時計の“資産価値”としての魅力とその未来 | 函館山の手店
~腕に宿る投資対象、価値を刻む時間の芸術品~
かつて時計は「時を知る道具」だった。しかし現代において、それは**“資産”という別の顔**を持つようになっている。
とりわけ高級時計は、ファッション・ライフスタイルの一部でありながら、価値が落ちにくく、時に価格が上昇する資産性を持つ点で、他の贅沢品とは一線を画している。
時計がなぜ資産として注目されるのか。
そして今後、どのような価値を持ち続けていくのか。
その背景と未来を探っていこう。
なぜ時計が“資産”として評価されるのか?
① 世界的ブランド力と安定性
ロレックス、パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、リシャール・ミル、ヴァシュロン・コンスタンタンなど――
これらの高級時計ブランドは、世界中で認知される「共通通貨」のような存在だ。
ブランドそのものが価値の証明となるため、資産としての流動性が高く、どの国でも換金が可能である。
特にロレックスに関しては、一部のモデルが購入価格を上回るプレミア価格で取引されることがあり、実需・投資両面で安定した人気を誇っている。
② 市場の需要と供給の構造
高級時計ブランドの多くは、意図的に生産数を制限している。
とくに人気モデルは供給数に対して需要が上回る状態が続き、二次流通価格が安定して高水準を維持する傾向がある。
これは、株式や仮想通貨のように不安定な価格変動が少なく、「緩やかな右肩上がり」を期待できる資産として注目される要因となっている。
③ モノとしての希少性と持続性
時計は、小さく・保管しやすく・破損リスクが低いという物理的特徴を持つ。
加えて、しっかりとメンテナンスをすれば数十年、あるいは百年単位で使用できる。
こうした**“時間に耐える耐久性”**が、時計を「消費財」ではなく「長期保有に適した資産」として際立たせている。
資産価値を持つ時計の条件とは?
すべての時計が資産価値を持つわけではない。以下の要素が揃ってこそ、“資産としての時計”が成立する。
● ブランドとモデルの人気度
市場で需要があることは、資産価値を左右する最大の要因である。
ロレックス「デイトナ」、オーデマ ピゲ「ロイヤルオーク」、パテック フィリップ「ノーチラス」などは常に高値安定だ。
● 希少性・製造年・リファレンス
廃番モデルや限定モデルは希少性が高く、年数が経過するほどヴィンテージとしての評価も加わる。
特定のリファレンスナンバーに人気が集中することもある。
● 状態と付属品の有無
純正状態が保たれており、箱・保証書・タグ・コマなどの付属品が揃っていることは重要。
過度な研磨やパーツ交換があると、コレクター市場での価値が下がる傾向にある。
● メンテナンス履歴とオーバーホール
定期的にオーバーホールされており、稼働状態が良好であることも資産価値の維持には不可欠。
とくに正規店での修理記録があると、買取査定でプラス評価される。
時計投資のリスクと注意点
魅力の多い時計投資だが、当然リスクもある。以下の点に注意したい。
● 相場変動と人気の偏り
モデルによっては、人気の移り変わりやトレンドによって価格が急落する可能性もある。
一部のモデルやブランドに資金が集中している現状では、過熱感への冷却局面も想定しておくべきだ。
● 偽物(コピー品)の存在
高額取引されるモデルほど、精巧なコピー品の流通リスクが高まる。
購入時は信頼できる業者・専門家による真贋確認が必須。
● 長期保有に伴うメンテナンスコスト
時計の価値を維持するには、数年ごとのオーバーホールが必要。
高級時計ほどその維持費用(3〜10万円程度)も無視できない。
時計市場の未来と「デジタル資産」との融合
今後、時計の資産価値はどのように変化していくのか?
テクノロジーの進化とともに、次のような展開も予想されている。
● ブロックチェーンによる来歴管理
近年、一部ブランドでは**ブロックチェーン技術を活用したデジタル証明書(NFT)**の導入が始まっている。
これにより、所有履歴・修理履歴・真贋情報が明確化され、より透明性の高い資産運用が可能となる。
● リセールマーケットの拡大と国際化
Chrono24、WatchBox、StockXなどのグローバルな時計売買プラットフォームが拡大しており、個人が手軽に高額時計を売買する環境が整いつつある。
これは、時計を「一生もの」ではなく、「タイミングに応じて買い替える運用型資産」として扱う新しい流れを生み出している。
まとめ:時を超えて受け継がれる、価値ある選択肢へ
高級時計は、単なる贅沢品でも投機対象でもない。
それは**「時を刻むことで価値を積み重ねる、実用性を伴う芸術品」**だ。
着けて楽しむ。保有して育てる。いざというときに売却して支えにする。
そんな多面的な魅力を持つ資産として、時計はこれからも人々に選ばれ続けるだろう。
未来を見据えた“賢い持ち物”として、時計の可能性はまだまだ広がっている。
















