カルティエとブルガリのデザイン哲学と時代の変化 | 函館山の手店
ラグジュアリーブランドの中でも、カルティエとブルガリはジュエリー界において常に時代を先取りし、多くの人々を魅了してきました。両ブランドのデザインは一見対照的でありながら、それぞれが確固たる哲学を持ち、時代に合わせて柔軟に変化し続けています。本記事では、カルティエとブルガリのデザイン哲学と、その変遷について掘り下げていきます。
フランスの伝統美を貫くカルティエの美学
カルティエは1847年にパリで創業され、王侯貴族からの絶大な支持を受けて「王の宝石商」と称されました。カルティエのデザイン哲学は、「気品」「洗練」「普遍性」に集約されます。シンメトリー(左右対称)や直線的なフォルム、幾何学的な美しさを重視し、アールデコの精神を今なお受け継ぐブランドです。
特に「パンテール(豹)」シリーズや「トリニティ」リングは、その象徴的なデザインで時代を超えて愛されてきました。近年では、従来のエレガンスに加え、より現代的なミニマリズムやジェンダーレスな要素も取り入れ、若い世代への訴求力も高まっています。
イタリア的大胆さと色彩美が息づくブルガリ
ブルガリは1884年にローマで創業し、地中海の文化と色彩から強いインスピレーションを受けています。曲線を多用し、カラーストーンを大胆に配したデザインは、カルティエとは異なる「生命力」「華やかさ」「個性」を際立たせています。
ブルガリの代名詞ともいえる「セルペンティ(蛇)」モチーフは、古代ローマの美意識と現代性を融合した象徴です。また、鮮やかなエメラルドやアメシストなどをふんだんに使う独自のスタイルは、ファッション性を重視する顧客層に根強く支持されています。時代の変化とともに、持続可能な素材やフェアトレードの宝石を使用するなど、環境意識への対応も進んでいます。
時代の変化と共鳴する柔軟性
両ブランドに共通するのは、変わらない美学と、時代に応じたアップデートの両立です。カルティエは伝統の中にモダンを織り交ぜ、ブルガリは常に新しい文化的エネルギーを取り入れることで、どちらもその時代の「美」を体現しています。
また、デジタルシフトやグローバル化の進展により、ブランドの表現方法や販路も変化しています。オンライン上での試着体験、サステナブルな素材使用、Z世代を意識した広告展開など、それぞれの哲学を保ちながらも革新を続けています。
おわりに
カルティエとブルガリは、フランスとイタリアという異なる文化背景の中で育まれながら、それぞれのデザイン哲学を貫き、世界中の人々に愛されてきました。伝統を守るだけでなく、時代の空気を読み取りながら進化を続ける姿勢は、まさに真のラグジュアリーブランドと呼ぶにふさわしいものです。
両者のジュエリーを通じて、私たちは単なる「装飾品」ではなく、「文化」や「価値観」に触れることができるのです。
















