ロレックスのベゼルの種類
ロレックスの時計には、現行モデルだけでなく過去のモデルにも多彩なベゼルが採用されています。ここでは、ロレックスで使用されている11種類のベゼルそれぞれの特徴について詳しく解説します。
フルーテッドベゼル

フルーテッドベゼルとは、連続する山型カットが特徴的な、ロレックスを象徴するベゼルのひとつです。
このデザインは、1926年にロレックスが初めて開発した防水ケース「オイスターケース」の一部として登場しました。もともとは、ベゼルをケースにしっかりとねじ込むことで、防水性を高めるという実用的な目的で設計されたものです。
現在では、機能的なねじ込み構造は廃止され、装飾的なデザインとしてその美しいフォルムのみが継承されています。
現行モデルにおいて、フルーテッドベゼルにはK18ゴールドまたはPt950プラチナといった貴金属のみが使用されており、「デイデイト」や「スカイドゥエラー」など、ロレックスのクラシックラインで多く採用されています。
スムースベゼル

スムースベゼル(ポリッシュベゼル)とは、装飾を省いた鏡面仕上げのシンプルなデザインで、ロレックスの多くのモデルに採用されている一般的なベゼルのひとつです。
素材本来の質感を際立たせながら、ベゼル自体の主張を控えめにすることで、洗練されたスマートな印象を演出します。
そのため、スムースベゼルを備えたモデルは、シーンやスタイルを問わず幅広く対応できる、高い汎用性を持つデザインとして人気があります。
タキメーターベゼル

タキメーターベゼルは、クロノグラフモデルにおける標準的なパーツで、秒針と連動させることで、おおよその時速を計測することができます。
ロレックスのラインナップでは、「コスモグラフ デイトナ」のみに採用されており、このモデルを象徴する特徴のひとつです。
タキメーターベゼルの細かな目盛りとクロノグラフのインダイヤルが組み合わさることで、まるで計器のような精密さが際立ち、時計全体にメカニカルで力強い印象を与えています。
エンジンターンドベゼル

エンジンターンドベゼルという名称は、機械加工による精密なパターンをイメージしてデザインされたことに由来します。
ベゼルの表面には、均一に刻まれた繊細な直線模様が施されており、山型のカットが強調されたフルーテッドベゼルに比べると、凹凸が控えめで上品な印象です。
どちらもロレックスを象徴する装飾デザインのひとつですが、エンジンターンドベゼルはすでに生産が終了しており、2010年以前の旧型モデルにのみ採用されていました。
ファインリーエンジンターンドベゼル

ファインリーエンジンターンドベゼルは、エンジンターンドベゼルと似た形状ながら、いくつかの違いがあります。
まず、5分刻みに配されたバー状の部分には鏡面仕上げが施されており、全体に刻まれた繊細な直線模様が光を受けて美しく輝くのが特徴です。
このような仕上げにより、通常のエンジンターンドベゼルよりもスポーティかつスタイリッシュな印象を与えます。
現在のロレックスでは採用されておらず、1960〜70年代の「エアキング」や「オイスター パーペチュアル」など、一部のヴィンテージモデルに見られる装飾です。
バーク仕上げベゼル

バーク仕上げベゼルは、かつてロレックスのゴールドモデルに採用されていた装飾ベゼルのひとつです。
その名称が示すとおり、バーク(樹皮)を思わせる独特の彫り模様が施されており、深みのあるレトロで落ち着いた雰囲気を演出します。
一部のモデルではベゼルだけでなく、ブレスレットの中駒にも同様の仕上げが施され、統一感あるクラシカルな外観が特徴です。
1970〜90年代前半の「デイデイト」や「デイトジャスト」に多く見られ、現行モデルでは使用されていません。
逆回転防止ベゼル

逆回転防止ベゼルは、サブマリーナーやシードゥエラーといったダイバーズウォッチ専用のベゼルで、一方向にのみ回転する仕組みです。
ベゼルには経過時間を示す目盛りが刻まれており、ゼロ位置(逆三角形のマーク)を分針に合わせることで、ベゼルが経過時間を記憶します。
この機能はもともと、ダイバーが酸素ボンベの残り時間を正確に把握するために搭載されたもので、誤ってベゼルが動いて残り時間が狂わないように、逆回転防止機能が搭載されているのです。
デザイン面でも回転ベゼルはスポーティな印象を強く与えます。かつては主にアルミインサートが使われていましたが、現在は光沢のあるセラミック素材「セラクロム」が採用されています。
両方向回転式ベゼル

両方向回転式ベゼルは、ダイバーズウォッチ用ではありません。誤ってベゼルが動いても支障がないため、両方向に回転する仕組みになっています。
例えば、GMTマスター Ⅱではベゼル上に第2(第3)時間帯を示す目盛りが刻まれており、GMT針と組み合わせることで別の時間帯を把握できるのです。
ヨットマスターは、ダイバーズ用のように経過時間を測る計器としても使えますが、船上での使用を想定したモデルのため、逆回転防止機能は搭載されていません。
また、ターノグラフやサンダーバードも両方向回転式ベゼルを採用したモデルです。
これらのベゼルは計器としての役割に加え、デザイン面でも大きな存在感を放っています。特にGMTマスター Ⅱは、鮮やかなベゼルのカラーリングが目を引きます。
宝飾ベゼル

宝飾ベゼルとは、バケットカットダイヤモンドやパヴェダイヤモンド、サファイアなどの天然石をあしらったベゼルのことを指します。
こうした宝飾ベゼルを採用した時計は、単なる高級時計を超え、宝飾品としての価値も非常に高く、エレガントでラグジュアリーな雰囲気を漂わせます。
もともとロレックスの時計は高級品ですが、宝飾ベゼルを施したモデルは、その中でも最上級の存在であり、まさに至高の時計と呼ぶにふさわしいでしょう。
ピラミッドベゼル

ピラミッドベゼルとは、ベゼル表面に四角錐状のカットが施された立体的な装飾ベゼルのことです。
フルーテッドベゼルが縦方向のカット中心であるのに対し、ピラミッドベゼルは縦横に交差するカットが特徴です。まるで文字盤の周囲に小さなピラミッドが連なるような精巧なデザインをしています。
単体で使われることもあれば、宝石を組み合わせた豪華なモデルも存在します。特に金無垢のデイトジャストなどで採用され、文字盤を引き立てるラグジュアリーな印象を与えます。
ベークライトベゼル

ベークライトベゼルとは、プラスチック樹脂製のベゼルで、初代GMTマスターに採用されていました。
しかし、プラスチック樹脂は傷や衝撃、紫外線に対する耐性が低く、その後、耐久性に優れたアルミ製インサートへと変更されたのです。
このため、初代GMTマスターのベークライトベゼル搭載モデルは現存数が非常に少なく、状態のよい個体は中古市場で高値取引されています。
【ベゼルの種類別】ロレックスの人気モデル
ロレックスの人気モデルには、多様なベゼルが採用されています。ここでは、各モデルや型番ごとに使用されているベゼルについて詳しく解説します。
デイトジャスト 36 Ref.126234

デイトジャスト Ref.126234のフルーテッドベゼルは、K18ホワイトゴールド製で、時計のケースにねじ込まれた独特の山型装飾が特徴です。
このデザインは、もともと防水性を高めるために考案されましたが、現在ではロレックスの象徴的な美的要素として親しまれています。
光の角度によって輝きが変わり、ジュビリーブレスレットと相まって優雅でありながらスポーティな印象を与えます。
デイトジャスト 36 Ref.126200

デイトジャスト Ref.126200に採用されたスムースベゼルは、鏡面仕上げによる滑らかな輝きが特徴で、シンプルながらも上品で洗練された印象を与えます。
装飾を抑えたデザインは、ビジネスシーンやカジュアル、フォーマルまで幅広くマッチし、どんなスタイルにも自然に馴染みます。
また、控えめながら確かな存在感があり、時計全体の高級感を引き立てる重要な要素です。ロレックスらしいクラシックな美しさを体現したベゼルと言えるでしょう。
コスモグラフ デイトナ Ref.116500LN

コスモグラフ デイトナ Ref.116500LNに搭載されているモノブロック セラクロムベゼルは、高度な技術で製造されたセラミック製です。
従来の金属製ベゼルに代わって採用されており、耐蝕性と耐傷性に優れているため、長期間にわたり美しい状態を保ちます。
ベゼルにはタキメータースケールが刻まれており、平均速度を計測できます。レーシングドライバーの実用的なニーズに応えながら、洗練されたデザインも兼ね備えているのです。
エアキング Ref.14010M

エアキング Ref.14010Mは、ファインリーエンジンターンドベゼルを採用しています。
このベゼルは、精密に施された細かいカットが光を反射し、シンプルなデザインに立体感と高級感を加えています。また、ポリッシュ仕上げのインデックスと相まって、文字盤の視認性と美しさを一層引き立てています。
エアキングシリーズは、航空黄金期のパイロットたちへのオマージュとして誕生し、シンプルでありながらも洗練されたデザインが魅力です。
オイスター パーペチュアル Ref.1002

オイスター パーペチュアル Ref.1002は、1950~60年代製のヴィンテージモデルで、シンプルなスムースベゼルを採用しています。
鏡面仕上げのベゼルは装飾を排し、洗練された上品な輝きを放ち、時計全体にクラシックな高級感をもたらします。
主張しすぎないデザインで、どんなシーンにも馴染む汎用性の高さが魅力です。ヴィンテージらしいドーム型風防と相まって、時代を超えたエレガンスを感じさせる一本です。
デイトジャスト Ref.1607

デイトジャスト Ref.1607は、希少な「バーク仕上げ」のベゼルを備えたヴィンテージモデルです。
バーク仕上げとは、樹皮のような独特のテクスチャーを施した加工で、手作業によって生まれる深い陰影が特徴です。
金無垢素材(K18ゴールド)の質感と相まって、クラシックで重厚な印象を与えます。この仕上げは一部の高級モデルにのみ採用されており、現行では見られない希少性の高い一本です。
サブマリーナー Ref.124060

サブマリーナー Ref.124060のベゼルは、潜水時間の安全な計測に特化したセラクロム製逆回転防止ベゼルです。
ブラックのセラミックインサートにはプラチナでコーティングされた60分目盛りが刻まれており、耐傷性・耐紫外線性に優れているため、長年にわたって美しい状態を保つことができます。
ゼロ位置には夜光カプセル付きのマーカーを備えており、暗所でも視認性が確保されています。
さらに、ギザギザに加工されたノコギリ状の縁は、グローブ着用時でも優れた操作性を実現し、真のダイバーズウォッチとしての信頼性を高めているのです。
GMTマスター II Ref.126710BLRO

GMTマスター II Ref.126710BLROは、赤と青のセラクロム製インサートを備えた24時間表示の両方向回転式ベゼルを搭載し、世界を飛び回る旅人に最適な実用性を備えた一本です。
通称「ペプシベゼル」と呼ばれるこの配色は、赤が昼間、青が夜間を視覚的に示し、直感的な読み取りを可能にします。高硬度のセラミック素材は、傷や紫外線による色あせに強く、長く鮮やかな美しさを保つことができます。
24時間目盛りはGMT針と連動し、第2タイムゾーンを正確に表示、さらにベゼルを回転させることで、第3タイムゾーンの読み取りも可能です。
デイデイト 36 Ref.128349RBR(レインボー)

こちらは、デイデイト Ref.128349RBRの中でも10個のバゲットカットサファイアが特徴的なレインボーカラーのモデルです。
K18ホワイトゴールド製のベゼルには、52個のブリリアントカットダイヤモンドが精緻にセッティングされており、華やかで気品ある輝きを放ちます。
ベゼルの繊細な装飾と、虹色にグラデーションを描くサファイアのインデックスが調和し、ラグジュアリーかつ唯一無二の存在感を生み出しています。
デイデイト Ref.18238

デイデイト Ref.18238は、K18イエローゴールド製のフルーテッド(ギザギザ)ベゼルが特徴です。
かつては防水性を確保するためのねじ込み式構造でしたが、現在では装飾的な役割が主体となっています。このベゼルは、光を受けると複雑に反射し、時計全体に高級感と存在感を与えます。
GMTマスター Ref.6542

GMTマスター Ref.6542の特徴的なベゼルは、初期に採用されたベークライト製の24時間回転ベゼルです。
このベゼルには蓄光のためにラジウムが使用されており、独特の深みある光と質感を持っています。しかし、ベークライトは割れやすく経年劣化しやすいため、1956年頃から耐久性に優れたアルミニウム製のベゼルへと変更されました。
ベークライトベゼルを維持した個体は非常に希少で、コレクターから高く評価されています。また、ラジウムの放射性により安全面の懸念があり、回収や交換が行われた歴史もあります。
【用途別】ロレックスのベゼルの選び方
ロレックスのベゼルを選ぶ際には、主に以下の3つの用途が挙げられます。
・デザイン性
・機能性
・投資・コレクション
ここでは、これら3つの用途に合わせたベゼルの選び方について詳しくご紹介します。
デザイン性
| ベゼルの種類 | 特徴 |
|---|---|
| フルーテッドベゼル | ギザギザした山型の刻みが入ったデザイン。光を受けて強く輝く仕上がりが特徴。高級感と伝統的なロレックスらしさを演出する。 |
| 宝飾ベゼル | 宝石職人によって丁寧にセッティングされた輝きが魅力で、存在感とラグジュアリーさを求める方におすすめ。 |
| スムースベゼル | シンプルで落ち着いた印象を与え、控えめなデザインのためさまざまなシーンに合わせやすい。 |
機能性
| ベゼルの種類 | 特徴 |
|---|---|
| 回転ベゼル | 潜水時間の管理や異なるタイムゾーンの把握に便利。両方向回転タイプや逆回転防止タイプなどがある。 |
| タキメーターベゼル | 速度を計測するための機能であり、スポーツやモータースポーツとの相性が抜群。 |
| セラクロムベゼル | 高硬度のセラミック製で、傷がつきにくく紫外線による色褪せも防止。 |
投資・コレクション性
| ベゼルの種類 | 特徴 |
|---|---|
| ベークライト(初期型) | GMTマスターなどの初期モデルに見られ、現存数が非常に少ないため、コレクター市場では高値で取引されている。 |
| 限定カラー | 生産期間が限られているものや、特定の市場でのみ流通したレアモデルが多く、GMTマスター IIのペプシ、コーク、ルートビアなどがある。 |
| 宝飾ベゼル | 装飾性と希少性を兼ね備えており、デイトナのレインボーなどがオークションで高額落札される傾向。 |
まとめ
今回はロレックスのベゼルについて解説しました。
デザイン性や機能性、資産価値などの観点から、多様なベゼルが存在します。時計選びの際にベゼルを重要なポイントとして考える方も多いと思いますので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。


