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そもそもダイヤモンドってどのようにして作られる?
ダイヤモンドは、シャープペンシル芯の素材でおなじみの黒鉛と同じ炭素(C)で構成されている鉱物です。この炭素がダイヤモンドになり、地上にもたらされた背景には、マグマや噴火の存在が欠かせません。地球の内部には高温高圧の環境があり、マントル(地球を形成する核を覆う層)やマグマ(地球の固体部分が高温により溶けた物質)が存在します。
ダイヤモンドは、こうした高温高圧の環境にあった炭素が、噴火などで一気に地表近くまで押し上げられ、一瞬で冷やされたことで誕生したのです。もし、ゆっくりと冷やされていたら、ダイヤモンドが作られることはなく、全て石炭等の黒い塊となっていたことでしょう。この、ダイヤモンドが含まれる溶岩のことをキンバーライトと言い、有名なダイヤモンド鉱坑「ビックホール」のある、南アフリカの北ケープ州の都キンバリーが由来となっています。
ダイヤモンドの産地は現在確認されているだけでおよそ20か国以上存在しております。中でも産出量が多いのはロシアで、次にボツワナ、コンゴと続き、世界三大のダイヤモンド産地として知られております。それ以外にも、南アフリカ、オーストラリア、アンゴラ、カナダ、中国、ナミビア、ガーナなどがあげられます。また、世界のダイヤモンドの産出量トップ6で、全世界のダイヤモンドのシェア90%以上を占めていると言われています。
こちらは余談ですが、世界で初めてダイヤモンドを採取した国はインドで、当時はインド石とも呼ばれておりました。日本においては堅固であることを意味する金剛を用いて金剛石とも呼ばれております。
ダイヤモンドの発掘方法とは
ダイヤモンドの採掘方法は、「パイプ鉱山の採掘」と「漂砂鉱床の採掘」が挙げられます。火山活動によって噴出した溶岩が地中で固まると、「キンバーライト」と呼ばれるものになります。そのキンバーライトにダイヤモンドが含まれています。パイプ鉱山の採掘は、爆薬やドリルを使ってダイヤモンドを採掘します。
爆薬やドリルを使ってキンバーライトを粉砕し、そこからダイヤモンドの原石を回収するのです。また、漂砂鉱床の採掘では、河川や海などのキンバーライトを回収します。キンバーライトは鉱山に存在するものですが、風化により砂利になり、河川や海に流れ出します。河川や海に流れ出したキンバーライトは、主にブルドーザーやショベルカー、吸引機材を使用して回収します。カナダとロシア以外はアフリカ大陸の国がランクインしている事からも、ダイヤモンドにとって南アフリカがいかに重要な地域が分かります。
国別のダイヤモンドの生産量
天然ダイヤモンド生産量・国別統計(単位:1,000カラット)
1位:ロシア 41900
2位:ボツワナ 20730
3位:コンゴ共和国 16040
4位:オーストラリア 13571
5位:カナダ 11700
6位:アンゴラ 9012
7位:南アフリカ共和国 7210
世界で採掘された総計を見ますと127,000,000カラットでした。このうち、宝石品質のものは、7,090,000カラットで、全体の5.6%だったことが分かっています。ダイヤモンドの年間の生産量のデータは、2011年度で、1億3500万カラット(27トン)です。同じ年度の金の年間生産量と比較してみると、金は2660トン採掘されており、ダイヤモンドの生産量の少ないことが良く分かります。
2011年度でダイヤモンドの総生産量の約84%は、わずか6カ国で生産されています。一方、金の場合は総生産量の約84%を21カ国で生産しています。ダイヤモンドと金の産出国数を比べると、ダイヤモンドは狭い範囲に集中して埋蔵していることが分かります。2011年度のダイヤモンドの生産量上位6カ国は、ロシア25%(ヨーロッパ)、ボツワナ24%(アフリカ)、コンゴ共和国14%(アフリカ)、カナダ8%(北米)、アンゴラ7%(アフリカ)、ジンバブエ7%(アフリカ)の順となります。しかし、時代をさかのぼると主要な生産国は大きく変化し、インドなどでも大量に採掘されていました。
ダイヤモンドの主なカット
ダイヤモンドの多くは無色か黄色です。ダイヤモンドのすばらしい輝きを出すための研磨では、硬度が最も大きな障害でした。古代には、原石の形を生かしジュエリーに使用されてきましたが、14世紀半ばになり、初めてダイヤモンドを使ってダイヤモンドを研磨する技術が開発され今日に至っています。16世紀の初めごろに、八面体結晶から十二面体結晶が研磨できるようになり、簡単なテーブル・カットからローズ・カットが誕生しました。
このドームのようなカットによる煌きはそれほど顕著ではありませんが、19世紀まで流行しました。ファセットの全反射によりダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すため試行錯誤を繰り返しながら、1910年に現在でももっとも有名で利用されているカット方法であるラウンド・ブリリアント・カットが実現しました。58のファセットから構成されたこのカットは世界標準のカットとなり、光の分散から生まれる虹色のようなファイアはダイヤモンドの美しさの最大な特徴ともいえます。また、ダイヤモンド原石の形や包有物や傷などの位置を考慮し、無駄な削りを避け、オーバル(楕円形)、ペアー・シェイプ(洋梨形)、ハート・シェイプ(ハート形)、両先端が尖がった長円形のマーキーズ・ブリリアント・カットなどが職人たちの工夫と技により作り出され、多様な美しさが現れています。
最近では、標準のラウンド・ブリリアント・カットのクラウン部にさらに16、パビリオン部に8のファセットが付け加えられた、82面またはそれ以上のカット面が現れ、華やかな姿を見せています。
天然のダイヤモンドはどのようにして作られるのか
化学レベルで言えば、ダイヤモンドとは単なる四面体状に連なった炭素分子の塊です。この結晶構造により、ダイヤモンドはもっとも硬い自然鉱物となっていて、ほとんどの人工物質よりも丈夫です。私たちはダイヤモンドが特別であることを知っていますが、そもそもどこからやってきたのでしょうか?ダイヤモンドは極端な状況で形成されているため、小惑星衝突現場や宇宙の隕石からも発見することができます。
しかし、私たちはほとんどの天然ダイヤモンドは数百万年前、もしくは数十億年前に地球内部の大量の溶岩のなかから作られたと考えています。地球の表面から160キロ以上深い場所で、極度の高熱と高圧力が炭素分子を四面体構造のダイヤモンドに形成しました。そして、深い場所の火山噴火がそれらを、時速約40キロで地表まで押し上げたのです。もしダイヤモンドがそれよりゆっくり押し上げられた場合、徐々に圧力が低くなり、カーボン分子はグラファイトなどのほかの安定した形になります。地表ではすべてが一瞬で冷やされ、溶岩はキンバレー岩に変形します。そのなかにダイヤモンドが隠れていて、人が採掘できるようになるのです。強力な力で圧縮され、超高温にさらされた炭素分子からダイヤモンドが作られるのはわかりましたが、その炭素はどこからくるのかは正確に理解していません。
地質学者は2つの可能性を予測しています。1つ目が、日の目を見ることは決してない、地球深部のマントル内にある炭素を含んだ沈殿物の一種からくるというものです。もう1つの可能性が、海底などの構造プレートの沈み込みにより含まれる有機物からというものですが、それは石炭ではありません。すべてのダイヤモンドは、圧が掛けられた石炭だというのは間違いなのです。石炭は有機炭素のかたちですが、ほとんどが古代の植物からできており、地表と近い堆積岩の層からなります。
そのため、ほとんどのダイヤモンドができた時代よりかなり新しく、かなり高い場所で形成されたことになります。昨今では、科学者による研究室での人工ダイヤモンドの作製も可能となり、そのプロセスは化学蒸着と呼ばれています。基本的に、小さな天然ダイヤモンドの種からパターンを作るところからスタートします。そして、高圧と高温のツールを使い炭素分子を変えます。普通は炭素を含むガスから、ダイヤモンドのレイヤーにします。ラボで作られたダイヤモンドは一般的に傷つきやすく、天然のものとは異なります。さらに、天然物より安く、天然ダイヤモンドを採掘するより自然環境へのインパクトが少ないのです。
しかし、地球深部からのものか、科学者のラボで作られたものかの違いはあるにせよ、同じ鉱物には違いないのです。
合成ダイヤモンドもある
ダイヤモンド合成の歴史は科学技術の進歩と密接な関連をもっています。合成への第一歩は、18世紀末にダイヤモンドが炭素原子でできていることが証明された時点に遡ります。この発見は、著名な科学者から町の発明家に至るまで多くの人々をダイヤモンド合成の道に駆り立てました。これは挑戦の時代といえます。
大きな飛躍は1950年代で、ダイヤモンドの性質に関しての系統的な研究が開始され、同時に高圧を発生させる装置が開発され、人類初めてのダイヤモンド合成に成功しました。HPHT法は実用的な合成法として発展し、現在では高純度の大型単結晶が得られるまでになっています。1980年代になって1気圧あるいはそれ以下の圧力下でCVD法による実用的な合成法が確立し、様々な分野で利用され始めています。ダイヤモンドは炭素原子が強固に結びついた典型的な共有結合物質であり、物質中最高の硬さと熱伝導性を有します。また、化学的安定性、透光性などの特性にも優れています。
この卓越した特性から、ダイヤモンドはさまざまな工業用途に用いられています。超精密加工用バイト、線引きダイス、ドレッサー、医療用ナイフなどの加工工具や耐摩工具のほか、ヒートシンク、ボンディングツール、各種窓材や超高圧アンビルなど、工業や科学の広範な分野で利用されています。高品質なダイヤモンドは、工業や科学技術の発展に寄与する重要な素材であり、技術の多様化、高度化に伴い、その重要性は今後もさらに増すものと考えられています。
しかし、天然ダイヤモンドは、大型で良質の結晶は極めて稀産であり、品質における個体差が大きいため、これらの工業用途には不向きな側面があります。これ対し、合成ダイヤモンドは、合成される環境、成長条件を制御できるため、安定的に必要とされる結晶を量産することが可能です。このため、産業用には合成ダイヤモンドが広く利用されています。
天然との違い・見分け方
天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドは、化学的な違いはほとんどありません。また、見た目もほぼ同じであることから、天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドを肉眼で見分けることは不可能だと言われています。では、私たちが天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドを見分ける方法がないのかというと、そのようなことはありません。
一部の合成ダイヤモンドには、天然ダイヤモンドと同じように鑑別書が発行されています。またガードル部分に、合成ダイヤモンドであることを示すシリアルナンバーが刻まれているものもあります。それらをチェックすることより、天然ダイヤモンドか合成ダイヤモンドかを見分けることが可能になります。「合成ダイヤモンドとジルコニアは、何がどう違うの?」と気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。結論から言うと、合成ダイヤモンドとジルコニアは別物です。合成ダイヤモンドの化学式が天然ダイヤモンドと同じ「炭素(C)」なのに対し、ジルコニアは「ZrO2」です。
また、モース硬度や光の屈折率も、合成ダイヤモンドとジルコニアでは数値がまったく異なります。合成ダイヤモンドとジルコニアを見分ける方法は、意外と簡単です。ジルコニアはダイヤモンドに比べ、光を当てると虹色に輝くという特徴があります。また、暗い場所では輝きが弱まる、息を吹きかけたあと、なかなか曇りが消えないというのもジルコニアの特徴です。
まとめ
最初のダイヤモンドは、紀元前の時代にインドで発見されます。その後、1725年のブラジルでダイヤモンドの鉱床が発見されるまで、ダイヤモンドは、インドでしか採掘されないと考えられていました。そのためダイヤモンドは「インド石」とも呼ばれていました。ダイヤモンドの採掘方法は初期の時代、砂金の採取のように地表に出てきているものをすくって選別する方法しかありませんでした。
その後、技術が進歩して、地下にあるダイヤモンド鉱脈を掘削して採取できるようになります。インドでのダイヤモンドが採掘によって、枯渇するころ、ブラジルで新しいダイヤモンド鉱脈が発見され、主要な産地は、インドからブラジルに移ります。しかし、ブラジルでダイヤモンドが発見されてから、1世紀後にアフリカ大陸の各国(皆フリカ共和国、ボツワナ、アンゴラ、コンゴ、シエラレオネなど)で採掘できるようになります。
さらに、その後、ロシアでも大きな埋蔵量のダイヤモンド鉱脈が発見されます。ロシアのシベリアで発見されたダイヤモンド鉱脈の1つは、もともとあったダイヤモンド鉱脈に数千年前に巨大な隕石が衝突して、その時に生じた高圧・高温でできたもので、その埋蔵量は、数兆カラットと推測され、この鉱脈だけで数千年にわたる全世界のダイヤモンドの需要をまかなえると言われるほどの大鉱脈です。また、隕石の衝突でできたダイヤモンドは、硬度や大きさが従来のダイヤモンドより優れ、価値が高いと言われています。今後、ロシアの生産量は世界一を続けることになるでしょう。
ただし、ダイヤモンドの価値を維持するため、一気に大量の採掘はされないと考えられています。ですが、いつ相場が下がってもおかしくはありません。売ってみようかな、もう使わないからな、などお考えの方は査定だけでも「買取大吉」にお任せください!思った以上の買取金額が出るかもしれませんよ!