ブランド品とストーリーテリング:語れるモノの価値 | 函館山の手店
― モノが語る物語が、私たちの心を動かす理由
ブランド品は、単なる「高価なモノ」ではありません。
そこに込められた歴史、背景、職人技、コンセプト――それらがひとつの**「ストーリー」**となり、
私たちの心に深く訴えかける存在になっています。
この記事では、ブランド品がなぜ「語れるモノ」として価値を持つのかを、
ストーリーテリングという観点から考察していきます。
1. モノに宿る物語とは何か
人はなぜ、ブランド品に魅了されるのでしょうか?
もちろん、デザインや品質の高さも理由の一つですが、
実はそれ以上に**「語れるモノ」であること**が大きな魅力となっています。
たとえば、「このバッグは祖母から譲り受けたヴィンテージのシャネル」「この時計は昇進祝いで自分に買ったロレックス」など、
持ち主自身の経験や感情がストーリーとして結びついているのです。
このように、モノは単なる“所有物”を超えて、
記憶を宿し、人生を彩る存在になっていきます。
2. ブランド自体が紡ぐストーリー
多くのラグジュアリーブランドは、ただ商品を作るだけでなく、
独自の世界観や哲学を物語として伝える力に長けています。
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ルイヴィトンが語る「旅」の物語
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エルメスが体現する「馬具職人から続くクラフトマンシップ」
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シャネルが築いた「女性の自由とエレガンス」という思想
これらは、単なる“マーケティング”ではありません。
それぞれのブランドが築いてきた時代背景・価値観・象徴性が、
商品ひとつひとつに込められているのです。
だからこそ、ブランド品を持つことは、
その物語の一部を自分のライフストーリーに取り入れる行為とも言えるのです。
3. ストーリーはリセール価値にも影響する
近年、ブランド品のリユース市場が活発になるなかで、
「語れるモノ」が再評価されています。
たとえば、「1990年代に発売された初期モデルの再入荷」や、
「廃盤になった限定アイテム」が高値で取引される背景には、
希少性に加えて“語れる価値”があるかどうかが重要になっています。
また、元の持ち主の物語――「芸能人が着用」「記念モデル」なども、
購入者の購買動機になることは少なくありません。
つまり、ストーリーのあるモノは、売却の際にも価値が落ちにくいという経済的メリットも持っているのです。
4. モノを持つ理由が「自分を語る手段」に変わる時代
Z世代やミレニアル世代を中心に、「消費=自己表現」と捉える傾向が強まっています。
つまり、ブランド品を選ぶこと自体が、“自分はどういう人間か”を語る手段になっているのです。
エシカルなブランドを好む人は「環境意識の高さ」を、
ヴィンテージアイテムを愛用する人は「歴史と個性への共感」を。
選ぶアイテムそのものが、その人の価値観や人生観を語る名刺のような役割を果たしているのです。
ブランド品とは、自分の美意識を表現し、
「私はこうありたい」と伝えるためのストーリーの一部。
だからこそ、モノではなく“意味”が選ばれる時代になってきているのです。
5. まとめ:ブランド=物語の器
ブランド品の真の価値は、価格や希少性だけでは語りきれません。
それは「語れるモノ」であり、**人生や価値観と結びつく“物語の器”**でもあるのです。
自分のストーリーに寄り添い、誰かに語りたくなるようなモノ――
そうしたブランド品との出会いは、消費以上の体験を私たちにもたらしてくれます。
そしてその物語は、次に誰かの手に渡ったとき、新たな章として続いていく。
モノがめぐる時代だからこそ、ストーリーのあるモノの価値が、ますます光を放っているのです。
















