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ヴァンクリーフ&アーペル
ヴァンクリーフ&アーペルはあるカップルが創業したジュエラーです。1895年、宝石商の娘であるエステル・アーペルは、宝石細工職人でダイヤモンド商人の息子であるアルフレッド・ヴァンクリーフと結婚しました。
価値観や宝石への情熱を共有していたこの夫婦は、1906年に妻 エステルの兄弟と力を合わせて、ヴァンドーム広場22番地に彼らの名を冠した最初のブティックをオープンしました。ヴァンクリーフ&アーペルの本店は、このときから変わらず今も同じ場所にあり続けています。
1930年代には、夫婦の娘であるルネ・ピュイサンがブランドを引き継ぎ、1926年から1942年までブランドのディレクションを行います。彼女は、デザイナーのルネ・シム・ラカーズと協力して、彼女の独創的でユニークなスタイルを具現化し、コレクションを際立たせました。
その後、彼のいとこであるジャックとクロードがそれぞれパリでのブランドの経営を引き継ぎ、1942年にはニューヨークの5番街にブティックをオープンします。
ヴァンクリーフ&アーペルの真髄は、最も貴重な素材に軽さと動きを吹き込む作品の繊細さと、ポエティックな世界観にあります。その創作の優雅さと創意工夫に加えて、ユニークな素材の使用もヴァンクリーフ&アーペルの魅力のひとつです。
ペルレコレクションに象徴される真珠も、ヴァンクリーフ&アーペルの神秘的なラインの1つであり、メゾンの技術と叙情的な世界観を体現します。またこのブランドは世界中の王室の御用達としても知られています。
ウィンザー侯爵夫人もその一人で、南京錠(カデナ)に着想を得た「カデナウォッチ」や、ジッパーに着想を得た「ジッパーネックレス」は彼女の言葉がインスピレーションのひとつになったと言われています。このジッパーネックレスは、ジッパーを開くとネックレスとなり、ジッパーを閉じるとブレスレットにもなる、コンバーティブルジュエリーでした。
一方、アメリカの鉄道王フランク・ジェイ・グールドの夫人であるフローレンス・ジェイ・グールドの小物入れに着想を得て製作されたのは、日中はバッグに入れて、夜には手で持ち運べるようにデザインされた、化粧品や口紅などの小物を収納できる「ミノディエール」です。
他方モナコ王室においては、モナコ大公レーニエ3世がグレース・ケリーへ真珠とダイヤモンドのオーダーメイドジュエリーを贈りました。この翌年、ヴァンクリーフ&アーペルはモナコ公国への公式サプライヤーとなりました。
ヴァンクリーフ&アーペルを象徴する「アルハンブラ」
ヴァンクリーフ&アーペルの象徴的な作品の中には、「アルハンブラ」コレクションがあります。これは四つ葉のクローバーを思わせるシンボルがあり、そのさまざまなモデルが幸運のお守りとして身に着けられています。
メゾンのクリエーションにおけるキーワードである「幸運」は、ヴァンクリーフ&アーペルの最も象徴的な作品のいくつかにインスピレーションを与えてきました。この四つ葉のクローバーの形をしたモチーフは、1920年代にはすでにデザイン要素になっていたことが、メゾンのアーカイブをみるとわかります。
創設者夫婦の甥で熱心な蒐集家であったジャック・アーペルは、自宅の庭で四つ葉のクローバーを摘み、幸運のお守りとして近しい人々に贈りました。そんな彼は「幸運になるためには、幸運を信じなければならない」というのが口癖であったと言います。
1968年、メゾンは最初のアルハンブラ ロングネックレスを作成しました。四つ葉のクローバーからインスピレーションを得たこのデザインは、20個のイエローゴールドのモチーフで構成されており、ゴールドビーズで繊細に縁取られました。
アルハンブラはすぐに成功を収め、ヴァンクリーフ&アーペルを象徴する幸運のアイコンとして世界中でその地位を確立しました。フレンチポップの代表的な歌手であるフランソワーズ・アルディやモナコ公妃グレース・ケリー、女優ロミー・シュナイダーなどが愛用しました。
様々なアルハンブラ
メゾンの真骨頂であるアルハンブラ コレクションは、時とともに変化し、新しい素材、色、要素によって豊かなバリエーションとなっています。
ヴィンテージ アルハンブラ
1968年に作成された最初のアルハンブラ ロングネックレスに忠実な、ヴィンテージ アルハンブラは、ゴールドビーズの縁取りに、皴加工されたゴールドが煌びやかに輝きます。
マジック アルハンブラ
非対称でリズミカルなマジック アルハンブラは、異素材と異なるサイズの調和を大切にしています。カーネリアンとタイガーアイ、ホワイトとグレーのマザーオブパール、ホワイトゴールドとダイヤモンドのモチーフは、さまざまなサイズで解釈され、クローバーフォルム中で共鳴します。
スイート アルハンブラ
軽やかさと繊細さを備えたスウィート アルハンブラは、より小さいサイズのモチーフを可憐に散らしたモデルです。クローバーや、ハート、蝶などのモチーフが軽快に舞います。
ラッキー アルハンブラ
自然は、ヴァンクリーフ&アーペルにとって特別なインスピレーションの源であり、愛と幸運のシンボルです。ラッキー アルハンブラはそんな自然の豊かさや多様性をカラフルに表現したモデルです。アルハンブラ モチーフと組み合わさって、ハート、蝶、葉、星がさまざまな素材と色によって表現されます。
ピュア アルハンブラ
シンプルで曲線美を強調したラインと滑らかなゴールドの柔らかさがアルハンブラの純粋なフォルムを引き立てています。ポリッシュ仕上げで、わずかにドーム状になったモチーフは、マザーオブパール、オニキス、ダイヤモンドで飾られ、洗練された美しさを醸し出しています。
ビザンチン アルハンブラ
控えめなエレガンスを上品に映すビザンチン アルハンブラは、アルハンブラモチーフを最もグラフィカルに表現したモデルです。このモデルはイエローゴールドのみを使用し、シンプルな美しさが際立ちます。
まとめ
ヴァンクリーフ&アーペルのアイコンであるアルハンブラについて紹介しました。ヴァンクリーフ&アーペルにとって自然は常に大きなインスピレーションソースであり、四葉のクローバーに着想を得たアルハンブラも、そんな有機的な美しさを讃えるマスターピースと言えます。
1968年に誕生して以来、その人気は色褪せることなく、現在も様々なバリエーションが展開され、世の女性に幸福をもたらし続けています。