日本とゆかりの深い翡翠
日本では古来より翡翠を宝石として珍重しており、5000年以上前の縄文時代の遺跡からも翡翠が出土しています。新潟県の糸魚川(いといがわ)では縄文人が翡翠の加工をしている史実が確認されており、これは翡翠を人があつかった世界最古の翡翠文化と言われています。縄文時代につづく弥生時代や古墳時代には、勾玉などの装飾品や祭器が作られるようになります。糸魚川には奴奈川姫(ぬなかわひめ)と呼ばれる姫の伝説があり、その存在はしばしば糸魚川の翡翠文化と結びつけられて語られます。
そのような深い歴史をもつ翡翠ですが、奈良時代には殆ど使われなくなります。日本で翡翠が再発見されるのは昭和になってからで、奴奈川姫の翡翠の勾玉の話に興味をもった伊藤栄蔵氏が、近所の小滝川で翡翠を発見し、この発見ののち東北大学の河野義礼博士の現地調査によって、糸魚川周辺が良質な翡翠を産出することが発見されます。糸魚川は世界的に見ても良質な翡翠の産地として有名で、翡翠は日本の国石に指定されています。
世界の翡翠
世界でも翡翠は歴史のある宝石です。特に古代の中国では翡翠は神聖な石とされていました。古代中国の長江文明を象徴する良渚(りょうしょ)文化では、象牙と翡翠は最高級品とされており、上流階級の墓からは翡翠製品が出土しています。翡翠は永遠の命を象徴し、復活を助けるとされ、故人の口に置かれました。翡翠はまた、絶対的な力を象徴するものでもありました。
古代ギリシャでは、この石は、運命の三女神といわれるモイライを象徴し、誕生から死までを司ります。また古代ギリシャ人にとっては、傷を和らげて癒すためのヒーリングストーンでもありました。目の痛みをやわらげるために、彼らは翡翠の石をまぶたに直接置くか、それを洗浄液に使用しました。
コンキスタドールによる征服以前のアメリカ大陸の多くの文明にとっても、翡翠は非常に価値があるものでした。ニュージーランドでは、マオリ族が翡翠を加工して道具、武器、宝飾品を作りました。マオリ族は翡翠を、死の女神ヒネ・ヌイ・テ・ポと結びつけました。現在もヨーロッパでは、翡翠は結婚26周年を祝うための宝石です。
翡翠は二種類に大別できる
そんな日本でも世界でも、古来より貴石として認知されていた翡翠ですが、実は翡翠と呼ばれるものは2種類に大別されます。かつて西洋ではこの2種類の区別はあいまいでしたが、19世紀後半、フランス人鉱物学者ダモーラ氏によって、両者の科学的構成の違いが示されました。
ジェダイト
ジェダイト(jadeite)は、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムで構成された鉱物で、日本では硬玉とも呼ばれます。宝石の翡翠として価値が高いものは、このジェダイトです。最も純粋な状態のジェダイトは半透明の白色です。しかし、結晶中に含有される不純物によって、青、灰色、黄色、ピンク、赤、時には紫など実に多彩な色を帯びます。
しかし、その最も人気のある色は明らかに緑色です。さらに、ミャンマー(旧ビルマ)でしか見られない非常に希少なエメラルドグリーンのジェダイトはその高貴で深みのある碧色から「インペリアルジェード」「琅玕(ろうかん)」と呼ばれています。ジェダイトの主な鉱床は、日本やミャンマー、グアテマラ、カザフスタン、およびアメリカにあります。
ネフライト
ネフライト(nephrite)は日本では硬玉に対して「軟玉」の名がある鉱物で、緑閃石ともいわれるアクチノライトを主要構成鉱石とする石です。アクチノライトは、ケイ酸マグネシウムとケイ酸カルシウムで構成されています。半透明で、灰色や様々なトーンの緑色を呈します。その緑色は鉱物に含まれる鉄に由来します。鉄分が少ないと明るく、鉄分が多いと暗くなります。カナダはこの石の最大の採掘国で、その他の鉱床は、中国、ロシア、ニュージーランドなどにあります。
どう見分けるか
色の違いによる見分け方
ジェダイトのほうがネフライトよりも、比較的明るいトーンのグリーンを呈していると言われています。
繊維状組織の違いによる見分け方
ジェダイトにもネフライトにも、繊維状の組織が確認できます。光に当てて拡大鏡で観察すると、黒い筋があるのがわかります。ジェダイトの場合はこれが垂直に近い角度で交差しており、ネフライトの場合は繊維が斜めに交差しています。
確実なのは鑑定機関でみてもらうこと
しかし色にしても、繊維状組織にしても、素人目にはあまり見分けづらいのが実情です。結局のところ、急がば回れ。確実なのはプロに鑑定してもらうことです。「買取大吉」は北海道から沖縄まで全国に500店舗以上を展開しております。無料査定を利用すれば、お手もとの身元不詳な宝石も、気軽に鑑定できます!