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プラチナの価値がなくなることはない
プラチナは約7割が工業用に使われているという特徴があります。日本では宝飾用と思われがちですが、実は工業用には欠かせない素材なのため、プラチナの価値が一切なくなることはありません。
プラチナの価値は需要と供給で決まる
プラチナの市場価値は需要と供給によって決まります。
プラチナは限られた地域でしか採掘できず、主なプラチナ産出国は世界の約7割を占める南アフリカと約1割のロシアです。そのため、産出国の政治や経済の動きがプラチナの価値に直結します。
プラチナの需要の約7割は工業用で残り3割はジュエリー用です。
工業用の約6割は自動車触媒用でほかにはガラス、化学、電子工学などに使われます。需要については主な需要である自動車産業の動き、世界情勢、景気に左右されやすいでしょう。
プラチナの価値が金よりも低い理由
近年の市場を見ると金の価格は上がっており、プラチナの価格は下落傾向にあるようです。また、金とプラチナの相場を見ると金は1gあたり10,268円、プラチナは4,866円となっています。プラチナと金では使用用途や価値が変動する理由が異なります。
主な用途 | 価値が変動する要因 | |||
---|---|---|---|---|
プラチナ | 工業用途 | 世界情勢、自動車産業 | ||
金 | 投資、宝飾品 | 経済危機 |
プラチナの価値は自動車産業の動向や世界の景気の影響により変動し、ディーゼル車への信頼低下で値下がりしました。
一方、金は投資や宝飾品などの資産として使用されることが多く、世界情勢の悪化や景気が悪くなると価値が上昇する傾向があります。実際、プラチナ価格が下落したリーマン・ショックの際には逆に金価格が上昇しました。
COVID-19の発生やウクライナ侵攻など不透明な情勢のなかで金価格が高騰し、プラチナと金の価値の差が大きくなっています。
プラチナの価値が変動する4つの要因
プラチナの価値は主要産業や社会の変化などさまざまな要因で変動します。ここでは、プラチナの価値が変動する要因を具体的に解説します。
自動車産業の需要
プラチナは主に排ガス浄化触媒として活用されているため、自動車業界の動向はプラチナの価値を大きく変化させます。現在、欧州を中心にディーゼル車離れが進んでおりプラチナの需要は減っている傾向にあります。
一方、パラジウムの代わりとなる触媒でプラチナを使うという動きにも注目が集まっています。パラジウムを供給している主要国がロシアであることが理由です。将来的にプラチナの需要は増加し、価値も上がる可能性があるでしょう。
水素社会実現への動き
水素社会への移行はプラチナ価格を上昇させる可能性があります。水素社会とは水素をエネルギー源として主に利用する社会のことで、CO2や排ガスを排出しない環境にやさしいことが特徴です。
欧州や日本においては水素エネルギーの活用が進められており、「燃料電池自動車」もその一例です。しかし、プラチナ以外の触媒で水素エネルギーが得られるようになれば、プラチナの需要が減る可能性も否定できません。
主要消費国の景気
プラチナは日本、中国、欧州、北米で多く消費されています。プラチナの約7割は工業用に使われており、日本、中国、欧州、北米の景気がプラチナの価値を左右します。
景気が良くなるとプラチナの需要が高まり価格が上がる傾向にありますが、景気が悪くなると需要が減り価値が下落する傾向にあります。
また、プラチナの価格変動にはプラチナの主要生産国(全体の約7割)である南アフリカの政治・経済情勢が大きく影響します。特に、リーマン・ショック直前には南アフリカの鉱山の電力トラブルで生産が停止し、プラチナ価格が急騰しました。近年では、鉱山で働く方達のストライキにより生産がストップし価値が上昇しました。
南アフリカの社会・政治情勢
南アフリカの通貨ランドが米ドルに対して値下がりすれば、南アフリカからの輸出が増え市場での供給が増えるため、価値が下がる場合があります。
世界第2位のプラチナ生産国であるロシアの状況も影響しますが、南アフリカの影響のほうが大きいでしょう。
2024年以降プラチナの価値はどうなる?
プラチナ価格は今後数年間で上昇すると予想されます。排ガス浄化触媒として使用されるパラジウムに代わってプラチナが使用されるようになるため、 需要が増加することが要因のひとつです。
また、排ガス規制の強化に対応するため、1台当たりの触媒使用量が増加することも価値が上がる理由です。
ただし、WPICが発表したデータには中国が国内需要を上回るプラチナを輸入している事実が考慮されていない点に注意しましょう。
プラチナの下落が心配なら売却も検討しよう
プラチナの価値と市場価格は毎日変動します。そのため、市場価格が少しでも上昇したタイミングで売却するのもひとつの選択肢です。
売却後に相場が上昇傾向を示した場合は損をする場合もありますが、高確率で利益を得たい方にはおすすめの方法です。
プラチナを高価買取してもらうためのコツ
プラチナを高価買取してもらうためにはメンテナンスをする、付属品を揃えるなどの準備が必要です。ここでは、高価買取のコツを解説します。
定期的にメンテナンスを行う
貴金属を売る前に、まずは落とせる汚れは除去しておきましょう。査定時のトラブルを避けるためにもメンテナンスをしておくことが大切です。
貴金属については一般的に「グラム(重さ)」で買取価格が決まります。そのため、ブランド品と違い、状態が悪いという理由で買取価格が下がることはほとんどの場合ありません。
しかし、悪質な買取業者の場合、鑑定士が 「状態が悪いから買取価格を下げる」と言うケースも稀にあります。そのため、トラブルを避けるためにも、汚れを拭き取っておくのがおすすめです。
査定はなるべく早く出す
プラチナなどの貴金属の相場は毎日変動し、1日遅いだけで「昨日の方が高価買取できた」ということもあります。
また、相場を知らずにお店に持って行ってしまうと納得のいかない査定額になる可能性があるため、プラチナを売るときは必ず相場を確認しましょう。
付属品と一緒に査定する
付属品があることで買取商品の品質や本物であることが保証されるため、商品価値が上がります。
例えば、プラチナが入っていたボックス、袋、保証書などです。これらの付属品は捨てずに取っておきましょう。
なお、付属品がなくても、基本的には売ることはできます。
複数の買取業者を比較する
貴金属の買取に強く専門の鑑定士が在籍している買取業者は適正な査定額を提示します。
売却を検討している買取業者については買取実績、得意な買取品目、専門の鑑定士が在籍しているかどうかなどを事前に情報収集しておきましょう。
そして、見積もりは1つだけでなく複数業者に依頼することで価格やサービスの比較ができ、高額買取しやすくなります。業者は自分の店で買取してもらうために他社より少しでも高い買取金額を提示してくれるパターンが多いからです。
まとめ
プラチナの価値は今後の自動車業界の動向に大きく左右されることが予想されます。短期間でプラチナの価値が低下することは考えにくいものの、長期的な視点で見ると電気自動車が一般的になることよってプラチナ需要が減少し価値が低下するかもしれません。
プラチナの買取を検討している方はこまめに相場をチェックし、高いタイミングで売却しましょう。