形状や跳ねの出方、全体とのバランスを細かく確認し、他の貨幣と比較しながら特徴を正確に見極めます。

すべてのハネ銀が希少というわけではありませんが、状態や個体差によっては価値に影響する場合もあります。

入分

「入分(いりぶん)」とは、一分銀にみられる「分」の字の書体変化のひとつです。「分」の2画目が「入」のように見えることから、このように呼ばれています。

こちらも製造時の彫りや打刻のわずかなズレによって生じるもので、貨幣ごとの書体差のひとつです。

極印や保存状態など、ほかの要素を含めて評価され、場合によってはコレクターや市場で注目を集める場合もあります。

長柱座

一分銀には、銘文「銀座常是」に書体の個体差がみられるものがあり、文字の一部が縦に長く見える場合があります。

こうした書体差のうち、「座」の「土」の縦線が強く伸びて見えるものは、「長柱座」と俗称で呼ばれることがあります。

ただし、書体の違いだけで種類や価値が決まるわけではなく、保存状態や極印の特徴などとあわせて総合的に評価されます。

玉座

「玉座」とは、裏面にある「座」の最後の一画が玉状となっている貨幣を指す呼び名です。安政一分銀で見られ、このようなものは「玉座一分銀」とも呼ばれています。

刻印の摩耗や打刻の強弱などによって生じる視覚的な特徴で、やわらかい印象を与えます。コレクターの間で注目されるほど希少価値が高く、保存状況によっては高値で取引されることもあります。

玉一

一分銀の中には、「一分銀」の「一」の字に玉状の特徴がみられるものがあり、収集家の間では俗に「玉一」と呼ばれています。これは手変わりの一種で、刻印の形状や打刻時の違いなどによって生じた特徴と考えられています。

正式な貨幣分類ではありませんが、その特徴の明瞭さや刻印の状態、全体のバランスなどを踏まえて判断されます。状態のよいものは高く評価されることもあります。

切れ分

「切れ分」とは、一分銀の「分」の字が打刻のズレや摩耗などによって切れたように見えるものをいいます。

こうした特徴は、コレクターの間では変化要素として注目されており、収集対象として評価されやすい傾向にあります。特に、保存状態がよく銀肌がしっかり残っているものは、査定でも高く評価されやすいでしょう。

エラーコイン

エラーコインとは、製造過程で刻印のずれや欠け、打刻ミス、異物の混入などが発生した特異な貨幣をいいます。これらは本来の規格から外れているため、種類によっては少数しか存在しない場合もあります。

特に刻印が大きくズレているものや二重打刻が明確に確認できるものは注目されやすく、保存状態がよければ高く評価される場合もあります。査定ではエラーの明確さや偽物の判断も重要なポイントになります。

一分銀にみられるエラーコインは次のとおりです。

ズレ打

「ズレ打」は、製造時に銀板がわずかにずれた状態で打刻されたものをいいます。そのため、文字や極印が本来の位置からずれています。

ズレの程度は軽いものから、図柄全体が大きくずれて見えるものまでさまざまです。中でも、視認性の高い個体はコレクションとして注目されることがあります。

査定では、エラーの希少性や保存状態、人気度などを含め、総合的に判断されます。

逆打

一分銀にみられる「逆打」とは、鋳造時に上下の金型の向きがずれ、表裏の刻印が通常とは逆向きに打たれてしまった状態をいいます。

これは製造工程で起きた偶発的なミスで発生数も多くはないため、コレクターの間では珍品として扱われています。

刻印のずれ方がはっきりしていて文字や刻印が判読できるものや、保存状態がよく希少性が高いものは、より評価されやすいといえるでしょう。

定落

「定落」とは、裏面にある「定」の刻印が欠けている、もしくはほとんど打刻されていない状態のことです。製造過程において、打刻時の圧力不足や金型の摩耗などが影響して文字が鮮明に出なかったと考えられています。

製造時に偶発的に起こるエラーのため、発生例は少なく、収集対象として注目されることもあります。他のエラーコイン同様、刻印の明瞭さや保存状態などが重要な評価ポイントとなります。

一分銀に関するよくあるQ&A

一分銀には、価値の違いや種類の見分け方など、さまざまな疑問が寄せられます。ここでは買取現場でよくある質問を取り上げ、初心者の方でもわかりやすく解説します。

一分金との見分け方はありますか?

一分銀と一分金の大きな違いは、まず材質と色味です。一分銀は銀特有のやや灰色がかった光沢を持つのに対し、一分金は金合金で作られているため、黄味を帯びた色合いが特徴です。

刻印にも違いがあり、一分銀は表面に「一分銀」、裏面に「銀座常是」といった刻印がみられます。一方、一分金は種類が複数あり、「壹分」の刻印や桐紋などの意匠が確認できるものがあります。

そのほか、金は銀より比重が高いため、同じ大きさでも一分金の方が重く感じられるのが一般的です。

一朱銀との見分け方はありますか?

一朱銀は、一分銀の4分の1の価値を持つ小型の銀貨です。そのため、最も大きな違いは額面にあります。一分銀には「一分」を示す刻印があり、一朱銀には「一朱」を示す刻印が入っています。

また、一般的に一分銀のほうが一朱銀よりも大きく、重量も重いという特徴があります。さらに、刻印の配置や文字の細部、厚みなどにも違いがみられます。

これらの点をあわせて確認することで、より正確に見分けることができます。

まとめ

このコラムでは、一分銀の種類やそれぞれの特徴、高額買取につながるポイントについて解説しました。一分銀は種類が多く、査定も複雑なため、気になる方は一度専門家に査定を依頼してみることをおすすめします。

上田 勝太(うえだ しょうた)
記事の監修者
AACD協会基準判定士(ブランド品、時計の真贋及び輸入検品など)
上田 勝太(うえだ しょうた)

2024年4月にAACD協会基準判定士の資格を取得し、ブランド品や時計の真贋判定、輸入検品に精通。
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