変色しにくい24金の特徴
24金(K24)は、混じり気のない純粋な金です。一般的な金属が空気や汗によって徐々に色を変えていくのに対し、24金はそうした影響をほとんど受けません。金が本来持つ安定性が、色合いの変化を起こしにくくしているのです。
耐食性が高い
24金の大きな特徴のひとつに、きわめて高い耐食性があります。金は化学的にきわめて安定した金属であり、酸素や水分、汗などにさらされても反応しにくいため、色が変わることはほとんどありません。
鉄や銀のように酸化や腐食を起こすことが少ないため、長期間にわたって美しい光沢を保ち続けます。こうした性質から、ジュエリーだけでなく、長期保管を前提とした資産としても高く評価されています。
柔らかい
純度が非常に高い24金は、金属の中でも特に柔らかい性質を持っています。硬さを示す「ビッカース硬さ(Vickers Hardness)」では約22Hvとされ、これは銀の25Hvや銅の100Hvと比べてかなり低い数値です。
このため、わずかな力でも傷がつきやすく、形が変わってしまうことがあります。こうした柔らかさから、アクセサリーの場合は、耐久性を高めるために、厚みを持たせる工夫が施されています。
ビッカース硬さ(Hv) | ダイヤモンド製の圧子を使って素材に圧力を加え、そのへこみ具合から硬さを数値化する方法 |
様々な製品に使用されている
柔らかな24金は、加工が難しいものの、さまざまな製品に使われています。代表的なのはインゴットやコインで、どちらも資産運用や投資の目的で用いられます。
インゴットは金を溶かし、型に流して固めたものです。そのまま保管したり、取引に利用されています。一方、コインは芸術性の高いデザインが評価されています。
主な24金製品 | ジュエリー・アクセサリー / 純金コイン / 金メッキ電子部品 / 歯科用金合金 / 金箔・工芸品 / 仏具 |
24金が黒ずむのはなぜ? 変色の原因とは
まず前提として、24金は純度が高く変色しにくい金属として知られています。そのため「くすみ」の主な原因は、24金そのものに変化が起こるのではないケースが多いです。
変色を招く4つの原因
金の変色にはさまざまな要因があります。純度99.9%以上の24金でもわずかな不純物が含まれ、10金や18金ほどではないものの、他の金属と空気中の成分が反応して赤みや黒ずみが出ることがあります。
また、皮脂や汗が表面にたまると光沢が鈍り、高温多湿の場所での保管は劣化を早めます。塩素は変色や表面の傷みを引き起こすため、洗剤を使うときは外すのが安全です。
変色する原因 | 酸化 / 皮脂・汗・化粧品 / 高温多湿な環境 / 塩素の影響 |
GFやGPが刻印に表記されている
「24金製」とされる品物の中には、「K24GF」や「K24GP」といった刻印が見られることがあります。これらはそれぞれ金張りや金メッキ加工を意味します。
見た目から24金製と誤解されやすいですが、あくまで表面に24金が施された加工品であり、厳密には純金ではありません。
金の層は経年や摩擦によってすり減り、内側の金属が露出してくすんで見えることもあります。見た目が金色であっても、素材の構造や価値は純金とは異なると認識しておきましょう。
GF | Gold Filled | 金張り | 厚みがある |
GP | Gold Plated | 金メッキ | 非常に薄い |
実は24金ではない
一見すると24金に見えるものの、実際には純度の異なる22金や18金である可能性も考えられます。こうした金は純度が下がる分、ほかの金属が加えられているため、変色や黒ずみの原因になることがあります。
たとえば、22金は純度約91.7%、18金は約75%で、残りは銀や銅、パラジウムなどが含まれます。これらの金属は空気や汗、水分に反応して酸化しやすく、表面にくすみが生じることも少なくありません。
純度は製品の刻印で確認できるため、購入時やメンテナンスの際にチェックすればリスクを避けられます。
24金の磨き方・お手入れ方法
24金製品が変色した場合の磨き方やお手入れ方法には、いくつかのポイントがあります。では、美しい輝きを取り戻すには、どのような方法が効果的なのでしょうか。
酢やレモン汁に浸す
金製品の変色には、銅の酸化が原因となることがあります。この場合、酢やレモン汁を使ったお手入れ法が効果的です。手順はシンプルで、酢やレモン汁を入れた容器に金製品を数分間浸すだけです。
ただし、金メッキが剥がれている場合は、この方法で状態が悪化する可能性もあるため注意が必要です。効果が見られないなら、すぐに水で洗い流し、柔らかい布で優しく水分を拭き取ってください。
重曹水につけ置きする
金に含まれる銀が空気中の硫黄成分や皮脂と反応すると、変色が起こりやすくなります。こうした場合、重曹水を使ったお手入れが効果的です。
まず、アルミホイルを敷いた容器に重曹を適量入れ、熱湯を注いでよく溶かします。できあがった重曹水に金製品を数分間つけ置きするだけで、硫化による黒ずみが徐々に改善されます。
ただし、金メッキが剥がれている部分の変色は元に戻せないため注意してください。使用後はやさしく水洗いし、乾いた布で丁寧に拭き取るとよいでしょう。
中性洗剤を入れたぬるま湯につけ置きする
皮脂汚れを落とすには、中性洗剤を使ったぬるま湯でのつけ置きがおすすめです。ぬるま湯に数滴の中性洗剤を加え、金製品を約30分浸すことで汚れを取りやすくなります。
細かい部分は柔らかい筆や布で優しくこすりましょう。最後に水でよくすすぎ、柔らかい布で水分を拭き取ってください。家庭にある洗剤で、簡単にできる点もおすすめです。
金製品専用クロスで磨く
ダイヤモンドやルビーなどの宝石がついている場合は、水分を使った洗浄が宝石の劣化を招くことがあるため注意が必要です。そのため、金製品専用のクロスを使いましょう。
専用クロスは柔らかい素材でできており、優しく磨くだけで金の輝きを取り戻せます。力を入れすぎず丁寧に扱うことで、ジュエリーを傷つけることなく安全にお手入れができます。
プロに相談する
金製品の変色や黒ずみが、塩素系漂白剤の影響で生じた場合、自宅でのケアは難しいことが多いです。このようなときは、ジュエリーショップや専門業者に相談することをおすすめします。
専門家は適切な知識と技術を持ち、超音波洗浄機などの専用設備を使って丁寧にクリーニングを行います。軽度の変色は早めにケアすれば改善が見込めるため、自分で対処せずプロに任せたほうが安心でしょう。
24金の変色・黒ずみを元に戻す際の注意点
金の輝きを取り戻そうとお手入れを試みる際、自己流で対処すると、かえって状態を悪くしてしまいます。後悔しないケアを行うために、事前に気をつけたい点を押さえておきましょう。
硬い布や研磨剤の入ったクロスは使用しない
24金は純度が高いため柔らかく、ちょっとした刺激でも傷がつきやすい性質です。変色や黒ずみを落とそうとして、硬い布や研磨剤入りのクロスを使用すると、かえって表面を傷つけてしまうおそれがあります。
特にメッキ加工が施された製品では、コーティングがはがれて変色が進行する原因にもなりかねません。お手入れの際は、薬剤を含まない柔らかい布で優しく拭き取るようにしましょう。
歯ブラシや歯磨き粉は使用しない
金製品のケアに歯ブラシや歯磨き粉を使うのは避けた方が無難です。一般的な歯ブラシは毛先が硬く、金の表面を擦ってしまい、細かい傷をつけてしまうかもしれません。
また、歯磨き粉に含まれる研磨成分も金属の表面を削る原因となり、輝きを損なうおそれがあります。24金のように柔らかい素材では、ダメージが目立ちやすくなります。
細かい部分の汚れを落としたい場合は、毛先の柔らかいブラシや筆を使い、優しく取り除くよう心がけましょう。
純度に応じたお手入れを行う
素材の純度や加工の有無によって、お手入れ方法に違いが生じます。たとえば、24金は純度が高く柔らかいため、わずかな刺激でも傷がつきやすいです。これに対し、10金や18金は合金として強度があり、多少の摩擦には比較的耐性があります。
また、同じ金製品でも純金製のものとメッキ加工されたものでは、扱い方に注意すべき点が異なります。それぞれの特性を理解し、よりふさわしいケアを意識するとよいでしょう。
24金の変色・黒ずみの予防策
使用環境や保管状況によっては、24金であっても表面がくすんだり黒ずむことがあります。では、輝きを損なわず美しさを保つためには、どのようなどんなケアが効果的なのでしょうか。
使用後は柔らかい布で拭く
24金製品は変色しにくいとされていますが、皮脂や汗、化粧品の成分が表面に残ったままになると、くすみが生じることもあります。使用後は、表面についた汚れを放置せず、すぐに柔らかい布で優しく拭き取りましょう。
繊維が粗い布やティッシュペーパーは、金の表面に細かな傷をつけてしまいます。やむを得ずティッシュを使う場合は、軽くはたいてほこりを落としてから使用してください。日々のこうした丁寧なケアが、本来の美しさを守ることにつながります。
温泉・入浴時などは外す
金製品は、温泉や入浴時には外すことをおすすめします。温泉に含まれる硫黄成分や入浴中の湿気が金属の表面に影響を与え、変色や黒ずみの原因となるからです。
また、長時間水分に触れることで酸化が進み、輝きが損なわれるかもしれません。純度が低い合金やメッキ製品は水に弱いため、入浴や水仕事の際は必ず外す習慣をつけるとよいでしょう。
万が一濡れてしまった場合は、柔らかい布で優しく水分を拭き取り、しっかり乾燥させてください。
高温多湿を避ける
湿気が多い場所に長時間置くと、金属の表面がくすみやすくなり、変色が進行しやすくなるため注意が必要です。中でも夏場や湿度の高い季節は、風通しのよい涼しい場所での保管を心がけてください。
また、急激な温度変化も金製品に負担をかけるため、室温が安定した場所に保管することが望ましいです。
密閉空間で保管する
24金は空気中の成分と反応しやすく、酸化によって変色が進むことがあります。そのため美しい状態で保つために、密閉できる容器や袋で保管してください。最近はチャック付きの密閉袋など、手軽なケア用品も多く販売されています。
ただし、ビニール袋や革製のケースは、微量の硫黄成分を含むことがあり、長期間保管すると硫化ガスが発生して変色の原因となりかねません。使用時は定期的に開けて、換気することが望ましいでしょう。
1つずつ分けてアクセサリーを保管する
衝撃や擦れに弱い24金製品は、傷や変形が生じやすい繊細な素材です。他のアクセサリーと接触することで、黒ずみや歪みが起こることもあるため、一つずつ分けて収納するようにしましょう。
仕切りのあるケースを使えば、アクセサリー同士が触れ合うのを防げるうえ、形状の維持にも効果的です。旅行などで持ち運ぶときには、柔らかい布やポーチに包んで保護すると、衝撃によるリスクを避けやすくなります。
24金を高く売る方法
金の相場が高まっている今、24金を売却するなら少しでも良い条件で手放したいものです。多少のくすみや変色があっても買い取ってもらえる場合が多いですが、状態や売り方によって査定額に差が出ることもあります。
事前に押さえておきたいポイントを確認し、納得のいく価格で売却しましょう。
綺麗な状態で買取に出す
24金をより高く売却するには、見た目の印象も重要なポイントになります。査定では主に純度や重量が重視されますが、汚れが目立つ状態では、評価に影響が出ることも少なくありません。
査定担当者に良い印象を与えるためにも、柔らかい布などでやさしく表面の汚れを拭き取っておきましょう。
磨くなら決して力を入れすぎず、金を傷つけないように注意してください。無理に汚れを落とそうとすると、かえって表面を傷めることにつながります。
付属品を揃えておく
金製品を売る際、購入時の箱や鑑定書などの付属品を揃えておくことは査定額アップにつながります。付属品が揃っていると再販時の信頼性が増すため、多くの買取店が査定の際に重視しています。
普段は処分しがちなこれらのアイテムですが、売却の可能性がある場合は丁寧に保管しておくことをおすすめします。こうした準備が、査定額に良い影響を与えてくれるでしょう。
金の相場を見て買取に出す
金の買取価格は常に変動しており、相場の動向を把握することが高値で売るための鍵となります。2025年6月現在、世界経済の不安定さや市場の影響により、金の価値は依然として高水準を維持しています。
純度の高い24金は、おおよそ1グラムあたり約16,000〜17,000円前後で取引されることが多い状況です。ただし、相場を過度に気にするあまり、売却のタイミングを逃すことがないよう注意してください。
適切な時期を見極めつつ、計画的に手続きを進めることが望ましいでしょう。
金の平均買取価格 | 17,012 円 / g (2025年6月) |
まとめ
金の価値を保つには、見た目の美しさだけでなく、将来的な資産価値も意識することが大切です。
24金は変色しにくいものの、黒ずみやくすみが生じることがあります。その原因を理解し、適切な手入れと保管を行えば、輝きを長く保てます。その価値を維持するためにも、日々のケアを心がけましょう。