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ロレックスのリューズとは?

リューズとは、腕時計の側面に取り付けられているつまみ状のパーツで、漢字では「竜頭」と表記されます。
一般的には3時位置に配置されていますが、左利きの人が使いやすいように設計された「レフティモデル(レフトハンドモデル)」では、9時位置に取り付けられているのです。
リューズは時刻や日付の調整、ゼンマイの巻き上げなど、日常的に操作される重要なパーツです。一方で非常に繊細で劣化しやすいため、丁寧な取り扱いが必要です。
ロレックスのリューズの役割
時計のリューズには主に2つの役割があります。
まず1つ目は、腕時計のゼンマイを巻き上げることです。機械式腕時計は、巻き上げられたゼンマイが元に戻ろうとする力を動力としています。そのため、リューズはゼンマイを巻き上げるために欠かせないパーツのひとつです。
そして2つ目は、時計に表示される日付や時刻の調整です。リューズを引き出して回すことで内部の歯車が動き、日付や時刻を正しく設定できるようになっています。
ロレックスのリューズの仕様
ロレックスのリューズには、主に「ねじ込み式リューズ」と「引き出し式リューズ」の2種類の仕様があります。ここでは、それぞれの特徴や違いについて詳しく解説します。
ねじ込み式リューズ
ねじ込み式リューズは、リューズをねじ込むことで水やほこりの侵入を防ぎ、防水性と気密性に優れているのが特徴です。
ケース側には内ねじ(めねじ)、リューズ側には外ねじ(おねじ)が付いています。そのため、リューズのロックを解除する際は、ねじを回して緩める必要があります。
引き出し式リューズ
引き出し式リューズとは、指でリューズをつまんで引き出すことで操作するタイプです。
シンプルな構造で、日付や時刻の調整が手軽に行えるのが特徴です。多くの機械式時計で見られますが、ロレックスの場合、ほとんどのモデルがねじ込み式リューズを採用しています。
ロレックスのリューズの種類や意味
ロレックスのリューズには、「ライン」や「ドット」などのマークが付けられていることがあります。ここでは、それらの種類や意味について詳しく解説します。
「ー」

「ー」(ライン)は、ステンレススチール製や金無垢モデルに採用される、ツインロックリューズを示す識別マークの一例と考えられています。
ツインロックリューズとは、防水パッキンを2つ使用し、防水性と気密性を高めた構造のリューズのことです。
ステンレススチールは、ロレックスの多くのスポーツモデルに採用されている代表的な素材で、「エクスプローラー」や「GMTマスター」、「デイトナ」などにこのマークが見られることがあります。
「・」

「・」(1ドット)は、プラチナ製のツインロックリューズを示す識別マークのひとつです。
プラチナは高い純度を誇り、ロレックスの高級モデルで多く使用されている素材です。「デイトジャスト」や「デイデイト」などで、このマークが施されていることがあります。
「・・」

「・・」(2ドット)は、金無垢やコンビモデルなど、ゴールド素材のツインロックリューズに付けられることがあります。
このマークの意味やデザインはモデルや年代によって異なる場合もありますが、防水性と気密性を強化したツインロック構造の一種と考えられています。
「・・・」

「・・・」(3ドット)は、トリプロックリューズを示す識別マークとして広く知られています。
王冠ロゴの下に3つのドットが並んでおり、三重構造の防水機構を備えた高性能リューズであることを意味します。とくに高い防水性が求められるダイバーズモデルに多く採用されており、「サブマリーナ」「ディープシー」「デイトナ」などで確認できます。
「+」「BREVET」「ROLEX OYSTER」

アンティークロレックスのリューズには、「+」や「BREVET」、「ROLEX OYSTER」といった刻印が見られます。
「+」マークについては、かつてロレックスの特許技術を示すとされたり、その形状からスイス国旗の象徴とも言われたりと、愛好家の間でも諸説あります。
また、王冠ロゴだけが刻印されたモデルもあり、文字や記号のないシンプルなデザインが特徴です。こうした刻印は現行モデルには見られず、アンティークロレックスならではの魅力とされているのです。
ロレックスのリューズの操作方法
ここでは、一般的なリューズの操作方法を4つの手順で解説します。
ただし、モデルによって日付の変更方法や操作手順が異なることがありますので、必ず取扱説明書を確認し、正しい方法で操作してください。以下の内容はあくまで参考としてご覧ください。
リューズの開放方法

「ねじ込み式」のリューズは、リューズがねじ込まれてロックされた状態になっているため、まずはリューズを手前にゆっくりと回してロックを解除しましょう。
操作後、リューズを閉める際は、リューズを軽く押し込みながら奥に向かって回すことで、再びしっかりとねじ込むことができます。
ゼンマイの巻き方

一般的なゼンマイの巻き方は、まずリューズのロックを解除して操作できる状態にします。
次に、リューズを時計回り(手首側から見て右回り)に回します。モデルによっては反時計回りに回す仕様のものもありますので、必ず取扱説明書を確認しましょう。
これをおよそ30回繰り返すことで十分に巻き上げられます。巻き終えたらリューズを元の位置に戻し、しっかりとねじ込んでロックしてください。
時間の調整方法

時刻を調整する際も、まずはリューズのロックを解除し、調整準備をします。
次に、リューズを一段階(モデルによっては二段階)引き出します。その状態で、針が時計回りに動くようにリューズをゆっくり回し、正しい時刻に合わせましょう。
調整後はリューズを元の位置に押し込み、確実にねじ込んでロックしてください。
日付の調整方法

日付調整時も同様にリューズのロックを解除し、操作可能な状態にします。
次にリューズを二段階まで引き出し、その状態でリューズを回して正しい日付に合わせます。
ただし、午後9時から午前3時までは日付変更機構が動作しているため、この時間帯の調整は避けてください。誤操作により故障の原因となる場合があります。
調整が終わったら、リューズを押し戻してしっかりねじ込み、ロックすれば完了です。
ロレックスのリューズトラブルと原因の対処法

ロレックスのリューズでよく見られるトラブルには、主に以下の3つがあります。
・リューズの動きが悪い
・リューズが空回りする
・リューズが抜けてしまう
ここでは、それぞれの原因と対処法について詳しく解説します。
リューズの動きが悪い
リューズの動きが悪い場合、湿気による錆や汚れの付着が原因となっている可能性があります。
そのため、日頃からリューズとケースの隙間をこまめに掃除し、錆や汚れの発生を防ぎましょう。また、定期的にリューズを開閉して軽く回すことで、固着を防ぎ、スムーズな動作を保つ効果もあります。
リューズが空回りする
リューズが空回りする場合、内部のパーツが経年劣化によって破損または摩耗している可能性があります。
また、リューズ自体ではなく、ほかの部品に不具合が生じていることが原因のケースも考えられます。重大なトラブルにつながる前に、できるだけ早めに専門の修理業者に相談・依頼しましょう。
リューズが抜けてしまう
リューズが抜ける原因としては、リューズやチューブのネジの緩みや摩耗、内部パーツの劣化が挙げられます。潤滑不足が影響する場合もありますが、主に物理的な摩耗や緩みが原因です。
無理に押し込もうとすると、内部の他の部品を損傷するおそれがあるため、自分で対処せず、専門の修理業者に依頼してください。
ロレックスのリューズの交換費用

民間の修理業者に依頼する場合、一般的に数千円~3万円程度が目安とされています。
一方、正規サービスセンターに依頼すると、リューズ交換は単体での受付がなく、オーバーホールとセットになることが一般的です。そのため、総額で10万円以上かかるケースもあります。
また、人気モデルや金無垢モデルなど高価な素材を使用したリューズは部品代が高額になることが多く、交換費用もさらに増える可能性があります。
こうした理由から、修理依頼の際は事前に見積もりを取り、費用や使用部品、保証内容をしっかり確認することが非常に重要です。
まとめ
ロレックスのリューズには「ねじ込み式」や「引き出し式」などの種類があり、マークも時代やモデルによって異なります。
操作方法はモデルによって異なるため、必ず取扱説明書を確認してください。リューズの動きが悪くなった場合やトラブルが発生した際は、自分で無理に修理しようとせず、必ず専門業者に相談しましょう。


