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資産運用に使われるインゴットとは?

資産運用に使われるインゴットとは?

インゴット(ingot)とは、日本語に直訳すると「金属の塊」という意味です。精錬した金属を鋳型に流し込んで固め、流通や貯蔵のしやすい形にしたものを指します。たとえば金の場合、金地金、延べ棒、ゴールドバーなどとも呼ばれます。小さいインゴットはアクセサリー用に使われることが多く、大きいものは主に投資用として用いられます。今回はインゴットについて詳しくご紹介します。

金インゴットの種類やメーカー

金のインゴットの種類は、大きさで分類されます。インゴットの大きさは、おおよそ10種類。

最も小さいものは重さ5gほどで長さ2cmほどのもので、コインバーと呼ばれます。最も大きいインゴットはラージバーと呼ばれるもので、重量約12.5kg(400トロイオンス)、長さは25cmほどです。

また、インゴットの純度も、メーカーによってさまざまです。金のインゴットは、公式メーカーのみが製造を許されています。田中貴金属工業や日本マテリアル、三菱マテリアル、DEGUSSA、SWISS BANK、CREDIT SWISSなどが特に有名なブランドです。

インゴットにそれぞれのメーカーの印が刻印されています。純度が99.99%のものが理想的ですが、99.5%程度のインゴットもありますので、購入の際にはその点をよく確認することが大切です。

その他のインゴット

プラチナのインゴット

金以外の金属においてもインゴットが存在しています。その中でも特に希少価値が高いのがプラチナです。宝石業界の需要はもちろんのこと、最近では投資の対象としても人気を集めています。

プラチナインゴットは、LPPM(ロンドン白金&パラジウム市場)公認のブランドマークが刻印されているものが正規品となっており、最高純度は99.95%が標準です。公認ブランドマークの刻印があるインゴットは、「グッド・デリバリー・バー」と呼ばれています。

シルバーのインゴット

シルバーは金やプラチナと比べると取引価格が低いため、投資対象としてのシルバーインゴットはこれまではあまり一般的ではありませんでした。ところがこの数年、シルバーの価格が高騰しており、今後は人気が高まることが予想されているのです。

シルバーインゴットの重量はさまざまで、10gや100gなどといった小さめのものから、30kgもある大型のものもあります。シルバーのインゴットは工業用目的で使われることが多いため、政府の支払調書の対象外です。

パラジウムのインゴット

パラジウムは、アクセサリーや歯科治療、工業部品など幅広い分野で使用される貴金属です。プラチナやニッケルの副産物で、2010年代にプラチナ鉱山が続けて閉山されたことにより、価格が高騰しています。

日本では、日本マテリアルが100gのパラジウムインゴットを販売。パラジウムインゴットには、プラチナと同様、LPPMから公認された溶解業者の公認マークが刻印されています。

インゴットの重さとサイズ

重量は基本的にグラムで表示されますが、中には「トロイオンス」という単位が使われることがあります。トロイオンスは一般的に略されて「オンス」と呼ばれることもあり、表記は「oz tr、oz t」または「ozt、oz」などです。

トロイの名称はフランス シャンパーニュ地方のトロワ(Troyes)に由来するもので、古くから金貨の量を表す単位でした。金のインゴットで最も大きいサイズは12.5kgで、これがほぼ400トロイオンスと同量です。

キログラム表記では中途半端な数字になるため、トロイオンス表記が使われているものと考えられます。

一般的には5g、10g、20g、50g、100g、200g、300g、500g、1kgの9種類に分類できます。

インゴットの刻印

本物の金のインゴットには表面に刻印があります。

刻印には以下のような内容が刻まれています。

ブランド名

田中貴金属工業や三菱マテリアルなどが公式国際ブランドとしても有名です。

重量表示

そのインゴットの重量が刻印されています。

品位表示

品位とはいわゆる純度の事を指します。100に近い数字であればあるほど、金の純度が高いという印です。

シリアルナンバー

商品管理用のシリアルナンバーです。刻印は金のインゴットの買い取りを行う際に必ずチェックされます。もし古いインゴットの場合、刻印が汚れてしまっている場合がありますので、刻印が汚れていても偽物のインゴットだとは限りません。

また、公式国際ブランドで精錬加工された金のインゴットには、間違いなく刻印が打たれていますが、本物の金のインゴットであっても刻印が無いという場合もあります。

偽物のインゴットは、刻印にある重量より軽かったりする場合がありますので、刻印の有無だけでなくあらゆる点を総合的に見て本物かどうかを判断する必要があるのです。

インゴットで投資

金の取引において、「金の価値は上がり続けている」と耳にした方も多いでしょう。確かに金の価値は他の貴金属であるプラチナや仮想通貨と比較して安定はしています。しかし、全く価値が下がらないわけではありません。

それは、世界中で取引される金の価値が、情勢によって買取価格に変動が起こることが理由です。このような金には現物資産と金融資産の2つの性質があります。現実資産とは、それ自体に形があって価値がある資産です。

一方で金融資産とは、株式や現金のような無形の価値を持つものを指しているため、金は両方の性質を持ちます。投資の対象としては金融資産が一般的であるため、国や企業の状況によって1日で価値がゼロになる経済的リスクがあります。

また、現物資産でもある金は価値が即時ゼロになる可能性は低く、安定した投資先として高い需要があります。

長期保有で税額が軽減される金地金(インゴット)

金地金とは、金をインゴット形式で直接取引する金の投資方法です。金のイメージとして定着している金の延べ棒や金の板が、この投資方法である金地金に使用されます。金地金を選ぶメリットは、5年以上の長期保有で税金が減額される点です。

通常の金地金の売却益は課税対象で、金の現物取引は総合課税方式となり、累進課税です。しかし、5年以上金地金を保有した場合は、譲渡益を2分の1に減額することが認められています。

金次金は長期の目線で投資をしておくと、税金面でのメリットが期待できます。(出典元:国税庁「No.3161 金地金を売ったときの税金」)

デメリットとしては、貨幣とは違って管理コストがかかることです。自宅で保管する場合にも盗難防止のために厳重な金庫が必要となります。銀行の貸金庫を借りる方法もありますが、どちらもコストがかかるため注意が必要です。

少額から始められる純金積立

純金積立は毎月一定額を積み立てて、その費用で金を購入する投資方法です。通常は金の購入に高額の資金が必要ですが、純金積立ならば個人でも少額で投資がスタートできます。

自動積立もできるため、投資のたびに購入手続きを取るような面倒な手間も少なく、盗難リスクもない初心者が特に始めやすい点がメリットです。金額は最低1,000円から始められるところもありますサービスによっては、積立投資された金を金地金として引き出せます。

現物の金を手に入れて少額から投資を始めてみたいならば、純金積立をおすすめします。ただし、手数料が高くなってしまうことがデメリットです。料率はサービスによりますが、2.0%~5.0%の範囲で設定されていて、金融資産の観点で手数料を考えてしまうと高く感じてしまいます。

手数料が安くても、現物引き出しの制限があるサービスもあるため、制限の確認を行うことがおすすめです。

インゴットの購入

金属メーカーの店舗で購入する

インゴットは店舗で直接購入できます。店舗購入を検討している場合は、田中貴金属、日本マテリアル、三菱マテリアルなどといった、金属メーカーの直営店を選ぶのが安心です。

店舗購入であれば、資産運用や投資に関する相談をその場で行うこともできるので、「初めての金投資に不安や疑問を抱えている」という人には最適な方法かもしれません。資産商品としての金には、大きく金地金と金貨の2種類があります。

金地金は板状のインゴットとして売買され、貴金属の製錬業者や地金商が販売しています。直営店や百貨店内の店舗のほか、商社や銀行を介しての購入も可能です。金塊を手にすれば誰もが金投資の実感を得られますが、金地金を買うにはそれなりのまとまった金額が必要です。

また、500g未満の金地金の購入や売却には、取引重量に応じた「バーチャージ」と呼ばれる手数料が上乗せされます。またインゴットの購入も消費税の10%がかかる点にも留意しておきましょう。

金属メーカーや地金商へ電話をして購入する

金属メーカー、または地金商へ直接電話をして購入するという方法もあります。店舗購入が難しい場合には、電話購入は直接足を運ばずに済むので便利です。会社によっては購入専用のフリーダイヤルを設置していたり、オペレーターの相談サービスを設けているところもあるので、初心者でも気軽に利用することができます。

純金を積立で購入する

毎月決まった金額を証券会社や銀行、貴金属商や地金商などに支払い、金の購入資金に充てるのが「純金積立」です。現物の金地金を自分で買い求めたり保管したりする必要がないことから、盗難のリスクや交渉の労を抑えることができるのがメリットの1つです。

月々3,000円程度の少額で続けられることから、貯金感覚で気軽に始められるのも人気の理由となっています。購入した金が一定量に達すれば、現物を引き出して手元に置くことも可能です。

金地金の管理方法として「混蔵寄託(こんぞうきたく)」と「消費寄託(しょうひきたく)」という2種類があります。

「混蔵寄託」では預けた金の所有権が契約者にあるのに対し、「消費寄託」では預けた金の所有権が預け先の会社に移転し、運営会社にてその金を運用できるというものです。以下にそれぞれのメリットとデメリットとまとめましたのでご覧ください。

金地金の管理方法

混蔵寄託

■メリット

・所有権が契約者に帰属

・預け先の倒産などでも金が戻らないリスクがない

■デメリット
・預ける金の量や期間に応じて保管料が発生する

消費寄託

■メリット

・保管料は無料のところが多い

■デメリット

・所有権が預け先に移転

・預け先が倒産の場合は金が戻らないリスクがある

銀行のサービスに例えるならば、混蔵寄託は「貸金庫」で、消費寄託は「普通預金」だと考えれば分かりやすいでしょう。それぞれの特徴を踏まえた上で、信頼のおける預け先を選ぶようにしましょう。

また、購入金額の1.5~5%程度の手数料や、運営会社によっては口座開設費・年会費といった諸費用が発生する点にも留意してください。

ETF(上場投資信託)で株式のように購入する

上場投資信託と訳されるETF(Exchange Traded Fund)は、取引上に上場されている株価指数や商品価格などの指標に連動するように設計された投資信託です。金ETFは金の価格に連動していて、相場をリアルタイムで確認しながら株式のように取引できるのも大きな魅力です。

売買は証券会社を通じて行われ、プロのファンドマネジャーが運用するため、安心感もあります。ただ、金ETFは現物の金と交換できない場合が多く、金投資をしている実感はやや乏しいといえます。

インゴットを売却するには

金のインゴットを売却する場合には「譲渡」として扱われますので、税務署への申告、納税が必要になります。金のインゴットを売却する場合、1回に200万円以上の取引をする際には、買取業者が税務署にその取引内容を報告する義務がありますので、売却後に確定申告をする必要があります。

「ついうっかり」確定申告を忘れてしまうと、売買の金額も高額になってしまう事から、最悪の場合「悪質な財産隠し」と判断されてしまうかもしれません。そうなると追徴課税などのペナルティが課せられてしまいますので注意しましょう。

金のインゴットの売却には、金のアクセサリーなどの他の金製品の売却に比べて面倒な事も多いので、分からないことがあれば買取業者のスタッフに相談するか、税理士に相談することをおすすめします。

インゴットの小分け

インゴットを売却する際には、通常譲渡所得による課税を気にする必要があります。しかし、金のインゴットを小分け・分割したうえで取引をすることで、この税金を節税することができます。

たとえば、1,000万円の売却益を得た場合、1,000万円が課税対象額に加算されます。年収が500万円の会社勤めの方が1,000万円の売却益を得れば、1,500万円の年収として扱われ、相応の税金の支払いを求められます。

これでは、せっかく1,000万円の売却益を得たにも関わらず、損をしているように感じてしまいます。

この税金を節税するための方法が、インゴットを小分け・分割することです。インゴットを小分け・分割すると、どうして税金がかからないのでしょうか?それは、控除額という仕組みがあるからです。

金の売却益は譲渡所得として扱われるため、金を売却して得たお金には所得税がかかります。ただ、譲渡所得には年50万円の特別控除が用意されています。この特別控除の範囲内での取引であれば、税金がかかってくることはないのです。

売却益が50万円を下回るサイズに小分け・分割し、毎年売却することで、税金を支払う必要なく大きな資金を得ることができるのです。

インゴットを贈与する場合

この場合も基礎控除が用意されているので、基礎控除の枠内に収めることで贈与税を節税することができます。贈与税の基礎控除は年間110万円となっています。そのため、贈与する場合には110万円を下回る金額での贈与になるよう小分け・分割をするとよいでしょう。

まとめ

今回はインゴットについて基礎的な知識や投資など詳しく解説してきました。金はその希少性だけでなく、多方面からの需要が高いためその価値は高騰しています。

純金に近いほど金の価値は高まりますが、耐久性は小さくなるため、用途に合わせた活用が必要です。投資に関しても、現在の資産状況や投資目的によって適切な選択が異なるため、ご自身の都合にあった投資方法で金取引を行うことをおすすめします。

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