中古ブランド市場におけるZ世代の価値観の変化 ｜ 函館山の手店

かつて「新品こそ正義」とされていたファッションやブランド品の価値観が、今大きく揺れ動いています。
特に注目すべきは、1990年代後半〜2010年代初頭に生まれた「Z世代」の存在です。彼らは、中古品やヴィンテージブランドに対して積極的な姿勢を見せており、中古ブランド市場に新たな風を吹き込んでいます。
この記事では、Z世代がなぜ中古ブランドを好むのか、その背景にある価値観の変化を探ります。

1. サステナビリティ志向とエシカル消費

Z世代は幼いころから地球温暖化や環境問題に触れて育った世代です。そのため、「持続可能性」や「エシカル（倫理的）な消費」に対する意識が高く、新品よりも再利用・再流通されたモノに価値を感じる傾向があります。

中古ブランド品は、高品質で長く使えるだけでなく、新たな資源を使わずに手に入れられる選択肢です。環境負荷の少ないファッションとして評価され、「モノを選ぶこと＝未来を選ぶこと」と捉えるZ世代にとって、中古市場はまさに理想的な消費スタイルと言えるでしょう。

2. 個性の表現としてのヴィンテージ

Z世代にとってファッションは「トレンドを追う」ものではなく、「自分らしさを表現する手段」です。
現行モデルよりも、あえて古いコレクションや一点モノのヴィンテージアイテムを選ぶことで、他人とは被らない個性を演出しようとする意識が強く働きます。

中古ブランド市場では、現代にはないディテールや質感、歴史のあるアイテムを発掘する楽しさがあります。それがZ世代の「発信欲」や「共感文化」にマッチし、SNS映えするアイテムとしても人気を集めています。

3. デジタルネイティブとしての購買行動

Z世代は生まれながらにスマートフォンやSNSに親しんだ「デジタルネイティブ」です。
中古ブランド品も、リアル店舗よりもオンラインプラットフォームやアプリを通じて購入・売却するのが一般的です。メルカリ、ラクマ、ブランド専門リユースアプリなどの活用が進み、買う側・売る側の垣根も曖昧になりつつあります。

また、リユース品を一度購入しても「似合わなかった」「気分が変わった」と感じれば、気軽に再出品するという“循環的な所有”も珍しくありません。Z世代にとってモノは「所有する」よりも「一時的に楽しむ」ものになりつつあります。

中古ブランド市場の未来を支える世代へ

中古市場の拡大は、単なる節約志向やブームではなく、価値観の変化に基づいた文化的な選択です。
Z世代は、従来の“ラグジュアリー”の意味を問い直し、自分の信念や美意識にフィットするモノを選びとる力を持っています。

企業やブランドもこの変化に応え、サステナブルな素材や認証制度、中古流通を見越した商品設計を行うようになっています。
今後のブランドビジネスにおいて、中古市場とZ世代は切っても切れない関係になることは間違いありません。

まとめ：消費の中心にあるのは「共感」と「未来志向」

Z世代は、「誰がつくり、どのように流通したか」といったモノの背景に価値を見出す世代です。
中古ブランド品は、そんな彼らの感性と社会的意識にマッチした選択肢であり、これからのラグジュアリー消費の主流になる可能性を秘めています。

ただモノを買うのではなく、「想い」や「意味」を選ぶ時代。
中古ブランド市場は、Z世代によって進化し続けています。