骨董品の鑑定方法:古い陶磁器の真贋を見極めるポイント | 函館山の手店
骨董品としての陶磁器は、長い歴史の中で多くのコレクターに愛されてきました。しかし、市場には精巧な偽物も多く流通しており、真贋を見極めるには専門的な知識と経験が必要です。本記事では、古い陶磁器の真贋を判断する際の主要なポイントについて解説します。
1. 陶磁器の時代背景と作風を知る
陶磁器の鑑定において、まず重要なのはその時代背景と作風を知ることです。
- 各時代や地域ごとに特徴的な製法や装飾があり、それらの知識を持つことで真贋の判断がしやすくなります。
- 例えば、中国の宋代の青磁、明代の青花磁器、日本の江戸時代の伊万里焼など、それぞれの時代・地域ごとの特徴を押さえることが必要です。
2. 素材と焼成技術の違いを確認する
本物の陶磁器と偽物では、使用される素材や焼成技術に違いがあります。
- 釉薬の質感:古い陶磁器の釉薬は長年の経年変化によって、独特のヒビ(貫入)が入ることがあります。
- 胎土の組成:各産地の陶土には独自の成分が含まれており、これを分析することで時代や産地を特定する手がかりになります。
- 焼成温度と磁器の硬度:本物の磁器は高温で焼かれるため非常に硬く、偽物は焼成温度が低いため脆いことが多いです。
3. 高台(こうだい)や底面の特徴を見る
陶磁器の底面は、その真贋を判断するための重要なポイントの一つです。
- 高台の仕上げ:本物の古陶磁器は、手作業で作られるため、底面や高台の部分に微妙な凹凸があることが多いです。
- 窯跡の有無:本物の焼き物には、窯で焼成する際に生じる焼き跡が残っていることがあります。
- 刻印や銘:明代の青花磁器などは、底面に刻印があることが多いですが、近年の偽物では、この刻印を人工的に再現することもあるため注意が必要です。
4. 経年劣化と使用感を確認する
本物の古い陶磁器には、長い年月を経た自然な経年変化が見られます。
- 貫入(かんにゅう):陶器の釉薬部分にできる細かいひび割れは、自然な経年変化として見られます。
- 摩耗や変色:長年の使用や保管状態によって、器の縁や底面に摩耗や変色が見られることが多いです。
- 土の風化:古い陶磁器の破損部分や欠けた箇所の土は、時間が経つにつれて自然な風化が進んでいます。逆に、偽物は人工的に汚れをつけていることが多いです。
5. 光沢と発色の違いを確認する
古い陶磁器の表面の光沢や発色は、現代のものと異なります。
- 釉薬の光沢:本物の陶磁器は長い時間をかけて風合いが変化するため、自然なツヤが出ることが多いです。
- 色の深み:本物の染付や絵付けは、手作業によるものであり、色の濃淡に独特の深みがあります。
- 蛍光灯の下での反応:ブラックライト(紫外線)を当てると、新しい修復部分は強く光ることが多いため、修復歴を調べるのに有効です。
6. 信頼できる鑑定機関の活用
骨董品の真贋を確実に見極めるためには、専門家による鑑定を受けることも重要です。
- 公的な鑑定機関:博物館や美術館での鑑定依頼。
- オークションハウスの専門家:クリスティーズやサザビーズなどのオークションハウスでは、高度な鑑定技術を持つ専門家が在籍。
- 陶磁器専門のディーラーやギャラリー:長年の経験を持つディーラーによる目利きも非常に有益です。
まとめ
古い陶磁器の真贋を見極めるためには、時代背景や作風の理解、素材や焼成技術の違い、高台や底面の特徴、経年劣化の観察、光沢や発色の違いといったポイントを押さえることが重要です。
また、信頼できる専門家による鑑定を受けることで、より確実な評価を得ることができます。骨董品の世界は奥深く、知識を積み重ねることでより価値のあるアイテムを見極める目を養うことができるでしょう。
















