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ロレックスの手巻き時計とは?
ロレックスの手巻き時計は、リューズを手で巻き上げることで動力を確保する仕組みです。1930年代までは主流でしたが、現在は自動巻きが一般的となり、新作モデルでは生産されていません。
手巻き時計とは
ゼンマイを手で巻き上げて、動力を確保する機械式のモデルです。自動巻きが主流となった現在では製造されなくなりましたが、かつての名作はヴィンテージ市場で高い評価を受けています。
その中でも「デイトナ ポール・ニューマン(DAYTONA PAUL NEWMAN)」などの希少モデルが、コレクターの間で価値が上昇しています。
手巻き時計は、定期的なゼンマイの巻き上げが必要ですが、その手間もまた愛好家にとっては魅力の一つといえるでしょう。
自動巻き時計との違い
手巻きと自動巻きの違いは、ゼンマイの巻き上げ方法にあります。手巻きはリューズを回してゼンマイを巻き上げる必要があり、毎日または数日に一度の手動操作が欠かせません。
一方、自動巻きは内部のローターが腕の動きを利用してゼンマイを巻き上げるため、装着している限り動力が確保されます。
どちらも魅力があるため、用途や好みによって選ばれているようです。
ロレックスの手巻き時計のモデル
ロレックスの手巻き時計は、「オイスター パーペチュアル」や「デイトナ」など、今もなお高い評価を受けるモデルが多く、コレクターにも人気です。
手巻き式ならではの魅力と精緻な作りが、時計愛好家の心をつかんでいます。
オイスターケース採用のモデル
ロレックスの手巻き時計は、初期のオイスターシリーズなど、機能性とデザインが融合したモデルで知られています。
1926年に発表されたオイスターは、防水性能と堅牢性を兼ね備えた初の時計として時計業界に革新をもたらしました。
オイスターは、その後も多くの著名人に愛用され、手巻きモデルが生産され続けました。1930年代にはパーペチュアルが登場し、手巻きと自動巻きの両方が支持される時代を迎えます。
ノンオイスター
ロレックスでは、オイスターケースを採用したものが多く見られますが、ノンオイスターも重要な役割を果たしています。
1930~40年代には、プリンスがドクターウォッチとして高精度で評価され、チェリーニはオイスターとは異なるドレスタイプで多くのファンを惹きつけました。
ノンオイスターは、独自の魅力を持つモデルとして、時計の多様性を広げます。また、オーキッドやカメレオンといったレディースモデルも登場し、さまざまな層のニーズに応えてきました。
クロノグラフ
1969年、他ブランドによって自動巻きクロノグラフが初めて登場します。これに対し、ロレックスは1980年代後半に「コスモグラフ デイトナ Ref.16520」を発表するまで、この分野で遅れを取っていました。
それ以前に登場したデイトナ Ref.6263やRef.6265と比べても、外装デザインには大きな変化がありません。ただし、内部のムーブメントや技術的な部分では大きな進化があります。
しかし、1970年代以降に登場した、他社の自動巻きクロノグラフに比べると、時代遅れとされてしまい、生産数は限られていたといわれています。
ロレックスの手巻き時計のメリット
ロレックスの手巻き時計は、薄くて軽量です。内部のメカニカルな美しさを楽しみことができ、手巻きならではの独特な魅力を感じられます。さらに、メンテナンスコストが低く、趣向性にも優れているというメリットもあります。
薄くて軽い
部品数が少ないため、手巻き時計は軽量で薄型です。自動巻き時計に必要なローターがないため、スリムなデザインを実現できます。
この特徴は、ドレスウォッチやシンプルな装いにぴったりで、腕元をすっきりと見せる効果があります。薄さと軽さは、腕に優しく、長時間の着用でも負担を感じさせないでしょう。
内部のメカニカルな美しさを堪能できる
手巻き時計なら、精緻なメカニズムを存分に堪能できる魅力があります。シースルーバックモデルでは、ローターがないため、時計内部の精緻な構造が目の前に広がります。
複雑なギアや歯車が巧妙に組み合わさり、まるで一つの芸術作品のように時間を刻む様子を楽しむことができます。この機械的な美しさは、手巻き時計ならではの特権だといえます。
メンテナンスコストが低い
構造がシンプルな手巻き時計は、メンテナンスコストが比較的低く抑えられます。部品数が少ないことで、故障やオーバーホールの際に必要な作業が少なく、維持費が軽減されるのです。
何より、自動巻き時計に見られるローター関連の問題がないため、その分のトラブルも避けることができます。このような点が、長期間にわたって使いやすいと感じられる理由です。
趣向性が高い
手巻き時計には、使う人の趣味性を満たす独特の魅力があります。リューズを手で巻くことで時計に命を吹き込むひとときは、愛好者にとって特別な儀式のようなものです。
この作業自体が楽しみとなり、単なる時計以上の価値を見いだすことができるでしょう。忙しい現代において、こうした時間をゆっくり楽しむことができるのは、大人ならではの贅沢なひとときです。
ロレックスの手巻き時計のデメリット
ロレックスの手巻き時計には、定期的に手動で巻く手間があり、精度も自動巻きに比べて劣ることがあります。また、限られた生産数により、購入価格が高くなる点もデメリットといえるでしょう。
定期的に手動で巻く必要がある
手巻き時計は、一定期間ごとにリューズを回してゼンマイを巻き上げる必要があります。この作業を楽しむ人もいますが、毎日手間をかけることを負担に感じることもあるでしょう。
巻き忘れると時計が止まり、再び時刻を合わせる必要が生じる点もデメリットの一つです。ロレックスにはラインナップされていませんが、近年では長時間リザーブモデルも登場しており、こうした負担を軽減する技術が発展しています。
自動巻きよりも精度に欠ける
ゼンマイを手動で巻き上げることで、手巻き時計は動力を得ます。そのため、腕の動きでゼンマイが常に巻かれ続ける自動巻きに比べて、精度が安定しにくい傾向があります。
しかも、ゼンマイの巻きが緩んでくると、わずかに時刻が狂いやすくなるなどの影響が出ることもあります。日常的に高い精度を求める場合は、細かい精度を求める方には不便に感じられるかもしれません。
生産数が少なく価格が高い
機械式時計の中でも、手巻き時計は数が限られたモデルとして位置付けられています。自動巻きが主流となったため、手巻きムーブメントを採用したモデルの生産数は少なく、その希少性が価格に影響を与えています。
加えて、手巻きモデルは製造工程が手間を要するため、コストが高くなる傾向があり、結果的に市場価格も高くなりがちです。このため、手巻き時計を選ぶ際には、価格面での覚悟が必要となるでしょう。
ロレックスの手巻き時計が止まる・遅れる原因
手巻き式時計が動かなくなったり、時間が遅れる場合には、いくつかの原因が考えられます。では、よく起こりがちな原因とはなんなのでしょうか。
ゼンマイの巻き上げ不足
手巻き時計のゼンマイは、時間が経過するごとに駆動力が低下します。そのため、定期的にゼンマイを巻き直さなければ、時計が止まったり、時間が遅れたりする原因となります。
ゼンマイが十分に巻かれていないと、正確な時刻を刻むことが難しくなります。手巻き式の特徴として、こまめにゼンマイを巻くことが求められるため、その点を意識することが大切です。
潤滑油の劣化や油不足
ムーブメント内の部品は、滑らかに動くために潤滑油で潤されています。しかし、時間が経過することでこの油が乾燥したり、汚れが蓄積されたりします。その結果、歯車などがスムーズに動かなくなり、精度に影響を与えます。
手巻き時計の動作不良は、定期的なオーバーホールで改善できます。潤滑油を新しく補充し、機械の正常な動作を維持することが可能です。
ゼンマイの故障
ゼンマイが切れる原因としては、潤滑油の不足や金属疲労が挙げられます。潤滑油が劣化すると摩擦が増し、ゼンマイに過度な負荷がかかるため、切れやすくなります。
また、巻き過ぎや無理な力を加えることも故障を引き起こすことがあります。ゼンマイが切れたなら、オーバーホールの際に交換しなければならないでしょう。
錆びやほこり・ゴミの侵入
時計内部への錆びやほこり、ゴミの侵入は、手巻き式時計の動作不良を引き起こします。防水性を保つために使用されるパッキンが劣化すると、気密性が失われ、外部の異物が時計内部に入り込みます。
これにより、部品が腐食し、摩耗や錆びが進行していまいます。時間が経つにつれ、時計の精度が乱れる原因となり、修理が必要になることもあります。
定期的なオーバーホールでパッキンの交換や内部清掃を行うことが、時計の性能を維持するために欠かせません。
ロレックスの手巻き時計のゼンマイの巻き方・頻度
ゼンマイを巻く際は、まず盤面の横にあるつまみである「リューズ」を緩めて、防水ロックを解除します。リューズが浮いた状態になったら、親指と人差し指で時計回りに回して巻き上げていきます。
ステップ① | リューズを6時方向に回す |
ステップ② | 飛び出たリューズを12時方向に巻き上げる |
ステップ③ | 巻き上げたらリューズを元に戻す |
ゼンマイの適切な巻き上げ回数と注意点
巻き上げる回数は通常20〜30回が目安ですが、40回まで巻いても問題ありません。ただし、ゼンマイを過剰に巻きすぎると、リューズを締める際にゼンマイ切れを引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
巻き上げが完了したら、リューズを反時計回りに回してロックを戻し、しっかり閉めてから使用することを忘れないようにしましょう。
ロレックスの手巻き時計のメンテナンス・修理事情
ロレックスの時計を長期使用するには、定期的なメンテナンスが不可欠です。しかし、いまやアンティークウォッチに分類される手巻き時計は、部品の供給が難しくなり、専門の修理店でも調達に時間がかかることがあります。
ブランドの特徴的なねじ込み式リューズは、頻繁な操作により摩耗しやすく、交換が必要になることが多いです。古い手巻きモデルでは、リューズやチューブの摩耗も避けられず、これが修理の難しさを増す要因の一つです。
ロレックスの手巻き時計の買取相場
ロレックスの手巻き時計は、その価値が年月を経ても保たれています。状態や希少性によって買取相場は大きく異なりますが、ニーズが高いモデルであることに違いはないでしょう。
1950年代くらいまでの古いモデル
ロレックスの手巻き時計は、その年代やモデルによって買取相場が大きく異なります。1950年代くらいまでの古いモデルは、オリジナルの状態を保っているかどうかが価値に大きく影響します。
さらに、外装やムーブメントの状態、付属品の有無なども価格を左右する要因です。もしも売却を検討するなら、専門知識を有するアンティーク時計を扱う業者に相談してみましょう。
1950年代後半以降のオイスターデイト
ロレックスの中でも比較的手に入れやすい価格帯として親しまれていた、1950年代後半以降のオイスターデイトは、近年その価値が高まっています。
その中でも「Ref.6694」などのモデルは、スポーツモデルほどの目立った人気はないものの、安定した需要があります。状態の良いものは、およそ20万円以上の査定がつくことも少なくありません。
文字盤が、オリジナルのデザインや状態を保っていれば、その価値は高まります。一方で、別の塗料で再加工されたリダン文字盤は、通常、買取や査定時に評価が下がることがあります。
レディースのドレスタイプやチェリーニ
レディースのドレスタイプやチェリーニは、その美しいデザインが魅力的で、一定の需要があります。しかし、一般的には市場での取引が活発ではないため、買取価格に差が出やすいのが現状です。
特に状態が良いものは、高い査定評価を得る可能性もありますが、過度な高額査定は難しいことが現状です。売却を検討するなら、複数の店舗で査定を受けることをおすすめします。
デイトナなどの手巻きクロノグラフや複雑機構モデル
デイトナをはじめとする手巻きクロノグラフや複雑機構を備えたモデルは、その希少性と高い機能性から、常にプレミアムがつく傾向にあります。
特に純正の状態が保たれているものは、高額査定を期待できるでしょう。もし査定を受けるなら、専門知識を持った業者や大手の買取店に相談してください。
また、コレクターによってレアポイントが増える場合があり、市場での需要が高まるため、買取価格は今後も上昇する傾向にあるといえるでしょう。
ロレックスの手巻き時計のお手入れ・保管方法
手巻き時計は高価なアイテムであるため、適切なお手入れと保管方法を実践することが大切です。日常的に使用する場合と長期間使用しない場合で、異なるケアが求められます。時計を守るために、正しい方法を確認しておきましょう
使用頻度が多い場合の方法
日常的に使用するなら、使用後には皮脂や汚れを取り除くことが重要です。マイクロファイバークロスやセーム革を使って、時計の表面をやさしく拭いてください。
これにより、外装やムーブメントの劣化を防ぐことができます。また、頻繁に使う場合でも、1ヶ月に1回はリューズを巻いて動かしてください。これにより、時計の調子が保たれ、不具合を早期に発見できるでしょう。
長期間使用しない場合の方法
長期間使用しないなら、「保管の準備」と「また使い始める準備」が重要です。まず、表面の汚れを拭き取り、日陰で2〜3日乾燥させます。その後、ゼンマイが切れるまでリューズを巻き続け、動かした状態でケースに保管します。
再び使用する際は、オーバーホールを依頼することをおすすめします。使用していない間に、潤滑油が乾燥している場合があるため、動かすと歯車が壊れてしまう可能性があるからです。
まとめ
便利なものが増えた現代でも、手巻き式時計の魅力は色あせません。ヴィンテージ市場で高い評価を受けているモデルも多く、正しい巻き方やお手入れを心掛けることで長く愛用できます。
ぜひ、自分にぴったりの時計を見つけて、その魅力を実感してみてください。