目次
金の単位とは?

金は世界中で価値を認められている資産のひとつです。その取引や価格の表示には、独自の単位が用いられています。あらかじめ知っておけば、金に関する情報もわかりやすくなるでしょう。
金の重さを表す単位「オンス」
金の売買では、重さが価値を左右する役割を担っています。その際によく使われるのが、「トロイオンス(troy ounce)」という単位です。
表記は「oz」とされ、金や銀などの貴金属、さらには宝石の重さにも用いられています。ただし、「オンス」という言葉にはいくつか種類があります。
日用品に使われる一般的な単位の「常用オンス」や、液体の量を示す「液量オンス」などとは基準が異なります。
金の純度を表す単位「カラット」「パーミル」
金の価値を決める、重要な指標の一つが純度です。単位にはカラットとパーミルがあり、それぞれ異なる方法で金の含有率を表します。
「カラット(K、kt)」は24分率で示し、24カラットが100%の割合となります。また、宝石の重さを表す「ct」とは区別されます。
一方、「パーミル(0/00)」は1000分率を使い、通常は950や999など数字だけが刻印されます。これらの単位は金の品質表示で欠かせない基準となっています。
「オンス」の3つの種類

「オンス」は重さを表す単位ですが、実際には用途によってその基準が異なります。流通や取引の現場では、3つの異なる種類のオンスが使い分けられています。これらの違いを把握すれば、より正確な理解につながります。
常用オンス(avoirdupois ounce)
常用オンスは、アメリカやイギリスなどの非メートル圏で使用される単位で、約28.35グラムに相当します。食品や日用品の計量に広く用いられており、食材の分量表示で見かけることが多く、一般的に「oz」と表記されている単位です。
また、1ポンドは12オンス(約453.6グラム)で構成されており、扱いやすい単位として定着しています。イギリスのオンス(帝国オンス)とほぼ同じですが、厳密には若干の差があります。
液量オンス(fluid ounce)
液量オンスは、液体の容量を表す単位です。食品や飲料の容器、薬液の計量などに用いられ、主に海外で使用されています。
イギリスには「英液量オンス(約28.41ミリリットル)」がありますが、国際的にはアメリカ式の「米液量オンス(約29.57ミリリットル)」が主流です。数値が近いため混同しやすく、どちらの規格かを確認する必要があります。
トロイオンス(troy ounce)
トロイオンスは、金や銀などの貴金属の重さを表す、世界で標準的な単位です。金融・貴金属マーケットでは、「oz」や「オンス」と略称されることが多く、こちらが一般的です。
1トロイオンスは約31グラムなため、約28グラムの常用オンスと混同しやすく注意が必要です。この名称は中世のトロイ市に由来し、貴金属の取引で広く使われています。
| 単位記号 | 重さ | 用途 | |
| 常用オンス | oz | 28.3495 g | 一般的な物品 |
| 液量オンス(米) | fl oz | 29.5735 mL | 液体の体積 |
| トロイオンス | troy oz・toz | 31.1035 g | 貴金属の重さ |
金1オンスは何グラム?

金の重さは「オンス」で表されることが多く、国際的な取引ではトロイオンスが用いられます。日常生活では浸透していないこの単位が、日本で一般的なグラムに換算すると、どのくらいの重さになるのでしょうか。
金1トロイオンスのグラム
金の重さを表す単位としてよく用いられる「1オンス」は、正確にはトロイオンスと呼ばれ、1トロイオンスは31.1035グラムに相当します。
金貨の重量表示では、この単位が基準となっており、1/2オンスや1/4オンスといった表記もよく見られます。
たとえば1/2オンスなら約15.55グラム、1/4オンスは約7.78グラムとなり、計算式も単純です。目安として「1オンス=約31グラム」と覚えておくと、重さの換算がしやすくなるでしょう。
| 1 トロイオンス(oz) | 31.1035 グラム(g) |
金貨のサイズ別の重さ
金の重さとトロイオンスの関係を把握しやすくするために、金貨の一般的なサイズと重さを一覧にまとめました。基準としたのは純度99.99%、いわゆる24金です。
重さは小数点以下第2位で切り捨てています。実際の数値を見ることで、グラム換算の感覚もつかみやすくなるでしょう。
| サイズ(オンス) | 重さ(g) | 特徴・用途 |
| 1 | 約 31.1 | 国際的な標準サイズ |
| 1/2 | 約 15.5 | 保管や分割売却に適している |
| 1/4 | 約 7.7 | 贈答用にも選ばれる |
| 1/5 | 約 6.2 | 記念金貨として流通 |
| 1/10 | 約 3.1 | 初心者向けや小口投資に人気 |
| 1/20 | 約 1.5 | コレクション性が高い |
| 1/25 | 約 1.2 | 記念金貨などで見られる |
金の単位で「オンス」が使用されている理由

金の重さを示す単位として「オンス」が用いられるのは、中世ヨーロッパの交易に端を発します。そして、フランス東部の都市トロワは、商業の中心地として栄え、多くの商人が金貨や銀貨の売買を行っていました。
オンス単位の誕生と背景
さまざまな国から異なる規格の貨幣が持ち込まれる中で、取引の公平性を保つために基準の統一が求められます。そこで生まれたのが「トロイオンス」です。のちに、金や銀など貴金属専用の単位として国際的に定着しました。
現在では、金地金や金貨の表記にもこの単位が使われています。日本ではグラム表記が一般的なため、馴染みが薄いかもしれませんが、世界の相場や市場では今も基準として活用されています。
金1オンスの価値と相場

金1オンスの価値や相場は、世界の経済動向や市場の需給バランスによって大きく変動します。投資や資産運用において重要な指標となるため、その動きを理解しておく必要があります。
金1オンスの価値
資産価値が下がりにくいとされる金は、世界中で継続的に取引されています。1オンスの金も、その希少性と高純度によって非常に高い価値を認められています。
際立って重要なのは、24金のトロイオンスが国際基準となっている点です。金はインフレへの備えや資産保全の手段としての役割も持ち、長期的に安定した評価を受けています。
金1オンスの相場
2025年の金相場は、地政学リスクやインフレ懸念、通貨の変動を背景に上昇傾向にあります。
国際的な指標のひとつである「ロンドン貴金属市場協会(LBMA)」の価格は、2025年5月に1トロイオンス約3,357ドルで過去最高を更新しました。
この価格の上昇は、投資家や中央銀行による金の需要増加が背景にあると考えられています。日本国内の相場も、為替や世界情勢の動向によって常に変動しています。
ウィーン金貨・メイプルリーフ金貨

金貨は、サイズや種類により価値が変わります。投資対象としても注目され、資産を守るうえで重要な役割を果たしています。代表的なものとしては、「ウィーン金貨」や「メイプルリーフ金貨」です。
ウィーン金貨は優雅なデザインで知られ、伝統的な美しさを感じさせます。直径が大きめで厚さはやや薄め、1オンスだと直径約37ミリメートル、厚さ約2.0ミリメートルです。
一方、メイプルリーフ金貨は純度99.99%と高い品質で、直径はやや小さめで厚みがやや厚く、1オンスなら直径約30ミリメートル、厚さ約2.8ミリメートルです。
現在の相場では、どちらもほぼ同価格で取引されています。
| オンス(oz) | 価格(円) |
| 1 | 約 470,000 |
| 1/2 | 約 235,000 |
| 1/4 | 約 118,000 |
| 1/10 | 約 47,000 |
※価格は2025年5月時点の国際相場および為替レートを基に換算した目安です。実際の取引価格は、取扱店や金貨の状態などにより異なる場合があります。
プラチナメイプルリーフコイン・イーグルコイン

「プラチナメイプルリーフコイン」は、カナダ王室造幣局が発行する純度99.95%以上のプラチナ製コインです。表面にはエリザベス2世の肖像、裏面にはカエデの葉があしらわれています。カナダ政府による保証がある点も安心材料です。
一方、「イーグルコイン」はアメリカ合衆国造幣局が手がける金貨で、自由の女神と白頭鷲のモチーフが象徴的です。純度は91.67%で、発行開始は1986年です。
どちらも投資用としてはもちろん、収集の対象としても高い人気があります。
| オンス(oz) | プラチナメイプルリーフ(円) | イーグルコイン(円) |
| 1 | 約 143,000 | 約 374,000 |
| 1/2 | 約 71,000 | 約 187,000 |
| 1/4 | 約 34,000 | 約 93,000 |
| 1/10 | 約 14,000 | 約 37,000 |
※価格は2025年5月時点の国際相場および為替レートを基に換算した目安です。実際の取引価格は、取扱店や金貨の状態などにより異なる場合があります。
金1オンスあたりの価値の変動要因

金1オンスの価格は、安定しているように見えて実は日々変動しています。その背後には、国際的な経済情勢や金融政策、為替レートの変化など、さまざまな要素が複雑に関係しています。
世界情勢・経済状況
金は「有事の金」として知られ、その価格は不安定な世界情勢や経済危機が起こると急騰しやすい特徴があります。
国際的な緊張や紛争が起こると、安全資産としての金が注目され、価格が上昇することが少なくありません。また、経済の先行きが不透明になる局面では、投資家がリスク回避のために金を選ぶ傾向が強まります。
さらに、各国の金融政策や金利の動向も価値に影響を及ぼします。こうした複合的な要素が、日々の金価格に大きく影響しています。
為替相場
金は主に米ドルで取引されるため、為替相場の動きによっても大きく影響を受けます。ドルの価値が下がると、相対的に金が安く感じられ、購入需要が高まる傾向があります。
これにより、金の価格が上昇しやすくなるのです。また、日本国内においては、円の為替レートも重要な役割を果たします。
円安が進むと、ドル建ての金価格がそのままでも、円換算での価格が上がるため、投資家にとっては影響が大きいといえます。
インフレ・金利動向
物価が上昇すると、現金の購買力が低下するため、価値の保存手段として金が選ばれることがあります。こうした局面では、金への関心が高まり、価格が上昇しやすくなります。
反対に、金利が上昇すると、利息を生む金融資産の魅力が増し、金の保有メリットが相対的に薄れる場合があります。その結果、金に対する需要が減少し、価格が下がることもあるのです。
このように、インフレ率や金利水準の変化は、金市場に敏感に反映されるため、常に注視する必要があります。
需給のバランス
金は投資対象としてだけでなく、宝飾品や電子機器などの製造にも使われており、こうした実需が全体の需要を下支えしています。一方で、供給面では鉱山からの産出量やリサイクルによる回収量が影響を及ぼします。
また、各国の中央銀行による金の保有状況や買い入れ動向も、市場に与えるインパクトは小さくありません。需要が供給を上回れば価格は上がりやすくなり、逆に供給過多の状況では価格が下がる可能性が高まります。
金のオンスに関する注意点

金の取引では「オンス」という単位が使われますが、他の単位と異なる特徴があります。取引の際にトラブルを避けるためにも、基本的な知識をしっかり確認し、注意して扱うことが求められます。
金の含有率や重さで価値が変動する
金の価値は含有率と重さで決まります。純度の高い24金(K24)は、含有率99.99%以上で、そのオンス数に基づき価格が算出されます。18金(K18)や10金(K10)は含有率が低いため、同じオンス数でも価値は異なります。
また、金メッキや金張りが施された製品は、純粋な金としての価値が認められない場合が多いです。もしも「K24GP」や「K18GF」といった刻印がある場合は、メッキや張り加工を意味するため気をつけましょう。
種類ごとの重さで計算する
金の重さを正確に把握するには、単位の種類を理解することが欠かせません。一般的に「オンス」といっても、トロイオンスのほかに常用オンスや液量オンスがあり、それぞれの重さは異なります。
金取引で用いられるのはトロイオンスで、これを基準に計算しなければ誤差が生じます。単位を誤ると、グラム換算の結果が正確でなくなり、価値判断に影響を及ぼすため注意が必要です。
金買取でのポイントや注意点

金製品を売却するときには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。手元にある指輪やネックレス、金貨などを少しでも有利に売るために、査定前にチェックしておきましょう。
海外と金の取引単位が異なる
海外の金取引では、「1トロイオンスあたりのドル価格」が用いられています。対して、日本国内では「1グラムあたりの円価格」が一般的です。
どちらも同じ金相場を示していますが、単位や通貨が異なるため、数値に差が生じることがあります。取引や価格の比較を行う際には、1トロイオンスが約31.1グラムであることと、為替レートを考慮しましょう。
また、国内では1キログラム単位での表示が見られることもありますが、基本的にはグラム単位の価格から換算されている点は変わりません。この違いを理解しておくことで、より正確に金の価値を把握できます。
| 国際標準 | ドル建てトロイオンス(oz) |
| 日本国内 | 円建てグラム(g) |
相場の高い時期に買取に出す
金は比較的安定した資産として知られていますが、その価格は24時間常に変動しています。そのため、日頃から金の市場価格を確認し、動向を把握しておくと良いでしょう。
さらに、金は国際的には米ドル建てで取引されますが、日本国内では日本円に換算して価格が決まります。
したがって、金の含有率や重量だけでなく、為替相場にも注意を払う必要があります。特に円安の時期に売却すれば、より有利な価格で取引が期待できるため、タイミングを見極めれば、効率的に売却を進められます。
利益額によっては税金が発生する
金を売却した際、一定の利益が出ると税金がかかる場合があります。国税庁によると、金地金の売却益は譲渡所得として扱われ、他の所得と合算して課税されます。
ただし、年間の利益が50万円以下なら税金は発生しません。利益は売却額から購入費や経費を差し引いた額で計算します。また、所有期間が5年以上かどうかで税率が変わるため、売却前に確認しておくことが望ましいでしょう。
| 所有期間が5年以内 | 譲渡収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除(最高50万円) |
| 所有期間が5年を超える | 〔譲渡収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除(最高50万円)〕× 1/2 |
買取時は本人確認書類が必要
金を買取業者に持ち込む際は、本人確認書類の提示が法律で義務づけられています。提示が求められない場合は、適正な営業許可を得ていない可能性もあるため、注意したほうがいいでしょう。
一般的には、運転免許証(または運転経歴証明書)やパスポート、健康保険証などが本人確認書類として用いられます。1点の提示で認められるのか、それとも複数の書類が必要かは、事前に確認しておくことをおすすめします。
なお、取引金額が200万円を超える場合には、確認が厳格化され、マイナンバーカードの提示を求められることもあります。また、もしも代理人が売却するなら、委任状と代理人自身の本人確認書類が必要になります。
| 単独で有効 |
運転免許証(運転経歴証明書) / マイナンバーカード / 住民基本台帳カード / 特別永住者証明書 / 身体障害者手帳 / パスポート ※新型は除外 |
| 併用で有効 | 健康保険証 / 健康保険証 / 年金手帳住民票 / 戸籍謄本 / 印鑑登録証明書 / 国税・地方税の領収書 / 納税証明書 / 公共料金の領収書(電気・ガス・水道など) |
信頼できる買取店を探す
売却先としてふさわしい買取店かどうかは、安心して取引できるかを基準に見極めましょう。
専門の鑑定士が常駐しているか、店舗の実績や評判などを確認すると安心です。また、複数の業者に見積もりを依頼し、提示された買取価格や手数料の内容を比較することもおすすめです。
手数料は業者ごとに異なり、金額の一部が差し引かれる場合もあります。見積もりの明細や金の単価を明示してくれるかどうかも、信頼性を見極めるポイントです。即断せず、納得のいく条件で取引を進めましょう。
まとめ
金の価格や重さを正しく理解するためには、「オンス」という単位の意味を知っておくことが欠かせません。基準となるこの重さを押さえておけば、相場や取引の際にも役立ちます。
正確な知識を持つことで、金に関する判断にも自信が持てるようになるはずです。


