金の純度
金の純度=金の含有率です。たとえば、ジュエリーに使われる金には、金と別の金属を混ぜたものを使用するのが一般的です。そしてこの混合物においてどれだけの金(純金)が含まれているのかという情報が金の「純度」なのです。
純度100%の金のみを使ったものを「純金製」と言いますが、多くの金製品は、「純金製」ではありません。だからこそ、金製品に刻まれた刻印から「どの程度金が含まれているのか?」を調べ、その価値を見定めます。
金の性質
身近なゴールドジュエリーをチェックしてみると、「K18」「K14」といった刻印のアイテムが多いことがわかります。なぜ「K24」の純金ではなく、純度を下げた合金を使用するのか?と、不思議に思う方も多いのではないでしょうか。その理由は、純金の特性にあります。
純金は金属としては高度が低く、「柔らかい」という特性があります。このため、熱や傷、衝撃に弱く、純金で製品化してもこういった要因で損傷を被りやすくなってしまうのです。こうした弱点を補うため、別の金属を混ぜあえて「K18」「K14」などの合金にすることで、日常的使用に耐えうるようなものにしているのです。また、ピンクゴールドやホワイトゴールドといった、独特な色調のゴールドも合金の一種ですがその独特の風合いが人気になっています。この色合いの変化も純金とほかの金属の混合比率によって生み出されます。
●一般的な比率の例
※()内の数字は純金:純銀:純銅の比率
・イエローゴールドK18の場合(75.00:15.00:10.00%)
・ピンクゴールドK18の場合(75.00:10.00:15.00%)
・ホワイトゴールドK14の場合(58.33:41.67:0.00%)
ちなみに、プラチナとよく混同されるホワイトゴールドは、純金に銀やニッケル、パラジウムを混ぜ合わせた合金で、プラチナとは違います。
金の純度は24分率で表示される
金の表記方法において気になるのが数字の意味です。「24」や「18」とは何を意味しているのでしょうか。金の純度を表す数字は、24分率という特殊な基準で表されます。つまり「K24」というのは、純度100%の金(純金)であることを示しています。
(※ただし実際には、99.99%以上の純度の金であれば、日本では「K24」と表示されています。)
「K18」は、全体の18/24、つまり「75%が金である」という事実を示しています。ジュエリーとして加工されている金は、この「K18」が多く、75%の純金に25%の別の金属を混ぜているというわけですね。金の純度に関する表記は、「K24」や「K18」以外にも多くあります。刻印から金の量を計算したいときには、「K1ごとに4.17%純金の含有率が増える」というルールを覚えておきましょう。たとえば「K10」であれば、全体の41.7%が純金であるとわかります。
「24分率」と「1000分率」について
金の純度で特徴的なのは、やはり「24分率」です。プラチナのように1000分率で表せばわかりやすいのに、いったいどうして?と思う方もいるのではないでしょうか。
金の純度が24分率で表される理由には諸説ありますが、昔の金の取引単位に由来するとも言われています。かつてギリシャなど地中海沿岸では貴金属や宝石計量の際に一粒がだいたい0.2グラムと均一な「イナゴマメ(carob)」を使っていて、これが24個単位で取引されていました。ここから24分率が定着したという説があります。ちなみにイナゴマメは同様のいきさつから「カラットcarat」の語源にもなっています。一方で、24分率は「1日=24時間」を示すための一般的な単位であり、これがそのまま受け継がれているという意見もあります。実際のところ、明確な理由はわかっていません。
また、100分率が定着したのは、そのずっと後のことでした。1000分率は、100分率をさらに細かくして生まれたものです。プラチナや銀の純度に「Pt900」「Silver925」といった1000分率が使われているのは、100分率(1000分率)の概念が定着したあとに普及した金属だからです。つまり、金にのみ24分率が使われているのは、「それだけ取引の歴史が深いから」だと言えるでしょう。
ちなみに、金においても1000分率で純度が表記されるケースもあります。投資用アイテムとしても人気の高い、延べ棒や金塊などの「インゴット」には、「999.9」と表記されています。これは「K24」と同じ意味で、「純金」を示す刻印です。
純度によって違う?用途や特徴
金の純度に関する基礎知識を学んだところで、気になるのがそれぞれの違いについてです。
現在市場に出回っている金製品の多くは、「K24」「K22」「K18」「K14」「K10」のどれかに分類されるケースが多いですが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。詳しくチェックしていきましょう。
●K24・24金(純金99.99%~100%)
いわゆる「純金」と言われる、「K24」。純金含有率がほぼ100%のため、腐敗・変色といったリスクはほぼありません。長い時間が経過しても、その輝きが失われることはないでしょう。ただし硬度は低く柔らかいため、ジュエリーとして使用するのには向いていません。純金という「価値」を重視し、コインやインゴットなど、「資産」として保有される製品へと加工されています。
ちなみに、料理などにも使われる「金箔」は、「K24」ではなく「K23」です。94.44%の純金に、4.90%の純銀と0.66%の純銅を混ぜて作られています。
●K22・22金(純金91.7%:混合物8.3%)
「K24」や「K18」と比較すると知名度が低いですが、近年注目され始めています。K24よりも丈夫で、K18よりも金特有の雰囲気を楽しめる素材として、ジュエリーに加工されるケースが増えてきています。純金よりは丈夫とは言え、傷がつきやすく、変形しやすいというデメリットも。取り扱いには十分に注意しましょう。純金特有の濃いゴールドカラーが好まれる国々で、人気を集めているようです。
●K18・18金(純金75%:混合物25%)
ジュエリーによく用いられるのが「K18」です。純度の高さ・可塑性・使い勝手など素材として絶妙なバランスがあるのが特徴です。ピンクゴールドやホワイトゴールドといった、華やかなカラーバリエーションを楽しめるのもK18の特徴の一つです。加工しやすく使い勝手が良いため、ジュエリー以外にもラグジュアリープロダクトとして幅広く使用されます。
●K14・14金(純金58.5%:混合物41.5%)
混合物の割合が増える14金は、リーズナブルな価格で手にしやすい一方金特有の色味が損なわれ、変色しやすくなるという側面もあります。また18Kより耐久性は増すので、ジュエリーよりもさらに日常的な文房具等に加工されるケースも目立ちます。
●K10・10金(純金41.7%:混合物58.3%)
K14よりも、さらに金の含有量が低いのがK10です。金の価格が高騰している今、「手ごろな価格で購入できる金製品」として人気を博しています。K14よりもさらに輝きが弱く、変色・サビといったトラブルも生じやすくなります。加工がしやすく安価なので、手ごろな価格のジュエリーとして、市場に多く出回っています。
金属アレルギーを持つ方にとって、金の純度は非常に重要な情報の一つです。純度が下がるにつれ、アレルギー発症リスクが高くなります。肌の弱い方やアレルギーが心配な方が金ジュエリーを購入するなら、K18以上を選択するのがおすすめです。
金製品の確認方法
金製品の価値に直結する「純度」。特殊な機械を使わなくても、金の純度の目安を調べられる方法を紹介します。金含有率の刻印が見当たらない際に、ぜひ参考にしてみてください。
●STEP1.重さと感触を確かめる―まずは金の性質を知る
「金の純度を知りたい」と思ったときに、純度よりも先にチェックするべき項目があります。それは、「本物の金なのかどうか?」という点です。こちらを自分で調べたいときには、自分の手で持って、その感触をチェックしてみてください。
やり方は簡単で、手のひらの上に対象の金製品を置いてみればOKです。本物の金は、「見た目以上にずっしり重い」という特徴があります。また熱伝導率が高いため、最初はひんやりしますが、すぐに体温で温かくなります。
この方法で金の真贋を見極めるのには経験や知識が必要ですが、「まず金の性質を学ぶ」という側面からも意味があるリサーチ方法です!ぜひ実践してみてください。
●STEP2.水に沈めて比重を測定する―紀元前からの古典的手法
金は古来よりその価値が認められていた金属で、アルキメデスの時代から、金の純度を求める方法は世に知られていました。「水」と「比重」を使えば、ある程度の目安を知れます。同一体積の水の重さを「1」とすると、K24の重さは「19.13~19.51」、K18の重さは「14.84~16.12」です。この数値が「比重」であり、対象の比重がこの範囲に当てはまれば、それぞれの金を判別できるという仕組みになっています。
比重を計るにはキッチンスケール使用します。キッチンスケールはできるだけ高精度なもので、また容器の重さを差し引いてゼロにできる機能がついたものを選択してください。具体的な手順は以下のとおりです。
~調べ方~
① キッチンスケールで金製品の重さを量る(※A)
② 水の入った容器をスケールに置き、表示をゼロにする
③ 金製品を水中に完全に沈め(底面や側面に触れさせない)、数値をメモする(※B)
④ B÷Aの計算をする(※C)
4のステップで求められたCの数値が、金製品の比重です。この数値が「19.13~19.51」の間に当てはまれば、24Kの可能性が高くなります。「14.84~16.12」なら、K18というわけです。ただしこちらの方法には、水に沈められないものやほかの金属や宝石と一緒になっているものは計れないというデメリットがあります。
●STEP3.試金石を使って調べる―江戸時代から続く鑑定法
最後の方法は、江戸時代から伝わる伝統的な鑑定方法です。使用するのは「試金石」。「那智黒石」という黒い石の板を活用します。那智黒石を用意したら、金製品をこすりつけます。石の上には金が削り取られるので、このわずかな金から判断します。金の色や濃さ、残り方などが判断のポイントになるでしょう。純金であれば、オレンジ色が濃く、純度が下がるにつれて明るい色味に変化していきます。
ただしこちらの方法は金製品に傷をつけてしまうこと、鑑定に経験を要するということなどのデメリットがあります。こうしたリスクも頭に入れた上で、興味のある方のみ実践してみてください。
まとめ
今回は、純度や性質、用途、特徴について解説しました。購入する際に役立つ情報となりますのでご参考になれば幸いです。