ロシアで「皇帝の宝石」と呼ばれているアレキサンドライト
アレキサンドライトはロシアが発祥です。1830年、マキシム・ステファノビッチ・コシェフニコフは、シダレカンバの林を歩いていました。嵐で倒れた大きな木の根に足をとられたコシェフニコフは、緑色の美しい石を見つけました。その石はすぐにエメラルドと鑑定され、まもなくロシアのウラル山脈の鉱山で採掘が始まりました。ロシアのエメラルド鉱山では、ほかの宝石も産出されました。色を変える不思議な力を持つ新しい宝石もそのひとつ。日光の下で見ると深い緑色なのに、ロウソクの火で見ると赤みがかっています。天然宝石のアレキサンドライトは採掘に限りがあるため、価格が高騰します。また天然宝石のアレキサンドライトは、結晶する過程で不純物(インクルージョン)が混じり込んだりすることが多く、最高のものが採取されるのはきわめて稀といわれます。キズやインクルージョンがあるなど質が悪いアレキサンドライトの場合には、これらをカバーするため人工的な処理が施されることもあります。アレキサンドライトは人工的に造ることも可能ですが、合成宝石の人気は低いことから、宝石として出回っている量として極僅かと言われております。
微量に鉄、クロムなどの不純物を含みます。モース硬度は8.5。青緑色系スペクトルの強い太陽光（または蛍光灯の明かり）の下では青緑色を示すが、赤色系スペクトルの強い白熱灯や蝋燭の明かりの下だと色が鮮やかな赤色に変わります。これは微量に含有されているクロムの影響で、光源によって石に吸収されるスペクトルが大きく異なるた目と言われております。1975年には人工合成に成功し商業生産もされてはいるが、合成宝石自体にあまり人気がないのでその量はわずかで、しかも製造コストが高くつくためほとんど市場には出回らない石なんです。人工合成石は、最近では身近になりつつあるレーザー脱毛向け医療用レーザー装置の媒質としても使用されていたりもするようです。
どうしてアレキサンドライトと言う名前なのか？名前の由来
色が見方によって変わる不思議な石は、若き皇太子で1855年に皇位につくことになる皇帝アレキサンドル二世にちなんで「アレキサンドライト」と名づけられました。一説だと発見されたのがアレキサンドル二世の誕生日である1830年4月23日だったとか...しかし、鉱床の発見時期と宝石の名付けの由来が一致しているわけではないようです。ウクライナ人のアレキサンドライト専門家、ヴィタリー・レペジ氏は、アレキサンドライトが実際に発見されたのは1834年4月3日、皇帝付きの高名なフィンランド人鉱物学者、ニルス・ノルデンショルド博士によるもので、正式にアレキサンドライトと呼ばれるようになったのは1842年以降だろうと考えられています。
ロシア中の皆が欲しがった不思議な宝石
「アレキサンドライト」この珍しい宝石を誰もが欲しがりました。瞬く間にロシアで人気になり、幸運を呼ぶ石とまで呼ばれるように。ところが鉱山労働者はもちろん面白くありません。アレキサンドライトのわずかな鉱脈を追ってペグマタイトを手で切り開いたり、露天掘りをしたり、小さなトンネルを掘ったりと、非常に原始的な方法で採掘しなくてはならなかったからです。長い冬のあいだ、刺すような寒さと目を開けていられないほどの吹雪の中で働くことを想像してみてください。そして、夏になっても決して楽ではありません。ブヨや蚊、アブの大群に襲われるに違いありません。
アレキサンドライトにまつわる伝承
幸運を呼ぶと信じられていたアレキサンドライト。それ以外にもいくつかの言い伝えがあります。
・ふたつの色を持つことから、ロシアではアレキサンドライトのジュエリーをひとつだけ身につけると孤独になると言われました。またクリスタル療法では、アレキサンドライトは身につける人が危険に直面した時に直観力を高めてくれると言われています。創造性や創作力を刺激してくれると言う人もいます。
・アレキサンドライトは人間の内面を成長させる石で、持ち主の資質を磨き引き出し、才能を伸ばしてくれます。物理的な成功はもちろん、人間としての資質を高めてくれる効果もあるので、人の上に立つリーダー性を磨いてくれるような効果もあります。ビジネスを成功させたい人にぜひ身に着けてもらいたい石です。富や栄光はもちろん、持ち主の内面を磨き仕事を成功へと導いてくれるでしょう。
・アレキサンドライトは、勝利をもたらす石として内面を磨いてくれる効果があります。持つ人の魅力を引き出してくれるので、恋愛にも大きな効果を発揮するパワーストーンです。また人間関係を良好にする力もあるため、アレキサンドライトを持つと恋人との関係が深まっていくのを感じるはずです。今の恋人と結婚を考えている人は、きっとアレキサンドライトが結婚へと導いてくれるでしょう。
・大寒波が味方をし、無敵のナポレオン軍を敗走させたロシア軍の軍服と奇しくも同じカラーを持つアレキサンドライト。元々変色効果という神秘性をもっているうえ、窮地のロシア軍が救われたという経緯もあり、アレキサンドライトには危機回避の効果もあると言われています。アレキサンドライトを身に着けていると、危険な事に関する直感が働くようになるといわれます。直観力・洞察力が磨かれるため、何か迷い事があるとき、自然に良い方向へ導いてくれるくれます。逆境の状態でも救いの手が差し伸べられ、最悪の状態から脱却することもあるようです。また、魔よけの効果はもちろん、自分の中に生まれてしまうネガティブな感情からも持ち主を守ってくれます。ネガティブになりやすい人はアレキサンドライトの力を借りて、運気を引き寄せるのもおすすめです。
まとめ
表情の異なる2色の輝きを放つアレキサンドライトは、変色する宝石の中で、最も希少とされ珍重されています。アレキサンドライトは昼には美しい緑色の光を放ち、夜には室内の光で赤い色へと変化します。品質によっては高級ダイヤモンドの値段よりも高値で取引される希少性が、アレキサンドライトの大きな魅力です。
宝石としてのアレキサンドライトは、なかなか市場でもお目にかかれない価値の高いものです。美しいアレキサンドライトを目にした時には、ぜひその魅力に触れてみてください。アレキサンドライトの神秘的な色変わりを目にした人は、誰もが感動を覚え、アレキサンドライトの魅力を知れば知るほど、その神秘的なパワーに惹きつけられることでしょう。
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