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純金積立とは?
純金積立は、決まった金額を毎月お支払いをしながら、金を継続的に購入する投資方法です。1,000円から3,000円ほどの金額から積立を始められることが多く、投資初心者の方にも始めやすいサービスです。
購入方法は、「定額積立」と「定量積立」の2種類があります。
定額積立は金を定額購入する方法で、金価格の変動に合わせて金の量を調整します。いわゆる「ドルコスト平均法」により、価格が安いときは金を多く購入でき、高いときは少なくなるのです。日々変動する金価格に応じて、リスクを軽減できます。
一方、定量積立は、定期的に同じ量だけ金を買うことができます。「3年後には50gの金を取得する」というように、将来の見通しを立てながら計画的に購入できる点が魅力的です。しかし、支払額が金価格の変動に左右されやすいという懸念点があります。
純金積立は証券会社などで受けることができます。運用会社によってサービス内容や手数料が異なるため、自分に合った会社で積立を行いましょう。
実際に純金積立しておけば儲かった?
結論から申し上げますと、純金積立は、長期的に行うと儲かる可能性があります。
実際に、2020年6月から2025年5月まで、毎月1万円(60回分)の定額積立を行ったときのシミュレーションをしてみました。
売却日は2025年5月13日で、金の買取相場は1グラムあたり16,866円です。また、60万円分の積立で得た金の量は、およそ66グラムです。
以上の条件をもとに現金化を行うと、購入額60万円の約1.8倍である110万円となり、およそ50万円ほどの利益が得られる結果となりました。
金価格は、コロナウイルスやウクライナ戦争などの経済的不安から高騰が続いています。2020年の金の買取平均価格はおよそ6,600円でしたが、2025年は5月13日時点でおよそ16,000円程度と2.5倍近くも上がっています。
毎月、決められた金額で投資を行うと、気づかぬうちに儲けが出て、長期的に行うほど実感できるでしょう。逆に、短期的な純金積立は、定額積立をしても実際の金の量が少ないため、損失となる恐れがあります。
純金積立は今後も安定?
純金積立は金相場の影響を受けますが、今後も安定して積み立てることができるのでしょうか。純金積立の将来性について見てみましょう。
長期的に安定して推移する
高騰を続けている金の価格ですが、下落する可能性も否定できません。しかし、金は他の貴金属よりも値動きの幅が小さく、安定した推移を示します。
金は世界中で価値が認められており、有事の際や景気変動にも強いという特長があります。どこかしらで一定の需要が求められているため、価格が大きくぶれないのです。そのため、純金積立は、長期で行うほど安定した資産運用を続けられると考えられています。
相場によって購入調整ができるため、リスクを軽減しながら投資を行えるのも魅力的です。
積立を行う会社が選びが重要
純金積立は証券会社や銀行などさまざまな場所で取り扱っていますが、社会的な信頼性や将来性が見込める会社を選ぶことが重要となります。万が一、純金積立の運営会社が倒産してしまうと金が手元に戻らない可能性もあります。
運用会社のブランド力やセキュリティ対策、初心者に安心した積立が保証されているなど、公式サイトで得られる情報から比較し、納得のいく資産運用が実現できる会社を選びましょう。
金相場の変動要因
金相場は毎日、上昇と下落を繰り返して変動していますが、その要因は一体どういうものでしょうか。主に以下の3つと考えられています。
経済・社会情勢
世界各地で起こる社会情勢や経済情勢は、金の価格を大きく左右します。
例えば、2020年ごろに発生したコロナショックは、世界的な経済の停滞や社会不安を煽りました。それにより、安定資産である金の購入が活発となり、金価格は上昇しました。
また、2023年2月末から続いているウクライナ戦争や10月に始まったパレスチナ・ガザ地区での戦争も、金価格高騰の要因となっています。
過去の歴史を見ても、経済や社会の大きな転換点で、金価格は大きな影響を受けていることがわかります。
為替相場
国際市場における金相場は、アメリカのドル建て金価格で取引されています。
単純に、米ドルの信用が高まると金の価格は下がり、逆であれば金の価格は上がります。つまり、アメリカ経済の動向が金相場に大きな影響を与えているのです。
米ドルをベースとしている金価格は、為替相場などに応じて、各国の通貨へと換算されます。例えば、2025年現在の日本の為替は「円安ドル高」傾向ですが、政策によって円高ドル安となれば、金の価格は下がるということになります。アメリカ経済との関係によって変化するといっても過言ではないのです。
政策金利
各国の中央銀行による政策金利も金相場に影響を与えます。
政策金利が引き上げられた場合、株や債券の値上がりした利益(インカムゲイン)を得られるため、金の価格は下落します。逆に引き下げられた場合は、モノとしての価値がある金の需要が増えるため、価格が上昇傾向となるのです。
金利が上昇局面となったときは、金価格の動向をよく見ておきましょう。
20年後の純金積立の予測
近年、金相場は急激に高騰しています。
2020年の金の買取相場は6,000円程度でしたが、2023年には10,000円を突破し、2025年は17,000円前後と、5年近くで約2.8倍の価格となっています。
「この調子で20年後も上昇するから、純金積立は儲かります」と言いたいところですが、「金価格はこのように変わる」と断言することはできません。経済情勢の安定化や供給量が改善した場合、金価格が下落に転じることも考えられるからです。
しかし、戦争や金融危機など、過去の歴史から世界規模で衝撃を受けた出来事は「金の価格を大きく上昇させた」という事実があります。それはつまり、20年後の未来で社会がどのように変化しても「強い」資産である、ということです。
資産を守るためにも、長期的に純金積立する意味は大いにあるでしょう。
純金積立のメリット・デメリット
純金積立には多くのメリットがありますが、同時に欠点もあります。2つの側面を知ったうえで、純金積立の実施を検討しましょう。
純金積立のメリット
純金積立におけるメリットは、何よりも金という資産の「信頼性」です。
株や債券などは、デフレのようにモノの価値が下がると下落してしまいます。一方で、金は全世界で共通の価値があるため、景気がどのような状況であっても値動きが小さく、安定した価値があります。つまり、一国の経済が不況下であろうと動じないのです。
日本ではインフレが続いていますが、金は通貨ではなく「モノ」としての価値があるため、価格高騰が続いています。そういう意味でも、現物資産として純金積立を行うことは大きなメリットといえるでしょう。
純金積立のデメリット
純金積立に限らずですが、金の投資は他の金融商品と比べると手数料が高く、そこをネックに感じる方が多いようです。また、株や債券のように配当金や利息が得られない部分も、純金積立を躊躇してしまう点となっています。
金は現物資産であるため、金相場が上がったタイミングで現金化することが大事です。売却前によく確認しておきましょう。
純金積立で失敗しないためのポイント
純金積立を賢く行うには、どのような点に気をつけるべきでしょうか。失敗を防ぐポイントについて、3つご紹介します。
信頼できる会社やサービスを選ぶ
純金積立は長期的に継続して資産を保管するため、セキュリティ面の安全性や社会的信頼性の高い運用会社を選ぶことが重要となります。
初心者にも安心できるサービスの豊富さは、会社によって変わるため、気になった会社をリストアップして比較するのがおすすめです。設立されてからの年数や会社のブランド力を参考にするとよいでしょう。
手数料の安い会社を選ぶ
純金積立の手数料は、年会費、口座開設費、購入手数料、売却手数料など、さまざまな費用が発生します。
購入した金を現金化する際、多くの手数料が発生してしまうとせっかくの利益が減ってしまいます。運用会社によって異なりますので、サービス面とコストのバランスを見極めたうえで、できる限り手数料が安い会社を選びましょう。
複数の会社を比較検討するのがおすすめです。
金の相場を確認して投資する
もし、純金積立を今から始めようとしている方は、踏みとどまったほうがよいかもしれません。
金は買取価格だけでなく、小売価格も高騰しています。2020年の金の小売価格は1グラムあたり6,000円程度でしたが、2025年5月現在は17,000円程度です。
つまり、毎月10,000円を支払ったとしても、純金積立で得られる金の量は5年前と比べて少ない状況となります。
金の価格推移をチェックし、安くなったタイミングから純金積立を始めるとよいでしょう。
まとめ
純金積立は長期的に行うほど多くの利益が得られる投資方法であり、金という安全資産としての側面から、資産を守ることにもつながります。毎月1,000円から3,000円程度の少額から始めることができるため、投資初心者にも始めやすい点が魅力的といえるでしょう。
しかし、運用会社によって手数料やサービスの充実性などが異なります。会社の設立年数をはじめ、社会的な信頼性や安全性が保証されているかチェックし、安心して積立できる会社を選びましょう。