金の純度とは?
通常、市場で流通しているジュエリーなどの金素材は、純金ではなく別の金属が混ぜられた合金です。この合金の中に、どれだけ金が含まれているかを金の純度と表現します。
「〇〇金」や「〇〇K」「K〇〇」と表される
金の純度は、多くの場合「○○金」や「K○○」、「○○K」と表記されます。たとえば、○○金やK○○は、日本のジュエリー店やショッピングサイトで、よく目にする表記です。一方、○○Kは海外のジュエリー品で見ることができます。
金やKにつく数字が同一であれば、金の純度に違いはありませんが、Kが後につく表記(アトKとも)は、金の純度が表記と一致していない場合があるため、注意しましょう。
金のカラット(karat)とダイヤのカラット(carat)は異なる
金のカラット(karat)は、金の純度を意味していますが、ダイヤモンドなどの宝石のカラット(carat)は、質量を意味しています。この二つは、発音が同じであるため、混同しやすいかもしれません。
カラット(karat)は「K24」などで表記され、数字の大きさに応じて、純度が高いことを示しています。一方、カラット(carat)は「10ct」などで表記され、1ctは0.2グラムに相当します。このように、karatとcaratでは意味が異なります。
金の純度は「24分率」が使用されている
一般的に、金の純度は24分率で表記されます。例えば、K18ならば、24分の18であり、約75%が金でできています。同様に、K14は24分の14であり、約60%が金でできています。
したがって、金の純度を知りたい場合は、表記されている数字を、24で割ってみましょう。ただし、稀に金の純度を1000分率で表記している場合もあり、こちらは割る数が異なります。詳細は後述で解説します。
銀やプラチナは「1000分率」が使用されている
プラチナや銀は「1000分率」で表記されます。また、数字の前には、素材の金属によってアルファベットが付けられます。例えば、プラチナの場合は「Pt」が一般的です。銀の場合は「silver」や「Ag」、「Argent」などが使われます。
数字は950であれば95.0%、925であれば92.5%の純度を示します。そのため、1000分率で表された、貴金属の純度を知りたい場合は、表記されている数字を10で割ることで、求めることができます。
純度の高い金を示す「24金・K24・999.9・純金」の違い
貴金属としての金は、純度が高いほど価値も高まります。金の純度は、さまざまな形で表現され、24金・K24・999.9・純金などがありますが、これらはどれも、99.9%以上の純度を持つ金を意味しています。
このような表記は、インゴットやアクセサリーなどの、金の形状に応じて使われたり、日本を中心に使用されているものや、国際的に広く浸透しているものもあります。
24金とは
24金は、主にジュエリー品や金貨などで使用されます。例えば、アクセサリーや純金の貨幣、投資用のインゴットなどが、ショッピングサイトで販売される際、その純度を明確にするために「24金」という表現が使われます。
この表記は、消費者に対し、商品の品質と価値を示す重要な手段です。日本国内では、金の純度が高いことを象徴する一言として定着しています。金製品の安心感や価値を高めるため、幅広い業界で利用されています。
K24とは
K24は、24金と同様に、ジュエリー品や金貨などで広く使用されます。日本では、1920年代に品質の保証を目的として、Kが頭につく表記で統一されるようになりました。このような背景があるため、日本国内ではK24の表記が浸透していますが、海外ではあまり見かけません。
また、金製品には、純度の証明として刻印されることが多く、証明書や保証書がなくとも、金製品の価値を示す、重要な要素となっています。
999.9とは
999.9は、銀やプラチナなどでも使用される「1000分率」で純度を表しています。この表記は、数字の9が四つ並んでいることから「フォーナイン」とも呼ばれ、その高い純度を示しています。国際的に認められた表記方法であり、特に金融市場や貴金属取引で重要視されています。
日本国内では、投資用の金や銀、プラチナのインゴットに多く刻まれています。この表記は消費者や投資家にとって、品質の高さと信頼性を示す指標の一つとなっています。
純金とは
24金やK24、999.9のように、不純物がほぼ完全に取り除かれた金を、日本では一般的に純金と呼称します。先に挙げたアクセサリーや金貨、インゴットの他、食用の金箔や、金粉の安全性を示す指標として、純金という言葉が使われます。ただし、多くの場合、食用金箔は約94%以上の純金であり、99.99%の純金ではありません。
金は不変的な価値を持つ金属であるため、純金に近づくほど、価値が高まることで知られています。このように、純金は製品の品質と価値を強調するために利用され、特に高級な宝飾品や投資対象として、世界中で高く評価されています。
金の純度の種類一覧と特徴や用途
金の純度によって特徴や用途が異なります。純度が高ければその価値も高まりますが、それぞれの用途に適しているとは限りません。ここでは、金の純度の種類とそれらの特徴、用途について説明します。
K24・24金(純金99.99%~100%)
24金は、99.9%以上の金で構成されています。純金とも呼ばれ、酸化などの腐食に対して強い耐性を持ちますが、非常に柔らかく、変形しやすい性質があります。そのため、ジュエリーの素材としてはあまり使用されません。
一方で、純金は主に資産運用に利用されます。インゴットの他に、カナダやオーストラリアなど、一部の国で発行されている金貨などが代表的です。
K22・22金(純金91.7%:混合物8.3%)
22金は、91.6%の金で構成されています。高純度の金であるため、傷つきやすく、変形しやすい性質を持ちますが、純金に匹敵する美しさと輝きを持ち合わせています。海外では、アメリカのイーグル金貨や、南アフリカのクルーガーランド金貨などの貨幣に使用されています。
ジュエリー品にも使用される他、歴史的価値のあるアンティークコインでも、22金で作られたものが多く見られます。
K18・18金(純金75%:混合物25%)
18金は、75%の金で構成されています。この合金は、純金よりも硬度が高まり、加工しやすい特性を持ちます。そのため、高級感と高品質な素材として高く評価されています。
銀や銅、ニッケルなどの金属を混ぜることで、色味を変えた素材として、高級時計やジュエリー品で活躍しています。例えば、ピンクゴールドやホワイトゴールドなどの、魅力的なカラーバリエーションの多くは、18金から生み出されています。
K14・14金(純金58.5%:混合物41.5%)
14金は、58.5%の金で構成されています。この合金は、傷や変形に強いという特性を持ちながらも、純金のような特有の輝きはやや控えめです。
万年筆のペン先や、フルートをはじめとした楽器、ハワイアンジュエリーなど、耐久性を求められる製品にも広く利用されています。特にハワイアンジュエリーでは、18金と並んで、多くのジュエリー品の素材として活用されています。
K10・10金(純金42%:混合物58%)
10金は、約41.6%以上の金で構成されています。この合金は、金の純度が比較的低いため、長期間使用すると、変色や黒ずみが生じることがあります。また、金属アレルギーのリスクもあるため、金属アレルギーの方には注意が必要です。
しかし、10金はリーズナブルな価格で提供されており、それに伴うコストパフォーマンスの良さが特徴です。手ごろな価格で金製品を購入したい方にとっては、魅力的な選択肢となります。
金のカラーの種類一覧!特徴や表記方法
金に他の金属を混ぜると、多彩な色のバリエーションを生み出します。混ぜる金属の比率によっても色合いが変わり、同じ色でも、ブランドによって違いが生じることもあります。今回は、六つのカラーゴールドをピックアップしてご紹介します。
イエローゴールド
イエローゴールドは、銀や銅を割金として加えたカラーゴールドです。刻印としては「YG」が使用され、色味が薄い場合は、シャンパンゴールドとも呼ばれます。
色が純金に近く、華やかでありながら、強度が高い合金であるため、日常のアクセサリーからブライダルジュエリーまで、幅広く愛用されています。多くのハイブランドで使用されていることからも、定番の一つと言えるでしょう。
ピンクゴールド
ピンクゴールドは、銀や銅、パラジウムなどを割金として加えたカラーゴールドです。刻印としては「PG」が使用され、加える金属の含有量によって、色合いが変化します。そのため、一般的にピンクゴールドと呼ばれるものでも、ブランドごとに異なる特色があります。
銅の含有量が多いほど、酸化・変色しやすくなりますが、柔らかく、華やかな印象を与えるため、女性向けのジュエリーに好まれる素材です。海外では、ローズゴールドとも呼ばれています。
ホワイトゴールド
ホワイトゴールドは、銀やパラジウム、ニッケル、亜鉛、銅などを割金として加えたカラーゴールドです。刻印としては「WG」が使用され、プラチナに似た色合いを持ちます。この特徴から、かつてはプラチナの代替品として扱われていました。
清潔感と上品さを兼ね備え、変色や変質にも強く、主にアクセサリーや時計の素材に用いられています。以前までは、主成分としてニッケルが用いられていましたが、金属アレルギーのリスクを軽減するため、現在では主にパラジウムや銀が使われています。
グリーンゴールド
グリーンゴールドは、銀や銅を割金として加えたカラーゴールドです。割金に使われる金属はイエローゴールドと同じですが、グリーンゴールドでは割金の70%以上を銀が占めています。刻印としては「GG」が使用され、淡く輝く黄緑色が美しいカラーです。
柔らかいため加工しづらく、希少価値が高いことも特徴的である一方、ハワイアンジュエリーでは、一般的に使われているカラーでもあります。
レッドゴールド
レッドゴールドは、銅を割金として加えたカラーゴールドです。刻印としては「RDG」が使用され、ピンクゴールドよりも赤みが強い色合いを持っています。
硬度が高いのも特徴で、再加工が難しく、サイズ選びの際には慎重になる必要があります。また、ブランドによっては、この色合いをピンクゴールドと同様に、ローズゴールドとも呼ばれていることもあります。
ブラックゴールド
ブラックゴールドは、銀やパラジウム、プラチナを割金として加えたカラーゴールドです。刻印としては「BG」が使用され、鉛色に近い重厚感があります。
このゴールドはプラチナを配合するため、高価になりやすい傾向があります。また、プラチナと同族のルテニウムを用いて、メッキ加工することで、真っ黒な色合いに近づけることも可能です。
金の純度が下がる「合金」が使用される理由
金の純度の高さは価値の高さと言っても過言ではありません。では、なぜアクセサリーでは金合金が使われるのでしょうか。その大きな理由を二つ、解説します。
純金の弱点を補うため
純金は、変わらない価値と美しさで知られていますが、柔らかく、変形しやすいデメリットも持っています。純金のままでは、アクセサリーとしての耐久性に欠け、日常使いには向きません。この問題を解決するために、割金を混ぜて硬度を向上させ、耐久性を高めています。
この金合金は、金特有の輝きを保ちながら、傷つきにくく、変形しにくい特性を持っています。加工が容易でありながらも、充分な強度を持つため、アクセサリーなどで広く利用されています。
色を変化させるため
前述の通り、金は特定の金属を、一定の割合で混ぜることで、さまざまな色合いを楽しむことができます。その高い品質と豊富なバリエーションは、ジュエリーなどのラインナップを彩ることに、大きく貢献しています。
同じ形状でも、色によって相手に与える印象が変わったり、特定の色のアクセサリーを求める人々のニーズにも応えることができるため、金合金は広く採用されています。
金の純度を自分で簡単に調べる方法
最後に、金の純度を自分で確かめる方法について解説します。機材や道具が限られるため、正確さに限界はありますが、興味がある方は試してみてください。より詳細を知りたい方は、プロや専門家に相談すると良いでしょう。
重さや触感で確認する
一つ目は、道具を使わず、重さや手触りで判断する方法です。金は鉄と比べると、同じ体積でも、2倍以上の重さがあります。そのため、見た目よりもずっしりとした重みを感じることができます。
また、金は熱を伝えやすい金属でもあるため、初めに触れると冷たく感じることでしょう。しかし、しばらくしたら、人肌に近い温もりを、感じることができるはずです。
試金石で確認する
二つ目は、試金石を使って確認する方法です。那智黒石という鉱石に金製品を擦り付け、削り取った金の色を分析したり、基準になる金属片と比較することで判断します。また、金が化学反応に強い性質を利用して、硝酸などの強酸(王水は除く)をかけることでも判断できます。
この方法には、いくつかリスクがあります。まず、確かめるためには必ず金製品を傷つけなければなりません。また、厚めの金メッキの場合は、削り取った部分は本物の金であるため、偽物だと気づけない場合があります。そして、強酸を使用する際は特に注意が必要であり、充分な喚起や、手に付着しないようにするなどの対策が必要です。
色合いから判断する方法でも、豊富な知識と経験を必要とするため、あまりオススメできない方法でもあります。
比重を確認する
三つ目は、比重を確認する方法です。比重とは、ある物質と標準物質(通常は4℃の水)の体積が同じ時の、二つの質量の比のことを言います。4℃の水を基準にすると、比重は密度の数値とほぼ等しくなるため、金製品の密度を求めれば、比重も導き出すことができます。金製品の密度を測定する手順は以下の通りです。
①金製品の重さを測定する
②金製品の全体が収まる容器に水を入れ、はかりに乗せて数値をリセットする
③金製品を器の側面や底に触れないように、水中へ完全に沈める
④金製品の数値を測定する
⑤測定した数値を使って比重を導く
④で測定した数値は、体積と等しいため、金製品の質量と体積がわかりました。これらの数値を、密度の計算式(密度=質量÷体積)に当てはめると、計算式は次のようになります。
比重=金製品の重さ÷水の中にある時の金製品の重さ
次に、金の純度に応じた標準的な比重と比較します。例えば、K24の比重は約19.3、K18の比重は約15~17といったように、金の純度や割金によって比重は異なるため、計算結果がどの純度に対応するかを確認しましょう。
なお、金製品にオパールなどの、水にさらしてはいけない宝石が装飾されている場合、この方法は使用できないことに注意してください。
刻印を確認する
四つ目は、金製品にある刻印を確認する方法です。金製品の多くには「K18」や「K14」などの刻印が施されています。末尾に「YG」や「WG」などのアルファベットがある場合は、カラーゴールドであることを示しています。
刻印は金の純度を判断する重要な要素ですが、数字の後に「K」がつくアトKの中には、製造年が古かったり、海外で製造された金製品である可能性が挙げられます。アトKは、金の純度が実際の表記と異なるケースも考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。金の種類や合金の違い、そして純度の調べ方について解説しました。金の純度は、金製品の価値を決める重要な要素です。今回ご提供した知識が、金製品を選ぶときの一助になれていれば幸いです。