ベギリーブルーガーネットBEKILY BLUE GARNETについて
宝石の歴史のなかでも最も古い宝石の一種と言われるガーネット。旧約聖書にノアの箱舟で灯火としてガーネットが吊り下げられたという記述や、5000年前のファラオのミイラとともに見つかった宝石としても知られています。様々な色のガーネットが存在しますが、唯一「青だけがない」と言われていました。しかし、1990年後半、マダガスカルのべキリー地区で掘り出された原石により、その定説は覆されます。青いガーネット、しかも光源により色を変えるカラーチェンジの性質を持ち合わせていました。センセーショナルな存在ながら、すでに鉱山は枯渇しかけており、1ctを超える大粒のルースは滅多に出会うことはありません。
ベギリーブルーガーネットの色と魅力
美しいルースは二段階で選別するべキリーブルーガーネットと呼ばれるものでも、地色には幅があり、ほとんどグリーンやグレーに近いものも多く存在します。また地色が薄ければカラーチェンジも曖昧。そのため、まず地色を見て、次にライトを当てて色変わりをチェック。そのため、たとえ数百ピースあるロットからも、選ばれるのはほんの一握りだけになってしまいます。この宝石だけのブルーとそれを引き立てる透明感青の中にグレーやグリーンを感じる絶妙な色。べキリーブルー特有の色の美しさと、透明感を併せ持つルースを厳選しています。稀に混入する針状の内包物は、カラーチェンジタイプガーネットの特性。加熱すると消えてしまうもののため、非加熱である証とも言えます。1990年代後半にマダガスカル南部のベキリー鉱山で発見されたベキリーブルーガーネット。
まるでアレキサンドライトのように青い色から赤い色に変色するために、「アレキサンドライト・ガーネット」や、「カラーチェンジ・ガーネット」とも呼ばれ太陽光や蛍光灯の下ではブルーグリーンに、白熱灯の下では赤や紫色に変化しますが、その理由は、微量に含まれているバナジウムの影響だと考えられています。もともとガーネットはすっぴんの宝石、といわれるぐらい加工処理をしなくても美しいものが多いといわれています。つまり発見当時から宝石としての形状、輝きをもっている鉱物。ベキリー鉱山で採れるベキリーブルーガーネットも、脆い岩盤の亀裂の間にキラキラと輝くブルーの結晶が発見されたりもするそうです。ただ、大きさは1ct以下がメインで、大粒のベキリーブルーガーネットが産出されることは少なく、そのためマニアの間では価値高く扱われているそうです。現在、ベキリー鉱山は既に閉山されたという噂もあるそうですが、カラーチェンジするブルー系のガーネットは別の産地からも見つかっているといいます。ガーネットは産地鑑別できない宝石であるため、現在「ベキリーブルーガーネット」として市場に出回っているものが全てベキリー産のものかどうかは分からないそうです。
石言葉
ベキリーブルーガーネットはガーネットですので誕生石に位置づけられた宝石になっていて1月生まれの方のお誕生石になります。
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そのほかのカラーチェンジガーネット
●シャンパンガーネット
マライアガーネットの一種で、はっきりとした魅力的な色をしているシャンパンガーネットは、実際にはパイロープガーネットとスペサルティンの混じったもので、タンザニアのウンバ渓谷で採掘されています
●デマントイドガーネット
デマントイド・ガーネットは、色のあるすべての宝石の中でもっとも需要のある宝石のひとつで、非常に珍しいものです。1855年にロシア中央部のウラル山脈にあるふたつの砂鉱床で発見され、当初はエメラルドと思われたため、専門家が詳しく検査するまでは「ウラル・エメラルド」とまで呼ばれました。デマントイドという名前は、古いドイツ語で「ダイヤモンドのような」という意味の「デマント」に由来しています。その光沢と分散がダイヤモンドに似ていたからというわけですが、実はデマントイドのファイアーの度合いはダイヤモンドのものよりも高いのです。ロシアでは1991年の小規模な採掘が再開されたと伝えられていますが、ほとんどのデマントイド・ガーネットはナミビアのやけつく砂漠の下にある比較的新しい鉱床で採掘されています。ダイヤモンドよりも優れたファイアーでロシアの金細工師カール・ファベルジェにも愛されたデマントイド・ガーネット は、熱心なコレクターにとっては「必ずや手に入れたい宝石」のひとつです。
●ヘソナイトガーネット
グロッシュラー・ガーネットの一種であるヘソナイト・ガーネットには、金色とシナモン色(「シナモン・ストーン」としても知られています)の2種類があります。完璧な色合いのヘソナイト・ガーネットは、明るい金色がかったオレンジ色で、内側から燃えるようなハチミツとオレンジを合わせたような色です。赤や茶色がかったヘソナイトもあります。ヘソナイト・ガーネットは何千年にもわたって愛され、古代ギリシャやローマではジュエリーやカメオ、インタリオとよばれる沈み彫り(カメオは像が浮き彫りになるのに対し、沈み彫り像が奥に引っこむような彫り方)などに使われました。
興味深いことに、その名前はギリシャ語で「劣る」という意味の「エッソン」からきています。これは、他のガーネットと比べて少し柔らかいことからきています。しかし、名前の由来に惑わされてはいけません。ヘソナイトはそれでも耐久性があり、十分ジュエリーに適しています。ヴェーダ占星術で広く使われているヘソナイト・ガーネットは、ヒンディー語で「ゴメダ」と呼ばれています。古代ヒンドゥーの人たちは、ヘソナイトは東の湖にまかれた大悪魔ヴァラの爪からできたと信じていました。ヴェーダ占星術師は、ヘソナイトを金にはめたお守りで、寿命が延び幸福になると考えました。ヘソナイトは、スリランカの砂利の中でさえもよく見られるほど、すべてのヘソナイトの産地となっています。しかし、アフリカでもその存在は確認されています。ヘソナイトは透明度が高い方が価値も高いのですが、内包物がよく見られ、独特の糖蜜のような筋によって、油を塗ったような、あるいはガラスのような見た目になります。
●マライア・ガーネット
1960年代半ばにタンザニアのウンバ渓谷で発見された、赤みがかったオレンジやピンクがかったオレンジのガーネットは、当初スペサルティンガーネットだと考えられていました。実際にはパイロープとアルマンディン、そしてスペサルティンが混ざったものであるマライアガーネットは、まばゆい赤い輝きを放つ、鮮やかなジェムストーンです。スペサルティンでないことが判明すると、それに合わせてスワヒリ語で「見捨てられた」という意味の「マライ ア」という名前で知られるようになりまし た。マライアガーネットには、淡い桃色から鮮やかな赤っぽいオレンジまで、様々な色合いのオレンジ色をしたものがあります。
●スターガーネット
ガーネット属の中でもまれにしか見られないのが、珍しい4条の白い筋が星のように現れるアルマンディン スターガーネットです。アルマンディンガーネット(別名アルマンダイト)はもっとも一般的なガーネットですが、星を浮かべているものは、そうそうあるものではありません。深紅色をしたアルマンディン スターガーネットは、ナイジェリアやタンザニアで発見されています。 アステリズム、またはスター効果とは、2本あるいはそれ以上の交差した光の筋がジェムストーンの表面に現れる反射効果のことです。
保管方法
カラーチェンジガーネットは、他のガーネット同様に比較的扱いやすい宝石と言われています。普段のお手入れは、使用後に柔らかい布などで優しく表面を拭いて、汗や皮脂を落とす程度で十分です。汚れが気になる場合は、水やぬるま湯で流水洗浄してください。流水洗浄では汚れが取れない場合は、中性洗剤を溶かした水やぬるま湯を使用して、毛先が柔らかい歯ブラシやメイク用のブラシなどで優しく擦り洗いしましょう。中性洗剤で洗浄すれば大抵の汚れは落とせますが、中性洗剤を使用した場合は汚れを落とした後に十分に水ですすいでください。洗浄後は乾いた柔らかい布で水分を軽く拭き取り、自然乾燥させればお手入れは完了です。なお、カラーチェンジガーネットは基本的に超音波洗浄機でのお手入れも可能ですが、フラクチャー(割れ目)があるカラーチェンジガーネットの場合は欠けや割れが生じる恐れがあるので注意が必要です。また、カラーチェンジガーネットは比較的硬い宝石ですが、より硬い宝石と接触すると表面に傷が付く恐れがあります。したがって、保管の際は他の宝石と触れ合うことがないように、柔らかい布や袋に入れたり、仕切りがあるジュエリーボックスを使用したりすることをおすすめします。加えて、他の宝石同様に、直射日光が当たる場所や湿度が高い場所を避けることも大切です。
まとめ
「昼と夜の愛の変貌」という宝石言葉を持ち、太陽光と白熱灯の下で異なる色合いが楽しめるカラーチェンジガーネット。ガーネットは多色性がない宝石のはずですが、このガーネットは実にいろいろな色が現れます。ほんの少しの照明の差ですぐにカラーチェンジするので、青と赤紫が混ざり合った複雑な色合いになっていることも少なくありません。様々なガーネットを紹介してきましたがベキリーブルーガーネットはとくに魅力的な宝石の一つだと思います。照明によってはグリーン寄りに見えたり、黒に近いブルーグレーに見えたりもします。蛍光灯を強く当てると、藍色に近いブルーグレーなので、私がもっているルースは地色がブルーグレーなのだと思いますが、なかにはグリーン寄りのブルーもあるみたいですね。見れば見るほど、本当は何色なのかが分からなくなる不思議な宝石です。