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【2025年金価格予想】なぜ金価格は下落する? 暴落理由とタイミングを解説

【2025年金価格予想】なぜ金価格は下落する? 暴落理由とタイミングを解説
木村健一(きむら けんいち)
記事の監修者
査定歴15年以上
木村健一(きむら けんいち)

貴金属・ジュエリー分野で査定経験を持つ鑑定士。
テレビや雑誌、YouTubeなどへの出演経験もあり、専門的な知識と確かな鑑定力で信頼を集めている。

金価格の動きは、経済全体に大きな影響を及ぼす重要な指標とされています。近年は金価格が高騰していますが、今後暴落する可能性はあるのでしょうか。今回は、金相場が下落する要因と、今後の価格の見通しについて考えていきます。

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近年の金価格は高値で推移している

2025年5月8日、日本における金の店頭小売価格が1グラムあたり17,089円に達し、史上最高値を更新しました。この記録的な価格高騰の背景にはある共通の要因が存在します。

不安定な世界情勢が金価格を押し上げる

金価格は2000年以降、上昇トレンドが続いています。その背景には、世界情勢が不安定になると、安全資産とされる金に資金が流入しやすいという特性があります。

2001年のアメリカ同時多発テロや2008年のリーマンショック、さらに最近では2023年に発生したシリコンバレー銀行の経営破綻やクレディ・スイス銀行の経営危機などがその例です。

国家や大手金融機関への信頼が揺らぐと、金の需要が高まる傾向が顕著に表れます。

金価格相場が下落する7つの理由

金の価格相場は、上昇と下落を繰り返しながら日々変動し続けています。その理由はさまざまですが、ではどのような要因で下落するのでしょうか。そこで代表的な理由をいくつかご紹介します。

需要が減り供給量が増える

金は、需要と供給のバランスに影響を受けます。金を「買いたい」人が減り、逆に「売りたい」人が増えると、市場に金が余るため需要が供給を下回り、金の価格は下がるのです。

供給 鉱山生産:72%

リサイクル:28%

需要 ジュエリーなど宝飾品:34%

電子機器の部品などテクノロジー:7%

投資:42%

中央銀行などによる保有:17%

金産業の国際貿易協会であるWGCによると、金の需要と供給を構成する割合は上記となります。

金の鉱山生産量は過去10年、毎年約3,300トンと安定しています。安定した供給源がある一方で需要には波があり、複数の要因で変動しやすいため注意が必要です。

ワールド・ゴールド・カウンシル(World Gold Council / WGC)

1987年に設立された非営利組織で、世界の主要な金鉱山会社40社がメンバーです。

現在、本社をロンドンに置き、主要17か国に拠点を構えるこの組織は、業界リーダーとして金に関する持続的な需要を喚起するために、幅広い活動を行なっています。

世界情勢が安定して金以外の投資が増える

世界経済や株価が安定していれば、現金や株式など金融財産への投資が増加します。その結果、金の価格が相対的に下落することが一般的です。

一方で、金は「有事の金」として知られ、世界経済や株価が低迷する際に価値が高まる傾向があります。

これは、多くの投資家がリスク回避の手段として、金を投資のポートフォリオに加えるためです。このように、金の価格は経済の状況に応じて変動します。

金利が上昇する

金利は金銭の貸借で発生する手数料であり、「金価格と逆相関する」とされています。たとえば金利が高ければ、銀行に預金するだけで、利益を得ることができるでしょう。

しかし金には金利がつかないため、資産運用としての魅力が減少し、金価格が下がる傾向にあります。

特に、金は国際的に米ドルで取引されているため、アメリカの金利上昇が、金価格に大きな影響を与えることがあります。

インフレから脱却する

金はインフレのリスク回避策として購入される傾向があります。物価が継続的に上昇する状態のインフレ時には、他の実物資産と同様に価格が上昇するからです。

金を保有すれば、「お金の価値」が低下することへの備えやリスクヘッジとなります。逆をいえば、インフレから脱却すると、金の価格相場が下落する可能性があるのです。

米ドルの価値が上昇する

現在、国際的な金取引は米ドルを基軸通貨としています。そのため、米ドルの価値が上がると、同じ金額で購入できる金の量が減少し、金の需要や価格が下がる傾向があります。

一方で、米ドルの価値が下がると金価格は上昇しやすくなります。ただし、米ドルの上昇が必ずしも金価格の下落を招くわけではありません。

たとえば、2022年3月には両者が同時に上昇する現象も見られました。金価格は多様な要因が絡み合って決まるため、一概に判断することは難しいでしょう。

原油価格が高騰する

原油と金の価格には、相関関係が見られることがあります。そのため、原油価格が下がれば金価格も下落する傾向にあります。

また、原油は地政学的リスクにより、供給量が減少すると価格が高騰します。原油価格が高騰している状況下であれば、安全資産の金も価格が上昇するのです。

このように、原油と金の価格は互いに影響を与え合いながら、動いているといえるでしょう。

中央銀行が金を売却する

中央銀行は、外貨準備の一部として多くの金を保有しています。これは、経済情勢や為替の変動に備えて、資産構成を柔軟に調整できるようにするためです。

資産構成を見直す過程で金が売却されると、市場に出回る量が一気に増え、需給のバランスが崩れることがあります。その結果、金価格は下落しやすくなります。

さらに、複数の国が同時に売却を行えば、その影響は一段と大きくなり、価格への下落圧力が強まります。市場は中央銀行の動きに敏感に反応するため、「売却されるのではないか」といった観測が流れるだけでも、相場が動くことがあります。

金の採掘量が増えても金価格は下落する?

金の採掘量が増えたら価格は下がるのでしょうか。確かに供給の増加は価格に影響を与える要素の一つですが、現実はそれほど単純ではありません。

採掘量の増加は価格に直結しない

金の採掘には高いコストが伴うため、新たな鉱脈が発見されても、採算が取れなければ供給量は限られます。とくに海底や地殻深部の金を取り出すには高度な技術が必要で、費用も膨らみがちです。

そのため供給が急増するとは考えにくく、価格が大きく下がる可能性は低いとされています。さらに金の価格は採掘量だけでなく、投資需要や為替の動きなど多くの要因によって変動します。

過去に金価格が下落・暴落したタイミング

一見安定しているように見える金価格も、過去には大きく値を下げた時期がありました。そのとき何が起きていたのか、背景にある経済の動きを具体的な事例とともに振り返ります。

【1980年】アメリカとソ連の緊張緩和

アメリカと対立を深めていたソビエト連邦が、1979年、アフガニスタンに軍事侵攻しました。この動きを受けて地政学リスクが一気に高まり、安全資産である金に資金が流入します。

金価格は急騰し、翌1980年1月には当時の最高値を記録しました。しかしその後、東西関係の緊張が徐々に緩和されると、過熱していた金相場は下落に転じます。

この一連の出来事は、高騰の背景と下落の理由が明確に連動した、象徴的な事例といえるでしょう。

【2008年】リーマンショック

2008年、アメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻を発端に、世界的な金融危機が発生しました。この混乱のなか、多くの投資家が手元資金の確保を急ぎ、安全資産とされる金さえも売却対象となります。

その結果、一時的に金価格は下落しました。やがて、アメリカの中央銀行であるFRBが金利を引き下げ、大規模な金融緩和を実施しています。

これによりドル安とインフレへの懸念が強まり、金は再び注目を集めることとなります。最終的に需要は回復し、価格も上昇へと転じました。

【2014年】FRBの量的緩和縮小

2001年から2012年にかけて、金価格は上昇傾向が続きました。この背景には、アメリカ同時多発テロやリーマンショックをはじめとする世界的な経済不安、そして各国の金融緩和政策が影響しています。

しかし、その後アメリカ経済が回復し始めると、2014年1月からFRB(連邦準備制度理事会)が量的緩和の縮小を開始しました。

これにより金の需要が減少し、価格は大きく下落しました。経済政策の変化が金市場に与える影響は非常に大きいことがうかがえます。

【金価格予想】暴落する可能性は低い?

金価格は上昇傾向にあるとされていますが、相場は常に変動します。急落リスクも考慮し、相場を読んで行動することが大切です。では今後、金が暴落する可能性はあるのでしょうか。

長期的には金が暴落する可能性は低い

金は依然として安定した資産とされ、その評価が大きく揺らぐ兆しは見られません。近年では、電子機器に用いられる素材としての需要が増加しており、スマートフォンやタブレットの普及がこれを支えています。

さらに、新興国の経済成長も金の消費を後押ししており、長期的に見れば価格が大幅に下落する可能性は低いと考えられています。

2000年代に急騰した金相場に対して、現在でも「まだ安い」との見方を示す専門家は少なくなく、資産保全を目的に金を保有する動きも根強く続いています。

短期的には金が暴落する可能性はある

金は長期的には急落の可能性が低いとされていますが、短期的には暴落するリスクもあります。世界の金相場は下落傾向にあり、他の投資対象が注目を集め、金以外の投資にシフトする動きが増えています。

新型コロナウイルスの影響で、プラチナやパラジウムも価格が急落しました。現在日本では高騰している金ですが、相場が平時よりも乱高下している印象です。

もし、短期的な売却を考えるならば、慎重に売却時期を決定することが重要です。

金はドル建てなので為替変動に注意

金を「日本での買取価格」として考えるなら、その真価に加え、為替の変動も重要な要素です。

金は通常ドル建てで取引されますが、日本で売却する際は円建てです。そのため、ドル建ての金相場が急落しても、円建ての資産価格が同じように下がるわけではありません。

最近、日本の金相場は円安の影響で、海外ほど値下がりしていません。円建てでの最終的な価値判断を行い、適切な売却タイミングを見極めることが大切です。

普遍的な価値がある金は安定資産である

歴史的に金の価値は変動を続けていますが、価格推移はあくまで需要と供給によってもたらされたものであり、その真価が揺らぐことはありません。

そもそも金は酸化や腐食に強く、一度溶解しても再生可能な金属です。金の価値が急落する可能性が低いとされるのは、この化学的性質が裏付けであるからです。

まばゆい輝きと強い耐性、そして多くの利用用途があるため、金の価値は普遍的であり、投資対象としての安心感につながっています。

金価格が下落する前に知っておきたい5つの投資方法

金投資には多様な方法があり、どの方法が適しているかは人によって異なります。そこで、投資方法によって異なる特徴を理解し、自分に合った投資先を見つけることが重要です。

金貨・ゴールドバー

まずは金貨やゴールドバー(インゴット、地金)を現物で購入し、価格差によって利益を狙う方法があります。

金価格は日々変動するため、安価なタイミングで購入し、価格が上昇した際に売却することで利益を得られます。現物を保有するメリットは、実物を手元に置けるため、自分の判断で自由に売買できる点です。

しかし、現物を保有すると管理の手間や紛失・盗難のリスクが伴います。そのため、銀行の貸金庫を利用するなど安全かつコストを抑えた保管方法を検討することが大切です。

投資信託

次に、投資信託商品を購入し、資産運用をファンドマネージャーに任せる方法です。投資信託では、現物の金を扱うことはなく、メリットは運用の手間がかからないことです。

投資の専門家による合理的な運用が受けられ、また少額から始めることができます。ただし、運用にはコストがかかります。

また、上場している「ETF」を利用する方法もあります。一般の投資信託は一日一回の取引ですが、ETFは規定時間内であれば何度でも取引可能です。

純金積立

純金積立は、証券会社や銀行などで口座開設し、金を定期的に購入する方法です。

積立方法には、毎月一定額を投資する「定額積立」と、一定量の金を積立てる「定量積立」の二種類があります。

純金積立のメリットは、計画的に資産形成ができる点です。一般的には、月々1,000円程度から始められるため、手軽に金を積み立てられます。

ただし、金の価格変動による損失の可能性があり、積み立てた金を現物で引き出せない場合もあります。

金先物取引

金先物取引は、将来の金価格を予想して、購入や売却を行う投資方法です。価格が上昇すると予想するなら購入し、下落すると予想するなら売却します。

金先物取引のメリットは、少額の投資で高い収益を見込めるレバレッジを効かせて、元手より大きな利益を得られる点です。

しかし、予想が外れた場合には大きな損失が生じるリスクもあります。ハイリスク・ハイリターンであるため、情報収集と予測に自信があり、資金に余裕がある方に向いています。

金CFD

金CFDは、金価格を基にした差金決済取引を指します。実際に金を保有せず、証拠金を担保に売買の差額で利益を得る方法です。

メリットは、少額の証拠金で高いレバレッジを利用して大きな利益を狙える点です。また、金を実際に保有せずに取引できるため、保管や管理の手間がありません。

しかし、レバレッジを過度にかけるとロスカットのリスクがあります。ロスカットとは、損失が一定額に達すると強制的に決済され、損失額が確定する仕組みです。

金を高価買取してもらうコツ

金や金製品を高価買取してもらうには、買取価格が上昇しているタイミングを狙いましょう。金の買取相場価格は変動するため、チャンスを逃さないことが大切です。

また、事前にお手入れもしておきましょう。特にアクセサリーは見た目が査定額に影響するため、やわらかい布で汚れを軽く拭いておきます。

ハイブランドのジュエリーは購入時の付属品を揃えて査定に出すと、より高く買い取ってもらえる可能性があります。

信頼できる業者を選ぶことも重要で、実績のある優良な買取業者に依頼することをおすすめします。

まとめ

金相場の下落要因と今後の動向について見てきましたが、価格は多くの要素が絡み合って決まるため、短期的な予測は専門家でも容易ではありません。

それでも、急激な暴落が起こる可能性は高くないとされており、依然として金は資産運用の選択肢として注目に値するといえるでしょう。

木村健一(きむら けんいち)
記事の監修者
査定歴15年以上
木村健一(きむら けんいち)

貴金属・ジュエリー分野で査定経験を持つ鑑定士。
テレビや雑誌、YouTubeなどへの出演経験もあり、専門的な知識と確かな鑑定力で信頼を集めている。

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