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金750(Au750)とは?
金製品に刻印された「750」や「Au750」は、金の純度を示すものです。
特に海外製の金製品では、このような表記がよく見られるため、珍しく感じる方もいるかもしれません。ここでは「750」の意味や金製品に刻印が施される理由について詳しく解説します。
K18(18金)を表す刻印
750という刻印は、日本でよく見かけるK18と同じ純度を表しています。
K18は金の割合を24分率(18/24)で表しているため、純度は75%になります。一方で、750は金の割合を1000分率(750/1000)で表しているため、こちらも75%の純度を意味します。ちなみに、残りの25%はほかの金属が混ざっています。
このように、金の純度を示す刻印には、24分率だけでなく1000分率で表されるものもあります。
イタリアなどの海外では750の刻印が多い
イタリアなどの海外の金製品には、750の刻印が多く見られます。
カルティエやティファニーといった高級ジュエリーブランドでも、1000分率表記を採用しており、純度が75%の場合は750と刻印されます。
このように国によって表記が異なる理由は、刻印の統一と義務化がされていないことが原因です。
例えば、イタリア製の金製品には、星のマークや数字、金属の種類などで構成された刻印がよく見られます。
金製品に刻印がされている理由
金製品に刻印が施される理由は、品質を保証し、偽造を防止するためです。
刻印は、製品の詳しい情報を消費者に伝える役割があります。金の純度や製造業者、重量などの基本的な情報に加え、固有のシリアルナンバーが記載されていることもあります。
また、品質の低い製品の流通や盗難防止の観点から、イギリスやフランスでは金製品に刻印を施すことが法律で義務付けられています。これらの国々では、品質管理と消費者保護を目的としています。
一方、日本には金製品に刻印を施す法的義務はありませんが、後述するホールマークが入っている金製品であれば、信用度が高いと言えるでしょう。
金の刻印の種類
金製品の刻印はさまざまな種類があります。
純度だけではなく、カラーやメッキを意味するもの、さらに、造幣局など信頼できる機関のお墨付きを表す証などがあります。ここでは、これらについて詳しく解説します。
純度を表す刻印
日本では、金の純度を表す際、一般的に24分率が採用されています。
金の純度に応じた数字と、単位の「K(カラット)」を使用します。例えば、純金では「K24」という刻印が施されます。詳しくは、以下の表をご覧ください。
刻印 | 純度 |
---|---|
K24 | 約100% |
K22 | 91.6% |
K18 | 75% |
K14 | 58.5% |
K10 | 41.6% |
また、「18K」などのように、数字の後に「K」がついた刻印も存在します。
これは「アトK」と呼ばれるもので、日本以外のアジア諸国の金製品に見られる刻印です。アトKの刻印がついた製品は、純度を偽装しているケースもあり、買取対象外としている業者もあるため、注意が必要です。
カラーを表す刻印
金にほかの金属を混ぜることで、金の色味を変えることができます。ジュエリー店などでは、このような金はカラーゴールドと呼ばれています。
混ぜる金属の割合によって色味が異なり、種類も多く存在しますが、イエローゴールド(YG)、ピンクゴールド(PG)、ホワイトゴールド(WG)が代表的です。
それぞれのカラーごとの含有金属の割合や特徴、用途は以下のとおりです。なお、金属の割合は一例です。業者や店舗によって、割合が異なることがあります。
カラー | 含有金属割合 (K18の場合) |
特徴 | 用途 |
---|---|---|---|
イエローゴールド(YG) | 銀15% 銅10% パラジウム0% |
・華やかな印象 ・金に近い色味 ・折り曲げにくい |
・アクセサリー ・結婚指輪 |
ピンクゴールド(PG) | 銀5% 銅18% パラジウム2% |
・柔らかい印象 ・強度が高い ・変色しやすい |
・女性向けアクセサリー ・男性向け腕時計 |
ホワイトゴールド(WG) | 銀15% 銅0% パラジウム10% |
・清楚な印象と輝き ・変色や変質に強い |
・アクセサリー ・時計 |
金製品に刻印される場合は、「K18PG」など、純度の後にカラーを示すアルファベットが続きます。今回の場合は、ピンクゴールド(Pink Gold)の頭文字「PG」が追加されています。
金メッキを表す刻印
金メッキの刻印は、金属や非金属の表面に薄い金の膜を施した製品に付けられます。一方、金張りメッキは金メッキよりも厚みのある金を圧着したもので、耐久性がより高いことが特徴です。
刻印にはさまざまな種類があり、それぞれの意味は以下のとおりです。
刻印 | 意味・特徴 |
---|---|
GP | Gold Platedの略称/金メッキ |
GF | Gold Filledの略称/金張り |
GR | Gold Rolledの略称/金張り |
GS | Gold Shelledの略称/金張り |
RGP | Rolled Gold Plateの略称/金張り |
GEP | Gold Electro Platedの略称/電気式金メッキ |
M・1M・3M・5M | ミクロン(Micron)の略称/メッキの厚さ |
1/10・1/20 | 単位(Micron)を省略した表記/メッキの厚さ |
例えば、「K18GP」の刻印が施されている場合、素材にK18の金メッキが施されていることを意味します。一方、「K18 3M」の場合は、素材にK18の金メッキが、3ミクロンの厚さで施されたものを意味します。
金ホールマークを表す刻印
ホールマークとは、貴金属製品が品位試験に合格したことを表す刻印です。
品位試験は、各国の信頼できる機関が、貴金属製品の製造・販売業者から依頼を受けて実施します。日本では、造幣局がこの試験を行っています。
そのため、金製品に刻まれたホールマークは、金の純度や品質に対する高い信頼性の証となります。
また、日本の造幣局によるホールマークには、日の丸の国旗とひし形のマークが描かれており、ひし形の中には金の純度が1000分率で刻印されています。
金以外の刻印の種類
金製品だけでなく、銀やプラチナ、パラジウムなど、ほかの貴金属にもさまざまな刻印があります。
ここでは、これらの貴金属の刻印について詳しく解説します。
銀の刻印
「SV」は、英語で銀を意味する「SILVER」の略称です。それぞれの純度については、以下の表をご確認ください。
刻印 | 純度 |
---|---|
SV1000・SV999 | 約100% |
SV950 | 95% |
SV925 | 92.5% |
SV900 | 90% |
プラチナの刻印
「Pt」とは、プラチナの元素記号を指します。それぞれの純度については、以下の表をご確認ください。
刻印 | 純度 |
---|---|
Pt999・Pt1000 | 約100% |
Pt950 | 95% |
Pt900 | 90% |
Pt850 | 85% |
Pt999などの純度が高いプラチナは非常に柔らかいため、アクセサリーやジュエリーよりも、インゴットやコインに使用されることが多いです。
海外の高級ジュエリーでは、国際基準であるPt950が使用されることが一般的ですが、日本ではPt900が主に使用されます。
パラジウムの刻印
「Pd」とは、パラジウムの元素記号です。それぞれの純度については、以下の表をご確認ください。
刻印 | 純度 |
---|---|
Pd999・Pd1000 | 約100% |
Pd950 | 95% |
Pd900 | 90% |
Pd500 | 50% |
パラジウムは、見た目や性質がプラチナに近い貴金属です。銀歯用の合金や排ガス触媒に使用されており、産業用金属としての需要が高い傾向にあります。
金750の刻印以外で偽物を見分ける方法
刻印以外にも、金の偽物と本物を手軽に見分ける方法がいくつかあります。主な方法は以下の4つです。
・重量の確認
・磁石での確認
・色味の確認
・剥離の有無の確認
これらについて、ここで詳しく解説します。
重量を確認する
金と偽物を見分ける方法の1つに、重量を確認する方法があります。
金は金属の中でも密度が高いため、ずっしりとした重さがあります。一方、金メッキは素材の表面に金をコーティングしたものなので、金よりも軽くなる傾向があります。
そのため、同じサイズのものを比較すれば、簡単に判別できます。
ピアスなどの小さなアクセサリーでは分かりづらいかもしれませんが、少し大きめの製品であれば、感覚的に違いを感じ取れるでしょう。
また、手での感覚では分からなくても、重量計を使えば違いをはっきりと確認できます。
磁石で確認する
磁石を使って手軽に金製品を判別する方法があります。
金は磁石に反応しないため、もし反応があれば、金メッキやほかの素材を使った偽物の可能性があります。ただし、この方法も万能ではありません。
磁石に反応するが本物のケース
金製品に使用される割金が磁石に反応する場合があります。使用されている金属が明記されていれば、本物であると言えます。
磁石に反応しないが偽物のケース
金のほかにも銀、銅、アルミニウムなど、磁石に反応しない金属はたくさん存在します。そのため、これらの金属に金メッキを施すと、偽物でも磁石に反応しない金製品になります。
このように、磁石を使った見分け方には欠点が多いため、あくまでも参考程度にとどめておきましょう。
色味を確認する
金製品に詳しい人は、色味だけで、ある程度の純度を見分けることができます。
純金は濃い黄色をしており、純度が低くなるにつれて明るい黄色に変わります。
色味だけで金の偽物を見分けるのは難しいですが、純度に対して明るい黄色の場合は、調べてみる価値があります。
ただし、金の保存状態や使用年数によって色味が変わることもあり、確実な方法とは言えません。もし色味に違和感を覚えた場合は、専門業者に相談することをおすすめします。
剥離の有無を確認する
金は金属の中でも柔らかい性質を持っているため、日常的な衝撃で傷がつくことがあります。
そのため、金メッキ製のジュエリーなどは、使用していくうちに傷がつき、徐々に金が剥がれていくことがあります。
本物の金であれば、表面が剥がれて色が変わることはありません。したがって、剥がれた時点で偽物と判断できます。
金750の買取価格を決める要因
純度に関係なく、金の買取価格を決定する要因として以下の2つが考えられます。
金そのものの価格
金は1グラムあたりの相場価格が日々変動しています。具体的には、円安になったり、世界情勢が不安定になったりすると、金の価格が高騰する場合があります。
この価格と金の含有率から、金製品の価格を算出できます。
例えば、金750の純度は75%なので、「金相場×金製品の重さ×0.75」という計算式から、大まかな価値を推測することが可能です。
デザイン性
ジュエリーなどの金製品は、金価格のほかにもデザイン性が考慮されます。独自のデザインやブランド価値が加味され、価格が決まります。
まとめ
今回は、金の刻印の「Au750」について解説しました。
日本国内の金製品は、一般的に24分率が使用されています。例えば、純度75%の金は、K18と表記されます。一方、海外では1000分率が多く使用されるため、「750」や「Au750」と刻印された製品も流通しています。
いずれにせよ、本物であれば高い価値がありますが、偽物も流通しているため、正しく見極めることが重要です。
本記事で紹介した方法を用いれば、ある程度の判別は可能ですが、正確な判断を希望する場合は、実績のある買取専門店などに査定してもらうことをおすすめします。