法律違反
そもそも飛び込みでの訪問買取は法律違反です。訪問買取は詐欺が多いと言われており、近年は多くのトラブルが起きています。その中でも最も危険なのは、飛び込みでの訪問買取です。突然家にやって来て「何か売れるものはありませんか」と言って不用品の売却を求めてくる買取方法です。
「不用な物をわざわざ買取に来てくれる便利なサービス」と思ってしまう方もいるかもしれませんが、実はこれは悪質な買取業者の手口で、とても危険なトラブルに発展してしまう可能性が高いです。買取業者が訪問で買取をする際は、事前にアポイントを取らなくてはならず、飛び込みでの訪問買取は法律で禁じられています。法律で禁止されている飛び込みでの訪問買取を行っている会社は、まともな会社ではなく怪しい会社なので十分に注意が必要です。
こういった悪質な業者の訪問買取を受け入れてしまうと、ほぼ100%損をしたり、手放したくない物も無理やり売却させるような脅迫を受けることもあります。玄関先であっても、いったん家の中に入れてしまうと、貴金属などの金目のものを買取るまでしつこく居座るケースがほとんどです。こちらから依頼をしていないのに突然買取業者が訪問してきた場合は、家の中に入れないよう扉を開けずに断るようにしましょう。
手口
■押しかけ訪問買取(押し買い)
先程もお伝えしましたが、事前連絡なしに突然自宅を訪問し、十分な説明もなく金などの貴金属を強引に買取るケースです。「今が売り時です!」「早く売らないと大損しますよ」といったセールストークで押し切り、考える時間を与えずその場で相場より安い価格で買取る詐欺の手口を使用します。「金が汚れていてクリーニング代がかかる」、「状態が悪いから安くなる」などと文句をつけて安値で叩き買う傾向があるのが特徴です。
■極端に強引な買取
電話や訪問で貴金属買取の勧誘をし、「売るような貴金属はない」と断っても、しつこく粘って強引に買取る手口もあります。本来は価値のある貴金属しか扱わない場合でも、「メッキでも買います」「どんなものでも大丈夫です。探せばありますよ!」などと何度も勧誘してくるのが特徴です。悪質な訪問買取業者の場合、断っても帰らずに居座ることもあります。
■貴金属テスターを使った買取
貴金属用のテスターとは、本物の金や宝石に当てると音が鳴ったり、光ったりする仕組みの機器です。悪質な買取業者は、このテスターを悪用した詐欺を行うことがあります。テスターは本来は本物に反応しますが、「偽物にだけ反応します」と嘘をつき、価値が高い貴金属を「偽物ですが買取ってあげます」と買い叩く金買取の詐欺です。
■不要品回収という名目の貴金属買取
電話で「ご自宅の不用品を買取ります」というような連絡をし、訪問したときに「使わない宝石や貴金属、アクセサリーなどはありませんか?」と、ついでのように尋ね、貴金属を安く買取る詐欺の手口です。本来の目的は貴金属を安値で引き取ることですが、「着なくなった洋服や着物を引き取ります」などのセールストークで勧誘してきます。中でも代表的なのが「靴」です。靴靴詐欺という言葉を聞いたことはありますか?近年、靴靴詐欺や不用品買取詐欺の被害が各地で相次いでおり、注意が必要です。
靴靴詐欺とは、「履かない靴や不用品はありませんか?どんなものでも買取しますよ」と電話をかけてきて、不用品買取のアポイントを取ることから始まる訪問買取です。中には「発展途上の新興国などに寄付をするので、どんなものでも買取します」などと言って、情に訴えかけてくることもあります。ですがこの場合、靴や不用品の買取だけでは終わらず、必ず貴金属や宝石も求めてきます。
「靴を買取る」というのは訪問のきっかけを作るための口実であり、目的は貴金属や着物など高価で価値のある品物の買取で、そういったものを出すまで居座って帰らないというケースがほとんどです。やむなく貴金属などを出したとしても、「あまり価値がない」などと理由をつけて、ただ同然で無理やり買取っていきます。
靴の他にも「医療機器に使用する貴金属が足りていないので貴金属の買取をしている」というセールストークを使い、情に訴えようをしてくる手口もあります。買取った貴金属を医療機器に再利用するというのは嘘であることがほとんどで、消費者に虚偽の情報を与えることは法律で禁止されており、この行為を知られた買取業者は罰せられます。最近では震災の影響で医療機器を作るための貴金属が足りない、途上国への寄付のためにリサイクルする。というような話が流行っているようです。複数の法律違反をしている悪徳業者を信用しないようにしましょう。
■会社の情報を一切明かさない
訪問買取時に通常であれば名刺等の身分を明かすものを必ず提示してくれます。しかし、突如として来訪した買取業者は、とにかく何か出せと急かし、出した途端に、說明やことわりもなくお金だけ渡して強引に買取を成立させ、そのまま出ていくケースもあります。しばらくして、納得いかないな。と思ったとしても、連絡しようにも業者が名前や連絡先を一切明かしていなかったため、そのまま泣き寝入りしています。
■キャンセルに応じない
貴金属買取業者の提案を受け入れ、来訪を許し、いらなくなった金のネックレスを見せそのまま提示された金額での買取を依頼しました。その後、買取額の根拠を提示してこなかったことを不審に思いキャンセルしようと連絡してみても、書面にサインしたことを理由にかたくなに拒否する業者もいます。
訪問買取にはクーリングオフが適用される
店頭買取はクーリングオフの適用は無いのですが、訪問買取の場合は、初回に限りクーリングオフが適用されます。これは、飛び込みでの訪問買取だけでなく、自分で依頼をして訪問してもらった場合でも適用されます。中には「キャンセル不可」などと謳いクーリングオフは適用されないと説明する業者もいるようですが、そういった場合は、自分の身を守るためにも買取を断るようにしましょう。信頼のおける買取業者であれば、クーリングオフは出来ないなどと言いません。
クーリングオフは、契約をしてから一週間以内(当日を含め8日間以内)であれば、契約を解除できる権利です。買取の場合、クーリングオフの期間中は、買取業者は買取った品物を保管する義務があり、また、品物を業者へ渡さずに売却した側の手元に置いておくという権利もあります。
クーリングオフは、売買の取引のトラブル防止のために法律で定められている制度です。クーリングオフを受け付けないという法律違反を犯している業者は、買取の取引直後に取り消しを求めても、決められた期間保管せずにすぐ転売したり、保管していたとしても「もう販売してしまった」などと言って返却してくれないことがほとんどです。
訪問買取の際、買取業者は消費者へクーリングオフ制度について伝える義務があります。クーリングオフについてこちらから尋ねても、はぐらかされたり拒否された場合は、悪質な業者である可能性が高いので、買取を断るようにしましょう。
危険な訪問買取業者の特徴
これまでご説明してきた通り、貴金属買取の詐欺で多いのが訪問買取です。危険な訪問買取業者にはどのような特徴があるのでしょうか。注意したいポイントをまとめました。
■所在不明
優良な訪問買取業者の多くが、事務所を構えています。自宅兼店舗という場合もありますが、所在が明らかである点が特徴です。一方、悪質な訪問買取業者の場合、事務所を構えずトラック1台で営業するケースが多いため、所在地が不明な場合が多くなっています。
■固定電話がない
上記の特徴ともかかわりますが、固定電話があるということは、所在地が明白ということです。携帯電話しかない業者の場合、詐欺を働いたのちに逃げられる可能性があるため、要注意と言えます。
■古物商の許可が明らかでない
買取業者として中古品を売買するには、「古物商許可証」が必要となります。古物商許可証がない買取業者は違法です。買取業者のホームページなどで許可を得ているか、番号を確認してみましょう。古物商許可番号(個別番号)をチェックして「古物商許可番号データベース」や「古物商URL届出一覧」で調べると、本物の番号どうかがわかります。また、こういったところは大手の金買取業者を名乗り、知名度の高い金買取業者の名前を使ったりもします。
偽物の名刺を用意し、安心させて安値で貴金属を買い叩く手口です。少しでも怪しいと思ったら、お店の住所などの情報を聞いたり、身分証明書や行商の許可証を見せてもらったりすれば詐欺かどうかがわかります。
貴金属買取詐欺の被害は増えています。金買取の詐欺といった貴金属買取詐欺の被害件数は増加傾向にあります。新たな手法で詐欺を行う犯罪者が出ているのが現状です。金相場の値上がりに合わせて詐欺被害の件数も増える傾向にありますが、相談すらできないケースも多いため、実際に被害に遭っている人はさらに多いと考えられます。主に狙われやすいのは高齢者です。
高齢者は、お金、健康、孤独など多くの不安を抱えています。そこにつけこみ、巧みな話術で金買取の詐欺を行う悪徳業者が多いのが現状です。加齢により判断力が鈍くなってしまい、だまされたことにすら気づかない場合も多いようです。たとえ気づいても、恥ずかしいからと他人に言わないケースもあり、ターゲットになりやすい傾向にあります。
どのようにして防げばいいのか
高齢者が詐欺被害に遭わないように家族がまめに様子を窺って、変わったことがないか確認しましょう。高齢独居者の場合、様子を観察してくれる人を見つけることが難しい場合があります。家族がいるなら、定期的に連絡や訪問をしてもらえるよう頼むことが重要です。遠方にいる場合もできるだけ都合をつけてもらいましょう。
また、電話勧誘の詐欺には留守番電話を使うと効果的といわれています。家族がいない間は留守番電話にする、独居の場合は基本的に留守番電話に設定し、電話の相手がわかってから必要に応じてかけ直すなどの方法が有効です。また、できるだけ近所の方や家族、友人などに同席してもらいましょう。自分ではなく、身近な方が訪問買取を受ける際にも、率先して付きそうようにしてください。
そして、品物を売るつもりがないのであれば、無理に契約する必要はありません。業者に対してはっきり「NO!」と言いましょう。断っているのになかなか帰ってくれないなど、相手がなかなか引き下がらないときは、すぐに警察を呼びましょう。
最後に
訪問買取による詐欺被害は以前から各地で相次いでおり、厳しい規制が施行されても悪質な買取業者は手口を巧妙化し、被害は後を絶ちません。トラブルに巻き込まれないよう、しっかりと対策を立てておきましょう。そのためには、買取業者の義務や禁止事項を把握しておくことが大切です。飛び込みでの買取訪問・しつこい勧誘・虚偽の説明・威圧・申し込みの撤回や解除の妨害・クーリングオフの拒否など、これらの行為は禁止されています。
事前に電話で勧誘し訪問のアポイントと取ってくるケースもありますが、悪質業者は電話ではうまい話を持ちかけて、実際に訪問した際には電話とは違う内容の強引な買取を行います。こうした事態にならないよう、買取業者側から勧誘の連絡が来た場合は、電話の時点で断るようにしましょう。
特に高齢者は狙われやすいので注意が必要です。もしも断り切れずに売り渡してしまった場合は、クーリングオフを活用しましょう。クーリングオフには相手の住所や会社名などが必要ですので、名刺をもらうなど必ず身元を確認するようにしましょう。もしもクーリングオフを妨害された場合には、すぐに消費者センターや警察に相談しましょう。