目次
金は紀元前からつかわれている
金は紀元前3000年代に使われ始めました。最古の金属貨幣は紀元前7~6世紀(紀元前670年頃)に、リディアでアリュアッテス2世王により造られたエレクトロン貨で、天然の金銀合金に動物や人物が刻まれています。
金は中国で商時代に已に装飾品として使われ、春秋戦国時代には貨幣や象嵌材料として使用されました。古代エジプトのヒエログリフでは、紀元前2600年頃から金についての記述が見られます。
ミタンニの王トゥシュラッタが、通常は粒として請求をしている。エジプトとヌビアは、史上でも有数の金産出地域です。『旧約聖書』でも、金について多く触れられています。
黒海の南西部は、金の産出地として名高く、金を利用した物としては、ミダスの時代にまで遡ると言われています。
もっと昔紀元前6000年前からあった??
現代においても、謎多き文明として知られているシュメール文明です。それはチグリス川とユーフラテス川の間にある「メソポタミア」にて、シュメール人たちが作り上げた文明でした。
シュメール文明で金が使われていた
その繁栄の時期は、なんと紀元前6000年です。この時期において、すでに金の存在は知られていて、さらに金を生活に取り入れていたと伝わっています。シュメール人に関する多数の謎が、現代にまで残っているのですが、そのうちの一つが「優れた天文知識」についてです。
なぜ古代人がこれほどまでに優れた天文知識を持ち得たのかは、現代においても謎のままです。
一説には、「シュメール人が信仰していたアナンヌキと呼ばれる神々が、実は宇宙人で、宇宙人との交信によって、シュメール人たちは優れた知識を得ていた」と言われることもありますが、もちろん、この真偽のほどはわかっていません。
「シュメール人たちは金を使って各種宝飾品を作り、アナンヌキたちはそれを求めていたのでは?」と考える人もいるようです。古代と宇宙について語っている、どちらも非常に大きなロマンを感じさせてくれる説です。
紀元前以降
コロンブスのアメリカ州到達以来、金の強奪は探検家や征服者(コンキスタドール)によって行われました。アメリカ原住民(インカ帝国など)、特に中央アメリカや南米大陸のペルー、コロンビアを原産とする物が多いのです。
金の強奪からゴールドラッシュによる採掘
それらは金と銅の合金で作られており、スペイン人たちは「Tumbaga」と呼んでいました。金への欲望を募らせたヨーロッパ人は、金鉱あるいは採掘済みの金があると信じたエル・ドラード(黄金郷)を探し求めて南米奥地に分け入りましたが、現在に至るまで該当する土地は見つかっていません。
大航海時代以降にはこのほか、日本近くにあると信じられた金銀島も探索の対象となりました。1848年、アメリカ合衆国では、ゴールドラッシュと呼ばれる、金採掘を目的としたカリフォルニア州への大規模移民が起きます。
同様の現象は、現在までにアメリカ国外を含めてしばしば発生しています。1899年から1901年まで南アフリカで起きたボーア戦争は、イギリスとボーアの鉱山労働者の権利や金の所有権に関する争いなのです。
日本での最古は?
日本での古代の金製品は福岡県志賀島にて発見された漢委奴国王印などがあります。古墳時代には奈良県東大寺山古墳出土の「中平」銘鉄剣や埼玉県稲荷山古墳出土の「辛亥」銘鉄剣など、鉄地に線を彫って金線を埋め込んだ金象嵌がありました。
奈良時代までの日本は金を産出せず、供給は朝鮮半島の新羅や高句麗からの輸入に頼っていました。749年に百済王敬福が奥州(現在の東北地方)で砂金の発見を報告し、状況は一変します。
8世紀後半からは逆に渤海、新羅などへ輸出され、遣唐使の滞在費用として砂金が持ち込まれることで、後の「黄金の国」のイメージの原型が形作られました。平安時代後期には奥州を掌握した奥州藤原氏によって、産金による経済力を背景に、平泉が平安京に次ぐ日本第二の都市にまで発展します。
砂金は平安京や北宋・沿海州などとの貿易に使用されます。
奥州産の金をふんだんに使用した中尊寺金色堂は、マルコ・ポーロが『東方見聞録』で紹介した黄金の国ジパングのモデルになったともされます。豊臣政権や江戸幕府は金山への支配を強め、金を含有した大判や小判を発行しました。
日本ではどこで金が採掘されているのか
では日本ではどこで採掘されるのでしょうか。
最も有名な「佐渡金山」
日本の金山の中で、もっともよく知られているのが、新潟県の佐渡金山でしょう。この金山が発見されたのは1601(慶長6)年のこと。それから本格的に開発がスタートし、大量の鉱石が採掘されました。
閉山を迎えた1989(平成元)年までの約400年で、採掘された鉱石の総量は約1500万トン。金は78トンも採掘されたと言われています。
北海道の「鴻之舞金山」
また北海道の鴻之舞金山も、日本で有名な金山の一つです。発見時期は1915(大正4)年と比較的新しいのですが、その後一気に開発が進み、1973年には閉山を迎えます。
約60年の間に採掘された金の総産出量は、なんと64トンほど。東洋一と称えられる金山でした。秋田県鹿角市にある尾去沢鉱山も、古くから伝わる鉱山の一つです。
もともと銅の採掘場として知られていましたが、佐渡金山が栄えた時期と同じ、慶長3年ごろには、金も採掘されていたと伝わっています。
金山で金を掘りつくしてしまった
このように、日本には多くの金山があったにもかかわらず、なぜ今は産出量が限られているのでしょうか。その理由は、多くの金山で金を掘りつくしてしまったからです。金が採れなくなったことで、ほとんどの金山が閉山に追い込まれています。
もしかしたら、地面の奥深くには、まだまだ大量の金が眠っているのかもしれません。しかし、それらを採掘するためには、莫大なコストをかける必要があるでしょう。
南アフリカも、かつては世界最大の金の産出国でしたが、近年、その勢いは衰えています。南アフリカでも問題になったのは、金を採掘するためのコストの増加です。日本においても、それと同じことが起きていると言えそうです。
国内で唯一残っている「菱刈鉱山」
さて、現代の日本では金の採掘量はごく限られているのが現実ですが、ゼロというわけではありません。国内で唯一残っているのが、菱刈鉱山です。こちらは鹿児島県にある金山で、1985年から開発がスタートしています。
2013(平成25)年3月末までの金の産出量は、2102トン。また、鉱石1トンあたりに含まれる金の量が多いことでも注目されている金山です。一般的な金鉱石1トンに含まれる金の量は、平均で3g~5gほどです。
一方で、菱刈鉱山で採掘される鉱石には、なんと約40gもの金が含まれています。菱刈鉱山はまだ若い鉱脈ですが、太平洋プレートが日本の国土の下にもぐり込む運動の過程で生まれたものです。
マグマによる高熱が発生し、溶けた物質が再度固まる仕組みで、鉱脈となっています。火山国である日本ならではの仕組みだと言えるでしょう。鉱石の採掘量は、すでに佐渡金山をしのぐほど多く、また鉱山のふもとでは温泉が湧いています。
新たに誕生した「湯之尾温泉街」は、金山にちなんで「黄金の湯」と呼ばれているそうです。
「黄金の国」と呼ばれていた
金愛好家にとって、たまらなく魅力的なスポットだと言えそうです。日本ではかつて、比較的多く金が産出された。マルコ・ポーロ『東方見聞録』などで「黄金の国」と呼ばれていたのも、日本産の金が出回っていました。
戦国期には甲斐国(現在の山梨県)において黒川金山や湯之奥金山が稼業し、金山衆により採掘された金鉱石を粉成、精錬し金生産を行なっていたと考えられています。
しかし、江戸時代前期、すなわち寛永年間以降は国産の金山は徐々に衰え始めた。たとえば有名な佐渡金山も既に採掘をやめ、現在は観光地化しています。
大正・昭和初期の頃には「東洋一の金山」と言われた北海道の鴻之舞金山は採算ベースに乗る金を全て掘り尽くして、1973年(昭和48年)に閉山しました。
その一方で、これら主な国内金山からの総採掘量をもしのぐ金埋蔵量とみられている、菱刈鉱山が1985年(昭和60年)から採掘が始まっています。また、海底の熱水鉱床からの産出も将来的に期待されています。
恐山(青森県)では温泉沈殿物として金の異常濃集体が発見されており、「恐山の金鉱床」として日本の地質百選に選定されました。地質調査によると、金の含有量は鉱石1トン当たり平均約400g、場所によっては6500gにも達っています。
この一帯は国定公園に指定されている上、土壌には毒性を有する砒素が高濃度に含まれていて、作業者の生命にも危険が及ぶため、商業目的の金の採掘は不可能とされています。
世界で一番金が採掘されているところとは
現在もっとも金の産出量が多い国は中国です。あまり金のイメージはない国ですが、他の国と比較しても現在ダントツの産出量を誇っています。現在世界では金が1年に約3000トン前後生み出されるのですが、中国はその10分の1である380トンを毎年産出しているのです。
また日本などとは異なり広大な国土があるので、1度金がある鉱脈を発見したらそこに溶鉱炉なども建てやすく、国自体が鉱物を産出しやすい環境にあるのも影響しているのでしょう。
現在でも中国国内で経済状況が良く、金の現物や装飾品を買うことが流行していることも後押しして金の採掘が積極的にされています。
オーストラリアは中国に次いで金の産出量が2番目に多い国です。昔から採掘活動が活発に行われていたわけではなく、およそ1980年代前後から国を挙げて採掘が行われるようになりました。
実際にオーストラリアの主要都市であるカルガリーやコールドフィールズなどは、世界でも有名な金開発地域として知られており、世界中の金に関係する企業が集まっている場所として有名です。
また最近でも新しく鉱山が発見され生産を開始するなど、まだまだ鉱脈が尽きる気配はありません。オーストラリア国内で生産された金は、世界でも最大の金消費国であるインドなどを中心に輸出されており、オーストラリアの貿易活動でも重要な位置を占めています。
広大な国土面積を誇っているロシアも金産出量で3位に位置づけています。ロシアの金採掘に関する歴史は長く、古くは中世から採掘活動が行われていたようです。
採掘技術が向上した19世紀にはゴールドラッシュも経験しており、鉱山だけではなく都市部でもなんとか金を掘り当てようとした人々もいたことが記録されています。
現在でも大規模な採掘活動が行われており、世界最大の産出量を誇る中国と共同で採掘をするなど積極的な活動がみられるのも大きな特徴です。
2017年には中国と共同で金採掘のために980億円の投資をするなど、世界中で金の需要が増加している中で採掘量を増やそうとする積極的な動きがみられます。
かつての1位は南アフリカ
実は近年まで金の産出量のTOPだったのは南アフリカでした。1970年代まで世界における金産出量の約7割を占めていたのですが、国の政策やデモ活動による治安の悪化などで徐々に産出量は下がってしまったようです。実際に2000年代前半にはトップだった産出量も、2020年には10位以下まで落ちてしまっています。もっとも現在でも南アフリカは広い国土から「世界で一番資源が眠っている国」ともいわれており、国が落ち着き体制が整えば産出量が爆発的に増える可能性も十分あり得ます。
金産出国これまでとこれから
金の産出国としての南アフリカが衰退し、中国やロシアが台頭してきたように、金の生産量は年々変化しています。古代エジプトの遺跡から発見されたツタンカーメン王の黄金マスクに象徴されるように、人間は太古の時代から金を採掘してきました。
長い歴史の中で、国別金の生産量ランキングはとどまることなく変化しています。
例えば2005年から2020年までの16年を取り上げてみましょう。2005年の金生産量がトップの国は南アフリカ。その生産量は295トンで世界の総量の12%を占めていました。その後南アフリカの金生産量は年を追うごとに減少しています。
2007年には世界一の座を中国に譲りました。2019年には12位にまで後退し、生産量は2005年の3分の1以下にまで減少しました。2007年に金産出国として世界のトップに躍り出た中国は、その後も右肩上がりの増産を続けます。
2005年時点で生産量225トンだったのが、2014年には倍増しました。
ただしその後環境規制強化が世界のトレンドとなったため、その影響で2017年を境に生産量を減少させています。2005年時点で2位のオーストラリアは、2009年まで少しずつ生産量を減らしました。
その後緩やかな増加に転じ、2020年には330トンを産出しています。この間に他国の順位が激しく入れ替わりましたが、緩やかな増産を続けるオーストラリアは2009年以降2020年までほぼ2位の座をキープしています。
中国が1位の座を獲得した2007年は、金の産出に関してエポックメイキングな年といえるでしょう。
2017年以降生産量を急激に伸ばしているロシアは2位のオーストラリアを猛追。2005年には3位だったアメリカは、2013年にはロシアに逆転を許しその後4位が続いています。増産するロシアと減産するアメリカの差は年々広がっています。
カナダは2011年から緩やかな増産傾向にあり、アメリカを追い上げているといえるでしょう世界全体の金の年間生産量は、2009年までは2400トン前後で推移していました。2010年に2500トンを超えると、その後も増加傾向を続けます。
これは中国の急激な増産の影響によるものです。2015年には3000トンを超過、2017年には3200トンを超え、2018年の3300トンでいったん落ち着きを見せました。新型コロナの影響もあり、2020年には前年に比べて100トンの減産となっています。
金はいったい何に使われているのか
金は耐食性、導電性、低い電気抵抗などの優れた特性を持つため、20世紀になってからは工業金属として様々な分野で使用されているが金単体では金属加工用途としては軟らかすぎるため、通常は銅や銀、その他の金属と鍛錬されて、合金として用いられています。
金とその他の金属の合金は、その見栄えの良さや化学的特性を利用して指輪などの装飾品として、また美術工芸品や宗教用具(仏像や神像など)の材料として利用されてきました。
さらに貨幣、または貨幣的物品を代替する品物として用いられています。フィクションの世界では金製品の武具が多く登場しますが、現実には富や力の象徴として、装飾に用いられた以外には存在しません。
これは金の「軟らか過ぎる」「重過ぎる」「高価過ぎる」性質が武具の材料としては致命的に不向きなためです。
お金としての活用
かつては流通目的の金貨として利用されています。その場合は単体では軟らかすぎるため、銀や銅など他の金属と混ぜた合金として利用され、例えば江戸時代の日本では小判、一分判などの金貨が銀との合金で製造され流通しています。
現在では流通目的の金貨を製造している国はなく、現在発行されている記念金貨や、投資目的の地金型金貨においては、純金製のものが一般的になっています。
現在は資産として地金や装飾品として手元に保管のほか、金鉱山会社の株式、金を投資対象とする金融商品(金ETF、純金積立など)が取り扱われています。また、各国の中央銀行は、金準備として金塊を保有しています。
明治時代になっても、金は銀行が発行する紙幣との交換(兌換)が可能で、その価値が保証されていた。1971年にアメリカが金本位制を廃止して以後、ほとんどの主要国で兌換は出来ません。
キロバー(質量1キログラムの地金)の購入は、地金商や鉱山会社などの貴金属専門業者等よりも、商品取引員で購入するほうよいでしょう。
東京商品取引所の金先物市場の期近を活用しているため、東京商品取引所の受渡供用品であり、そして、受渡供用品の商号または商標の指定は出来ないが、中間マージンが低い分安いコストで購入できるからです。
逆にキロバーを鋳造する地金商からの購入の場合は、自社で溶解し自社ブランドの刻印を刻んで販売するため、その分コストを上乗せされ販売されています。
工業用品
私たちの目に見えないところで活用されている金の代表格としては、工業用品があげられます。電化製品のベースとなる回路基板の銅線や、部品を実装する部分などに金メッキが使用されています。
これは銅がむき出しのままでは酸化して錆びてしまうため、腐食に強く、電気の伝導性に優れた金を使用しているのです。また、パソコンやデジカメといった電子機器の中にあるICチップを外部と接続させるための非常に細い線「ワイヤボンディング」にも金が使用されています。
ただし、コスト削減のためにアルミや銅を使用する場合もあります。工業用品への使用は、糸のように細くしたり、薄く延ばしたりすることができる金の特性を活かした用途だと言えます。
医療用品
医療現場でも金は活躍しています。その用途は検査時のコーティング剤やリウマチの治療などさまざまですが、一番知られているのは歯科材料の金歯でしょう。口の中に装着するものですので、錆びてしまっては大変。そこで腐食性の低い金が向いているというわけです。金はアレルギー反応を起こしにくく、長期間の使用にも向いています。
美容製品
美容製品にも金が活用されています。金を使った商品というだけで心が満たされ、お肌にもいい影響がありそうですが、それだけではありません。金には人間に体に常時流れている微量の電気の流れを改善する電磁誘導作用があり、偏ってしまった体液中のイオンを正常な状態に戻す効果が期待できます。
顔につけた姿が非常にインパクトのある「金箔のパック」は、血流を良くする効果があるとされていますので、日常のお手入れにぜひ取り入れたいアイテムです。
食用として
食用としては、金箔がよく使われています。近年では、料理、スイーツ、お酒などに添えられていることが特に多いようです。食用の金は不純物を取り除いているので、食べても人体に悪い影響はありませんが、金箔は胃酸で溶けることがなく、吸収も蓄積もされずに体外へ排出されてしまいます。残念ながら、栄養はありません。
しかし、料理やスイーツを華やかに彩る上、金を食すという贅沢感が心を満たしてくれると言えるのではないでしょうか。金は、古代よりその美しい輝きで多くの人々に愛されてきました。だからこそ、優れた性質が早くから発見され、活用されてきたのかもしれません。
近年では、毎日金に触れている金沢の金箔師にガン患者が少ないというデータが発表されるなど、金が持つ健康効果も注目されています。今後、さらに広い分野で活用されることが期待されている金属です。
金にあるKとは?
金製品をチェックしてみると、「K24」や「K18」といった刻印が刻まれていることがわかります。これは、金を表す表記です。この刻印からも、金に関する情報を把握可能です。「K24」や「K18」の「K」というアルファベットは、「カラット」のことです。
英単語の「Karat」の、頭文字が使われています。この「K」というアルファベットに「24」や「18」といった数字をつなげることで、その製品に用いられている「金の純度」を表しているのです。
では「金の純度」とは、具体的にどのような情報を示しているのでしょうか。
金の純度とは
金の純度は、金の含有率のことを指します。金を使ってジュエリーを作る場合、金に一定分量の、別の金属を混ぜるスタイルが一般的です。だからこそ、重要な意味を持つのが「純度」に関する情報となります。
その製品にどのくらいの割合で金(純金)を含んでいるのか。つまり、どのくらいの割合で金以外の金属が含まれているのかを表しているのが、「純度」という情報なのです。純度100%の金のみを使ったジュエリーを「純金製」と言いますが、多くの金製品は、これには当たりません。
だからこそ、金製品に刻まれた刻印から「どの程度金が含まれているのか?」を調べ、その価値を見定めていきます。
金の純度は24分率で表示される
金の純度の基礎知識がわかったところで、気になるのが数字の意味です。「24」や「18」と記載されると、「全体の24%(18%)が金ということ?」と誤解してしまう方も多いのではないでしょうか。
金の純度を表す数字は、24分率という特殊な基準で表されます。つまり「K24」というのは、純度100%の金(純金)であることを示しています。
※ただし実際には、99.99%以上の純度の金であれば、日本では「K24」と表示されています。
「K18」は、全体の18/24、つまり「75%が金である」という事実を示しています。ジュエリーとして加工されている金は、この「K18」が多く、75%の純金に25%の別の金属を混ぜているというわけです。
金の純度に関する表記は、「K24」や「K18」以外にも多くあります。刻印から金の量を計算したいときには、「K1ごとに4.17%純金の含有率が増える」というルールを覚えておきましょう。たとえば「K10」であれば、全体の41.7%が純金であるとわかります。
補足その1–「カラット(Karat)」と「カラット(Carat)」の違い
「カラット」という言葉を聞いたときに、ダイヤモンドの「重さ」をイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、金の純度に使うカラットは「karat」という単語で、ダイヤモンドに用いられる「carat」とは、意味が違います。
全く別の単位なので、混同しないように注意しましょう。金製品への刻印は「K24」と表記されていますが、実際には「24金」「18金」という言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか。これは、宝石の重さを示す「carat」との間違いを避けるためとも言われています。
補足その2–「24分率」と「1000分率」について
金の純度で特徴的なのは、やはり「24分率」です。プラチナのように1000分率で表せばわかりやすいのに、いったいどうして?と思う方もいるのではないでしょうか。金の純度が24分率で表される理由には諸説ありますが、昔の金の取引単位に由来するとも言われています。
かつて金の取引に使われていたのは「イナゴ豆」で、24個単位で取引されていました。ここから24分率が定着したのでは?と分析する向きもあります。
一方で、24分率は「1日=24時間」を示すための一般的な単位であり、これがそのまま受け継がれているという意見もあります。実際のところ、明確な理由はわかっていません。
一方で、100分率が定着したのは、そのずっと後のことでした。1000分率は、100分率をさらに細かくして生まれたものです。
プラチナや銀の純度に「Pt900」「Silver925」といった1000分率が使われているのは、「100分率(1000分率)の概念が定着したあとに普及した金属だから」です。つまり、金にのみ24分率が使われているのは、「それだけ取引の歴史が深いから」だからです。
ちなみに、金においても1000分率で純度が表記されるケースもあります。投資用アイテムとしても人気の高い、延べ棒や金塊などの「インゴット」には、「999.9」と表記されています。これは「K24」と同じ意味で、「純金」を示す刻印です。
金に他の金属を混ぜる理由
身近なゴールドジュエリーをチェックしてみると、「K18」「K14」といった刻印のアイテムが多いことがわかります。なぜ「K24」の純金ではなく、純度を下げた合金を使用するのか?と、不思議に思う方も多いのではないでしょうか。
その理由は、純金という素材の柔らかさにあります。硬いように見える純金ですが、金属の中では硬度が低く、柔らかいという特徴があります。このため、「熱に弱い」「簡単に傷がつく」「日常生活の中で型崩れしてしまう」といったデメリットが生じるのです。
別の金属を混ぜて合金にするのは、こうした弱点を補うため、あえて「K18」「K14」にすることで、日常的に使いやすいジュエリーに仕上げているというわけです。
また近年人気が高まっているのが、ピンクゴールドやホワイトゴールドといった、独特な色調のゴールドです。これも、純金に別の金属を混ぜ合わせることで、色調の変化を生み出しています。
ちなみに、プラチナとよく混同されるホワイトゴールドは、純金に銀やニッケル、パラジウムを混ぜ合わせた合金で、プラチナとは違います。
自分で金の純度を調べるには?
重さと感触を確かめる―まずは金の性質を知る「金の純度を知りたい」と思ったときに、純度よりも先にチェックするべき項目があります。それは、「本物の金なのかどうか?」という点です。こちらを自分で調べたいときには、自分の手で持って、その感触をチェックしてみてください。
やり方は簡単で、手のひらの上に対象の金製品を置いてみればOKです。本物の金は、「見た目以上にずっしり重い」という特徴があります。また熱伝導率が高いため、最初はひんやり、すぐに体温によってじんわりと温められていきます。
本物かどうかを見極めるためには、ある程度の知識や経験が必須です。またたとえプロであっても、精度の高い偽物には騙されてしまうという弱点もあります。
とはいえ、「まず金の性質を学ぶ」という側面からも意味があるリサーチ方法ですから、ぜひ実践してみてください。
試金石を使ってみる
最後の方法は、江戸時代から伝わる伝統的な鑑定方法です。使用するのは「試金石(那智黒石)」という黒い石の板を活用します。試金石を用意したら、金製品をこすりつけます。石の上には金が削り取られるので、このわずかな金から判断します。
金の色や濃さ、残り方などが判断のポイントになるでしょう。純金であれば、オレンジ色が濃く、純度が下がるにつれて明るい色味に変化していきます。
ただしこちらの方法を試すためには、試金石を用意する必要がありますし、金製品に傷を付けなくてはいけません。試金石自体は安価に購入できますが、リスクの高い調査手法であると言えるでしょう。
また実際に挑戦してみても、素人がわずかな色味の違いを判断するのは難しいでしょう。こうしたリスクも頭に入れた上で、興味のある方のみ実践してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。金の生産量とその出所に関する謎を詳しく解明しました。金の採掘から市場への流れを理解することで、その重要性と未来の展望が見えてきます。
富の象徴であり、日常にも何気なく存在しているのが金です。ぜひ金に関する知識を深めるきっかけにしてください。