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K14GF(14KGF)とは?

K14GFとは、K14の厚い金の層がしっかりとコーティングされた素材で、金メッキよりも耐久性や価値が高いものを指します。ここでは、K14GFについて詳しく解説していきます。
K14GFの意味
K14GFは「K14のGold Filled(ゴールドフィルド)」の略称で、14KGFと称されることもあります。
これは、芯材となるベースメタルの表面に、総重量の5%以上のK14をコーティングし、熱処理と圧延によって合金化させて強く接合した素材です。
和名では「金張り(きんばり)」と呼ばれ、異なる金属を張り合わせて作られた複合素材となっています。
K14GFなどのゴールドフィルドは、アクセサリーをはじめ、時計、眼鏡、万年筆、ライターなど、さまざまな宝飾品や装身具、工芸品の素材として高い人気を誇る高性能な複合金属材料です。
K14GFの特徴
K14GFの主な特徴は、以下のとおりです。
| 特徴 | 概要 |
|---|---|
| 外観 | K14と同じような色合いと光沢があり、見た目はほとんど変わりません。 |
| 金属属性 | イオン化傾向、耐食性、導電性、熱伝導性など、K14と同様の金属特性を備えています。 |
| コスト | K14に比べて手頃な価格で購入できます。 |
| 耐摩耗性 | 金メッキより摩擦に強く、長持ちしやすいです。 |
| 耐食性 | 金メッキより腐食に強い性質があります。 |
| 乖離のしにくさ | 金とベースメタルの境界面が、金メッキよりも剥離しにくいです。 |
| イオン化傾向 | 金メッキよりイオン化傾向が低く、変色しにくいです。 |
以上のように、K14GFは見た目の美しさと実用性を兼ね備えた、コストパフォーマンスに優れた素材です。
K14GFの読み方
「K14GF」は、「ケイ・フォーティーン・ジー・エフ」または「けい・じゅうよん・じー・えふ」と読みます。
これは「K14 Gold Filled(ケイ・フォーティーン・ゴールド・フィルド)」の略称で、被覆材(ひふくざい)にK14が使われた「ゴールドフィルド」を指します。
金製品における「K」は24分率で金の純度を示す単位「カラット(Karat)」のことで、宝石の重さを示す「Carat(カラット)」とは異なります。
また、「14K」と刻印されたアクセサリーもありますが、これは製造国による表記の違いで、数字とアルファベットの順序が逆なだけで、意味は同じです。
日本では一般的に「K14」が使われるため、金張り製品には「K14GF」と表記されることが多いです。一方、海外では「14K」と刻印されることが多く、その場合は「14KGF」と表記されます。
K14GFの価値・含有量
K14とK14GFは、金の含有量が異なるため、その価値にも差があります。
まず、K14は金の含有率が58.5%となる金合金です。(※)つまり、1グラムのK14には約0.585グラムの純金が含まれています。
一方、K14GFはK14を総重量の5%以上使用したものであるため、金の含有量は以下のように計算できます。
・0.585グラム(K14の金含有量) × 0.05(被覆材の割合) = 約0.029グラム
2025年7月時点の純金価格を1グラムあたり約17,000円とすると、次のとおりになります。
・K14の金価格は約9,900円
・K14GFの金価格は約500円
ただし、これはあくまで金価格のみを算出しており、製品のデザインやブランド価値は含まれていません。実際の市場価値はこれらの要素も考慮されるため、一般的により高くなることが多いです。
※24分率で計算すると含有率は58.3%になりますが、便宜上58.5%と表記されることが一般的です。
K14GFの色
まず、K14には、割金として銀、銅、パラジウムなどの金属が使用されており、これらの配合比率によって色味が変化します。
例えば、代表的なものとして、ホワイトゴールド、ピンクゴールド、イエローゴールドといったものが挙げられます。
K14GFは、そのK14を被覆材として用いているため、同様に多彩なカラーゴールドのバリエーションが展開されています。
また、ゴールドフィルド製品の中には、複数のパーツで構成されているものもあり、それぞれ微妙に異なる色味を楽しめる点も魅力のひとつです。
一方で、色味全体に統一感を持たせるために、すべてのパーツに同じカラーの金張りを施して仕上げられた製品もあります。
K14GFのデメリット

K14GFのデメリットとして、主に以下の3点が挙げられます。
・複雑な形状のパーツの製作が難しい
ゴールドフィルドは、金製品のように鋳造して作るものではないため、形状が複雑なパーツを作るのには適していません。
・ベースメタルが露出することがある
ゴールドフィルドは板状、ワイヤー状、筒状などの素材を加工して作られるため、断面や接合部などからベースメタルが露出することがあります。
・ろう付けによる接合部が変色する可能性がある
パーツ同士をろう付けで接合している場合、接合部に使用されるろう材が変色することがあります。これは使用環境や経年によって目立つこともあります。
これらの特性から、ゴールドフィルド製品は貴金属製品以上に取り扱いやお手入れに注意が必要です。長く美しさを保つためには、定期的なお手入れを心がけましょう。
K14GFの注意点

K14GF製品を扱う際は、研磨剤を含む磨きクロスの使用は避けましょう。
これは、強く磨きすぎてベースメタルが露出すると、修理が難しくなる可能性があるためです。また、ゴールドフィルドの中には金メッキが施されているものもあり、超音波洗浄は適していません。
しかし、メンテナンスをせずに使い続けたり、着用後に放置したりすると、変色や錆び、くすみの原因となります。
そのため、お手入れは使用後に研磨剤を含まない柔らかい布で軽く乾拭きし、定期的にゴールド製品用の液体クリーナーで洗浄することをおすすめします。
これにより、長期間にわたり金の美しい輝きを保つことができます。
ゴールドプレーテッド(GP)との違い
ゴールドプレーテッド(GP)は、いわゆる「金メッキ」のことを指します。
金メッキは主に見た目の仕上げを目的として、アクセサリーの表面を薄く金でコーティングしたものです。そのため、ゴールドフィルドに比べて厚みが非常に薄く、20〜100分の1程度と言われています。
衣服との摩擦などで、数ヶ月から1年ほどでメッキが剥がれてしまうこともあるため、取り扱いには注意が必要です。
ゴールドフィルドの構成要素・加工方法

ゴールドフィルドを構成する要素は、以下の4つに大別されます。
・クラッドメタル
・オーバーレイクラッド
・ロールドゴールド
・ベースメタル
ここからは、これら4つの要素それぞれの特徴や加工方法について、詳しく解説していきます。
クラッドメタル
クラッドメタルとは、2種類以上の異なる金属を組み合わせた複合材料のことです。
これは、単一の金属では実現できない特性を組み合わせることで、より高機能な材料として利用することができます。
特に貴金属を使用したクラッドメタルでは、芯材として一般的にベースメタル(銅や鉄などの比較的安価な金属)が用いられ、表面の被覆材には金や銀などの貴金属合金が使用されています。
また、クラッドメタルの大きな特徴は、異種金属の接合面が原子レベルで結合していることです。
この金属間結合により、メッキ技術と比べてはるかに高い密着強度を実現しており、剥離しにくいという優れた耐久性を備えています。
オーバーレイクラッド
オーバーレイクラッドとは、芯材全体を貴金属などの異なる素材で被覆したクラッドメタルのことです。
被覆の方法には、片面のみを覆うタイプと、両面を覆うタイプの2種類があります。
この被覆材に金を使用したものは「ゴールドオーバーレイ」と呼ばれ、金の輝きを持ちながらもコストを抑えた装飾素材として活用されています。
ロールドゴールド
ロールドゴールドとは、芯材の両面を金合金の被覆材で覆ったオーバーレイクラッドのことです。
このロールドゴールドの中でも、製品全体の重量に対して金合金が5%以上使われているものは、「ゴールドフィルド(Gold Filled)」と呼ばれます。
つまり、ゴールドフィルドはロールドゴールドの一種であり、金の含有量に一定基準を満たした高品質な素材とされています。
ベースメタル
ベースメタルとは卑金属のことで、ゴールドフィルドの芯材としても使用されています。
精錬が比較的容易で供給も安定しているため、工業分野で基礎資材として広く利用されており、代表的なベースメタルとして、銅、鉛、亜鉛などが挙げられます。
また、ゴールドフィルドの芯材には、主に安価な真鍮(しんちゅう)が使われることが多いです。
まとめ
K14GFは、金メッキに比べて耐久性が高く、見た目もK14に非常によく似ています。そのうえ、価格も比較的手頃です。「本物の質感はほしいけれど、予算は抑えたい」という方は、K14GFを一度検討してみてはいかがでしょうか。


